54 / 100
第三章 ワールドウォー・トゥモロー
世界対戦前の静けさ…。 前編
しおりを挟む
東西南北、それぞれの国との戦いを終えた俺達は、世界対戦に向けての最終調整に入っていた。
世界対戦本番まで一週間。弥が上にも緊張が高まる。
世界対戦で行う競技は当日まで分からない。なので俺達は様々な競技で実践練習を行った。
サッカー、テニス、バドミントン、バスケット等、調整に余念は無い。
そんな忙しい一日の休み時間のお話…。
「はあ~、全く何でこんな事になったのかなぁ?」
大きな溜め息をつくのは中央の国守護者の一人、野球対決でも登場したクールビューティー、ライだ。彼女は今回の練習試合でも助っ人として参上した。
こんな事、というのは俺とカナの事だ。
「私はずっと危惧してたんだよ。カナ様がお前とくっつく事を。現実になる確率は低いと思ってたんだが……。」
「ごめんね、ライ。でもチロは男の子なんだよ。訳合ってこんな格好してるけど。」
「それは分かりましたけど、あくまで今はコイツも体は少女な訳です。子供も作れませんし、コイツが男に戻る方法も不明。そもそもとしてコイツが男であるというのも虚偽であるかもしれません。」
「チロは嘘なんかつかないよ、絶対に。」
「はぁ、本当にコイツにご執心ですねぇ。ですが問題が多すぎて幸せならオッケーとも言えないんですけど。」
呆れた顔のライだが、無理矢理にでも俺達の仲を引き剥がすなんて事はしないようで、とりあえず様子見というスタンスの様だ。正直ありがたい。でも俺がこのままずっと少女の体のままならば、ライは俺らの関係を絶対に許さないだろう。早くもとの体に戻る方法を探さなくちゃな。
「それにしても久しぶりだな。お前もいたのか、タツ。」
「え?あ、はい。…めっちゃ急じゃないすか。俺気付かれて無いのかと思いましたよ。」
そう、ここにいる見知った顔はライだけでは無い。野球対決でも登場し、規格外の送球、打球を披露したドラゴンカルテットのリーダー、タツもこの場にやって来ていた。
「相変わらず格好いいな、タツは。」
「あ、ありがとうございます。…てか聞いたんすけど、チロさんって男なんすね。普通にビビりましたよ。」
「あ、聞いたの?」
「はい。…て言うかさっきから俺ここにいたの本当に気づいて無かったんすか…?」
実際のところ、……気づいていませんでした。試合の時はタツがいるというのは分かっていたけど、その後どこにいたかは知らず、隣にいるにも関わらず、後で挨拶しておこう等と考えていた。
「……まあ、それはさておき、ちょっと気になったこと質問してもいいか?」
「質問?いいっすけど。」
強引に話題を変えることで、自分の落ち度を無かったことにしていくスタイルでお馴染みの神林慎一郎は、今日も元気に話題をずらす。ツッコミご無用。
そしてその質問とは過去にレイにもしたことがあるもので…。
「もしもタツが俺を異性として見るならどんな感じ?」
突飛な質問、話題を変えてくスタイル。まあ、聞いた理由は他でも無い、ただの興味本意である。例えばこの質問をライにしてみたとしよう、それはもうメンタルズタボロにされる位は罵倒されるに違いない。大いに予想できる。だがタツだとどうだろう。…全く予想が出来ない。故にそれがどうなるか気になるのだ。
「…なんすかその質問は。」
タツは驚いたような、呆れたような、そんな顔をして答える。無理もない。いきなりこんな質問されたら誰だってこうなる。しかしタツは殆ど考える間もなく質問の答えを口にした。
「答えは異性としては見れない。それだけっすね。まあ、でも、もしも最初からチロさんが男として俺の前に現れてたら、きっと試合の時に私のミスを帳消しにしてくれたときに、コロッと落ちてたかもしれないっすね。」
「…随分と乙女だな、それにさらっと一人称が私になってるし。」
「あれ、マジすか。実はこっちが素なんですよ。でもまあ、威厳やら何やらがありますんで。」
「大変だなぁ。」
タツの予想外の返答に驚き、そんな談笑を俺達はする。
そんな、のどかな時間を俺達は過ごしていた。
