さよならジーニアス

七井 望月

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お取り込み中、チュッチュ中。

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 さて、大学生活2日目の朝。早めに家を出た俺はとある問題に直面していた。

 東京という摩天楼の迷宮。まあ、その分色々とあって目印となる建物も多いのだが。例えばそこにあるコンビニとかな。

 しかし、そのコンビニエンスなランドマークを見つける度に、俺は絶望するのだ。

「ここにもトイレはない……だと?」

 東京でトイレのあるコンビニを見つける事の難しさたるや、もうね、ウォーリーを探せどころの難易度じゃないぞ。マジでトイレのあるコンビニを見つけたら地図に印付けて永久保存するレベル。

 そんな感じで、駅を出てからかれこれ30分はトイレを求めて歩き回っている。駅前のショッピングモールはまだ開いてないし、わざわざトイレを借りるために駅員さんに声をかけるのも億劫だし、こうなりゃ改札出る前にトイレを済ませとくんだったぜ。

「おっ、箱根っちじゃん。おはろ~。朝から辛気臭いっつーか、トイレでも我慢してそうな面じゃん?大丈夫そ?」

「ああ、こころか。今まさにトイレを探して彷徨っていた所だよ」

 顔だけみて状況を察知するエスパーこころ。今後は朝の星座占いよりもこころの顔色占いをアテにしようと思う。

 ところで、危機的状況は変わらない。それどころかむしろ必死で便意を我慢しているところを女子に見られている今この時の方がよっぽどピンチなんじゃないか。

 こころに道案内を頼むか、だけどこころとは昨日会ったばかりの同窓生ってだけの関係値で「漏れそうなんだ助けてくれ」なんて聞くのは恥ずかしすぎる。

 しかし背に腹は変えられないこの状況、いや、ここは背に尻は変えられないと言うべきか、いや、そんな事はクソほどどうでもいい、いや、今はクソが死活問題だ。

「ふーん、ちょっとヤバそうじゃん?ちなみにトイレなら駅の南口出て、左に曲がると細い裏路地みたいな道があるんだけど、そこのコンビニにあるよ。どうせなら案内するけど……」

「いや、大丈夫だ!サンキュー、恩に着る!」

 流石人のこころを読めるこころちゃん!コンビニなのにトイレねーじゃん!って絶望していた俺にはマジで救世主だったぜ。

 だけど昨日以来の新知の仲の知り合いに、尻に力を入れて歩く情けない姿は見せたくないし、出来れば誰にでも見せたくないので、俺は颯爽とトイレへ駆けるのであった。





 ※





 そして裏路地に入ったところで、尻に力を入れてトイレのあるコンビニまで闊歩する。

 幸い、トイレが使用中であるとか、トイレットペーパーがないなんてベタなハプニングは無かったので、俺は無事に危機的状況を脱し、安堵と共に手を洗って濡れた手をハンカチで拭きながらトイレを出る。

「ふぅ、危機一髪だったぜ」

「おっ、どうやら間に合ったみたいじゃん?いやーよかったよかった」

 ……トイレを出ると、壁にもたれ掛かって腕を組んで立つこころがいた。

「お、お前っ、ついてきてやがったのか!?」

「うん、ま、一応ね?道に迷うとも限らないからさ」

 確かにこころの言うことは最もだが、何の為に俺が一人でトイレに駆けたと思ってんだ。てか、コイツは見たのか?俺が尻に力入れて闊歩する様を。そいつが一番問題だ。

「あー、ちなみに君がケツに力を込めて歩く情けない姿はバッチリ見たけど心配しないで。私、君の無様な姿も含めて好きだからっつーか、むしろ無様な姿が大好物みたいな?ウケるーww」

