コイシイヒト

山本未来

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初めての同期会

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入社してもう3ヶ月



朝早く起きて毎日通勤ラッシュで疲れ果て



バスも電車も座る事も出来なくて


立ちっぱなし、、




仕事内容も鳴り続ける電話をひたすら取り


受注、発注、配送、コンピュータ入力と



一日中忙しくて



常に緊張感があって息をつく事も出来ない



毎日、毎日くたくた、、


ストレスだらけ、、、



家に着いたらお風呂に入ってご飯食べたら


バタンキュー状態、、



そんなあり得ない状態が毎日続いていた



日曜日しか休みがないから



とにかく休日はひたすら寝たかった



仕事も覚える事が多すぎて頭がパンク状態



働く事ってこんなにも大変なんだ、、




毎月の給料だけが今の私の楽しみだった





そんなある日、初めての同期会が居酒屋で


開催されるお知らせが来た



幹事は例の関連会社に飛ばされた



柳井瞬さん




20人位集まるらしい



もちろん私は出席する




3ヶ月経ったので何人かの人とは仲良くなったし



知らない同期の人とも仲良くなりたかったから





日曜日の5時から開催されるから



私はいつもよりはお洒落して電車に乗り



開催される居酒屋に向かった



駅で同じ部署の人と待ち合わせをしている



駅に着きみんなが集まったので



ワイワイ言いながら居酒屋へ向かった




「楽しみだね~東京の本社からも


2人男の人が来るらしいよ~


あと大阪の支店の人も来るんだって


入社式以来って言うか


あの時は誰が誰か分からなかったから


今日初めて会うみたいなものだけど、、


柳井さんは張り切っているらしいよ~」



同じ部署の平井さんが足早に歩きながら

そう言った



「そうなんだ~わざわざ東京から来るなんて


凄いね~


柳井さんとは一度だけ話した事あるけど


凄く前向きな人だったわ~


何も悪い事していないのに


工場に飛ばされてなんか可哀想だったけど、、」


私がそう言うと



「話した事あったんだ~


私は見た事も話した事もないけど


あの人何かと噂で話し出てくるね


凄く明るい人みたいだね」




平井さんはそう言って道の角を曲がり


店を確認すると



「着いたよ!私達が一番かな?!」と言って



お店の人に柳井で取っている事を伝え


部屋に案内してもらった



部屋に入るともう既に10人位集まっていて


その中にはあの柳井さんもいた



柳井さんは私達を確認すると



「あっ!こんばんわ!


席は適当に空いている所に座って下さい!」


とめちゃくちゃ大きな声で言った



私達は空いている席に座り残りの人を


待ちながら話しをした




全員が揃うと柳井さんはまた大きな声で


「今日は忙しい中


沢山集まって下さりありがとうございます!


第一回の同期会で知らない人も多いと


思いますがこれから毎回開催したいと


思うので、宜しくお願いします!」



と、めちゃくちゃ元気にまるで大学生の


ノリのように挨拶した




みんなは拍手をすると乾杯して 


次々に運ばれる料理を食べたり


飲んだりして盛り上がった




男の人が8人位で女の人が12人位


全く知らない人もいる



だけど同期と言うだけで


すぐにみんな仲良くなった





あっと言う間に時間が経ち


二次会に行く事になった



カラオケも出来るお店で



私は平井さん達とあと東京本社の


男の人2人合計5人でテーブルに座った



「東京から来た中井です!初めまして!


出身地は宮部と同じ大阪だけど


東京に配属になりました


たまに大阪に帰って来てます!


めったに会う事ないかもしれないけど


仲良くしてくださいね!」



少しおちゃらけな感じの中井さんは


メガネをかけてとてもクールで落ち着いた感じの


宮部さんを見ながらそう言った



「そうなんですか~!


こちらこそ宜しくお願いします!


じゃあもうすぐ新幹線で帰るんですか?」



平井さんがそう言うと



「あと少しで帰ります!


もっと居たいけど仕方ないし


また同期会来る予定なので、、」




「じゃあ~早めにカラオケ一曲入れて

歌ったらどうですか?」


平井さんが言うと


「俺カラオケ苦手だから、、


あっ!宮部、歌えよ~お前確かカラオケ得意


って前言ってたし、、」


と中井さんは宮部さんに言った



「もうすぐ帰らないといけないし


俺一番に歌ってもいいのかな?」


宮部さんはかなり自身がありそうな感じで


そう言って曲を入れ一番に歌い出した


曲は誰もが知っている有名なバラード




「めっちゃくちゃ歌上手だね~


きっと歌い込んでるね」



平井さんは感心しながら


歌っている宮部さんを見つめた



『確かにめちゃくちゃ上手だ、、


落ち着いた雰囲気に曲がマッチしているし


なんか聞き入ってしまうな~


それにかっこいい!』



私は心の中で呟いた



歌い終わり宮部さんは気分良さそうに


笑顔で私達を見つめた



「めちゃくちゃ上手いですね~


聞き入ってしまいました!」



平井さんがそう言うと



「大学の時カラオケでよく歌っていたので、、


そんなに上手くないけど歌うのは好きです


みんさんも歌ったらどうですか?」


と優しく言うと席に座った



そのあと何人か歌ったけれど宮部さんより


歌が上手な人はいなかった




私達は5人で色々話した



宮部さんは浪人したらしく


みんなより一つ年上



だから私とは5歳年が離れている



19歳の私は彼がとても大人に感じた



そして少し気になった



『また会いたいな~でも東京じゃあ


今度いつ会えるかも分からないな~』



私はそんな事をふと考えていた




東京から来た二人は私達より早く店を出て


帰って行った



そして私達も二次会が終わると帰った




柳井さんは始めから終わりまで


めちゃくちゃテンションが高くて


遠くに居ても常に声が聞こえるくらい



大きな声でみんなを盛り上げてくれていた



そして誰とでも仲良く話しをしていた



私も1次会で柳井さんが隣に来てくれた時


話したけれど本当に話しやすい人


気配り上手な人だった


そしてめちゃくちゃ明るい人だった





帰り道何故か宮部さんの顔が浮かんだ


『ああ言う雰囲気の人なんかいいな~


大人しい感じだけど優しそうで


笑顔が素敵だったな~


また会いたいな~』


そんな事を考えた




今日はとても楽しい一日だった



そして一番嬉しかったのはやっぱり


宮部さんと出会えた事、、




私は今日参加して本当に良かったと思った



次回も宮部さんが来る事を密かに



願いながら電車の入り口付近に立ち



綺麗な夜の町並みを見つめた



少しだけ毎日の疲れが吹っ飛んだ気がした


そして少しだけ胸がキュンとした、、




そしてその一週間後



思わぬ出来事が起こった



それはとても以外でとても嬉しい出来事だった












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