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本編
婚約とその後
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二人が部屋へ戻ると、なんとも生温かい目で迎えられた。
それにレティーナは居た堪れなく感じたが、ギルティアが彼女の手を放してくれないのでは逃げようがない。
その後、その場で二人の正式な婚約の書面が交わされ、翌日には公布された。
そして、その婚約の公布後、学園ではその話題で持ち切りとなってしまった。
おかげで、レティーナは話したことも無いご令嬢方に捕まっては、どこで出会ったのか、とか、二人のなり染めはどんなものなのか、と聞かれる度に言葉を濁し、逃げ回る羽目になっていた。
せめて、学園を卒業するまでは、と、父親のラナンキュラス公爵がすぐの結婚を渋ったため、学園に第三王子として中途入学したギルティアとレティーナの卒業を待ってからの結婚ということになった。
更に王太子の婚約者である隣国の姫がアルストロメリア入りし、一年後に華燭の典を挙げると言うこともあり、人々は病死したモンステラ卿やその子息、問題だらけだった第二王子ハイドライドのことはすぐに忘れていった。
ゲームのヒロインであるはずのリリアーナはハイドライドがいなくなり、憑きものが取れたかのように人が変わったコランドイルと仲良くしているな、と思っていたら、彼の先輩である騎士団の団員の一人と付き合いだしたと思ったら、婚約までしっかりともぎ取ってきていた。
曰く、
「同い年や年下よりも、魅力的な大人の男性が好きなのです」
と、言うことらしい。相手は子爵だということだし、貴族の結婚で10歳ほどの歳の差は珍しくもない為、レティーナやプリシア、アリシアやクレアはリリアーナが幸せなら、と祝福している。
まぁ、まさかヒロインが年上の筋肉質な男性が好きだったとは盲点過ぎたが・・・。これで、出会ったばかりの頃、リリアーナが誰にも関心を示さず迷惑そうにしていたことに納得したりもした。
「レティ、こんなところにいたんだ」
そう言って、生徒会室の隣にある応接室に逃げ込んでいたレティーナは入ってきたギルティアの言葉に頷く。
「色んな方々に追いかけられちゃって・・・」
「まぁ、レティはご令嬢方からの人気がすごいからね」
疲れたように言うレティーナの隣りに座りながらギルティアは苦笑しながら言った。そして、少しぐったりした様子のレティーナの頭をよしよし、と撫でる。
「僕としてはそろそろ落ち着いて欲しいところなんだけどね。なかなか二人きりになれないし」
そう言って、レティーナを抱き寄せるとその頬にチュッと軽く口付ける。
「ちょっ、ギル!?」
「嫌だった?」
「・・・っ」
驚いて声を上げるレティーナに問いかければ、彼女は顔を赤く染めたまま言葉を詰まらせる。そんな彼女の反応に笑みを浮かべて、ギルティアは彼女の顎を掬い上げるとその愛らしい唇に己のそれを重ねるのだった。
それにレティーナは居た堪れなく感じたが、ギルティアが彼女の手を放してくれないのでは逃げようがない。
その後、その場で二人の正式な婚約の書面が交わされ、翌日には公布された。
そして、その婚約の公布後、学園ではその話題で持ち切りとなってしまった。
おかげで、レティーナは話したことも無いご令嬢方に捕まっては、どこで出会ったのか、とか、二人のなり染めはどんなものなのか、と聞かれる度に言葉を濁し、逃げ回る羽目になっていた。
せめて、学園を卒業するまでは、と、父親のラナンキュラス公爵がすぐの結婚を渋ったため、学園に第三王子として中途入学したギルティアとレティーナの卒業を待ってからの結婚ということになった。
更に王太子の婚約者である隣国の姫がアルストロメリア入りし、一年後に華燭の典を挙げると言うこともあり、人々は病死したモンステラ卿やその子息、問題だらけだった第二王子ハイドライドのことはすぐに忘れていった。
ゲームのヒロインであるはずのリリアーナはハイドライドがいなくなり、憑きものが取れたかのように人が変わったコランドイルと仲良くしているな、と思っていたら、彼の先輩である騎士団の団員の一人と付き合いだしたと思ったら、婚約までしっかりともぎ取ってきていた。
曰く、
「同い年や年下よりも、魅力的な大人の男性が好きなのです」
と、言うことらしい。相手は子爵だということだし、貴族の結婚で10歳ほどの歳の差は珍しくもない為、レティーナやプリシア、アリシアやクレアはリリアーナが幸せなら、と祝福している。
まぁ、まさかヒロインが年上の筋肉質な男性が好きだったとは盲点過ぎたが・・・。これで、出会ったばかりの頃、リリアーナが誰にも関心を示さず迷惑そうにしていたことに納得したりもした。
「レティ、こんなところにいたんだ」
そう言って、生徒会室の隣にある応接室に逃げ込んでいたレティーナは入ってきたギルティアの言葉に頷く。
「色んな方々に追いかけられちゃって・・・」
「まぁ、レティはご令嬢方からの人気がすごいからね」
疲れたように言うレティーナの隣りに座りながらギルティアは苦笑しながら言った。そして、少しぐったりした様子のレティーナの頭をよしよし、と撫でる。
「僕としてはそろそろ落ち着いて欲しいところなんだけどね。なかなか二人きりになれないし」
そう言って、レティーナを抱き寄せるとその頬にチュッと軽く口付ける。
「ちょっ、ギル!?」
「嫌だった?」
「・・・っ」
驚いて声を上げるレティーナに問いかければ、彼女は顔を赤く染めたまま言葉を詰まらせる。そんな彼女の反応に笑みを浮かべて、ギルティアは彼女の顎を掬い上げるとその愛らしい唇に己のそれを重ねるのだった。
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