「……」

 ……最っ悪だ。女子から辱しめを受けるキャンパスライフなんて俺のプライドがズタボロになっちまうよ。いっそご褒美だと割り切れれば幾分か楽なんだろうが。

「……まあ、トイレの場所教えてくれてありがとよ」

 結局、俺は様々な感情を押し殺して、言葉をひねり出すように、感謝の弁を述べた。

「いいってことよ。私ってば都会の女だからさ、東京の事で困ったら私に聞いてって感じ?」

「確かに、この辺詳しいと色々便利そうだよな」

 都会ほど機能的な街はない。所狭しと建物が立ち、上へ上へと階を積み上げていく。立体的に店や居住区があって、大抵のものは手の届く範囲にある。トイレはなかなか無かったけどな。

「でも実際、いいことばかりでもないよ。君からしたら私はシティガールだけど、君の田舎に嫁いだら途端に私は“よそ者”。何をしても文句を言われ、姑にはいびられ、地域住民からはハブられる。ああ、可哀想な私……」

「大丈夫。そんな事には絶対にならないから安心しろ」

 こころは虚ろげに俯いた顔を上げて、ぱあっと星のような笑顔を見せた。

「つまり君が守ってくれるってコト?嬉しいなあ。もしも地球上の全員が敵になっても、君だけは私の味方でいてよね♪」

「いや、お前と結婚する未来が絶対無いってこと」

「またまた~、冗談言って」

「いや、マジだかんな?」

 相変わらず距離感がバグってるこころは俺の腕に抱きつきベッタリとくっついてくるが、周りの視線に気付けボケ。

 朝の人通りの多い駅の近くのコンビニで、カップルムーブかましやがって早く離れろこのアホンダラが。

 ……なんて言いつつ、振り払ってまで強く拒絶しない俺は、どうやらこの状況を少しだけ喜んでいるらしい。

 ちょっとだけな?




 ※





 学校へ着くとこころとは離れ離れになったが、「講義が終わったら正門前に集合ね!」なんて言い残して走っていった。一体何なんだろうな。

 ちなみに、俗に言う赤門とやらは、実は正門ではないらしい。そこん所こころは分かっているのだろうか。

 今、俺は講義が終わってこころが言う“正門”とやらに向かう途中、遠くからでも見える赤色の門に、誰かを待つかのように佇む人影。

「やっほ~、箱根っち。やっと来たね」

 ……やっぱりな。まあ、一度正門に向かったが、姿が見えなかったからこっちに来たんだけども。

「あのな、こっちは裏門だ。集合場所に指定するならちゃんと調べてからにしてくれ」

「じゃあ、私が”正門“って言ったらここ集合ってことにするわね。よろ~」

 コイツ、自分でルールを作りやがったぞ。大統領か?

「そんな事はどうでもよくてさ、箱根っち、この後ヒマ?」

「ヒマじゃなかったらわざわざ講義の後にお前と会おうなんて思わん」

「オッケーつまりヒマって事ね。了解了解」

 俺の嫌味も馬耳東風ってか、全て聞いて受け止めた上でノーダメージって感じのスーパーアーマーで、こころはニコニコしながら話を続ける。

「ヒマだったらさ、ちょっと付き合ってよ」

「ああ、いいけど」

 刹那、こころの顔に光がさした。

「やったー!嬉しい♪君はいつもつっけんどんな態度だったから、私もう駄目かと思いました」

 こころは天を仰ぎながら両手でガッツポーズをし、まるで一世一代の告白が成功したみたいな大袈裟なリアクションを取って喜ぶ。

「そんな大袈裟な。運命の人と結ばれた訳でもあるまいに」

「え?」

「ん?」

 お互い疑問符で交信を計り、その後に沈黙の妖精が走る。しばし経ってこころが口を開いた。

「私が『付き合って』って言ったら、君が『オッケー』って言ったよね?」

「ああ、言ったが、正しくは『ヒマだったらちょっと付き合ってよ』に『いいけど』って言ったんだ。誰も付き合おうなんて言ってない」

 嬉々として両手を上げて喜んでいたこころは一転、ショックに膝から崩れ落ちた。

「くっ、こんな言葉のトリックに踊らされるなんて……」

「いや、こっちの台詞だわ」

 どちらかと言えばこちらが言葉のトリックに騙されかけた方だと思うがな。危うく勝手に既成事実を作られる所だったんだから。

「ま、そういう事ならしょうがない。ただ用があったのも本当だし、あわよくば騙くらかして交際の事実を作れればラッキーかなとも思ったんだけどね」

 おい、吐いたぞコイツ。詐欺罪で訴えます、理由はもちろんお分かりですね?(以下略)

