自然と世界は廻る

已己已巳己

文字の大きさ
上 下
14 / 47

第十四話 推定10数人の死者

しおりを挟む
灰白 みんな盛り上がって来たところで、反省はもうおしまい!思うことは後で各々でやるってことで、次の議題にいこー!
葉月 次は何―?
萩原 じゃーみなもさんいっちゃってー!
百鬼 え?えー、じゃあ、次どういう方向に旅に出るー?
 急なテンションについていけないみなもは困惑しつつも返答した。
葉月 確かにそうだねー。このまままた川沿いに行ってもいいけど、せっかく村にいるんだし、いろんな人に聞いてみるのもいいね!
岩田 それなら1つ、ここじゃない村を知ってるやつがいるよ。
百鬼 え、誰―!?
 そういった進は瞬太の方を見る。
岩田 すまん、さっき勇紀と話してたのを盗み聞いててな、もしよかったら教えてくれないか?
相馬 え、俺なんか言ってたっけ?
錫谷 あー、たこ焼きのとこじゃない?
相馬 あーはいはいー、あそこねー!
桜木 そういえばそんな感じの会話聞こえたかもー。
葉月 争滅隊が向かった先の場所…
 葉月には千聖の意見を置いておいても、争滅隊の討伐に前向きだった。
萩原 争滅隊って何?
葉月 自分たちが来る前に、この村を襲って子供たちを連れ去った集団らしい。
錫谷 …行くのか?
 勇紀は、今までにないほど真剣な顔でそう聞いた。
岩田 千聖の顔を見て見りゃわかる。
萩原 じー…
 千聖はじーっと進の方を見て不服そうな顔をしていた。
桜木 まあ、行かないって選択肢はないはずよねー。
百鬼 争滅隊か、私の知る限りでは聞いたことないなー。
灰白 じゃあ、最近できたってことなのかな。
葉月 子供を狙ってそれをかばおうとした村の人が何人か亡くなったらしい。
錫谷 でも好きに人を殺すような集団ではない。死者は推定10数人だろうとさ。
 勇紀は俯きながら頭を抱えつつそう言った。
相馬 でもさ、どこにも死体なんてなかったんだぜ?おかしな話だろ?
 不思議そうな顔をする瞬太をよそに、様子のおかしい勇紀を進は気にかけた。
岩田 さっきからなんか様子がおかしくないか?勇紀。
錫谷 ん?あーそりゃおかしくもなるさ、その推定死者の3人は俺の両親と、相馬の母親だからな。
相馬 まあ、俺は今が楽しいしいいんだけどな、はは…
 今にも何かが無くなりそうな勇紀をなだめようと、瞬太は少しでも場が軽くなるように頑張った。
灰白 なら余計に、俺も技術をみがかなきゃだな。
葉月 …かたき、取りに行きたいんでしょ。
錫谷 …!
 彩里には勇紀のやりたいこと、目的を理解していた。
葉月 分かるよ。今日会ったばっかのころ、どこか諦めたような対応をしてたでしょ。聞いたことのない声にほとんど警戒してなかった。それに自分たちが村を救えた時、村の人とは少し違う喜び方もしてた。きっと、救われた喜びじゃなくて、仇を討ってくれるほどの実力を持っていそうな人との出会いに対して。少し言い方が悪いかもだけど、当たりでしょ。
錫谷 …単刀直入に言う。俺を仲間に入れてほしい。無理だというのなら、その争滅隊のいるところまででいい。俺はそこに死んでも死にきれないほどの恨みを持っている。
 勇紀は覚悟を決めた顔をして彩里の方を向いた。
相馬 勇紀が行くなら、俺ももちろん行く。だって勇紀の親とはよく遊んでたし…
 そういって瞬太は勇紀の隣に座る。
萩原 みんな…
桜木 ええ、わかってるわ。もちろんいいよね。
岩田 ああ、ここにそれを拒否する奴はいない。
灰白 ただ1つ問題があるよ。それは村の人たちの心配。俺たちは身元がないから自由に動けるけど、2人は故郷であるここにいる人たちと生活してきた。親を失った今、村の人が親のように愛情を注いでいた子が死に直面する場所に行こうとするのを止めないはずがないと思う。
錫谷 ああ、俺らの第一目標は、明日中にその問題を片づけることだ。
相馬 え、普通に黙って行けばいいんじゃねーか?
錫谷 それだといろいろ問題になるだろ!俺は彩里達を悪人に仕立て上げたいわけじゃない。
相馬 そっか…
葉月 とりあえず、明日は各々やることをやりきろう。
萩原 足もふやけてきたし、そろそろ戻ろっか。
 千聖は足を触りながら気にかけつつそう言った。
桜木 そうね、長居は村の人にも申し訳ないしね。
百鬼 じゃあ今夜は各自でって感じかなー?
葉月 そうなりそうだね。じゃあ行こっかー。
灰白 あれ、2人とも行かないの?
6人が行こうとした時、瞬太と勇紀は固まっていた。
相馬 服、これどうすんだ?
錫谷 これは怒られる…
 忘れていたところで、問題がもう1つ増えた2人であった。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

小さなことから〜露出〜えみ〜

サイコロ
恋愛
私の露出… 毎日更新していこうと思います よろしくおねがいします 感想等お待ちしております 取り入れて欲しい内容なども 書いてくださいね よりみなさんにお近く 考えやすく

ママと中学生の僕

キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。

サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由

フルーツパフェ
大衆娯楽
 クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。  トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。  いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。  考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。  赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。  言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。  たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

病気になって芸能界から消えたアイドル。退院し、復学先の高校には昔の仕事仲間が居たけれど、彼女は俺だと気付かない

月島日向
ライト文芸
俺、日生遼、本名、竹中祐は2年前に病に倒れた。 人気絶頂だった『Cherry’s』のリーダーをやめた。 2年間の闘病生活に一区切りし、久しぶりに高校に通うことになった。けど、誰も俺の事を元アイドルだとは思わない。薬で細くなった手足。そんな細身の体にアンバランスなムーンフェイス(薬の副作用で顔だけが大きくなる事) 。 誰も俺に気付いてはくれない。そう。 2年間、連絡をくれ続け、俺が無視してきた彼女さえも。 もう、全部どうでもよく感じた。

クラスメイトの美少女と無人島に流された件

桜井正宗
青春
 修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。  高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。  どうやら、漂流して流されていたようだった。  帰ろうにも島は『無人島』。  しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。  男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

スライム10,000体討伐から始まるハーレム生活

昼寝部
ファンタジー
 この世界は12歳になったら神からスキルを授かることができ、俺も12歳になった時にスキルを授かった。  しかし、俺のスキルは【@&¥#%】と正しく表記されず、役に立たないスキルということが判明した。  そんな中、両親を亡くした俺は妹に不自由のない生活を送ってもらうため、冒険者として活動を始める。  しかし、【@&¥#%】というスキルでは強いモンスターを討伐することができず、3年間冒険者をしてもスライムしか倒せなかった。  そんなある日、俺がスライムを10,000体討伐した瞬間、スキル【@&¥#%】がチートスキルへと変化して……。  これは、ある日突然、最強の冒険者となった主人公が、今まで『スライムしか倒せないゴミ』とバカにしてきた奴らに“ざまぁ”し、美少女たちと幸せな日々を過ごす物語。

処理中です...