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第十章
56話 心はともに
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「お父さん──」
なぜここに、ということばは呑み込んだ。
大龍のうしろからオオカミの銀月丸がゆっくりと顔を出したからだ。
「銀月丸ッ」
水緒はとたんに安堵した顔で、オオカミの首にかじりつく。ピリついていた鎌鼬の空気も、ふたりの出現によってかすかに和らいだ。
「水緒さまご無事で」
「うん……」
人型に変化した銀月丸が水緒の肩を抱く。
その手のあたたかさで心に余裕ができたのだろう、なんとも言えぬ悔しさが込み上げてきて、水緒はぐっとなみだをこらえた。
過保護な父親だ、とダキニがわらう。
「言っとくけどアタシはまだなんもしちゃいないよ。現し世の理について、ちっとばかし教えてやっただけ」
「──彼らは、まだ肉体を失う時ではなかった。あわれな」
と、大龍が地面を見下ろした。
その視線の先には、先ほどみんなでつくった動物たちの墓がある。
「玉嵐とかいう鼠がおらぬな。……さしずめ、神社の手薄を狙うて水守に近づくつもりか」
「分かっていながら、こんなところで油売っていいのかい。玉嵐は水守を野良にしようと本気だよ。……どうにもアンタら親子ってのは、よくも悪くも目立っちまうから、方々から執着されるみたいだねェ」
「なに?」
「おのが撒いた種だよ。しっかり摘み取りな」
といって、ダキニは腰かける白狐をポンと叩いた。するとたちまち風が吹いて空を舞う。
待ちやがれ、と鎌鼬三兄弟はすかさず立ち上がったけれど、ダキニは「アンタたちもだよ、覚悟しな」とつめたい声で言い放つや空の彼方に消えていく。
「…………」
残された一行はしばらく唖然として、空を見上げたまま動くことができなかった。
※
「寄合からの帰り道で通りがかりました」
大龍さまに乗せてもろうて、と銀月丸が苦笑する。
寄合の開催場所──つまり天津国は、九州のほうにあるらしい。そこから銀月丸を背に乗せて、ひとっ飛びで帰ってくるというのだから、さすがは龍といったところか。
水緒、と大龍が淡い瑠璃色の瞳で見下ろした。
「欠片はとったのか」
「うん。浄化したよ」
「左様か、──」
「あそこってお父さんの思い出の土地なんでしょ。龍ヶ窪、まだ水がなみなみあったよ。見に行ったら?」
「寄合の帰りにたまに寄っているから、いらぬよ」
「そっか」
じゃあ帰ろっか、と水緒が鎌鼬を見る。
しかし三兄弟は浮かない顔をしたまま動かない。
「どうしたの」水緒の胸がざわつく。
お嬢、と答えたのは蒼玉だった。いつにも増して真剣な顔をしている。
「俺たちはこの飛騨にふたたび戻ろうと思う。いつまでも神社に世話になるわけにもいくめえ」
「え──」
「ああ。ダキニの姐者に煽られて、また動物たちが殺されちゃかなわんからな。オレらが守ったらないかん」
とうなずいた紅玉はわずかに微笑んだ。
「……だ、だけど、ダキニがまた誰かに助言して、いのちを狙われちゃうかもしれないよッ」
と、水緒が懇願しても彼らの意志はゆるがない。蒼玉の口角がわずかにあがる。
「そうなりゃそのとき、またどうするか考える。俺たちだって伊達に数百年と生きてきたわけじゃねえんだ」
「お嬢、本来われら飛騨の鎌鼬はつるまねえ主義なんでさァ。……だけどそれを曲げてでも龍族に協力してよかったと、いまは思ってます。生涯のうちに、おのれのいのちを惜しむ友が一時できたんだ。これ以上のことはありやせん」
「進んで死ぬ気はねえが、たとえこの先でダキニにいのち奪われたとしても……もはや悔いはねえて。お嬢らのおかげや」
「…………」
水緒は、絶句した。
なんと言ったら彼らのいのちを守れるのか、その言葉がなにひとつ出てこなかったからである。