「実は、飲み会のメンツがドタキャンで足りなくなってさー、参加費はちょっとまけるから、参加してくれない?みたいな」

「いや、ついさっき俺を嵌めようとした奴の誘いにそう簡単に乗ると思うか?……タダなら行こう」

「うわ……」

 さっきまで愛想よくニコニコしていたこころは目を半開きにして一歩後ずさった。いや、その反応はおかしくないか?むしろこっちは断ってもいい所を譲歩して付いていく選択肢を用意してやってるんだぞ。感謝こそすれ、文句を言われる筋合いはないだろ。

「いや、人数決めて予約してるから、タダ飯食らいが一人増えた所で割前は変わらないじゃん?触らぬ神に祟りなしってゆうけど、貧乏神には近付こうとすら思わないっつーか」

「あー、そういう事か。てっきり盛り上げ担当か飯を残さず食う担当が必要なのかと」

「だったらもっと良い人選があるし。……もしかして自分のこと笑いのニューウェーブもしくはプロのフードファイターだと思ってる?それなら清々しい程の勘違いだし、君は根暗で貧弱で犯罪者顔のふにゃふにゃ工作員だからね?」

「……ちょっと冗談言っただけだっつーの」

 そんなに言わなくてもいいじゃないか。なんだよふにゃふにゃ工作員って。やわらか戦車の搭乗員か。

「じゃあ、ちゃんとお金は出してね。初めに言った通り、ちょっとはまけてあげるから」

「……はーい」

 こころに散々言われてすっかりしおれたふにゃふにゃ工作員は、言われるがまますごすごとこころの後に続く。

 その時だった。

「ま、待ってください!」

 俺とこころに待ったをかける一声。あまり大声を出すことになれていないような、途中で裏返っていた声。

 振り返るとそこには、辺りの視線を一斉に集め、恥ずかしさに顔を真っ赤にして目尻に僅かに涙を溜める言問文夏の姿があった。

「妙本くんは、そんな陽キャの飲み会になんて付いていきませんッ!」

 断言した。

 言問は恥ずかしさを振りきるように胸を張ってズケズケとこちらへ歩み寄ると、勢いそのまま俺の腕へと抱き付いた。昨日もだが、そう勢いよく来ると当たるんだよ。胸が、腕に。

「妙本くんは、何があっても“絶対に”『付いていきませんッ!!』」

 繰り返し、そう強く断言した。ちなみに俺は虹色の新種生物ではないが。

 てか、お前が決めんな。お前は俺を部屋の角に溜まった埃とでも思ってんのか。そこまでくすぶった陰キャじゃねーわ。俺にだって誇りくらいはある。

 それより、腕に抱き付きながらの啖呵に他意はないんだよな?一見、私の男は貴方に渡さないわっ!て宣言にも見えなくはないが。

「なあ、これって『貴女に、ダーリンは絶対に渡さないわッ!!!』ってそうゆうコト?』」

「はぁ?違いますよ。と言うか気付かないんですか。バカにされてるんですよ、アナタ」

 言問は心底バカを見るような目で俺を見る。な、なんだって!バカにされてたのか、俺は。てか現在進行形で言問にバカにされているが。

「いや、バカになんてしてないし。オマエが芋女だから自意識過剰になってるだけじゃねーの?それとも嫉妬?まあ、どっちでも良いけど、勘違いも甚だしいっつーか、マジでキモいよ、オマエ」

「……前から私の事を芋女芋女って、そうやって貴女が日陰者の私たちを嘲笑ってるのは分かってるんです。自意識過剰なんかじゃありません。客観的な事実です」

「確かにオマエの事は芋女だと思ってるし、実際にそう言ってきたよ。だけどそれと箱根は関係なくね?“私たち”って言うけど、箱根とアベックなの?ぶっちゃけ、芋なのはオマエだけだし、オマエと箱根は釣り合ってねーかんな」

