誰にも言えない初恋

山本未来

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玲奈ちゃんのお母さん

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あれから、僕はいつもと変わらず

朝、自分で起きて学校に行く用意を

して弟を起こし冷蔵庫にある

残り物を温めて食べさせて

大急ぎで玄関を出て学校に行き

先生の話しを適当に聞き

昼休みは友達と外でサッカーをしたり

して遊び部活に行き夕方帰る

という生活を繰り返していた


お母さんの病状は良くなったり

悪くなったりで不安な日々は続いていた


でもほとんど外出することが出来なくて

沈んでいるお母さんの姿を見るのが

とても辛かった



いつも出かける時は必ず鍵を

持っていくのにその日は忘れて

家のチャイムを鳴らしても誰も出てくれない


お母さんは寝ていて気がつかないのか

それとも、出かけたのか

仕方なく玄関に座りこんでいると


「翔君?久しぶりだね~

元気だった?

どうしたの?誰もいないの?」


座り込んでいる僕に気がついた

玲奈ちゃんのお母さんは買い物袋を

抱えて僕に話しかけてくれた


「あっ、、

こんにちは」

僕は焦って

そう言うのが精一杯で顔が引きつり

顔は真っ赤になってる気がして

思わず目をそらしてオドオドしてしまった


しばらくして少し落ち着いてから

「鍵持って行くの忘れちゃって

お母さんどこかに出かけたみたい」

僕は困ったようにそう言うと


「困ったね~どこ行ったのかな?」


玲奈ちゃんのお母さんは困ったように

辺りを見渡していた



「あっ…僕、玲奈ちゃんのお母さんの家に

行きたい!」


僕は、とっさにそう言った


「あっ、そうだね!

うちの家で待ってたらいいよ

お母さんいつ帰って来るか

分からないしね

留守電にうちに翔君が

来てるからって入れておいたら

連絡くれるだろうしね!」


玲奈ちゃんのお母さんは笑顔で

そう言ってくれた


僕はガッツポーズをしたい気持ちを

抑えて、慌てて立ち上がり

玲奈ちゃんのお母さんの横に並んだ


僕の家には何度か来てくれていたけど

玲奈ちゃんのお母さんの家に

行くのは初めてで嬉しいような

恥ずかしいようなラッキーなような

複雑な気持ちだったけれど


久しぶりに会えてそれだけでも

嬉しかったのに

家に行けるなんて、、

とっさに出た

言葉だったけれど

言ってみるもんだな~って思った



歩き出した玲奈ちゃんのお母さんの横で

僕は少しニヤけた顔になっている気がした



真っ青な空が眩しくて

玲奈ちゃんのお母さんの姿も

眩しかった



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