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第三章 関東大会観戦
72話 余談:高宮兄弟の受難①
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──余談である。
三月の修了式を数日前に終えたとある日。関東大会での試合観戦からこっち、『強くなりたい』という気持ちをいっそう強くした生徒たちは、春休みに入ってからの厳しい練習にも意欲的になっている。
今日も今日とて、明日に控えた白泉との練習試合にむけてのハード練習。練習解散後、伊織の携帯に一本の電話が入ったのは、車で大神を病院からピックアップした帰り道だった。
「伊織」
助手席の大神がカバンからスマートフォンを持ちあげる。
「電話」
「んーだれから」
「……高宮弟」
「え。めずらしいな、大神出たげて」
「ん」
トン、と画面を操作してゆっくりと右耳に当てる。
『も、もしもし──高宮凛久ですが、コーチ?』
「ああ。伊織の携帯だ。どうした」
『エッ、え? えっと』
「大神だよ。なにか用があってかけてきたんだろ、聞いてやる。どうした」
電話口の凛久はすこし声をひそめており、背後から聞こえる声や音から察するに彼はいま病院にいるらしい。電話の相手が大神だったことにおどろいたものの、三度「どうした」と聞かれるとあわてたようすで話しはじめた。
『じ、事故に遭って──あの、雅久が』
「事故?」
「エッ⁉」
伊織のハンドル操作がブレる。
あまりの動揺っぷりを見かねて、大神が電話をスピーカーに切り替える。どれほどひどい事故なのかと伊織が声を張りあげて問いただすと、凛久は「いやっ」とわりかし明るい声で否定した。
『たいしたことじゃないんですッ。帰り道に、道路脇でちょっとふざけてたら雅久の足がトラックのタイヤに轢かれたっていうか、タイヤが乗っかったっていうか──あの、いま先生に診てもらったらべつに折れてないし大丈夫ってことだったんすけど』
「…………なにをアホなことやっとんねん」
「怪我がなくて何よりじゃねーの。それで、どうしてわざわざ伊織に電話なんざ寄越したんだ」
という大神の問いに、凛久の声がふるえた。
『あの、あの──検査におもったよりお金かかっちゃって、オレたちいま手持ちがなくって、保護者の人に連絡しなさいって先生に言われたんですけど。でも家いまばーちゃんいないから、……』
伊織と大神は顔を見合わせた。
高宮家の、親と双子がうまくいっていないことは聞いている。こんなときでさえ親へ連絡することを拒むとはよほどのことだ。とはいえ、軽いといえど交通事故である。まして金銭が絡むことにただの部活動コーチが介入していい問題だろうか──と言いたげに、伊織の眉が下がる。
大神はナビを指さしながら、
「どこの病院だ」
と問うた。
凛久は『小林整形外科』と言った。高宮双子が住む祖母の家にほど近い場所にあるらしい。だいたいの場所を聞きだした大神はすぐにむかうと言って電話を切った。
伊織がナビに目的地を登録する。その顔は浮かない。
「でも、大神」
「とりあえず行くだけ行ってやろうぜ。子どもだけじゃ心細いこともある」
「……ウン。わかった」
ならば進行方向は逆である。
伊織はドリフトの要領で方向転換すると、おもいきりアクセル切って走り出した。
それから、十数分でたどり着いた小林整形外科前には双子が立っていた。
見るかぎり凛久はもちろん雅久もピンピンしている。なんなら、ふつうにケンケンまでしている。まったく、タイヤに乗っかられたというのに頑強な身体である。
医院前に黒塗りセダンが停まると、ふたりはパッと笑顔になって駆けてきた。ゆっくりと下へスライドする窓から顔を出した伊織は、開口一番
「走れるやん」
とツッコんだ。
雅久はポリポリと頭を掻く。
「だーから大げさだっつったんだよ。ちょっと足がいてえって言ったくらいであのジジイ、やれレントゲンだなんだって大げさに言うもんだから。おかげで金かかっちまって」
「どアホ。車道でふざけたら危ないってことくらい、小学生でも知ってんで。大事故なってたらどないするつもりやってん!」
「さッせんした」
「ったく!」
と、伊織はぽかりと雅久の頭を小突いた。
とにかくまずは支払いだ。保険証は持っていたそうで、たいした金額ではなかったため伊織が立て替えることにした。大神はいっそ「そのくらいなら払ってやるのに」と太っ腹なことを言ったが、あとで彼らの親からなにを言われるか分からないから、と伊織はしっかり領収証までもらった。
それからは、ついでに家まで送ってやることになった──のだが。
先ほどから凛久が妙におとなしい。どこか怯えたようすで、身をちいさくしてうつむいている。怪我をした雅久はいたってふつうだというのにどうしたことか、と助手席の大神がバックミラー越しに声をかけようと口をひらく。
その瞬間、アッ、と雅久がすさまじい爆音でさけんだ。
つられて顔をあげた凛久の口角もひきつる。彼らの視線の先には、ナビの目的地である双子の祖母の家──。いや、正確には家の前に停まっている白のメルセデスベンツがあった。
でかい車やなァ、と自身が運転する車を棚に上げて不服をこぼす伊織に、後部座席のふたりがとたんにわめきだす。
「おいコーチッ、近づくなッ」
「Uターン、Uターン!」
「は?」
「いいからはやくッ」
「なんでもいいから、ここから離れてくださいッ」
と。
しまいに双子は、後部座席の広いフットスペースにうずくまってしまった。
こうなっては仕方がない。大神はすこし楽しそうな顔で「うちに帰ろうぜ」とナビを指定。伊織はしぶしぶ車を方向転換した。
※
「ほんで、どういうことか説明してもらおか」
伊織は唸るように言った。
ここは赤坂の大神家。
逃げるようにあの場から立ち去って、赤坂マンションの駐車場に車が入るまで、彼らはずっとフットスペースに身を隠しつづけていた。ついてからも警戒心をマックスに辺りを見回し、伊織と大神を盾にこそこそとマンションエントランスを通過する始末。
どういうことか──とは聞いたものの、伊織もなんとなくは察しがつく。
あの白ベンツは、きっと双子の親の車なのだろう。いつもは離れて暮らす親が、祖母の不在中にあらわれたということか。
つまり雅久が怪我をして病院に立ち寄らなければ、祖母の家で鉢合わせをしていた可能性もあったということだ。それをおもってか、双子は互いに顔を見合わせてゾッと肩をすくませた。
「そないにイヤなんか」
と、伊織がコートを脱ぐ。
双子のダウンジャケットはすでにコートハンガーにかけられ、ラケットバッグも部屋の隅に置かれた。当のふたりはソファに座らされて所在無げに身を寄せ合っている。雅久は一度来たことがあるとはいえ、大神プロの家なのだ。いつもは傍若無人な彼も、さすがに緊張はするらしい。
しかし凛久はというと、べつの意味でおとなしかった。
どうも緊張などの理由ではない。時折、雅久の足をちらりと見ては、顔面を蒼白にして肩をふるわせる。
「顔くらい合わせたったらええのに」
「自分だって親から全力で逃げてたくせに、よく言うぜ」
キッチンで大神がわらった。
如月蓮十郎とのことであろう。伊織はうるさいッとテーブルを叩く。
「うちはもうちゃんと折り合いつけたからええねん。こっちはそうでもなさそうやろ」
「まあそう急いてもしょうがねえ。とりあえず一服しろよ」
と、大神はキッチンから紅茶セットを持ってきた。
ソファ前のガラステーブルに置かれたティーポットから、カップへ注がれる芳醇な香りはシッキムティー。クセが少なく飲みやすいためここ最近の伊織のイチオシ紅茶である。
ついでに太っ腹な大神は、これまた最近フランスから取り寄せたマドレーヌを添えて双子に出してやる。
彼らはひもじい子どものように、あっという間にお菓子を平らげると、紅茶も味わうヒマもなく一気に飲み干した。
「うまッ」
「味が、なんていうか──ぜんぶ上品」
「いつも家で食うのとは育ちがちがう気がするぜ」
と、顔を見合わせてわらう。
幾分か凛久の顔にも笑顔がもどったようだ。とはいえ、このまま和やかに話を終わらせる気もない伊織である。
「さ、話してもらおか」
とふたたび双子へ詰め寄った。
三月の修了式を数日前に終えたとある日。関東大会での試合観戦からこっち、『強くなりたい』という気持ちをいっそう強くした生徒たちは、春休みに入ってからの厳しい練習にも意欲的になっている。
今日も今日とて、明日に控えた白泉との練習試合にむけてのハード練習。練習解散後、伊織の携帯に一本の電話が入ったのは、車で大神を病院からピックアップした帰り道だった。
「伊織」
助手席の大神がカバンからスマートフォンを持ちあげる。
「電話」
「んーだれから」
「……高宮弟」
「え。めずらしいな、大神出たげて」
「ん」
トン、と画面を操作してゆっくりと右耳に当てる。
『も、もしもし──高宮凛久ですが、コーチ?』
「ああ。伊織の携帯だ。どうした」
『エッ、え? えっと』
「大神だよ。なにか用があってかけてきたんだろ、聞いてやる。どうした」
電話口の凛久はすこし声をひそめており、背後から聞こえる声や音から察するに彼はいま病院にいるらしい。電話の相手が大神だったことにおどろいたものの、三度「どうした」と聞かれるとあわてたようすで話しはじめた。
『じ、事故に遭って──あの、雅久が』
「事故?」
「エッ⁉」
伊織のハンドル操作がブレる。
あまりの動揺っぷりを見かねて、大神が電話をスピーカーに切り替える。どれほどひどい事故なのかと伊織が声を張りあげて問いただすと、凛久は「いやっ」とわりかし明るい声で否定した。
『たいしたことじゃないんですッ。帰り道に、道路脇でちょっとふざけてたら雅久の足がトラックのタイヤに轢かれたっていうか、タイヤが乗っかったっていうか──あの、いま先生に診てもらったらべつに折れてないし大丈夫ってことだったんすけど』
「…………なにをアホなことやっとんねん」
「怪我がなくて何よりじゃねーの。それで、どうしてわざわざ伊織に電話なんざ寄越したんだ」
という大神の問いに、凛久の声がふるえた。
『あの、あの──検査におもったよりお金かかっちゃって、オレたちいま手持ちがなくって、保護者の人に連絡しなさいって先生に言われたんですけど。でも家いまばーちゃんいないから、……』
伊織と大神は顔を見合わせた。
高宮家の、親と双子がうまくいっていないことは聞いている。こんなときでさえ親へ連絡することを拒むとはよほどのことだ。とはいえ、軽いといえど交通事故である。まして金銭が絡むことにただの部活動コーチが介入していい問題だろうか──と言いたげに、伊織の眉が下がる。
大神はナビを指さしながら、
「どこの病院だ」
と問うた。
凛久は『小林整形外科』と言った。高宮双子が住む祖母の家にほど近い場所にあるらしい。だいたいの場所を聞きだした大神はすぐにむかうと言って電話を切った。
伊織がナビに目的地を登録する。その顔は浮かない。
「でも、大神」
「とりあえず行くだけ行ってやろうぜ。子どもだけじゃ心細いこともある」
「……ウン。わかった」
ならば進行方向は逆である。
伊織はドリフトの要領で方向転換すると、おもいきりアクセル切って走り出した。
それから、十数分でたどり着いた小林整形外科前には双子が立っていた。
見るかぎり凛久はもちろん雅久もピンピンしている。なんなら、ふつうにケンケンまでしている。まったく、タイヤに乗っかられたというのに頑強な身体である。
医院前に黒塗りセダンが停まると、ふたりはパッと笑顔になって駆けてきた。ゆっくりと下へスライドする窓から顔を出した伊織は、開口一番
「走れるやん」
とツッコんだ。
雅久はポリポリと頭を掻く。
「だーから大げさだっつったんだよ。ちょっと足がいてえって言ったくらいであのジジイ、やれレントゲンだなんだって大げさに言うもんだから。おかげで金かかっちまって」
「どアホ。車道でふざけたら危ないってことくらい、小学生でも知ってんで。大事故なってたらどないするつもりやってん!」
「さッせんした」
「ったく!」
と、伊織はぽかりと雅久の頭を小突いた。
とにかくまずは支払いだ。保険証は持っていたそうで、たいした金額ではなかったため伊織が立て替えることにした。大神はいっそ「そのくらいなら払ってやるのに」と太っ腹なことを言ったが、あとで彼らの親からなにを言われるか分からないから、と伊織はしっかり領収証までもらった。
それからは、ついでに家まで送ってやることになった──のだが。
先ほどから凛久が妙におとなしい。どこか怯えたようすで、身をちいさくしてうつむいている。怪我をした雅久はいたってふつうだというのにどうしたことか、と助手席の大神がバックミラー越しに声をかけようと口をひらく。
その瞬間、アッ、と雅久がすさまじい爆音でさけんだ。
つられて顔をあげた凛久の口角もひきつる。彼らの視線の先には、ナビの目的地である双子の祖母の家──。いや、正確には家の前に停まっている白のメルセデスベンツがあった。
でかい車やなァ、と自身が運転する車を棚に上げて不服をこぼす伊織に、後部座席のふたりがとたんにわめきだす。
「おいコーチッ、近づくなッ」
「Uターン、Uターン!」
「は?」
「いいからはやくッ」
「なんでもいいから、ここから離れてくださいッ」
と。
しまいに双子は、後部座席の広いフットスペースにうずくまってしまった。
こうなっては仕方がない。大神はすこし楽しそうな顔で「うちに帰ろうぜ」とナビを指定。伊織はしぶしぶ車を方向転換した。
※
「ほんで、どういうことか説明してもらおか」
伊織は唸るように言った。
ここは赤坂の大神家。
逃げるようにあの場から立ち去って、赤坂マンションの駐車場に車が入るまで、彼らはずっとフットスペースに身を隠しつづけていた。ついてからも警戒心をマックスに辺りを見回し、伊織と大神を盾にこそこそとマンションエントランスを通過する始末。
どういうことか──とは聞いたものの、伊織もなんとなくは察しがつく。
あの白ベンツは、きっと双子の親の車なのだろう。いつもは離れて暮らす親が、祖母の不在中にあらわれたということか。
つまり雅久が怪我をして病院に立ち寄らなければ、祖母の家で鉢合わせをしていた可能性もあったということだ。それをおもってか、双子は互いに顔を見合わせてゾッと肩をすくませた。
「そないにイヤなんか」
と、伊織がコートを脱ぐ。
双子のダウンジャケットはすでにコートハンガーにかけられ、ラケットバッグも部屋の隅に置かれた。当のふたりはソファに座らされて所在無げに身を寄せ合っている。雅久は一度来たことがあるとはいえ、大神プロの家なのだ。いつもは傍若無人な彼も、さすがに緊張はするらしい。
しかし凛久はというと、べつの意味でおとなしかった。
どうも緊張などの理由ではない。時折、雅久の足をちらりと見ては、顔面を蒼白にして肩をふるわせる。
「顔くらい合わせたったらええのに」
「自分だって親から全力で逃げてたくせに、よく言うぜ」
キッチンで大神がわらった。
如月蓮十郎とのことであろう。伊織はうるさいッとテーブルを叩く。
「うちはもうちゃんと折り合いつけたからええねん。こっちはそうでもなさそうやろ」
「まあそう急いてもしょうがねえ。とりあえず一服しろよ」
と、大神はキッチンから紅茶セットを持ってきた。
ソファ前のガラステーブルに置かれたティーポットから、カップへ注がれる芳醇な香りはシッキムティー。クセが少なく飲みやすいためここ最近の伊織のイチオシ紅茶である。
ついでに太っ腹な大神は、これまた最近フランスから取り寄せたマドレーヌを添えて双子に出してやる。
彼らはひもじい子どものように、あっという間にお菓子を平らげると、紅茶も味わうヒマもなく一気に飲み干した。
「うまッ」
「味が、なんていうか──ぜんぶ上品」
「いつも家で食うのとは育ちがちがう気がするぜ」
と、顔を見合わせてわらう。
幾分か凛久の顔にも笑顔がもどったようだ。とはいえ、このまま和やかに話を終わらせる気もない伊織である。
「さ、話してもらおか」
とふたたび双子へ詰め寄った。
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