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逃亡日誌20
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獣人や魔人の気配が感じられない場所を見つけて、比較的損傷の少なかった民家に僕たちは身を潜めた。
ベッドにシルヴィアを寝かす。筋肉が痙攣していた。
この身体であんな技、きっと無茶したんだろう。
「……大丈夫?」
「問題ない」
シルヴィアは気丈に答えた。でもその手は震えていた。
僕は魔人が使っていたあの白い光を思い出していた。
僕にもできるかもしれない。
見様見真似で錬成して、僕はその光をシルヴィアの身体に当てた。
甘い考えだった。傷は癒えなかった。あの魔人のようにはいかなかった。
だけど、シルヴィアは痛みが和らいだと言ってくれた。
「すまない、ありがとう、マシになった」
「気休めだと思うけど……」
シルヴィアはフッと笑った。
「君は、本当に色々なことができるんだな、その秘めた闘気は猛々しいし、護身術に長けていて丈夫だし、人の身体まで癒せるとはな、私は聖騎士として少し恥ずかしいよ、フフフ」
「……あの、その、シルヴィア……僕こそ、庇ってくれなくていいよ、僕は大丈夫だから、僕はシルヴィアが想像しているよりも、それよりもずっと強いと思うから、自分で言うのもなんだけど……」
「強さは関係ないよ」
「え」
「私は仲間を救うために、仲間を死なせないために、騎士になったんだ、君がやられているところを見て、君が強いからとか、弱いからとかで、変わらないよ、私は無視できない」
「……」
「まだ出会って数日しか経っていないが、私は君を仲間だと思っている、勝手な話だが、君をイータで見掛けた時、私は君と世界を救うんだという確信を得た、自分でも分からない、不思議な感情だ、迷惑か? 迷惑そうだな、ハハハ」
「そんなこと……」
僕は否定してあげられなかった。
シルヴィアが起き上がった。
「痛みは本当に和らいだな、これなら動けそうだ」
傷跡は痛々しかったが、シルヴィアは肩をブンブン振り回した。
これから僕にも回復ができるなら、僕は完全にシルヴィアの盾役でもいいと思っていた。
ベッドにシルヴィアを寝かす。筋肉が痙攣していた。
この身体であんな技、きっと無茶したんだろう。
「……大丈夫?」
「問題ない」
シルヴィアは気丈に答えた。でもその手は震えていた。
僕は魔人が使っていたあの白い光を思い出していた。
僕にもできるかもしれない。
見様見真似で錬成して、僕はその光をシルヴィアの身体に当てた。
甘い考えだった。傷は癒えなかった。あの魔人のようにはいかなかった。
だけど、シルヴィアは痛みが和らいだと言ってくれた。
「すまない、ありがとう、マシになった」
「気休めだと思うけど……」
シルヴィアはフッと笑った。
「君は、本当に色々なことができるんだな、その秘めた闘気は猛々しいし、護身術に長けていて丈夫だし、人の身体まで癒せるとはな、私は聖騎士として少し恥ずかしいよ、フフフ」
「……あの、その、シルヴィア……僕こそ、庇ってくれなくていいよ、僕は大丈夫だから、僕はシルヴィアが想像しているよりも、それよりもずっと強いと思うから、自分で言うのもなんだけど……」
「強さは関係ないよ」
「え」
「私は仲間を救うために、仲間を死なせないために、騎士になったんだ、君がやられているところを見て、君が強いからとか、弱いからとかで、変わらないよ、私は無視できない」
「……」
「まだ出会って数日しか経っていないが、私は君を仲間だと思っている、勝手な話だが、君をイータで見掛けた時、私は君と世界を救うんだという確信を得た、自分でも分からない、不思議な感情だ、迷惑か? 迷惑そうだな、ハハハ」
「そんなこと……」
僕は否定してあげられなかった。
シルヴィアが起き上がった。
「痛みは本当に和らいだな、これなら動けそうだ」
傷跡は痛々しかったが、シルヴィアは肩をブンブン振り回した。
これから僕にも回復ができるなら、僕は完全にシルヴィアの盾役でもいいと思っていた。
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