誰にも言えない初恋

山本未来

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友達拓哉の悩み

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受験一色の毎日が慌ただしく過ぎ

僕はなんとか私立の高校に

入学する事が出来た


小学校から一緒に野球を続けてきた友達の

拓哉も同じ所を受験して合格

二人で大喜びした


この高校は甲子園に出場した事はないけれど

地方大会で一度だけ

ベスト18に入った高校で

僕の電車で片道一時間かかる場所にある


甲子園に行くというわずかな希望をかけて

僕達は胸を膨らませていた


お母さんは弟がいじめで落ち込む姿や

僕の受験の事なのどで落ち込みが激しく

ノイローゼ気味で僕はなるべく外出したり

拓哉と遊びに行ったりして気を紛らわしていた


拓哉も色んな悩みを抱えていて

僕に相談してくることが多かったけれど

僕は悩みを相談する事はなかったから

きっと僕がこんなに辛い毎日を

過ごしているとは知らない


野球をしている時は嫌な事を忘れていたし

毎日家に帰ってもくたくたでいつも

寝込んでいるお母さんの姿を見る事もなく

倒れ込むように寝てしまっていたし

お母さんや弟のいじめの事を考える

余裕もなかった


野球部は全員で80人位いたけれど

1年生は厳しい練習について行けずに

何人か辞めて行った


僕は夢があったし居場所は野球しか

なかったから苦しくても

拓哉と励まし合って頑張っていた


拓哉はハッキリした性格だったから

先輩に口答えする事が多く

先輩に真っ先に目をつけられ

みんなより多めにランニングさせられたり

片付けを強要されたり辛い立場に

立たされていてそんな悩みを僕に

話してきたけれど僕はどうする事も

出来ないばかりか

拓哉と仲良くしている事で

僕も先輩にだんだん目をつけられ

拓哉と仲良くするのを止めるように

言われるようになり

理不尽な先輩達の態度に

僕は毎日イライラして

家に帰って物にあたって投げつけたり

していたから家はめちゃくちゃになっていた



家族全員がバラバラでみんな不機嫌な

顔をしていたし笑い声など当たり前だけど

聞こえるはずもなく

明かりが切れた真っ暗な部屋にいるような

暗い毎日だった


玲奈ちゃんの家からはよく笑い声が聞こえていて

僕はその前を通る度

羨ましかった

玲奈ちゃんママ出てこないかな?

って玄関を見つめていたけれど

朝早く登校し帰りも遅い僕と玲奈ちゃんママは

全くと言う程会う事がなくなっていた


でも辛い時は机に飾っている

玲奈ちゃんママと写っている写真を

見つめたりしていた

なぜか写真を見つめていると

独りぼっちじゃない気持ちになって

心が落ち着くから不思議だった






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