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第一章 ボーイ・ミーツ・ツーディーガールズ
あと1アウト……。(死亡フラグ)
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シフトについて説明しよう。
シフトとは態勢や配置の変更や切りかえといった意味を持ち、野球では打者に応じて守備位置を移動することを言う。
アメリカのメジャーリーグでよく行われる戦法でその選手の打球の傾向をつかみ、ヒットゾーンを狭める効果がある。
センターの選手に内野を守らせる。内野五人体制もシフトと言えるだろう。
そんなのがシフトの大体の説明だが…。
「ユキを打ち取るためのシフトだが、まずファースト以外の内野は全員後退、そして外野も後退。ファーストはベースに着けるように通常のポジショニング。内野安打のリスクは上がるが、長打を防ぐポジショニングだ。ライナーヒッターのユキには効果的な作戦に思う。」
「確かに、いい作戦だと思います。」
「あれ?今回は突っかかって来ないのねライさん。」
「しかし、確かにいい作戦ではありますが……。」
「ユキ様がライナーヒッターというのは何故?この試合はユキ様とは対戦しておりませんが。」
「それは…まあ、俺レベルになれば見るだけで分かるもんだ。」
実際は本家ガガガ戦記、ゲームの方で知ったことだからな。ここで言う訳にはいかないのだ。
「さいですか、それともうひとつセーフティーバントの対処はどうしますか?」
軽口は軽く流され、さらに質問。確かにセーフティーのリスクはあるが…。
「それについてはまあ、ピッチャーとキャッチャーだな。でも別にセーフティーはされても構わない。このシフトはシングルオッケーの長打はアカンのシフトだからな。」
「しかし、そうするとまたしても盗塁のリスクが出てくると思うんですが。」
「いや、それについては心配はいらない。むしろ走ってくれた方が好都合だ。」
「?」
「というのも、後半になるにつれてユキの球速は落ちてきてる。一点を取られるにしてもホームランで悠々帰られるより、盗塁させた方が体力を削れる。ていうか疲れるから走ってこないだろう。」
「そうですね。そうなればまた敬遠でもいい気がしますが…。」
「どうする?敬遠する?」
「いや、やめておきましょう。勝ち負けもですが、それ以前に親善試合ですから。国交の関係もありますし……。」
「そうか、それは不味いな。」
やはりこれから世界対戦だったか、それで共に戦っていくということもあり、国家間でいざこざでもあったら戦い前に暗殺でもされかねない。やっぱり近所付き合いは大切だと思いました。(小並感)
「そういうわけでカナ様はしっかりコースをついて甘い球にならないようにして、別に四球でも構いません。こういうのは姿勢が大事ですから。」
「そうね。」
勝負にいくという呈で、あくまで勝負を避ける。作戦といっても細かいところを除けば前回と変わらない気がするが…。
「まあ、ユキ様とは勝負をするだけ無駄です。逃げるのが得策でしょう。」
「ああ、そうだな。」
そこから全員にシフトの説明、作戦の段取りなんかについて説明して、
「さっきから長いな、オイ!」
ユキのイライラタイムが始まった。
「すいませーん、もう終わりまーす。」
それぞれがシフト用の守備位置につく。するとユキが…。
「ほう、そう来たか。」
ユキは作戦一つ一つに対してリアクションをとってくれるからやりがいがあるな。
ユキに対して第一球、
「ていっ!」
「ボール!」
初球は外に外れてボール。しかしカナもいいところに投げ込んでいる。
ここから二球目も外してツーボール。そして三球目…。
「あっ、しまっ……。」
明らかな失投だった。投げたボールはストライクゾーンど真ん中、その球をユキが見逃すはずもなく…。
「うおりゃっ!」
打球はライトであるチロの所へ、だがこの打球なら取れそうだ。
一歩下がる。
また一歩下がる。
また一歩下が………。
ドンッ。
チロの体がフェンスに当たった。
「そうだ、シフトで下がってたんだ……。」
ボールはフェンスを越えてスタンドへ……。その刹那、ユキの雄叫びと歓声が響き渡る。
「よっしゃあああああああああっ!!!」
「おおおおおおおおおおっ!」
「すげえええええええ!!」
鳴り止まぬ怒号。これは相当来るな、精神的に。俺たちもそうだが特にピッチャーに…。
「カナ様……。」
「…………。」
「大丈夫です、切り替えていきましょう。まだ勝っています。」
「…うん、そうね。」
続く打者は五番、パッションタイプの守護者だ。
「よっしゃ!!ユキ様に続くぜ!」
次の打者に対して一球目…。
「っ!真ん中!!」
「どりゃあ!!」
「レフトッ!!」
「くっ、これは流石に無理だ!!」
そう言いながらも、打球を追いかけるヒロ。しかし無情にも打球はフェンスを越える。
「よっしゃあああああ!!二者連続!!」
「あーあ、追い付かれちまったよ。」
皆の気持ちが切れてきている。大分不味い雰囲気になってきた。
「カナ様…。大丈夫ですか?代わりますか?ピッチャーならタツがいますが?」
「いや、大丈夫、大丈夫。あと1アウトだし、そこまで投げきるわ。」
「……わかりました。」
ライがマウンドから離れる。どうやら続投のようだ。
「何だ続投か。」
続投は悪くないが、ただカナの気持ちが切れてしまっていたら…。
ガキィーーーン!!!!
