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第一章 ボーイ・ミーツ・ツーディーガールズ
ついに……決着!!! 中編
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もしも、神様が本当にいるのなら、俺に力を貸してくれ。
「うおおおおおりゃああああ!!!」
コツンッ
ただただ、がむしゃらに振ったバットは本当に先っちょでボールに当たった。
俺は一目散にスタートを切った。バットにボールが当たるなんて微塵も思ってなかった。しかしボールが当たった瞬間、流れるように一塁に駆け出した。
「くそおおぉぉぉ!!」
打球はショート正面ボテボテの当たりで内野安打にもなりそうにない。
ここで万事休す。……と思いきや…。
「あっ!」
バットの先で打った打球は特殊な回転がかかり、ショートの前でイレギュラー。そしてショートが処理にもたついてる間に、
「どりゃあああああ!!!」
一塁ベースへ気迫のヘッドスライディング。そして判定は………。
「セーフ!!!」
「よっしゃあああ!!!!!」
何とか首の皮一枚繋がった。そして俺で試合が終わることが無くて心底ほっとした。
「よっしゃ!!ナイス尻!!」
「は?尻?」
気づいたらヘッドスライディングの勢いでズボンがずれて尻が丸出しになっていた。
「ちょっ、やべっ///」
すぐさまズボンを履き直し尻を隠す。恥ずかしい思いをしたが今は内野安打の喜びが勝っている。それでもやはり恥ずかしい。
そして、このハプニングが俺じゃなく誰かに起こってそれを客観的に見たかったなーなんて考えると無念や後悔の念も俺を襲ってきた。
そんなこんなで2アウトランナー、一塁。バッターは2番のヒロ。
「クソ、手間かけさせやがって!」
「ボール!!」
ユキは怒りと疲れからか、コントロールが定まらなくなってきた。ツーアウトから巡ってきたチャンスだ。ここで一気にたたみかけ逆転を狙いたい。
「ボール!!フォアボール!!」
「よっしゃあ!!!」
ヒロはストレートのフォアボールでチャンス拡大。得点圏にランナーを置いて迎えるバッターは……。
「カナ様!!諦めたら終わりだ!!さっきの借りを返したれ!!!」
「うん、私絶対打つから!!」
先程は北の国打線に三者連続弾を打たれ、悔しい思いをしたであろうカナ。その雪辱をいまここで果たす。
……ユキがセットポジションでカナに対して第一球を投じる。
「おりゃあああ!!!!!」
「(ストレートのフォアボールの後のストライクを取りに行った甘い直球。狙い通り!!)」
「やっぱりアナタ、単純ね!!!!」
カキーン!!!
……とらえた当たりは一直線にまごうことなく、バックスクリーンに、突き刺さった。
「逆転!!スリーラン!!ホームランだあああああ!!!!!」
スタンドが沸き上がる。今度は先程のホームランとは逆の観客席からの声援だ。そしてその声援を全身に浴びてカナがダイヤモンドを一周する。
「これでピッチングの分は帳消しかな?」
「いや、ギリギリプラスかな。モチベーションの分で。」
実際カナのホームランで球場全体のムードもだいぶ上がった。そして次の打者も今日ホームランを打っていてマルチヒットのボスだ。まだまだ得点は期待できる。
「ストライク!!バッターアウト!!」
「あれ、珍しいな。ボスがバットにも当たらないなんて。」
「ちょっと、感動して涙でボールが見えなくて…。」
「……まあいい。この回押さえれば勝ちだ。一塁送球は見落とすなよ?」
逆転し、最終回裏の最後の守備。ここで逃げ切れば勝利が決まる場面。そのマウンドに上がるのは…。
「タツ。任せてもいいかな?私の分まで全力で投げきって!」
「任せてください、カナさん。俺もこのままで終われないんで。」
タツの小さいが、今では頼もしい背中がダイヤモンドの中央で輝いている。カナの思いを受け継ぎ、ドラゴンカルテット最強の女がマウンドに上がった。
「くそっ!!まだ終われねぇぜ!!」
「ふんっ!」
タツが投じた第一球は………。
「…………は?」
……まるで見えなかったが、ボールはすでにキャッチャーミットの中に収まっていた。
「……おいおい、嘘だろ。」
バックスクリーンの球速表示では171㎞/hと、そう間違いなく写されていた。
「何でこんな化け物が…。」
そう思うのも無理はない。こっちのチームもそう思ったからな。
恐らく、細い腕、細い脚と華奢な体をしているタツだが、ランクはあからさまなゴリゴリマッチョのボスと同様Sランク以上だろう。この体のどこからそんなパワーが出ているのかは不明だが…。
「ほいっ!」
「ストライク!!バッターアウト!!」
「は、速えぇ………。」
もう全く打たれる気がしない。皆がそう思い、皆が勝利を半ば確信していただろう。それほどの速球だった。