世界対戦本番まで一週間。弥が上にも緊張が高まる。
世界対戦で行う競技は当日まで分からない。なので俺達は様々な競技で実践練習を行った。
サッカー、テニス、バドミントン、バスケット等、調整に余念は無い。
そんな忙しい一日の休み時間のお話…。
「はあ~、全く何でこんな事になったのかなぁ?」
大きな溜め息をつくのは中央の国守護者の一人、野球対決でも登場したクールビューティー、ライだ。彼女は今回の練習試合でも助っ人として参上した。
こんな事、というのは俺とカナの事だ。
「私はずっと危惧してたんだよ。カナ様がお前とくっつく事を。現実になる確率は低いと思ってたんだが……。」
「ごめんね、ライ。でもチロは男の子なんだよ。訳合ってこんな格好してるけど。」
「それは分かりましたけど、あくまで今はコイツも体は少女な訳です。子供も作れませんし、コイツが男に戻る方法も不明。そもそもとしてコイツが男であるというのも虚偽であるかもしれません。」
「チロは嘘なんかつかないよ、絶対に。」
「はぁ、本当にコイツにご執心ですねぇ。ですが問題が多すぎて幸せならオッケーとも言えないんですけど。」
呆れた顔のライだが、無理矢理にでも俺達の仲を引き剥がすなんて事はしないようで、とりあえず様子見というスタンスの様だ。正直ありがたい。でも俺がこのままずっと少女の体のままならば、ライは俺らの関係を絶対に許さないだろう。早くもとの体に戻る方法を探さなくちゃな。
「それにしても久しぶりだな。お前もいたのか、タツ。」
「え?あ、はい。…めっちゃ急じゃないすか。俺気付かれて無いのかと思いましたよ。」
そう、ここにいる見知った顔はライだけでは無い。野球対決でも登場し、規格外の送球、打球を披露したドラゴンカルテットのリーダー、タツもこの場にやって来ていた。
「相変わらず格好いいな、タツは。」
「あ、ありがとうございます。…てか聞いたんすけど、チロさんって男なんすね。普通にビビりましたよ。」
「あ、聞いたの?」
「はい。…て言うかさっきから俺ここにいたの本当に気づいて無かったんすか…?」
実際のところ、……気づいていませんでした。試合の時はタツがいるというのは分かっていたけど、その後どこにいたかは知らず、隣にいるにも関わらず、後で挨拶しておこう等と考えていた。
「……まあ、それはさておき、ちょっと気になったこと質問してもいいか?」
「質問?いいっすけど。」
強引に話題を変えることで、自分の落ち度を無かったことにしていくスタイルでお馴染みの神林慎一郎は、今日も元気に話題をずらす。ツッコミご無用。
そしてその質問とは過去にレイにもしたことがあるもので…。
「もしもタツが俺を異性として見るならどんな感じ?」
突飛な質問、話題を変えてくスタイル。まあ、聞いた理由は他でも無い、ただの興味本意である。例えばこの質問をライにしてみたとしよう、それはもうメンタルズタボロにされる位は罵倒されるに違いない。大いに予想できる。だがタツだとどうだろう。…全く予想が出来ない。故にそれがどうなるか気になるのだ。
「…なんすかその質問は。」
タツは驚いたような、呆れたような、そんな顔をして答える。無理もない。いきなりこんな質問されたら誰だってこうなる。しかしタツは殆ど考える間もなく質問の答えを口にした。
「答えは異性としては見れない。それだけっすね。まあ、でも、もしも最初からチロさんが男として俺の前に現れてたら、きっと試合の時に私のミスを帳消しにしてくれたときに、コロッと落ちてたかもしれないっすね。」
「…随分と乙女だな、それにさらっと一人称が私になってるし。」
「あれ、マジすか。実はこっちが素なんですよ。でもまあ、威厳やら何やらがありますんで。」
「大変だなぁ。」
タツの予想外の返答に驚き、そんな談笑を俺達はする。
そんな、のどかな時間を俺達は過ごしていた。
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
12
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる