コイシイヒト

山本未来

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本当にサヨナラ、、

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10月になり同期会が開かれる事になった


東京本社の宮部さんと中井さんも

今回は来るらしくて


私は複雑な気持ちだった


宮部さんから別れの電話が

かかって来てから

月日は流れたけれど


宮部さんとは会ってサヨナラ

した訳ではなかったから

会ったら自分がどんな気持ちになるか

分からなかったし


普通に接する事が出来るかも

分からなかった



私はいつもより遅めに居酒屋に

到着したので席が少ししか

空いていなくて


柴野さんの隣が空いていたので

そこに座った


宮部さん達はまだ来ていなかった


暫くすると宮部さん達がやって来た


『やっぱり駄目だ~

めちゃくちゃドキドキしてる、、

相変わらず落ち着いているな~

普通に接する事なんてやっぱり

出来ない、、

もう帰りたい、、』


私はとても複雑な気持ちで


お鍋の具材を入れたり

お酒を飲んだりしていた


暫くすると

「めぐみちゃん、、

宮部さんと話さないの?」

平井さんが近くに来て言った


「いいよ~

恥ずかしから話さない、、」


「そうなの~

せっかくなのに、、」

と平井さんは不思議そうにした


私が宮部さんから振られた事は

誰も知らないと思う


私は誰にも言ってないし

宮部さんは誰かに言ったかどうかは

分からないけれど

きっと私の事考えて

言ってないような気がした



みんなそれぞれの席で話しが

盛り上がっている感じだけど


私は楽しむ気持ちにもなれなくて

ひたすらお鍋を食べたり

近くの人が話す事を聞いている

振りをしていた



『今日やっぱり来なければ

良かったたな~

なんか切ない、、

早く同期会終わらないかな、、』

そんな事を思いながらぼーっとしていると


「白石!

今日元気ないけどどうかしたのか?」


柳井君が心配して横に来てくれた


「柳井君ありがとう、、

大丈夫だよ~

楽しんでるし、お鍋も美味しいね!

今日は二次会するの?」


「一応しようかと思ってるけど、、

近くにあるファミレスとかに

しようかと思ってる

そんなに遅くまでは出来ないけどな」


「そっか~

私は今日は帰ろうかな~」


「来いよ!

そんなに長時間やらないし、、」


私は行けそうだったら行くと返事した



二時間で予約していたので

あっと言う間に一次会は終わり

何人かは帰って行ったから

私も柳井君に今日は帰ると告げて

帰る事にした



一人で駅まで歩いていると


後ろから肩を叩かれた


私はビックリして振り向くと


「めぐみちゃん、、

久しぶり、、」


宮部さんが優しく声をかけてくれた


「あっ!宮部さん、、

久しぶりです、、

私、同期会で会ったら普通に接するって

言っていたのに何も話せなくて、、」


「いいよ、、

僕も何も話しに行けなくてごめん、、

元気そうで良かった、、」


「大丈夫ですよ、、

元気だし、また好きな人見つけるし

心配しないでね、、」


「同期会でしか会えないけど

また会ったら話ししようね、、

じゃあ元気で、、」


「宮部さんも東京で頑張ってね

体に気をつけて、、」


私はそう言うと宮部さんに手を振り

駅に向かって歩いた



歩きながら涙が出て来た


『優しい言葉かけて欲しくなかったな~

忘れたと思ってたけど

やっぱり会うと切なくなる、、

きっと私まだ好きなんだ、、』


涙をハンカチで拭いても拭いても止まらず


切符売場の数字も涙で霞んで見えた


『泣いているの周りの人に

きっと気づかれてる、、

恥ずかしな~

でも涙止まらないよ~』


私はなんとか切符を買って

ホームに行き

一両目の一番前に座った



普通電車だったのでガラガラで

その車両には私しかいなかった


私は誰も居なくて安心した


ほっとしたのか


座席に座ると信じられない位


ポロポロと涙が流れ出した


社内はとても静かで


私が鼻をすする音だけが響いていた


顔を上げる事も出来ない位

涙が流れるから


下を向いてハンカチで

ずっと顔を押さえていた



『どうしてこんなに涙流れるの、、

もう忘れた筈なのに、、

運転手さんきっと私が泣いているのに

気がついているだろうな~

きっと不思議に思っているだろうな~』


宮部さんが私を追いかけて

話しかけて来てくれた

優しさが嬉しかった


宮部さんと話した時

本当はまだ好きって言いたかった、、


でも忘れないと駄目なんだ、、



宮部さんの落ち着いた声、、


優しい話し方、、


毎日電話で話せて嬉しかった事、、


そして遊びに行けた事、、


色々な想い出が頭を駆け巡った


『もう忘れないと、、

前を向かないと、、』



自分の想いとは裏腹に



悲しい、、って



涙は正直に流れた、、


私が宮部さんを想った量と同じ位


沢山の涙が流れた、、



運転手さんは見知らぬ振りで

いつも通り運転していた


そして私はいつまでも泣いていた、、



私は知らなかった、、


帰り道、、


宮部さんが私を追いかけて行く姿を


寂しそうに見つめる柳井君の事、、


柳井君の気持ちは分からなった


いつも全く気がつかなかった、、





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