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お兄ちゃんの日記を勝手に読んでしまった・・・
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「私はお兄ちゃんのことが大好きだ」
辛いことや悲しいことがあったら話を聞いてくれるし、嬉しいことがあったら一緒に喜んでくれるお兄ちゃん。
欲しい物を我慢していたら誕生日に買ってくれたり、私が好きなおやつもよく作ってくれる。
宿題がわからなくて悩んでいると教えてくれて、テストでいい点をとると何故かいつもご褒美をくれた。
上げ出したらキリがないくらい、お兄ちゃんは私のことを大切にしてくれている。
「……どうして、そんなに私のことを大切にしてくれるんだろう?」
私はずっと疑問に思っていたんだけど――
その答えは、お兄ちゃんの日記の中にあった。
お兄ちゃんは日記を書くのが毎日の習慣だ。
今まで、何度も「見せてほしい」と言っても、日記だけは何があっても見せてもらえなかった。
他のことは、何でも「いいよ、いいよ」と言ってくれるのに……
すごく見たい気持ちはあったけど、お兄ちゃんに嫌われたくなくて、私は見ないように我慢してきた。
その日記が、開かれた状態で目の前にある……
用事があって部屋に入ったら、日記を書いている途中で寝てしまったようで、お兄ちゃんは机に伏していた。
私は自分の好奇心を抑えることができず。
お兄ちゃんの日記を覗いてしまった。
『俺の妹は最高に可愛い。こんなに可愛い妹と家で毎日一緒に過ごせるとか、俺はなんて幸せなんだ……』
「ふぁ!?」
日記の冒頭にとんでもないことが書いてあったため、私は思わず変な声を出してしまった。
慌てて口を手で押さえる。
お、起きてないよね――
お兄ちゃんの顔をじーっと見て確認するが、変わらずに寝息を立てているので、まだ眠ってくれているようだった。
『でも、そんな妹と本当は血が繋がっていないとか……。俺は自分の気持ちを、いつまで抑えられるだろうか……』
「――え、え? ……どういうこと? お兄ちゃんと私は本当の兄妹じゃないの?!」
「ん、里奈?」
バタン!!
目を覚まして私に気がつくと、お兄ちゃんはものすごい勢いで日記を閉じた。
「……み、見た?」
「ううん、見てないよ……。それよりも、お兄ちゃんに用事があって来たんだけど――」
私は白々しく嘘をついた。
「お、おう、何の用だ?」
動揺しながらも、お兄ちゃんは優しくそう聞いてくれた。
日記に書かれていた内容は衝撃的だったが、お兄ちゃんに思わず嘘をついてしまったことの方が、私にはずっと胸痛く残っていた。
◇
「ごめんなさい。昨日、実はお兄ちゃんの日記を見てしまってたの……」
私は頭を下げて、お兄ちゃんに心から謝った。
あれから、ずっと考えていたが、やっぱりお兄ちゃんに嘘はつきたくないと思った――
「やっぱり、見られてたか……。里奈のことがいっぱい書かれてて、さすがに気持ち悪かったよな――。許せないと思うけど、もう日記は書かないようにするから、できれば今までみたいに兄妹としていてほしい……」
「イヤ……」
「そ、そうだよな、許せないよな……。ごめん……。もうすぐ高校の卒業式だから、里奈の春休み中には家を出てくから――」
「ちょ、ちょっと待って!! そうじゃなくて、さっきのは今までみたいな兄妹だけの関係で終わりたくないっていう意味で――」
勝手に覗いて嘘をついたのは私なのに、どうしてお兄ちゃんが謝るの?
お兄ちゃん、私に優し過ぎるよ……
それに――
「つまり、私が言いたいのは、お兄ちゃんと両想いになって恋人同士になりたいっていうことだよ」
「……え? ――それって、もしかして、里奈も俺のことを?」
「まあ……、そういうこと……」
あんなに勢いよく告白したのに、私は急に恥ずかしくなって、うつむきながら返事をした。
「よかった……。ずっと、不安だったんだ。一方的に里奈のことを好きになってしまって、この気持ちがバレたら、もう一緒にいられないんじゃないかと思って――」
「うっ、やっぱり、私のことが好きなんだ……。でも――、きっと、私の方がもっとお兄ちゃんのことを好きだよ」
この気持ちは、お兄ちゃんに負けないと思う。
「いや、俺がどれだけ里奈を好きなのか知らないから、そう言えるんだよ。俺の気持ちを全部知ったら、気持ち悪がられるくらいお前のことが好きだから……」
「そんなの、私も同じだよ……。お兄ちゃんのことを好きな気持ちを全部知られたら、絶対に避けられると思ってたんだから――」
「……じゃあ、勝負するか?」
「望むところだね――」
売り言葉に買い言葉で始まった勝負。
私達はお互いに好きな気持ちを一時間かけて告白し合った。
「はぁはぁ……、お、俺達、何してるんだろうな……」
お兄ちゃんは急に我に返って、そう言葉を漏らした。
「ふふ、私は嬉しかったよ。お兄ちゃんの本音がいっぱい聞けて――」
嬉しすぎて、一生分の幸せをここでもらってしまったかもしれない。
「里奈……、それは反則だろ……、俺も嬉しかったに決まってるじゃないか……」
思わぬ形で、お互いの気持ちを確認してしまった私達は、大きな声を出して笑った。
「お兄ちゃん、大好き!!」
「俺も里奈が好きだ!!」
