コイシイヒト

山本未来

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失恋

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その電話は突然かかって来た


「もしもし、、宮部です」


私は受話器を取り宮部さんの

久しぶりの声に戸惑った


宮部さんと飛行場の夜景デートを

してから既に3ヶ月、、


宮部さんからは全く連絡なかったし

私からも連絡はしていなかった



自然消滅だと思っていたし


もう忘れると決めて毎日過ごしていたから


宮部さんからの電話はとても意外だった



「こんばんは、、」


私は冷静を装いながらそう言った


「長い間連絡しなくて悪かった、、

元気だった?」


宮部さんは懐かしくて素敵な

低い声で言った


「はい!元気に頑張ってました

私も何も連絡しなくてごめんなさい、、

手紙書くのもな~って思って

時間だけがどんどん過ぎて行ってしまって、、」



「実は、、

連絡するかしないか迷ったんだけど

好きな人が出来てしまって、、」


宮部さんの言葉に私は驚いたものの

なんとなく予期していたので


やっぱり、、と言う気持ちになった


「そうなんだ~、、

もしかして職場の人?」


「うん、、

同じ本社の2つ上の先輩、、」



「やっぱり身近にいる人の方が

いいもんね、、

私なんとなく好きな人

出来きたんじゃないかなって

思ってたよ、、」


「ごめん、、

このまま連絡しないでおいた方が

いいかとも思ったけど

やっぱりちゃんと君に伝えて

おかないとって思って、、

君と沢山話せたり遊びに行けて

楽しかった、、」



「分かった、、

もういいよ、、

ちゃんと気持ち伝えてくれてありがとう

また同期会で会ったりしたら

普通にしておくから

その時は近況報告でもしよう、、」


「今までありがとう、、

本当にごめん、、」


「慣れない東京で大変と思うけど

頑張ってね、、

じゃあ、、」


私はそう言うと

電話を切った


そして無理に元気に振る舞っていたから

気持ちが弾けたように声を出して泣いた、、



これで宮部さんと会う事も本当に

無くなるんだと思うと

予期はしていたものの

やはり悲しい、、


宮部さんとの楽しかった

想い出ばかりが頭をよぎった、、


そしてやっぱりまだ好きだから


きっとしばらくは忘れられないと

思った、、



だけどハッキリした気持ち分かったから


時間はかかっても

立ち直る事は出来る気がした



私は部屋でずっと泣いた

涙が止まらなかった、、


『しばらく恋愛はしたくない、、

恋愛って自分の思い描いた通りに

ならないから辛い事多いし

好きでもその好きな気持ちを全て

出したら相手にとって

重荷になる時もあるし

本当の気持ち出せない、、

やっぱり本当の私

本当の想いを全て受け入れてくれる人

にいつか出会いたいな~

宮部さんにはいつも遠慮していたし

本当の気持ち伝える事も出来なかったし、、』



そんな事を考えたながら大泣きした



すると母親が私の部屋にやって来たので

私は寝たふりをした


「めぐみ!

柳井さんから電話だけど、、

寝てるの?」


私はハッとして


「分かった、、」と言って


こちらにある子機に切り替えてもらい

電話に出た


「もしもし、、

柳井君?」


「おう!白石元気にしてるか?」


「うん、、元気!

元気すぎて困ってる、、」


私は泣きそうな気持ちを必死でこらえて

そう言った


「映画行った日に次は花火しようって

約束したからいつがいいかな~って

思って、、

白石はいつがいい?」


「そうだな~

7月の第2か第3日曜がいいかな~」


「分かった!

みんなに聞いてまた連絡するな!」


「ありがとう!

花火楽しみだな~

打ち上げ花火も本当にするの?」


「する!する!

この前行った川の近くに

花火売っている老舗のお店あるから

そこで買おうな!」


「私は線香花火がしたいな~

売ってるかな?!」


「多分あると思う」


「じゃあ、柳井君は打ち上げ花火担当

私は線香花火担当だね!」


「分かった!

楽しみにしてるな!

所で、、

白石鼻声だけど風邪ひいたのか?」


「風邪ひいてないよ、、

私そんなに鼻声?

おかしいな~?!」


私は柳井君の元気な声と優しい言葉で

こらえていた気持ちがはち切れた、、


そして涙が出て来た


「柳井君っていつも優しいね、、」


私は泣きながら言うと


「白石、、泣いているのか!

どうしたんだ、、

会社で何かあったのか?」


柳井君が心配してくれるから

私はますます涙が流れて来た


「大丈夫だよ、、

ちょっと落ち込んでいて、、

柳井君の優しい声聞いたら

ほっとしたのかな~

なんかごめんね、、」


「うん、、

いいんだけど、、

何か困った事あったら

いつでも相談に乗るからな、、

元気出せよ、、

俺も仕事で色々あって落ち込む事

多いけどなんとかなってるしな、、」



「柳井君、、ありがとう、、

柳井君のおかげで少し元気になって来た

やっぱり柳井君は私の元気の源だわ

柳井君は人を元気に出来る力があるね!」



「そうかな~

でも白石が元気なかったら

俺も元気出ないし

早く元気になれよ!」


「分かった!

ありがとう!」


「じゃあまた連絡するからな!

今日はゆっくり寝ろよ!

おやすみ!」



「おやすみ!」



私は柳井君からの電話で

悲し気持ちが少しだけ軽くなった


沢山泣いてスッキリしたのか

それとも柳井君の優しさで涙出て

スッキリしたのか分からなかったけど


柳井君からの電話で救われたのは

確かだった、、



柳井君はいつも本当に優しい、、



分かっていたけれど


特に今日は


柳井君の優しさに


何故か涙が溢れた、、



『柳井君ありがとう、、

そして宮部さん、、

サヨナラ、、』



悲しい別れだったけれど


宮部さんに出会えて恋した事


私の事好きになってくれた事


忘れない、、



ときめいた気持ち


ドキドキした気持ち


抱きしめられて


幸せいっぱいになった気持ち


宮部さんに出会わなければ


知る事が出来なかった気持ち


そんな一瞬一瞬の幸せ


与えてくれた彼に感謝しようと

思った、、


沢山流れる涙と一緒に全てを流し切って

前を向こうと思った、、
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