「おおおおおおおお!!!!三者連続ぅ!!」
「おいおい、嘘だろ…。」
「…………。」
シフトとは態勢や配置の変更や切りかえといった意味を持ち、野球では打者に応じて守備位置を移動することを言う。
アメリカのメジャーリーグでよく行われる戦法でその選手の打球の傾向をつかみ、ヒットゾーンを狭める効果がある。
センターの選手に内野を守らせる。内野五人体制もシフトと言えるだろう。
そんなのがシフトの大体の説明だが…。
「ユキを打ち取るためのシフトだが、まずファースト以外の内野は全員後退、そして外野も後退。ファーストはベースに着けるように通常のポジショニング。内野安打のリスクは上がるが、長打を防ぐポジショニングだ。ライナーヒッターのユキには効果的な作戦に思う。」
「確かに、いい作戦だと思います。」
「あれ?今回は突っかかって来ないのねライさん。」
「しかし、確かにいい作戦ではありますが……。」
「ユキ様がライナーヒッターというのは何故?この試合はユキ様とは対戦しておりませんが。」
「それは…まあ、俺レベルになれば見るだけで分かるもんだ。」
実際は本家ガガガ戦記、ゲームの方で知ったことだからな。ここで言う訳にはいかないのだ。
「さいですか、それともうひとつセーフティーバントの対処はどうしますか?」
軽口は軽く流され、さらに質問。確かにセーフティーのリスクはあるが…。
「それについてはまあ、ピッチャーとキャッチャーだな。でも別にセーフティーはされても構わない。このシフトはシングルオッケーの長打はアカンのシフトだからな。」
「しかし、そうするとまたしても盗塁のリスクが出てくると思うんですが。」
「いや、それについては心配はいらない。むしろ走ってくれた方が好都合だ。」
「?」
「というのも、後半になるにつれてユキの球速は落ちてきてる。一点を取られるにしてもホームランで悠々帰られるより、盗塁させた方が体力を削れる。ていうか疲れるから走ってこないだろう。」
「そうですね。そうなればまた敬遠でもいい気がしますが…。」
「どうする?敬遠する?」
「いや、やめておきましょう。勝ち負けもですが、それ以前に親善試合ですから。国交の関係もありますし……。」
「そうか、それは不味いな。」
やはりこれから世界対戦だったか、それで共に戦っていくということもあり、国家間でいざこざでもあったら戦い前に暗殺でもされかねない。やっぱり近所付き合いは大切だと思いました。(小並感)
「そういうわけでカナ様はしっかりコースをついて甘い球にならないようにして、別に四球でも構いません。こういうのは姿勢が大事ですから。」
「そうね。」
勝負にいくという呈で、あくまで勝負を避ける。作戦といっても細かいところを除けば前回と変わらない気がするが…。
「まあ、ユキ様とは勝負をするだけ無駄です。逃げるのが得策でしょう。」
「ああ、そうだな。」
そこから全員にシフトの説明、作戦の段取りなんかについて説明して、
「さっきから長いな、オイ!」
ユキのイライラタイムが始まった。
「すいませーん、もう終わりまーす。」
それぞれがシフト用の守備位置につく。するとユキが…。
「ほう、そう来たか。」
ユキは作戦一つ一つに対してリアクションをとってくれるからやりがいがあるな。
ユキに対して第一球、
「ていっ!」
「ボール!」
初球は外に外れてボール。しかしカナもいいところに投げ込んでいる。
ここから二球目も外してツーボール。そして三球目…。
「あっ、しまっ……。」
明らかな失投だった。投げたボールはストライクゾーンど真ん中、その球をユキが見逃すはずもなく…。
「うおりゃっ!」
打球はライトであるチロの所へ、だがこの打球なら取れそうだ。
一歩下がる。
また一歩下がる。
また一歩下が………。
ドンッ。
チロの体がフェンスに当たった。
「そうだ、シフトで下がってたんだ……。」
ボールはフェンスを越えてスタンドへ……。その刹那、ユキの雄叫びと歓声が響き渡る。
「よっしゃあああああああああっ!!!」
「おおおおおおおおおおっ!」
「すげえええええええ!!」
鳴り止まぬ怒号。これは相当来るな、精神的に。俺たちもそうだが特にピッチャーに…。
「カナ様……。」
「…………。」
「大丈夫です、切り替えていきましょう。まだ勝っています。」
「…うん、そうね。」
続く打者は五番、パッションタイプの守護者だ。
「よっしゃ!!ユキ様に続くぜ!」
次の打者に対して一球目…。
「っ!真ん中!!」
「どりゃあ!!」
「レフトッ!!」
「くっ、これは流石に無理だ!!」
そう言いながらも、打球を追いかけるヒロ。しかし無情にも打球はフェンスを越える。
「よっしゃあああああ!!二者連続!!」
「あーあ、追い付かれちまったよ。」
皆の気持ちが切れてきている。大分不味い雰囲気になってきた。
「カナ様…。大丈夫ですか?代わりますか?ピッチャーならタツがいますが?」
「いや、大丈夫、大丈夫。あと1アウトだし、そこまで投げきるわ。」
「……わかりました。」
ライがマウンドから離れる。どうやら続投のようだ。
「何だ続投か。」
続投は悪くないが、ただカナの気持ちが切れてしまっていたら…。
ガキィーーーン!!!!
「おおおおおおおお!!!!三者連続ぅ!!」
「おいおい、嘘だろ…。」
「…………。」
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