今まで心の中にしまってきた想いを思いっきりぶつけて、私はお兄ちゃんに勢いよく抱きついた――
辛いことや悲しいことがあったら話を聞いてくれるし、嬉しいことがあったら一緒に喜んでくれるお兄ちゃん。
欲しい物を我慢していたら誕生日に買ってくれたり、私が好きなおやつもよく作ってくれる。
宿題がわからなくて悩んでいると教えてくれて、テストでいい点をとると何故かいつもご褒美をくれた。
上げ出したらキリがないくらい、お兄ちゃんは私のことを大切にしてくれている。
「……どうして、そんなに私のことを大切にしてくれるんだろう?」
私はずっと疑問に思っていたんだけど――
その答えは、お兄ちゃんの日記の中にあった。
お兄ちゃんは日記を書くのが毎日の習慣だ。
今まで、何度も「見せてほしい」と言っても、日記だけは何があっても見せてもらえなかった。
他のことは、何でも「いいよ、いいよ」と言ってくれるのに……
すごく見たい気持ちはあったけど、お兄ちゃんに嫌われたくなくて、私は見ないように我慢してきた。
その日記が、開かれた状態で目の前にある……
用事があって部屋に入ったら、日記を書いている途中で寝てしまったようで、お兄ちゃんは机に伏していた。
私は自分の好奇心を抑えることができず。
お兄ちゃんの日記を覗いてしまった。
『俺の妹は最高に可愛い。こんなに可愛い妹と家で毎日一緒に過ごせるとか、俺はなんて幸せなんだ……』
「ふぁ!?」
日記の冒頭にとんでもないことが書いてあったため、私は思わず変な声を出してしまった。
慌てて口を手で押さえる。
お、起きてないよね――
お兄ちゃんの顔をじーっと見て確認するが、変わらずに寝息を立てているので、まだ眠ってくれているようだった。
『でも、そんな妹と本当は血が繋がっていないとか……。俺は自分の気持ちを、いつまで抑えられるだろうか……』
「――え、え? ……どういうこと? お兄ちゃんと私は本当の兄妹じゃないの?!」
「ん、里奈?」
バタン!!
目を覚まして私に気がつくと、お兄ちゃんはものすごい勢いで日記を閉じた。
「……み、見た?」
「ううん、見てないよ……。それよりも、お兄ちゃんに用事があって来たんだけど――」
私は白々しく嘘をついた。
「お、おう、何の用だ?」
動揺しながらも、お兄ちゃんは優しくそう聞いてくれた。
日記に書かれていた内容は衝撃的だったが、お兄ちゃんに思わず嘘をついてしまったことの方が、私にはずっと胸痛く残っていた。
◇
「ごめんなさい。昨日、実はお兄ちゃんの日記を見てしまってたの……」
私は頭を下げて、お兄ちゃんに心から謝った。
あれから、ずっと考えていたが、やっぱりお兄ちゃんに嘘はつきたくないと思った――
「やっぱり、見られてたか……。里奈のことがいっぱい書かれてて、さすがに気持ち悪かったよな――。許せないと思うけど、もう日記は書かないようにするから、できれば今までみたいに兄妹としていてほしい……」
「イヤ……」
「そ、そうだよな、許せないよな……。ごめん……。もうすぐ高校の卒業式だから、里奈の春休み中には家を出てくから――」
「ちょ、ちょっと待って!! そうじゃなくて、さっきのは今までみたいな兄妹だけの関係で終わりたくないっていう意味で――」
勝手に覗いて嘘をついたのは私なのに、どうしてお兄ちゃんが謝るの?
お兄ちゃん、私に優し過ぎるよ……
それに――
「つまり、私が言いたいのは、お兄ちゃんと両想いになって恋人同士になりたいっていうことだよ」
「……え? ――それって、もしかして、里奈も俺のことを?」
「まあ……、そういうこと……」
あんなに勢いよく告白したのに、私は急に恥ずかしくなって、うつむきながら返事をした。
「よかった……。ずっと、不安だったんだ。一方的に里奈のことを好きになってしまって、この気持ちがバレたら、もう一緒にいられないんじゃないかと思って――」
「うっ、やっぱり、私のことが好きなんだ……。でも――、きっと、私の方がもっとお兄ちゃんのことを好きだよ」
この気持ちは、お兄ちゃんに負けないと思う。
「いや、俺がどれだけ里奈を好きなのか知らないから、そう言えるんだよ。俺の気持ちを全部知ったら、気持ち悪がられるくらいお前のことが好きだから……」
「そんなの、私も同じだよ……。お兄ちゃんのことを好きな気持ちを全部知られたら、絶対に避けられると思ってたんだから――」
「……じゃあ、勝負するか?」
「望むところだね――」
売り言葉に買い言葉で始まった勝負。
私達はお互いに好きな気持ちを一時間かけて告白し合った。
「はぁはぁ……、お、俺達、何してるんだろうな……」
お兄ちゃんは急に我に返って、そう言葉を漏らした。
「ふふ、私は嬉しかったよ。お兄ちゃんの本音がいっぱい聞けて――」
嬉しすぎて、一生分の幸せをここでもらってしまったかもしれない。
「里奈……、それは反則だろ……、俺も嬉しかったに決まってるじゃないか……」
思わぬ形で、お互いの気持ちを確認してしまった私達は、大きな声を出して笑った。
「お兄ちゃん、大好き!!」
「俺も里奈が好きだ!!」
今まで心の中にしまってきた想いを思いっきりぶつけて、私はお兄ちゃんに勢いよく抱きついた――
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短編ながら、2人の世界に引き込まれました。ハッピーエンドで、良かったです。