お兄ちゃんと一緒に漫画を読んだら・・・

夜炎伯空

文字の大きさ
1 / 1

隣で一緒に漫画を読んでドキドキ・・・

しおりを挟む
「今日もお兄ちゃんの漫画を勝手に読んじゃおっと♡」

 ドサッ!

 あたしはお兄ちゃんの部屋の本棚にある漫画を手に取って、そのままベッドに横になった。

 お兄ちゃんの読んでる漫画って、兄妹で恋愛する話が多いんだよね……

 もしかして、お兄ちゃんもあたしのこと――

 ガチャ!

「あ、美香みか、また俺の漫画を読んでるのか?」

 お兄ちゃんが部屋に入って来るなりそう言った。

「……ダメだった?」

「いや、いつものことだし。――それより、俺のベッドでよく寝転んでるけど臭くないのか? 兄貴の臭いが耐えられないって話とかあるだろ?」

「え? 別に臭くないよ、どっちかっていうと好きな匂い……」

「なっ?! 俺の匂いが好きとか……。――お前も変態なのか?」

「ふふ、言われてみると、そうなのかもしれないね……」

「おーい、そこは否定するところだぞ」

 自分でもどうかとは思う。

 でも、好きなものは好きなのだ――

 お兄ちゃんからは、なんだか優しい匂いがするから……

 ドサッ!

「キャッ!」

 漫画の本を持って、突然、お兄ちゃんがあたしの隣に寝転んだ。

「えーと、お兄ちゃん?」

「べ、別にいいだろ、俺のベッドなんだから――」

「う、うん……」

 ドキ!ドキ!

 いつもは、椅子に座って漫画を読んでるだけなのに――
 
 今日はどうしたんだろう……

「………………」
「………………」

 パラッ!

 パラッ!

 ページをめくる音だけが、部屋に響いている。

 お兄ちゃん、ち、近過ぎるよ……

 胸がドキドキし過ぎて、漫画の内容が全然入ってこない。

 あたしは「どういうつもりなの?」と思いながら、チラッとお兄ちゃんの方を見た。

 ……お兄ちゃんの顔。

 耳まで真っ赤なんだけど――

 お兄ちゃんは、あたし以上に赤面していた。

 え、え?

 もしかして、あたし達って両想い――

「あのさ……」

「は、はい!?」

 妄想に走っていた最中に声をかけられたので、思わず声が裏返ってしまった。

「あ、いや、何でもない……」

 今、絶対に何か大事なことを言おうとしてたよね……
 
 あたしが変な反応しちゃったから――

「言って」

「え? でも……」

 ギュッ!

 あたしはお兄ちゃんの右手を両手で強く握った。

「あたしが聞きたいの!!」

「わ、わかったよ……。じゃあ、遠慮なく聞くけど――。お前って、もしかして、俺のことが好きなの?」

 あぁーーーーーーーー!!!

 そう聞かれることまでは考えていなかった―― 

 何て言ったら正解なの?!

 大好きです!!

 ――は、さすがにマズイよね。

 ずっと、好きでした!!

 それも同じ。

 でも、「お兄ちゃんが好き」という言葉が、頭の中を占め過ぎていて、他の言葉が思い浮かばない。

 あたしって、どれだけお兄ちゃんのことが好きなの……

 改めて、そのことを再認識する。

「ゴメン、変なこと聞いちゃったよな――。忘れてくれ……」

 あ、このままだと、終わっちゃう……

 お兄ちゃんとの恋を進展させるチャンスなのに――

「……お兄ちゃんは?」

「ん?」

「お兄ちゃんは、あたしのことが好きなの?」

 何て答えるべきなのか、頭の中が混乱し過ぎて――

 質問を質問で返すのが、今のあたしには精一杯だった。

「俺? 俺は、お前のこと好きだよ……」

 好き?!

 お兄ちゃん、あたしのことを好きって言った?!

 心臓が大きく跳ね上がる。

 お兄ちゃんから好きって言ってもらえたことが、こんなにも嬉しいなんて想像を越えていた……

 自然と顔がにやけてくる。

 あたしの胸はドクン!ドクン!と明らかに高鳴っていた――

 
 ……もちろん、妹として好きって言ってくれたんだということはわかっている。 

 だから――

「あたしも、お兄ちゃんのことが大好きだよ♡」

 たとえ、本当の想いが届かなくてもいい。

 心からの想いを言葉にして、あたしはお兄ちゃんにそう告白した――
しおりを挟む
感想 0

この作品の感想を投稿する

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

お父さんのお嫁さんに私はなる

色部耀
恋愛
お父さんのお嫁さんになるという約束……。私は今夜それを叶える――。

娼館で元夫と再会しました

無味無臭(不定期更新)
恋愛
公爵家に嫁いですぐ、寡黙な夫と厳格な義父母との関係に悩みホームシックにもなった私は、ついに耐えきれず離縁状を机に置いて嫁ぎ先から逃げ出した。 しかし実家に帰っても、そこに私の居場所はない。 連れ戻されてしまうと危惧した私は、自らの体を売って生計を立てることにした。 「シーク様…」 どうして貴方がここに? 元夫と娼館で再会してしまうなんて、なんという不運なの!

今更気付いてももう遅い。

ユウキ
恋愛
ある晴れた日、卒業の季節に集まる面々は、一様に暗く。 今更真相に気付いても、後悔してももう遅い。何もかも、取り戻せないのです。

服を脱いで妹に食べられにいく兄

スローン
恋愛
貞操観念ってのが逆転してる世界らしいです。

JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――

のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」 高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。 そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。 でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。 昼間は生徒会長、夜は…ご主人様? しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。 「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」 手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。 なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。 怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。 だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって―― 「…ほんとは、ずっと前から、私…」 ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。 恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。

敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています

藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。 結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。 聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。 侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。 ※全11話 2万字程度の話です。

離婚する両親のどちらと暮らすか……娘が選んだのは夫の方だった。

しゃーりん
恋愛
夫の愛人に子供ができた。夫は私と離婚して愛人と再婚したいという。 私たち夫婦には娘が1人。 愛人との再婚に娘は邪魔になるかもしれないと思い、自分と一緒に連れ出すつもりだった。 だけど娘が選んだのは夫の方だった。 失意のまま実家に戻り、再婚した私が数年後に耳にしたのは、娘が冷遇されているのではないかという話。 事実ならば娘を引き取りたいと思い、元夫の家を訪れた。 再び娘が選ぶのは父か母か?というお話です。

処理中です...