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婚約破棄を断るのってアリなんですか!?
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「ロズベルト様、私との婚約は無かったことにしましょう。価値観やら何やらが合いませんわ。今回は縁が無かったという事で、では......」
「え? 無理でしょ。何バカな事言ってんの。ヒック......これは政略結婚だよ? 俺はマリアみたいな可愛い女と結婚出来て、そっちは俺の家の権力を利用できるんだよ。win-winって訳だ。しかも俺との婚約を破棄したらお前の親悲しむんじゃないのー?」
婚約破棄を断られるだろうなということは薄々分かっていたが、案の定だった。
(にしても言い方から全部が癪に障るわね。しかもなんでアイツ朝からお酒飲んでるの? 本当意味がわからないわ......。政略結婚というのは理解しているけど、あくまで結婚を申し込んできたのはあっちよ? なんで私に断る権利がないのよ!)
色々な思いを頭で整理させながら私は言葉を返した。
「お父様に一度相談してくるわ」
「どうせ無理だよ! ヒック......」
いちいち腹が立つなと思いながら、私はお父様の部屋に向かった。
「すまないマリア、それは無理だ......。彼の家はかなりの権力を持っている。婚約破棄をしたいなんて事が伝わったらお前の身が危ない。わかってくれ娘よ。でも何か出来ることがないかは探してみる」
「そうですか......。わかりました」
どうしようもなさそうに思える現実を私はどうにか打破できないか考える。
(アイツなんかと結婚するのは嫌よ! アイツは日常的に女の人の顔に点数を付けたり、酒癖が悪いなど、悪いところが探せば探すほど出てくる人間なのよ! 生まれた家が伯爵家でなければ、今頃どこかで野垂れ死んでいるでしょうに)
「どうしたら婚約破棄まで持ち込めるかしら......」
頭をフル回転させていると、ある一筋の光が見えた。
――彼に聞いてみましょう!
◇◆◇
「ロディ王子は城におりますか?」
私は門番に尋ねた。
「ロディ王子なら2階の自室にいらっしゃいますよ。久しぶりですね、マリアお嬢様」
「かなり久しぶりだね。何かあったのかい、マリア」
「久しぶり、ロディ! 実は相談をしにきたの」
彼とは幼少期の頃からパーティーなどで仲良くしていた家族ぐるみでの関係だ。私が唯一フランクに話せる相手でもあるだろう。最近は私も彼も忙しくて会えていなかったので今日会えたのは素直に嬉しい。
「早速何だけど、本題に入っていい?」
「ああ、大丈夫だよ」
「訳あって婚約予定だったロズベルト侯爵に婚約破棄をお願いしたのよ。でも断られて......。どうすれば彼と別れられる?」
「なるほど......。それは難しい質問だね」
質問に対しての答えを考えているだけなのに相変わらず彼は美しい。欲を言うならばアイツなんかとじゃなくてロディと結婚したい。でも噂によると好きな人がいるっぽいし、無理だろうなと寂しい気持ちになっていると彼は何かを思いついたように手を叩いた。
「彼が得意にしていると言っていたものは何かあるかい?」
「得意にしているものか......。強いて言うなら剣術が得意って言ってた気がするわ」
「剣術か。ちなみにその問題に僕が首を突っ込んじゃっても大丈夫なのかい?」
「私は婚約を申し込まれた側なんだから、破棄する権利くらいあるでしょう! それが認められないなんておかしいわ。だから手を貸して、ロディ!」
「君がそこまで言うなんて珍しいね。わかったよ、手伝おう」
「思い立ったら吉日よ! すぐに舞台を準備しましょう!」
◇◆◇
「失礼します。ロズベルト様、少しお時間良いですか?」
「いいだろう」
「先ほど伝えた婚約破棄の件についてなんですが、私と一つ勝負をしませんか?」
「勝負? 何で戦うんだ?」
「剣術です。それで私が勝ったら婚約破棄を認めてくれませんか?」
