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彼方と此方の境にて、狂い咲きの花は散る。
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ギギッ、ギィ…。
部屋の中に嬌声と水音以外の何かの軋むような音が微かに響いた。
その音に、今度は何が起こるのかと、玲は警戒に身を固くした。
ふと、隣にいるはずの香澄があまりに静かなことに気付き視線を向ける。そんな玲の視線にも気付かないほど香澄は部屋の様子を凝視していた。食い入る様に見つめるその横顔は異様な熱を孕んでいた。下手に刺激してはいけないと玲の本能が警鐘を鳴らす。
香澄に声を掛けることなく玲は再び部屋の中へ視線を戻した。そして、目の前の光景にゾッと鳥肌が立つ。
布団に寝かせていたのは確かに人形だったはずだ。そのはずである。玲は確かに硬くて重い人形を布団に寝かせたのだから。では、あれが人形だったのなら、ソレはいつも間に、何処へ消えたのか。そして、今目の前で桃子にイチモツを咥えられたまま、その身体を掴み、下から突き上げているアレは一体なんなのか。
寝かせられていた人形は線の細い少年の様な姿をしていたはずだった。
なのに、今、桃子の白い肌をつかんでいるのは浅黒く節くれ立った、男の手だ。いったいいつの間に人形の姿が変わったのか…。そもそも、人形のはずなのだ。にも、関わらず、ソレはまるで意思を持つ人間のように動き、桃子の拓かれたばかりのソコに自身の剛直を差し込み、律動を繰り返しているのだ。
これが異常と言わなくてなんと言うのか…。
くちゅ、くちゅ、といやに卑猥な水音が耳についた。そして、それが部屋の中からだけではなく、隣から聞こえてきていることに、玲は気付いた。気付いて、その身を固くする。
玲と香澄の間にはセイが座っている。そんな彼女が玲に気付かぬふりをしていろと言いたげに視線を寄越した。
くちゅくちゅ、と、音がする。部屋の中からは人形だったソレに貫かれ、水音と共に桃子の嬌声が、セイを挟んだ隣からは己の指を咥えこみ、声は抑えながらも、自慰をする香澄の立てる音が玲の耳を汚していく。
部屋や押し入れの中に充満するその異様空気と雌の匂いに玲は嫌悪と吐き気を感じた。
しかし、彼らはそんな玲のとこなど知る由もなく、各々の欲望に身を躍らせている。
「ぁあ…、もうダメ!我慢できないっ」
そう言うやいなや、香澄が押し入れの中から飛び出した。彼女はその勢いのまま達して意識を失った桃子を投げるように自身の身体から離したソレに抱きつく。そして、先程まで桃子を蹂躙していた、白濁と血に汚れたモノに舌を這わせる。梓と桃子の身体に吐き出して尚、硬さを失っていないモノを必死に舐める香澄の身体をソレは組み敷き、自慰ですでに泥濘しているソコに容赦なく怒張しているモノを突き立てる。
「あぁ!!」
それに香澄の口から大きな嬌声が上がった。
気持ち悪い、気持ち悪い、気持ち悪い!
目の前の光景に口元を抑え、吐き気を堪える玲の服が軽く引っ張られる。それに気付き目の前の光景から意識を隣へ移せば、二人の間に座っていたセイがアレから死角なっていると思われる襖の方を指さした。
「今のうちに此処から逃げましょう」
ごくごく小さな声で囁かれたその言葉に玲は頷くセイに導かれるまま、そっと音を立てないように気を付けながら押し入れから抜け出した。
嬌声を上げる香澄をこのままにしてもいいのか逡巡したが、セイの「お早く」という声に背中を押され、玲はその部屋から逃げ出したのだった。
部屋の中に嬌声と水音以外の何かの軋むような音が微かに響いた。
その音に、今度は何が起こるのかと、玲は警戒に身を固くした。
ふと、隣にいるはずの香澄があまりに静かなことに気付き視線を向ける。そんな玲の視線にも気付かないほど香澄は部屋の様子を凝視していた。食い入る様に見つめるその横顔は異様な熱を孕んでいた。下手に刺激してはいけないと玲の本能が警鐘を鳴らす。
香澄に声を掛けることなく玲は再び部屋の中へ視線を戻した。そして、目の前の光景にゾッと鳥肌が立つ。
布団に寝かせていたのは確かに人形だったはずだ。そのはずである。玲は確かに硬くて重い人形を布団に寝かせたのだから。では、あれが人形だったのなら、ソレはいつも間に、何処へ消えたのか。そして、今目の前で桃子にイチモツを咥えられたまま、その身体を掴み、下から突き上げているアレは一体なんなのか。
寝かせられていた人形は線の細い少年の様な姿をしていたはずだった。
なのに、今、桃子の白い肌をつかんでいるのは浅黒く節くれ立った、男の手だ。いったいいつの間に人形の姿が変わったのか…。そもそも、人形のはずなのだ。にも、関わらず、ソレはまるで意思を持つ人間のように動き、桃子の拓かれたばかりのソコに自身の剛直を差し込み、律動を繰り返しているのだ。
これが異常と言わなくてなんと言うのか…。
くちゅ、くちゅ、といやに卑猥な水音が耳についた。そして、それが部屋の中からだけではなく、隣から聞こえてきていることに、玲は気付いた。気付いて、その身を固くする。
玲と香澄の間にはセイが座っている。そんな彼女が玲に気付かぬふりをしていろと言いたげに視線を寄越した。
くちゅくちゅ、と、音がする。部屋の中からは人形だったソレに貫かれ、水音と共に桃子の嬌声が、セイを挟んだ隣からは己の指を咥えこみ、声は抑えながらも、自慰をする香澄の立てる音が玲の耳を汚していく。
部屋や押し入れの中に充満するその異様空気と雌の匂いに玲は嫌悪と吐き気を感じた。
しかし、彼らはそんな玲のとこなど知る由もなく、各々の欲望に身を躍らせている。
「ぁあ…、もうダメ!我慢できないっ」
そう言うやいなや、香澄が押し入れの中から飛び出した。彼女はその勢いのまま達して意識を失った桃子を投げるように自身の身体から離したソレに抱きつく。そして、先程まで桃子を蹂躙していた、白濁と血に汚れたモノに舌を這わせる。梓と桃子の身体に吐き出して尚、硬さを失っていないモノを必死に舐める香澄の身体をソレは組み敷き、自慰ですでに泥濘しているソコに容赦なく怒張しているモノを突き立てる。
「あぁ!!」
それに香澄の口から大きな嬌声が上がった。
気持ち悪い、気持ち悪い、気持ち悪い!
目の前の光景に口元を抑え、吐き気を堪える玲の服が軽く引っ張られる。それに気付き目の前の光景から意識を隣へ移せば、二人の間に座っていたセイがアレから死角なっていると思われる襖の方を指さした。
「今のうちに此処から逃げましょう」
ごくごく小さな声で囁かれたその言葉に玲は頷くセイに導かれるまま、そっと音を立てないように気を付けながら押し入れから抜け出した。
嬌声を上げる香澄をこのままにしてもいいのか逡巡したが、セイの「お早く」という声に背中を押され、玲はその部屋から逃げ出したのだった。
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