コイシイヒト

山本未来

文字の大きさ
上 下
31 / 43

柳井君との夜の出来事、、

しおりを挟む
留守番電話の声は男性だった


多分柳井君の父親で内容は

柳井君をとても心配していて

もしも東京で上手くいかなかったら

実家に戻って来たらいいからと言う

内容だった、、



「柳井君のお父さんって入社式の時

社長に意見を言って

そのせいで柳井君、他の会社に

飛ばされたんだよね~

お父さんが息子に電話かけてくるなんて

かなり心配してるよね、、」


小山さんは入社式の事を

思い出したように言った


「たまたま今日かけて来たのか

それとも毎回かけて来てるのかな?

かなり心配しているよね、、

東京に行く事もお父さん達は

反対したのかもね、、

こんな内容の電話をたまたま聞く事に

なるなんて、、

なんか不思議だね、、

この留守番電話の事は柳井君には

言わないで知らなかった事に

しておこうね、、」


私は切なくなった


柳井君は一体どう言う気持ちで東京に

住もうと思ったんだろう~


色々考えれば考えるほど

切なくなった、、



暫くすると柳井君が帰って来た


「ただいま~

風呂入ったか?

コンビニでデザートとか

買って来たから

俺が風呂から上がったら

食べような~」


柳井君はプリンや飲み物やお菓子を

袋から取り出すと

冷蔵庫の中に入れた



「ありがとう!

時間潰すの大変だったでしょう?

デザート買って来てくれてありがとう」


私達がそう言うと嬉しそうに笑って

お風呂に入りに行った



柳井君がお風呂から上がると

テーブルにデザートなどを並べて

みんなで食べた


さっきのお父さんからの

留守番電話には

気づいているような

気づいていないような感じで

電話はそのまま点滅状態だった



「あっ!そうだ~

誰にも見せた事ないけど

俺のアルバム見る?」


柳井君は本棚に立ててあるアルバムを

取り出すと開いて見せてくれた


1ページ目を開けると

同期会で柳井君と私がツーショトで

撮ってもらった写真に目がついた


『私とのツーショット写真一番目立つ

所に貼ってくれてる

嬉しいな~

あの時は2人ともドキドキしながら

撮ってもらったな~

懐かしいな~』



そしてその近くに大学の時の

写真が貼ってあった


男女グループ5人で大学内で

撮っていて楽しそうにみんな笑っていた

柳井君も今と全く変わらない


私がその写真をじっと見つめていると


「この女の子、白石に似てるだろう、、

この子の事、俺好きだったんだ~」


柳井君は懐かしそうに

一人の女の子の事を

指さして言った


似てるような似てないような~?!

私にはよく分からなかった


それよりも好きだったと言う

言葉の方が気になった


私が寂しくなってうつむいていると


「昔好きだっただけで

今は好きじゃないからな!

ただ白石に似てるから

初めてバス停で

白石見た時ビックリしたんだ、、」


柳井君は私に気を使っている

感じで言った


「じゃあ~めぐみちゃんに

一目惚れしたんだ~」


小山さんが冗談ぽく言うと


柳井君は少し照れながらも

何も言わなかった


アルバムのページをめくると

ほとんどが大学の学園祭や

みんなで遊びに行ってる写真で


女の子と2人で写っている写真はなかった


『私に似ていたと言う女の子って

彼女だったのかな~、、

でもグループで写っている

写真ばかりで

2人の写真はないから

彼女ではなかったのかな?!

なんか寂しい、、

私の知らない柳井君が

写真にいっぱいいるから、、


でも同期会で今まで沢山写真撮ったのに

私とのツーショット写真しかないな~

私との写真大切にしてくれているって

事なのかな~

もしそうだったら嬉しいな~』


私が写真を見ながら

色々考えていると


「東京に来てからよく

白石の夢見るんだよな~」


と言ってきた


「私も柳井君の夢よく見るよ~

この前は海で柳井君と泳いでいる

夢見たよ~」


私はそう言ってから

しまった、、って思った


「白石も俺の夢見るんだな~

お互いが夢に出て来てるなんて

少し嬉しいな~」


柳井君はそう言ったけれど

私は恥ずかしくなって

うつむいてしまった


同期の人の話しや東京での話しなど

話しは尽きる事がなくて


時計を見るともう10時になっていた


「もう10時だよ~

明日起きれなくなるから早く寝ようよ~」


小山さんは眠そうにそう言った


「時間経つの早いな~

そろそろ布団敷こうか~

布団一つしかないから横にして

3人で寝るからかなり狭いけど、、」


柳井君はそう言うと布団を横に敷いて

あり合わせのタオルケットを用意した


「俺端っこで寝るから」


柳井君は隅っこに行くと横になった


「めぐみちゃん、柳井君の隣に寝てね!

