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大阪に到着
しおりを挟む私達は電車を乗り継ぎ
なんとか大阪に到着した
やはり空襲で町は破壊されたのか
駅の周辺はまだまだ復興が
遅れている様子で
都会とは思えない町並みだった
私はもちろんこの時代の大阪の
事は知らない
だけど空襲で爆弾が落とされ
沢山の尊い命が犠牲になった事は
学校の歴史の勉強でならっていたので
少しは知っていた
「大変な事になっているな~
あんなに沢山のお店が
建ち並んでいた都会だった大阪が
こんなに変わり果てるなんて、、」
トクさんは電車から降りると
悲しそうにそうに言った
「戦争のせいでどれだけの
沢山の人が家族や親戚や友達を
失っただろう、、
死んだ人はきっと無念の中
死んでいき、生きている人は
悲しんでる間もなく必死で
生きる為に働き頑張っている、、
戦争は沢山の人の運命を変えて
いってしまったな、、」
トクさんは噛みしめるように私に言った
私達は大阪の中心から少し離れた
トクさんの旦那さんの実家に向かった
町が変わり果てている為
沢山の建物もなくなり
どっちに向かって行けばいいか
分からないけれど
トクさんは会う人に道を訪ねながら
それに従い歩いて行った
「トクさん、、
旦那さんのお母さんや親戚の人は
どんな人?
私も一緒に行っても大丈夫なのかな?」
私は少し心配になりトクさんに聞いた
「お母さんは自分の息子を
激愛しているから
少し嫉妬から私に冷たく当たって
来る事もあったけど
根は優しい人だし親戚もそんなに
怖い人はいないから
多分大丈夫だろう、、
なんとか説得するから心配するな、、」
トクさんは歩きながらそう言った
何時間歩いただろう
私達はクタクタに疲れ果てていた
「あっ!着いたぞ!!
あそこだ!焼ける事なく無事にあったぞ!」
トクさんは驚きながらそう言った
「あっ!あの洋品店だよね
無事にあったんだね
良かったね!」
私は安心しながら言った
私達は足早にその洋品店に近づき
玄関に入った
「ただいま!
満州から無事に帰ってきました!」
トクさんは大きな声で
部屋に向かって叫んだ
部屋の奥から足音が聞こえ
近づいて来た
「トクちゃん!!
帰って来れたんだね!!
満州は大変な事になっていたと
聞いていたから凄く心配したんだよ
ソ連軍に攻撃されたとラジオで
聞いたからもうてっきり、、
生きて帰れたんだね、、
よく無事に帰って来たね
奇跡だね、、」
トクさんの義理のお母さんは
泣きながらトクさんを抱きしめた
みんなもほっとしたのか泣いていた
私も泣いた、、
私達は部屋に入れてもらい
お風呂に順番に入った
トクさんの義理のお母さんキクは
トクさんから事情を聞き
心良く私を受け入れてくれた
私はやっと本当に心が落ちついた
ずっと長い間緊張していたし
もしも受け入れてもらえなかったら
どうしようかと思っていたから、、
『キクさんも優しい人で良かった
お風呂もずっと長い間入っていなかったから
物凄く気持ち良かったな~
こんなに心が和んだのって
久しぶりだな、、
本当に頑張って生きて来て
良かったな~』
私はお風呂から上がりそう思った
家があるそれだけでも
物凄く幸せな事なんだ、、
ほとんどの人は空襲で家を失い
バラックに住んでいた
だから焼けなかっただけでも
奇跡なんだと私は思った
私達は疲れていたので
キクさんはそれを察して
布団を敷いて寝させてくれた
「今日はゆっくり休んで
また明日色々な苦労話しような、、」
キクさんは私達を労いそう言った
『布団は薄っぺらくてそんなに
上等な物ではないけど
物凄く気持ちいいな~
まるで雲の上で眠っているみたい、、』
私は布団の中でこんなに温かく
夢心地に感じたのは久しぶりで
入った途端あっと言う間に眠りについた
安心感と安らぎの中深い深い眠りに
ついていた
今までの困難な出来事は
まるで夢だったように
何もかも忘れたように
ずっとずっと眠っていた
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