誰にも言えない初恋

山本未来

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通じ合う心

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「翔くん?」

「あっ!はい、、」

僕は緊張しながら受話器を握りしめていた


「またかけて来てくれたんだね

ありがとうね~

お父さんはでかけたのかな?」


「はい!

忘れ物取りに帰って来たみたいで」


「そっか~、、ふふふ」


玲奈ちゃんママの可愛い笑い声に

つられて僕もふふふって笑った


なぜかお互いに気持ちが通じ合って

いるかのようで安心したと言うか

さっきまでの心臓の激しい鼓動は

治まっていた


「あっ!そうだ翔くん熱あったんだ~

大丈夫?タイミング悪く電話して

しまってごめんね」


「いえ、大夫ましになったので

明日か明後日には学校行こうと

思ってます!」


「そっか~よかった!

学校とか部活とかは

楽しく行ってる?あと家の事とか

色々大変だけど大丈夫?」


「あっ!はい!

なんとか楽しくやってます

お母さんの事ももう立ち直ったし

大丈夫です!」


「そっか~良かったわ~

なぜだか分からないけどいつも

翔くん元気かな~困ってないかな~

って思っていて気になってたから

電話するのもかなり悩んだんだけど

かけてみようかな~って思って、、

ちょうど玄関に自転車あったから

もしかしているかな~って思って、、

突然電話かかって来たらビックリするよね」


僕はこんなに僕の事を心配してくれて

いる事がとても嬉しかった


そしてお互いにまた、ふふふって

笑い合った


「心配かけてすいません、、」


「え~翔くん謝らなくてもいいよ~

私が勝手に心配してただけだからね

でも翔くん偉いな~

お母さんいなくて大変な中、学校も

部活も頑張ってて、、

もうすぐ夏の高校野球だね

甲子園に行けそう?」


「強豪チームが多いから多分無理です、、」


「そうだよね~

一校しか出れないもんね~

出れる確率低いもんね、、

でも小学校からずっと野球続けて

凄いよね~頑張り屋さんだね!

あっ!そうだ大学は行くの?」



「まだはっきり決めてないけど

勉強そんなに好きじゃないし

どちらかと言うと働きたいな~って

思っています、、」


「そっか~行けるんだったら大学

行った方がいいとは思うけど

それは翔君が決める事だからね~

とにかく今は甲子園目指して頑張らないとね!」


僕達はお互いに笑い合った


こんなに話したのは初めてで

2人で話すのがこんなに楽しいとは

思わなくて話しているうちに

心が和んできてほとんど玲奈ちゃんママ

が一方的に話したり質問してきたり

だったけどこのままずっと話していたい

気持ちでいた


「私、お母さんが病気してた事とか

全く知らなくて、、何も力になれなくて

ごめんね、、それがずっと心残りだった、、」


「いえ、、玲奈ちゃんママは何も

悪くないです、、だから気にしないで

下さいね!」


僕は少しお母さんとの事を思い出して

悲しくなった


「翔くんごめんね、、こんな話しして、、

本当に私駄目だね、、

いつでも困った事あったら連絡して

くれていいからね、そんなに力に

なれないとは思うけどね、、」


「ありがとうございます!」


「じゃあ頑張ってね!

あっ!そうだ熱も下がるといいね

お大事にね!熱あるのに話しして

くれてありがとう!無理しないように

ゆっくり休んでね

それと電話かけて来てくれて

本当にありがとうね!

じゃあまたね!」


そう言って電話は切れた


時計を見たらもう11時過ぎてて

30分以上喋ってたみたいだけど

あっと言う間だった


『玲奈ちゃんママと色々話せて楽しかったなー

もっと話したかったけど返事するのに

精一杯だったし、、でも僕の事

心配してくれて、、これってどう言う

気持ちでかけて来てくれたんだろう?!

まさか僕の事好きって事はないだろうし』


僕は電話を切ってから色々考えた

考えれば考える程分からなくなって来て

でもいつも心配している

電話かけるか悩んだ

そして僕の自転車が家に

ある事をチェックしていた

それってなんとも思ってない人には

しないと思うし?!

玲奈ちゃんママのただの優しさ

なのかな~?!


僕は微熱のある状態で

ずっと何時間もその事を考えていた

昼が過ぎ夜になり、、

そして薬が効いてきたのか

寝る前には平熱になっていたけれど


熱は下がっても僕の玲奈ちゃんママを

思う熱い想いはどんどん上がって

行くばかりだった






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