いやだ。そんなのはイヤだ。イヤだけど──。だけど自分には彼らを護る術もない。水緒の瞳から一筋涙がこぼれ落ちた。
「あのとき」
ふいに大龍がつぶやく。
「捨て置かなんだことは、正しかったようだな」
そして微笑した。
あのとき──とは、つまり彼らがまだ幼き頃。ダキニによって寄合でつるし上げを食らったときのことであろう。
他族ながら、と大龍がつづける。
「わが子のためとこれほど龍族に尽くすとは健気な子らよ。ならばわしも、龍王として慈悲を向けんわけにもゆかぬな」
といって大龍は、おのが両手を天に向ける。
飛騨の上空に雲が立ち込めた。
やがて、パラパラと涙のようにわずかな水滴が地にふりそそぐ。鎌鼬衆は不思議そうに大龍を見つめた。が、まもなく空気の匂いがわずかに変わったことに気が付く。
大龍は、ゆっくりと木々を見回した。
「この恵みを受けた木々たちが、この世にひと柱でも残るうちは──ここ飛騨の山神の加護を受けるだろう」
「だ、大龍さま……!」
「よもやそのいのち、龍王大龍があずかった。無謀に捨てるはゆるさんぞ」
「────」
蒼玉は、胸が詰まってもはやなにも言えなかった。代わりにずいと前に出てきたのが、ふたりの弟たち。
ふたりは膝をつき、
「かたじけのうございます」
と、めずらしくも紅玉が深くふかく頭を垂れ、翠玉は大龍にむけて恭しくなにかを差し出した。
「……この翠玉が調合した薬にて、かならずや龍族の争いのなか、お役にたちましょう」
釉薬の色がきらきらと美しい壺である。
翠玉がこれまでいじっていた薬壺よりもすこし小さく、かつずっしりとした重みがある。
「────水緒」
大龍がいった。
うん、とその壺を受けとる。すると翠玉はうれしそうににっこりとわらった。
「お嬢と若さまが、どうぞ安穏な日々にもどられることを、願っておりまさァ」
「…………」
水緒はぐっとくちびるを噛む。そしてたまらず翠玉を抱きしめた。寂しさからか涙があふれて、あふれて、止まらなかった。
翠玉もその腕のぬくもりを感じ入るように瞳を閉じて、ゆっくりと身を離す。
続いて紅玉。
「修行は怠らんようにの」
と、意地わるくわらって水緒の頭を二度、撫でてやった。
最後は蒼玉へ。
「…………ありがとう」
「こちらこそ、また会える日を楽しみに」
「……また会える?」
「会えるとも。われら鎌鼬三兄弟、どれほど身は遠くとも心は常に龍とともにある。忘れるな」
「…………」
うん、という一言が、喉が詰まって出なかった。けれど蒼玉はしっかりと受け取ったようだ。
ようやく互いに身を離して水緒の背をポンと押した。
「さ、はように帰らんと。神社が玉嵐に荒らされてしまうかもしれんぞ」
「うん──あっ、そうだ日向の鎌鼬。瑠璃たちはどうするの?」
すっかり忘れていた。
しかし翠玉は首を横に振って、懐から薬草を取り出す。
「妹の具合を見る限り──もう少し薬を飲ませてやる必要がありそうで。面倒ですが、こちらで引き受けまさァ。お陰さまで越後の水と草がとれたんで良い薬が作れそうです」
「そっか……」
ちらと瑠璃を見る。
彼女はひどく憔悴した顔をしていた。もはやなにを言う気力もなさそうだ。水緒は懐から『大龍神社の御守り』を取り出して玻璃の手に握らせた。
「これ、うちの神社の御守り! 病気平癒ってわけじゃないけど、運気上昇に勝運招来ってことだから、きっと治るよ。なんたってお父さんにお祈りした御守りだからねっ」
「…………」
瑠璃は、なにを言うこともなかった。
けれどその双眸からは涙があふれ、彼女の気持ちを一挙に物語っていた。
水緒、と大龍が呼ぶ。
いつの間にか、白銀のたてがみをなびかせる龍のすがたになっている。水緒はその背に乗って、鎌鼬を見下ろした。
「また会おうねーッ。きっとだよ!」
さけんだ。
鎌鼬衆は大きく手を振り、水緒や銀月丸、そして大龍の姿が見えなくなるまで、ずっと、ずっと空を見上げていた。