「……確かに私と箱根くんは付き合ってませんけど……」

 こころは肉親の仇に相対したみたいな、鋭い目付きで言問に言葉をぶつけ、対する言問の方は返す言葉を紡げず、唇を結んで顔を赤くして黙り込んでしまった。

「そ、そうですよね。私と箱根くんは別に付き合ってるでも無いわけですから、私はお邪魔虫でしたね。だから二人が何しようでも関与はしません。おせっかいで申し訳ありませんでしたね。どーぞ、お二人で精々楽しんでくださいよ」

 言問は歯を食いしばって、涙を堪えるような表情で別れの言葉を絞り出すと、振り返って駆け足で去る。その背中に俺は既視感というか、懐旧の念の様なものを感じた。

「……もう付き合ってもねーくせに、彼女面してんじゃねぇよ。バァーーカッ!!」

 おずおずとこの場を去る萎れた背中に、こころは更なる暴言を吐きかける。当たり一面に響くような大声量で。

 この場にいる者はもちろんの事、少し離れた場所で談笑していた者も、なんだなんだと野次馬根性でこちらの様子を伺っている。

「え、何あれ?」「やば、修羅場じゃん」

 こころとその視線の先にいる言問。そしておまけの俺。まるで三人だけが演劇の壇上でスポットライトを浴びているみたいだった。

 怒声を受けて肩を震わし、歩を止めた言問は素早くこちらへ振り向くと、キリッとした目付きでこころを睨む。目尻には涙が溜まっていた。

 ……そのまま、何か言い返す訳でもなく、キツイ視線をこころに向けていた言問だったが、暫くしてバッと前を向き、勢いのまま、逃げるようにこの場を走り去っていった。

 えもいえぬ緊張感と静寂がこの場を支配していたが、言問の姿が見えなくなると、漸くして満たされていた険悪な空気は正常化し、こちらを見ていた野次馬達も談笑に戻ったのであった。

 否、その野次馬達は「凄いもの見ちゃったな」「ヤバくね、ヤバくね?」なんて話題で盛り上がっていて、相も変わらずこの場の空気は先程の一悶着で満たされている。

「……おい、バカこころ。今のはやりすぎだぞ。確かに言問は面倒事に首突っ込む様な委員長タイプな奴だが、その実、ああやって目立つような、衆目に晒されるのは苦手な子なんだよ。だからあんまりいじめてやるな。今度会ったらちゃんと謝っとけよ」

「まぁ、確かにやりすぎたかもしれないけど、箱根っちは優しすぎるよ。むしろやりすぎた方がちょうどいいくらいだよ。ああゆう未練たらたらタイプはほっとくとストーカーにでもなるかもだし、一旦痛い目見せるくらいの方がいいんだよ」
  
「…………」

 こころはまるで肉親の敵みたいな憎しみを込めた瞳で、言問が去り消えた跡を一瞥する。何がそんなに恨めしいのか分からない。こころと言問には一体どんな関わりがあるのだろうか。

「……だって、アイツがいつまでも箱根っちにベッタリだったら、私は箱根っちとイチャイチャラブラブ出来ないじゃん?チュッチュッも、一夜の過ちも起こり得ないじゃん!?」

「いや、どのみちねーよ。言問が居ようが居まいが」

 こころは自らの肩を抱きしめ、チュッチュチュッチュと唇を尖らせてクネクネしている。正直、すげー気色悪いぞ。こころじゃなかったらもう見てられないくらい。ただ、こころの顔がいいからギリ許されているだけで。

「ま、てなわけで行こうか。お邪魔虫はいなくなった事だしさ」

「……ああ、行くか」

 投げキッスのジェスチャーをしながらこころは言う。とある勇者にしか効かなそうな色仕掛けだが、少し、微かに、ほんのり僅かに動揺するくらいには俺にも効いた。

「これからいーっぱい、チュッチュッしようね♪」

「うっせぇ」




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