「剣術だと? 俺を侮辱しているのか? 一番得意な事だと少し前に話したのにもう忘れてしまったのか。剣での戦いなら誰でも相手にしてやろう!」
笑いながら彼は答えた。
「あなたはそういうと思って、戦う相手は既に準備しておきました」
「準備周到だな。俺が勝った場合はもちろん何かあるんだろうな!」
「もちろんです。もしあなたが勝った場合ですがね。では明日決闘場で会いましょう」
私はそう伝え部屋を出ると、夢にまで見た婚約破棄を想像し、笑みを溢した。
◇◆◇
勝負の日になり、私の家族とロズベルトの家族は闘技場に集められた。
「ロディ、頼むよ! 絶対勝ってね......」
私は小さい声でつぶやく。
ロディとロズベルトはステージに立ち、軽く会話を交わす。
「ロズベルトさん、小細工は無しだよ」
「そんなんわかってるよ」
二人は間合いを取り、剣を構える。
「始めっ!」
審判がそう叫んだと同時に決着は付いた。
とてつもない轟音とともにロズベルトは壁に突き刺さり、気を失った。
「や、やめっ! この結果により、マリア殿の婚約破棄は認められるものとする!」
あまりの速さに審判も動揺して反応が遅れた。
「やった......」
私はつい喜びのあまり声が漏れ、一番に静寂を破った。
「うちの息子が並の人間に剣術で負けるわけないでしょう! 何かズルをしたんでしょう! そうじゃなきゃおかしいわ!」
それに続くように、ロズベルトの母親は声を荒らげた。
「並の人間ならあなたの息子には勝てないでしょうね。でも僕は王国一の腕を持つといわれている剣士なんでね」
彼が言うその言葉には重みがあった。彼以外にはこの発言は似合わないだろう。
「も、もう行くわよ!」
ロズベルトはその声で目を覚まし、顔を真っ赤にして母親と一緒に逃げるように出て行った。
私は邪魔者が居なくなったので、ロディのもとに駆け寄った。
「マリアはこれで婚約者がいなくなってしまいましたね」
「いいんですよ、これで。彼と別れられてスッキリしていますわ!」
「それはよかった......」
突然ロディは黙り込んだ。
「ロディどうしたの? もしかしてさっき怪我した? 手当てしようか?」
「いえ、そういうことではありません。少し言いたいことがあって」
「言いたいこと......? 言っていいよ」
「僕と結婚しませんか?」
私はまさかのまさかでロディと結婚することになった。ロディは小さい頃から私の事を思ってくれていたらしい。傲慢かもしれないが運命という言葉は私たちの為にあるのかもしれない。
「え? 無理でしょ。何バカな事言ってんの。ヒック......これは政略結婚だよ? 俺はマリアみたいな可愛い女と結婚出来て、そっちは俺の家の権力を利用できるんだよ。win-winって訳だ。しかも俺との婚約を破棄したらお前の親悲しむんじゃないのー?」
婚約破棄を断られるだろうなということは薄々分かっていたが、案の定だった。
(にしても言い方から全部が癪に障るわね。しかもなんでアイツ朝からお酒飲んでるの? 本当意味がわからないわ......。政略結婚というのは理解しているけど、あくまで結婚を申し込んできたのはあっちよ? なんで私に断る権利がないのよ!)
色々な思いを頭で整理させながら私は言葉を返した。
「お父様に一度相談してくるわ」
「どうせ無理だよ! ヒック......」
いちいち腹が立つなと思いながら、私はお父様の部屋に向かった。
「すまないマリア、それは無理だ......。彼の家はかなりの権力を持っている。婚約破棄をしたいなんて事が伝わったらお前の身が危ない。わかってくれ娘よ。でも何か出来ることがないかは探してみる」
「そうですか......。わかりました」
どうしようもなさそうに思える現実を私はどうにか打破できないか考える。
(アイツなんかと結婚するのは嫌よ! アイツは日常的に女の人の顔に点数を付けたり、酒癖が悪いなど、悪いところが探せば探すほど出てくる人間なのよ! 生まれた家が伯爵家でなければ、今頃どこかで野垂れ死んでいるでしょうに)
「どうしたら婚約破棄まで持ち込めるかしら......」
頭をフル回転させていると、ある一筋の光が見えた。
――彼に聞いてみましょう!
