コイシイヒト

山本未来

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柳井君とさよならしたくない、、

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柳井君が何度か寝返りを

打ち始めたので

私は触れていた手をそっと離すと

寝ている振りをした


柳井君は起き上がると洗面所に行き

歯磨きをしたりしている

その音に反応して

小山さんが起き出した


「おはよー

今日は沢山寝たね

疲れ取れた?」


私が言うと


「爆睡した~

今日は目覚めがいいわ~

でも、もう10時になってるね、、」


小山さんは笑って言った


「おはよー

疲れとれたか?」


洗面所から出て来た柳井君は

元気に言った


私は少し気まずさを感じながらも


「うん!

疲れ取れた!」

って精一杯明るく言った


「あ~あ~

今日帰らないといけないから

残念だな~

本当に楽しかったよね~

めぐみちゃん!」


小山さんはそう言った


「本当にあっと言う間だったね~

なんか寂しいね、、」


私は寂しくなった


「近所に美味しパン屋さんがあるから

買いに行こうか?」


柳井君がそう言ったので


私達は大急ぎで準備をした


パン屋さんに着くと

柳井君はいつも食べている

美味しいサンドイッチを私達に

勧めた


「サンドイッチとチョコクロワッサンと

ソーセージパンと卵パン

あと何買おうかな?」


私が選んでいると


「白石、どれだけ食べるんだ

こんなに沢山買って食べれるのか?」


柳井君は驚いた顔でそう言った


「だって柳井君のオススメの

パン屋さんだから

もう来れないかもしれないし

買っておかないと、、」


私がそう言うと


「お前、本当によく食べるな~

ビックリするわ~」


と柳井君は爆笑した


「あそこの公園で食べようか?」

パン屋さんの近くにある

公園に行きベンチに座り

私達はパンを食べた


「さて、柳井君のオススメの

サンドイッチを

食べてみようかな~

美味しそうだな~」


私はサンドイッチを一口食べた


「美味しいだろう?

ほぼ毎日あのパン屋さんに

行ってるけど美味しいから

飽きないんだよな~」


柳井君もサンドイッチを

食べながら言った


「うん!美味しいな~

たまにこうやって公園のベンチで

食べるのもいいね!

私、柳井君と過ごした3日間の事

ずっと忘れないと思うよ~

柳井君も忘れないで覚えていてね!」


私は柳井君に伝えたくてそう言った


「もちろん覚えておく!

忘れるわけない!」


柳井君は私を見つめてそう言った


私達のベンチには餌を求めているのか

可愛いいスズメが何匹かやって来た


柳井君はパンを小さくちぎると

スズメに向かってそれを投げた


「俺、東京で頑張るから

白石達も頑張れよ!」


「うん!

頑張る!」


私は精一杯そう言った



家に帰りテレビを見たり

荷物をまとめたりしていたら

あっと言う間に2時


「そろそろ帰らないとね、、」


私はそう言って

3人で東京駅に向かった


「あ~あ、、

明日からまた現実に戻るの嫌だな~

就活もしないと行けないし、、」


小山さんは電車の中でそう言った


「本当に嫌だな~

ずっと遊んでいれたらどんなに

いいだろうね、、」


私は言った


「お前らが明日から居ないと思ったら

なんか寂しいな~

やっぱり誰かが家にいてくれるのって

いいよな~」


柳井君は寂しげに言った


「そうだよね~

3日間楽し過ぎたから

余計寂しいよね~」


小山さんは言った


東京駅に到着して

駅のお土産屋さんを見る事にした


私があちこちのお土産屋さんを

見ていると柳井君が近付いて来て

私の肩を叩いた


「白石!

就職決まったらまた教えてな!

俺も決まったら教えるし!」


「分かった!

連絡する!

3日間本当に楽しかった!

色々ありがとう!

私、、

柳井君の事ずっと応援してるから

東京で頑張ってね!

柳井君だったら絶対に大丈夫だからね!

あっ!

それからガラスの靴

本当にありがとう!

本当に嬉しかった!

辛い時あのガラスの靴見て

柳井君の事思い出して頑張るね!」


私はそう言うのが精一杯だった


お土産買って新幹線に乗ったら

もう柳井君とはもうお別れだ


私は泣きそうになる気持ちを

抑えるのに必死だった


『悲し過ぎるな~

こんなに柳井君が好きなのに、、

さよならなんて辛すぎる、、』


小山さんもお土産を買い終えたので

私達は新幹線の改札に向かった


来た時は柳井君に会えるから

わくわくして幸せでいっぱいだったのに

帰りはたまらなく寂しい、、


柳井君も元気がない、、



人って本当に好きな人には

本当の想いがなかなか伝えられない、、


本当に好きだから

本当に大切だから

だから相手の幸せを一番に考えるから

だから伝えられない、、


だから私はやっぱり柳井君に

好きって最後まで言えなかった


だけど精一杯柳井君に触れて

抱きしめ合ったから


だから、、


だから、、


それだけでも幸せなんだ、、


「柳井君、色々ありがとう!

元気でね!

また同期会しようね!」


小山さんはそう言って

改札に向かった


「元気でな!

また同期会で会おうな!」


柳井君はずっとずっと手を振ってくれた


私は何度も何度も振り向いて

柳井君に手を振った


そして柳井君の姿は見えなくなった、、


新幹線に乗り込み座席に座った


「柳井君凄く寂しそうだったね、、

なんか可愛いそうになった、、」


小山さんがそう言った


だけど私は堪えていた気持ちが

抑え切れなくなって


涙がポロポロ、ポロポロ流れて

止まらなくなった


必死でハンカチで隠したけれど

溢れだして止まらない、、


「めぐみちゃん、、」


小山さんは私の気持ちを察したのか


何も言わずに肩を抱きしめてくれた


私はその好意に益々涙が溢れて

止まらなくなった、、


『悲しい、、

寂しい、、

切ない、、

柳井君とさっきまで一緒に笑って

過ごしていたのに、、

もう遠くに離れて行く、、

この気持ちどうしたらいい?

柳井君に会いたい、、

さっきまで会っていたのに、、

もう会いたくなっている

会いたい

会いたい、、

柳井君と離れたくない、、』


私の涙はずっとずっと流れてて

止まらなくなっていた


大阪駅に着いた頃には

目が真っ赤になって腫れていた


『今頃、柳井君どうしているかな、、

元気になったかな、、

寂しくしてないかな、、』



私の心は大雨が振ったように


ぐちゃぐちゃだった、、
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