だが………。
「ボール!!フォアボール!!!」
「あら?」
……化け物の、化けの皮が剥がれ始めていた。
「うおおおおおりゃああああ!!!」
コツンッ
ただただ、がむしゃらに振ったバットは本当に先っちょでボールに当たった。
俺は一目散にスタートを切った。バットにボールが当たるなんて微塵も思ってなかった。しかしボールが当たった瞬間、流れるように一塁に駆け出した。
「くそおおぉぉぉ!!」
打球はショート正面ボテボテの当たりで内野安打にもなりそうにない。
ここで万事休す。……と思いきや…。
「あっ!」
バットの先で打った打球は特殊な回転がかかり、ショートの前でイレギュラー。そしてショートが処理にもたついてる間に、
「どりゃあああああ!!!」
一塁ベースへ気迫のヘッドスライディング。そして判定は………。
「セーフ!!!」
「よっしゃあああ!!!!!」
何とか首の皮一枚繋がった。そして俺で試合が終わることが無くて心底ほっとした。
「よっしゃ!!ナイス尻!!」
「は?尻?」
気づいたらヘッドスライディングの勢いでズボンがずれて尻が丸出しになっていた。
「ちょっ、やべっ///」
すぐさまズボンを履き直し尻を隠す。恥ずかしい思いをしたが今は内野安打の喜びが勝っている。それでもやはり恥ずかしい。
そして、このハプニングが俺じゃなく誰かに起こってそれを客観的に見たかったなーなんて考えると無念や後悔の念も俺を襲ってきた。
そんなこんなで2アウトランナー、一塁。バッターは2番のヒロ。
「クソ、手間かけさせやがって!」
「ボール!!」
ユキは怒りと疲れからか、コントロールが定まらなくなってきた。ツーアウトから巡ってきたチャンスだ。ここで一気にたたみかけ逆転を狙いたい。
「ボール!!フォアボール!!」
「よっしゃあ!!!」
ヒロはストレートのフォアボールでチャンス拡大。得点圏にランナーを置いて迎えるバッターは……。
「カナ様!!諦めたら終わりだ!!さっきの借りを返したれ!!!」
「うん、私絶対打つから!!」
先程は北の国打線に三者連続弾を打たれ、悔しい思いをしたであろうカナ。その雪辱をいまここで果たす。
……ユキがセットポジションでカナに対して第一球を投じる。
「おりゃあああ!!!!!」
「(ストレートのフォアボールの後のストライクを取りに行った甘い直球。狙い通り!!)」
「やっぱりアナタ、単純ね!!!!」
カキーン!!!
……とらえた当たりは一直線にまごうことなく、バックスクリーンに、突き刺さった。
「逆転!!スリーラン!!ホームランだあああああ!!!!!」
スタンドが沸き上がる。今度は先程のホームランとは逆の観客席からの声援だ。そしてその声援を全身に浴びてカナがダイヤモンドを一周する。
「これでピッチングの分は帳消しかな?」
「いや、ギリギリプラスかな。モチベーションの分で。」
実際カナのホームランで球場全体のムードもだいぶ上がった。そして次の打者も今日ホームランを打っていてマルチヒットのボスだ。まだまだ得点は期待できる。
「ストライク!!バッターアウト!!」
「あれ、珍しいな。ボスがバットにも当たらないなんて。」
「ちょっと、感動して涙でボールが見えなくて…。」
「……まあいい。この回押さえれば勝ちだ。一塁送球は見落とすなよ?」
逆転し、最終回裏の最後の守備。ここで逃げ切れば勝利が決まる場面。そのマウンドに上がるのは…。
「タツ。任せてもいいかな?私の分まで全力で投げきって!」
「任せてください、カナさん。俺もこのままで終われないんで。」
タツの小さいが、今では頼もしい背中がダイヤモンドの中央で輝いている。カナの思いを受け継ぎ、ドラゴンカルテット最強の女がマウンドに上がった。
「くそっ!!まだ終われねぇぜ!!」
「ふんっ!」
タツが投じた第一球は………。
「…………は?」
……まるで見えなかったが、ボールはすでにキャッチャーミットの中に収まっていた。
「……おいおい、嘘だろ。」
バックスクリーンの球速表示では171㎞/hと、そう間違いなく写されていた。
「何でこんな化け物が…。」
そう思うのも無理はない。こっちのチームもそう思ったからな。
恐らく、細い腕、細い脚と華奢な体をしているタツだが、ランクはあからさまなゴリゴリマッチョのボスと同様Sランク以上だろう。この体のどこからそんなパワーが出ているのかは不明だが…。
「ほいっ!」
「ストライク!!バッターアウト!!」
「は、速えぇ………。」
もう全く打たれる気がしない。皆がそう思い、皆が勝利を半ば確信していただろう。それほどの速球だった。
だが………。
「ボール!!フォアボール!!!」
「あら?」
……化け物の、化けの皮が剥がれ始めていた。
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