◇◆◇
「ロディ王子は城におりますか?」
私は門番に尋ねた。
「ロディ王子なら2階の自室にいらっしゃいますよ。久しぶりですね、マリアお嬢様」
「かなり久しぶりだね。何かあったのかい、マリア」
「久しぶり、ロディ! 実は相談をしにきたの」
彼とは幼少期の頃からパーティーなどで仲良くしていた家族ぐるみでの関係だ。私が唯一フランクに話せる相手でもあるだろう。最近は私も彼も忙しくて会えていなかったので今日会えたのは素直に嬉しい。
「早速何だけど、本題に入っていい?」
「ああ、大丈夫だよ」
「訳あって婚約予定だったロズベルト侯爵に婚約破棄をお願いしたのよ。でも断られて......。どうすれば彼と別れられる?」
「なるほど......。それは難しい質問だね」
質問に対しての答えを考えているだけなのに相変わらず彼は美しい。欲を言うならばアイツなんかとじゃなくてロディと結婚したい。でも噂によると好きな人がいるっぽいし、無理だろうなと寂しい気持ちになっていると彼は何かを思いついたように手を叩いた。
「彼が得意にしていると言っていたものは何かあるかい?」
「得意にしているものか......。強いて言うなら剣術が得意って言ってた気がするわ」
「剣術か。ちなみにその問題に僕が首を突っ込んじゃっても大丈夫なのかい?」
「私は婚約を申し込まれた側なんだから、破棄する権利くらいあるでしょう! それが認められないなんておかしいわ。だから手を貸して、ロディ!」
「君がそこまで言うなんて珍しいね。わかったよ、手伝おう」
「思い立ったら吉日よ! すぐに舞台を準備しましょう!」
◇◆◇
「失礼します。ロズベルト様、少しお時間良いですか?」
「いいだろう」
「先ほど伝えた婚約破棄の件についてなんですが、私と一つ勝負をしませんか?」
「勝負? 何で戦うんだ?」
「剣術です。それで私が勝ったら婚約破棄を認めてくれませんか?」
「剣術だと? 俺を侮辱しているのか? 一番得意な事だと少し前に話したのにもう忘れてしまったのか。剣での戦いなら誰でも相手にしてやろう!」
笑いながら彼は答えた。
「あなたはそういうと思って、戦う相手は既に準備しておきました」
「準備周到だな。俺が勝った場合はもちろん何かあるんだろうな!」
「もちろんです。もしあなたが勝った場合ですがね。では明日決闘場で会いましょう」
私はそう伝え部屋を出ると、夢にまで見た婚約破棄を想像し、笑みを溢した。
◇◆◇
勝負の日になり、私の家族とロズベルトの家族は闘技場に集められた。
「ロディ、頼むよ! 絶対勝ってね......」
私は小さい声でつぶやく。
ロディとロズベルトはステージに立ち、軽く会話を交わす。
「ロズベルトさん、小細工は無しだよ」
「そんなんわかってるよ」
二人は間合いを取り、剣を構える。
「始めっ!」
審判がそう叫んだと同時に決着は付いた。
とてつもない轟音とともにロズベルトは壁に突き刺さり、気を失った。
「や、やめっ! この結果により、マリア殿の婚約破棄は認められるものとする!」
あまりの速さに審判も動揺して反応が遅れた。
「やった......」
私はつい喜びのあまり声が漏れ、一番に静寂を破った。
「うちの息子が並の人間に剣術で負けるわけないでしょう! 何かズルをしたんでしょう! そうじゃなきゃおかしいわ!」
それに続くように、ロズベルトの母親は声を荒らげた。
「並の人間ならあなたの息子には勝てないでしょうね。でも僕は王国一の腕を持つといわれている剣士なんでね」
彼が言うその言葉には重みがあった。彼以外にはこの発言は似合わないだろう。
「も、もう行くわよ!」
ロズベルトはその声で目を覚まし、顔を真っ赤にして母親と一緒に逃げるように出て行った。
私は邪魔者が居なくなったので、ロディのもとに駆け寄った。
「マリアはこれで婚約者がいなくなってしまいましたね」
「いいんですよ、これで。彼と別れられてスッキリしていますわ!」
「それはよかった......」
突然ロディは黙り込んだ。
「ロディどうしたの? もしかしてさっき怪我した? 手当てしようか?」
「いえ、そういうことではありません。少し言いたいことがあって」
「言いたいこと......? 言っていいよ」
「僕と結婚しませんか?」
私はまさかのまさかでロディと結婚することになった。ロディは小さい頃から私の事を思ってくれていたらしい。傲慢かもしれないが運命という言葉は私たちの為にあるのかもしれない。
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