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第三章 ワールドウォー・トゥモロー

神林「ウィ~wwwwヒッwwwwウィ~wwwwwウィ~wwww」

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「私は人の心が読めるわ。…それ以外にも色々出来るけどね。」

 七海は不機嫌そうに、頬を膨らませながらそう答える。まだ怒りが収まってないのか、ギロッと俺の方を睨み付ける。

 しかし、ふと何か思い出したように表情を明るくさせる。そして何か企んでいる様な眼をして俺をじっと見つめた。

 …嫌な予感がする。

「ちょうど良いわ、見せてあげる。私の能力の一部を。」

 七海がそう言った瞬間、俺は全身の力が何かに吸い込まれるかの様に抜けて、手足を動かすことが出来なくなっていた。

「(どう、驚いた?これが私の二つ目の能力、他人に憑依する力。…私の操り人形になった気分はどう?慎一郎。)」

 コイツ直接脳内に…!?

「(それにしても私というものがありながら、ヌケヌケと浮気するような器だと思わなかったよ、慎一郎。…私はとっても寂しいよ。)」

 先程の様に俺は責め立てられるが、口調に怒りや哀しみの感情は含まれてなく、むしろ笑いを堪えているような、歓喜の感情が色濃く表れていた。…嫌な予感はさらに増長する。

「(だからね、それ相応の報いを受けるべきだと思うんだよ私は。…もちろん覚悟は出来てるよね?)」

 …ヤバいぞ、一体何をされるというんだ…!?

 そう思った刹那、俺の体は俺の意思に反し、まるで糸で操られているかの様に腰を持ち上げあげ立ち上がった。

「(ふふ、慎一郎。貴方に、恐怖記憶(トラウマ)を植え付けてあげるわ。)」

 七海はどこぞの11点の女みたいな事を言うと、俺の体を完全に乗っ取った。

 …すると、

「はーい!神林慎一郎!一発芸やります!」

 そう言った七海。しかし発せられたのは俺の口からだ。口から響く音も紛れもなく俺のもの。

「一発芸やて?ウチは笑いには厳しいで。」

「チロさんの一発芸、ちょっと見てみたいですね。」

「中々に興味深い。一体何をするんだい?」

 そして、ハードルを上げてくるギャラリー達。
 …こいつが何をしたいのか大体分かってきたぞ。

「(そう、ご名答だよ、慎一郎。覚えてるかな?幼稚園の時の発表会。そこでは皆で側転を披露したんだけど、一人だけ全くできずにダンゴムシが転がるみたいに、でんぐり返しもどきを延々と繰り返してた子がいたの。そのせいでその子は人前で何かをするのがトラウマになっちゃったんだよ。)」

 やめろ!俺の黒歴史を掘り返すな!!

「(ふふ、でも仕方ないよね?浮気って国によっては大罪だよ、死刑もあり得る。命あるだけ喜ばなくっちゃ。)」

 いや、待て!死ぬよ、俺、死ぬよ!社会的に死んじまうよ!!

「(しょうがないね、諦めるしかないよ。…判決はトラウマ掘り返しの刑!)」

 馬鹿、やめろ、オイ!!

 七海はそう言うと、長く深呼吸する。

 …始まってしまう。




「あの……僕は……えっと……」


「あ?素人かいな?もっと声出さんかい!」 


「あぁ~下手こいた~!」 

「これで終わりか、つまらんわ」 


 デデデン デデデン デデデン デデデン 


「!?」 


「ウィ~wwwwヒッwwwwウィ~wwwwwウィ~wwww」 


「オヒョwwwwアヨヨヨwwwwグヒヒwwwww」


「あ~でもそんなの関係ねぇwwそんなの関係ねぇwwハイ!オッパッピー!!!wwwww」

「ども!ありがとうございました~!!」


「………。」


 …顔が熱くなるのを感じる。しかし不思議な感覚だ、自分自身がやった訳では無いのに物凄く恥ずかしい。共感性羞恥心というやつだろうか。いや、でも結局は自分がやったことなのか?

 そんな思考と恥ずかしさで、頭がどうにかなりそうだった。

「何やってんだ…七海。」

「え?」

 エドがそう言う。気がつくと、俺の体は元通り動くようになっていた。

 そして目の前には、両手で顔を覆い、その顔から日が吹き出しそうなほどに真っ赤にさせた、七海がうずくまっていた。

「…やってみたら、案外恥ずかしかった。」

「自爆じゃねぇか。」

 俺はそんなツッコミを入れる。…レイ、ニシ、ナオは、今のこの状況を理解できていない様子だった。

「えーと、つまり今何が起こったんだい?」

 怪訝そうな顔で尋ねるナオ。その質問に溜息を吐き、答えるのはエドだ。…吐息が鉄の兜の中で響く。

「あー、そうだな、お遊びは終わりにしよう。ちなみに先程のは七海の悪戯だ、超能力を使ったな。そう言えば超能力について話してなかったな。これは作成をたてるうえで共通認識として知っておいた方がいいだろう。」

「七海、慎一郎、ミミ、ナオ、そして私。…この五人が超能力者で、この作戦での鍵となる者達だ。」




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