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第三章 ワールドウォー・トゥモロー
毎度恒例の温泉回!?
しおりを挟む宴会はその後も続いたが、結局のところ俺は問題を解決出来ず、憂鬱な気持ちで過ごしていた。
「それじゃあ、そろそろお開きとしようか。」
そう言ってミミが立ち上がる。……彼女が完全に指揮を取っているが、一応ここは我々中央の国の城である。恐らくカナはその事をすっかり忘れているだろうが。
「今日は本当にありがとう。一週間後に迫った世界大会、お互いに頑張ろう。」
「そうね!貴方との対戦を楽しみにしてるわ。」
それぞれの国の代表であるミミとカナはお互いに握手をする。意外にも二人は気が合ったようで、…いや、カナと気が合わない人物なんて今までいただろうか?実際に気難しい性格のユキとだって上手く打ち解けていた。恐るべきコミュ力である。
カナは何か人を惹き付ける力でも持っているのだろうか。そして俺もカナの魅力に惹かれた内の一人な訳だが、やはり彼女は表裏無く純粋な性格な為に心を預けやすいのだろう。
「そういえば今晩はここに泊まらせてもらっていいかな?部屋が空いてないのならば我々は他の宿を探し泊まるが。」
「大丈夫、それに折角の客人を追い出すなんて出来ないよ。客室はいくつかあるから泊まっていっていいよ。」
「ありがとう、カナさん。」
そうしてミミ達はここ、中央の国の城に泊まることになった。…そしてその際の恒例イベントと言えば………。
「よし!皆疲れただろうしお風呂に入ろう!親睦を深める為にも一緒にね?」
そう、混浴イベントである。東の国、西の国の面々とは一緒に風呂に入ったことは無いが、北の国のユキとレイ、そしてカナとは湯船を共にした。三度目ともなると恒例イベントと言って差し支え無いだろう。
余談となるが、ミミとハナと入浴を共にすれば、俺は東の国の代表アズ、西の国側近ナオ以外の人の全裸を見たこととなる。そしてナオも下着姿までなら見たことがある。今の俺のハーレムの様な謎の状況はこの女の体あってこそだろう。と、俺はこの女の体を肯定化するためにポジティブに考える。
しかし一緒に風呂に入ろうというカナの提案に、ミミはばつが悪そうな顔をしながら断る。
「……悪いがカナさん、ちょっと眠くなってきたので自分の部屋に行ってていいかな?お風呂は後で入るから、先入っててくれない?」
ミミが風呂場に来ない為、ミミの生まれたままの姿を拝むのはまた先の事となってしまった。そもそもミミは俺の正体を知っているので一緒に入ろうとしないし、裸を見ることなど一生無いのでは無いか。
「そうなの?じゃあゆっくり休んでね。私達はお風呂に入って来るから。」
「いや、悪いがチロさん。ちょっと来てくれないか、話したいことがある。」
俺はミミにひき止められる。まあ、そうだろう。ミミは俺の正体を知っている、故に俺が女湯に入ることを許さない。恐らく話というのもその事だろう。なので俺はしぶしぶミミについていくことにする。
「……チロと何を話すの?」
意外な事にここでカナは食い下がって、ミミにそんな問いを投げ掛ける。ミミも驚いたような顔をする。
「いや、大した事ではないよ。ちょっとした事だ。だから先にお風呂に入っていてくれ。」
「チロと二人きりで一体何をするの?ここじゃ話せない事なの?」
「え?い、いやーー。」
思った以上に突っかかって来るカナ。ミミもそんなカナに対してたじろいでしまっている。…そしてカナは最後にミミにこんな言葉を言い放つ………
「悪いけど、チロは私の側近なの。だから私の側に居てもらう。貴方にチロは渡せないわ。」
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