私は端っこに行くから、、」


小山さんはそう言うと

端っこに寝転がった


私は2人に挟まれた形で横になった


『わあ~なんかドキドキしてきたな~

こんなに近くに柳井君がいたら

私寝れないな~

柳井君は冷静にしているけど

なんとも思わないのかな?!』


私は柳井君の横向きの背中を見つめた


「白石、俺の横で寝れて嬉しいだろう?

確か海行った時もこんな事言ったな~」


突然私の方に振り返ると

柳井君はそう言った


「本当だ~

海行った時も同じ事言ってたね!

私が水着姿で横にいてるのに

柳井君冷静だったよね」


私が笑って言うと


「冷静な振りしてただけで

結構ドキドキしてたけどな、、」


柳井君は照れながら言った


「そうなんだ~

ドキドキしてたんだ~」


私はニヤけながら言った


小山さんはかなり疲れたのか

寝息を立てながら眠っている


私は大好きな柳井君と

隣で寝る事が出来てとても幸せだった



「柳井君はどうして東京で

生活しようと思ったの?」


私はずっと気になっていた事を

聞いてみた


「入社してすぐに関連会社に飛ばされて

結局戻れなくてかなり落ち込んだ、、

やっぱり自分を変えたいと言うか

やり直したいと言うか

新しい街で何か始めたいなって思って、、

どうせだったら東京かなって思ったんだ

これから色々不安だけど

決めた以上頑張るしかないしな~」



「そっか~

柳井君ってやっぱり凄いな~

挑戦しようと思う所が凄いよ~

尊敬する、、」


「挑戦だけはするんだけどな~

なかなか結果が出ないけど、、

ずっと貧乏だしな~

このままだと本当に結婚できないな、、」


「今は貧乏だけど将来きっと

お金持になってるよ~

柳井君ずっと頑張ってるし

みんなに優しいし

行いがいいから

これからどんどん運気が上がって

私なんて相手にしてもらえなくなるよ~」



「運気上がるといいけどな、、

運気上がったとしても白石の

相手はするぞ~」


柳井君は優しい目で私を見つめた


私達は横向きで顔が間近にあって

少し移動したら抱き合う事が

出来る位の距離にいた



私は柳井君が好きだから

手を握りしめて抱きしめたい想いで

いっぱいだったけれど
 

そんな事したら柳井君はきっと

驚いてしまう


だからぐっと我慢していた


今日一日色々な事があったから

疲れているのに

私は全く寝たくなかった


柳井君は昨日も朝方まで

家の片付けをしてくれていたから

ほとんど寝ていないはず


だから眠くて仕方ないと思う


だけど私の話しに

付き合ってくれている


『眠たいけど

私、今日は寝ないで

柳井君の顔ずっと見ておこう!

だって今度いつ会えるかも

分からないし

もう会えないかもしれないし、、

だからずっとずっと寝顔見ておく、、』


私はそう思ってじっと

柳井君を見つめた


柳井君の目は暗闇の中でも

キラキラ輝いていて


そして、とても優しい目で

私をそっと見つめていた


柳井君がいつも私を見つめる

優しい目が

私はとても好きだった


その目に見つめられると

心の奥がキュンってなるから、、

だから大好きだった


「白石、まだ寝ないのか?

明日早いし早く寝ろよ、、」


「うん、、

柳井君こそ疲れてるから早く寝てね、、

柳井君が寝たら私も寝るから、、」


「そんな事言われたら俺寝れないな~」


私達はクスッて笑い合った


さっき10時だったけど

あれからだいぶ時間が経ったから

0時位かな?


このまま時間が止まればいいのに、、


そしたら柳井君の横で

ずっと寝ていられるのに、、


柳井君の側にいると

とっても落ち着くのに、、


私がもし好きって言ったら

どうなるだろう、、


好きって言ってくれるのかな、、


でも好きって言っても

きっとどうにもならないな~


このまま友達として付き合う方が

きっといいんだから、、


だから言えない、、


私は心の中でそう思った


横を見ると柳井君は

やっぱり疲れていたからか

寝息を立てて眠っていた


『柳井君の寝顔可愛いな~

眠いけど、ずっと見ていよう』


私は柳井君の寝顔を

ずっとずっと見ていた


そして少しだけ体を動かして

近くに行ってみた


『柳井君寝てるから少し位

接近しても分からないよね、、』



私が体を動かしながら

柳井君の寝顔を

見つめていると



柳井君の手が

私の手にそっと触れた、、



『え~!!

柳井君起きているの、、

それともたまたまかな、、』


私はその触れた手を握りしめようか


そのままにしておくか悩んでいた



心臓はあり得ないくらい

ドキドキと音を立てている


頭は真っ白になっている



『どうしょう、、

柳井君がもし起きていたら

このドキドキ伝わる位

心臓破裂しそうな位

体中がドキドキしている、、

ドキドキが止まらないよ~』


そんな風に思っていると


柳井君の手が私の手をギュッと

握るのが分かった


『柳井君きっと起きてるんだ~

どうしょう、、』


私は柳井君をそっと見てみたけれど

目は閉じていた


だけどこの握り方は

起きているとしか思えなかった



私は我慢出来なくなって

手を握り返した


お互いの手が初めて触れて

手が触れているだけなのに

体中が熱くて


たまらない気持ちで、、


この先を期待するような

期待したら駄目なような


そんな気持ちでずっと手を握りあった


窓からは優しい夜の風が流れ

私達を優しく包んでいた


真っ暗な夜空から

満月の光がさして

私達にスポットライトを

当てたように光っていた


とても静かな夜で


耳をすませば虫の声が

少しだげ聞こえて


まるで音楽を奏でているようだった



私達どうなるの、、


柳井君は私の事どう思っているの、、


純粋な私には対応の仕方が

分からなかった


ただとても幸せだった


柳井君の手の暖かさが


私の体中を優しく温めてくれた、、


この先どうなるか分からないまま


時計の音と私達の心臓の音が

部屋中に木霊していた







しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

寝室から喘ぎ声が聞こえてきて震える私・・・ベッドの上で激しく絡む浮気女に復讐したい

白崎アイド
大衆娯楽
カチャッ。 私は静かに玄関のドアを開けて、足音を立てずに夫が寝ている寝室に向かって入っていく。 「あの人、私が

友情結婚してみたら溺愛されてる件

鳴宮鶉子
恋愛
幼馴染で元カレの彼と友情結婚したら、溺愛されてる?

校長室のソファの染みを知っていますか?

フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。 しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。 座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る

ヤリたい男ヤラない女〜デキちゃった編

タニマリ
恋愛
野獣のような男と付き合い始めてから早5年。そんな彼からプロポーズをされ同棲生活を始めた。 私の仕事が忙しくて結婚式と入籍は保留になっていたのだが…… 予定にはなかった大問題が起こってしまった。 本作品はシリーズの第二弾の作品ですが、この作品だけでもお読み頂けます。 15分あれば読めると思います。 この作品の続編あります♪ 『ヤリたい男ヤラない女〜デキちゃった編』

【完結】やさしい嘘のその先に

鷹槻れん
恋愛
妊娠初期でつわり真っ只中の永田美千花(ながたみちか・24歳)は、街で偶然夫の律顕(りつあき・28歳)が、会社の元先輩で律顕の同期の女性・西園稀更(にしぞのきさら・28歳)と仲睦まじくデートしている姿を見かけてしまい。 妊娠してから律顕に冷たくあたっていた自覚があった美千花は、自分に優しく接してくれる律顕に真相を問う事ができなくて、一人悶々と悩みを抱えてしまう。 ※30,000字程度で完結します。 (執筆期間:2022/05/03〜05/24) ✼••┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈••✼ 2022/05/30、エタニティブックスにて一位、本当に有難うございます! ✼••┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈••✼ --------------------- ○表紙絵は市瀬雪さまに依頼しました。  (作品シェア以外での無断転載など固くお断りします) ○雪さま (Twitter)https://twitter.com/yukiyukisnow7?s=21 (pixiv)https://www.pixiv.net/users/2362274 ---------------------

婚約者

詩織
恋愛
婚約して1ヶ月、彼は行方不明になった。

思い出を売った女

志波 連
ライト文芸
結婚して三年、あれほど愛していると言っていた夫の浮気を知った裕子。 それでもいつかは戻って来ることを信じて耐えることを決意するも、浮気相手からの執拗な嫌がらせに心が折れてしまい、離婚届を置いて姿を消した。 浮気を後悔した孝志は裕子を探すが、痕跡さえ見つけられない。 浮気相手が妊娠し、子供のために再婚したが上手くいくはずもなかった。 全てに疲弊した孝志は故郷に戻る。 ある日、子供を連れて出掛けた海辺の公園でかつての妻に再会する。 あの頃のように明るい笑顔を浮かべる裕子に、孝志は二度目の一目惚れをした。 R15は保険です 他サイトでも公開しています 表紙は写真ACより引用しました

娼館で元夫と再会しました

無味無臭(不定期更新)
恋愛
公爵家に嫁いですぐ、寡黙な夫と厳格な義父母との関係に悩みホームシックにもなった私は、ついに耐えきれず離縁状を机に置いて嫁ぎ先から逃げ出した。 しかし実家に帰っても、そこに私の居場所はない。 連れ戻されてしまうと危惧した私は、自らの体を売って生計を立てることにした。 「シーク様…」 どうして貴方がここに? 元夫と娼館で再会してしまうなんて、なんという不運なの!

処理中です...