こうして四つめの欠片は浄化され、鎌鼬とは別れを告げた。残す欠片はあとひとつ。
──張られていた緊張がとけたのだろう。
翠玉にもらった薬壺をしっかりと胸に抱いたまま、水緒は飛び立ってまもなく、大龍のたてがみにくるまれて眠りについた。
なぜここに、ということばは呑み込んだ。
大龍のうしろからオオカミの銀月丸がゆっくりと顔を出したからだ。
「銀月丸ッ」
水緒はとたんに安堵した顔で、オオカミの首にかじりつく。ピリついていた鎌鼬の空気も、ふたりの出現によってかすかに和らいだ。
「水緒さまご無事で」
「うん……」
人型に変化した銀月丸が水緒の肩を抱く。
その手のあたたかさで心に余裕ができたのだろう、なんとも言えぬ悔しさが込み上げてきて、水緒はぐっとなみだをこらえた。
過保護な父親だ、とダキニがわらう。
「言っとくけどアタシはまだなんもしちゃいないよ。現し世の理について、ちっとばかし教えてやっただけ」
「──彼らは、まだ肉体を失う時ではなかった。あわれな」
と、大龍が地面を見下ろした。
その視線の先には、先ほどみんなでつくった動物たちの墓がある。
「玉嵐とかいう鼠がおらぬな。……さしずめ、神社の手薄を狙うて水守に近づくつもりか」
「分かっていながら、こんなところで油売っていいのかい。玉嵐は水守を野良にしようと本気だよ。……どうにもアンタら親子ってのは、よくも悪くも目立っちまうから、方々から執着されるみたいだねェ」
「なに?」
「おのが撒いた種だよ。しっかり摘み取りな」
といって、ダキニは腰かける白狐をポンと叩いた。するとたちまち風が吹いて空を舞う。
待ちやがれ、と鎌鼬三兄弟はすかさず立ち上がったけれど、ダキニは「アンタたちもだよ、覚悟しな」とつめたい声で言い放つや空の彼方に消えていく。
「…………」
残された一行はしばらく唖然として、空を見上げたまま動くことができなかった。
※
「寄合からの帰り道で通りがかりました」
大龍さまに乗せてもろうて、と銀月丸が苦笑する。
寄合の開催場所──つまり天津国は、九州のほうにあるらしい。そこから銀月丸を背に乗せて、ひとっ飛びで帰ってくるというのだから、さすがは龍といったところか。
水緒、と大龍が淡い瑠璃色の瞳で見下ろした。
「欠片はとったのか」
「うん。浄化したよ」
「左様か、──」
「あそこってお父さんの思い出の土地なんでしょ。龍ヶ窪、まだ水がなみなみあったよ。見に行ったら?」
「寄合の帰りにたまに寄っているから、いらぬよ」
「そっか」
じゃあ帰ろっか、と水緒が鎌鼬を見る。
しかし三兄弟は浮かない顔をしたまま動かない。
「どうしたの」水緒の胸がざわつく。
お嬢、と答えたのは蒼玉だった。いつにも増して真剣な顔をしている。
「俺たちはこの飛騨にふたたび戻ろうと思う。いつまでも神社に世話になるわけにもいくめえ」
「え──」
「ああ。ダキニの姐者に煽られて、また動物たちが殺されちゃかなわんからな。オレらが守ったらないかん」
とうなずいた紅玉はわずかに微笑んだ。
「……だ、だけど、ダキニがまた誰かに助言して、いのちを狙われちゃうかもしれないよッ」
と、水緒が懇願しても彼らの意志はゆるがない。蒼玉の口角がわずかにあがる。
「そうなりゃそのとき、またどうするか考える。俺たちだって伊達に数百年と生きてきたわけじゃねえんだ」
「お嬢、本来われら飛騨の鎌鼬はつるまねえ主義なんでさァ。……だけどそれを曲げてでも龍族に協力してよかったと、いまは思ってます。生涯のうちに、おのれのいのちを惜しむ友が一時できたんだ。これ以上のことはありやせん」
「進んで死ぬ気はねえが、たとえこの先でダキニにいのち奪われたとしても……もはや悔いはねえて。お嬢らのおかげや」
「…………」
水緒は、絶句した。
なんと言ったら彼らのいのちを守れるのか、その言葉がなにひとつ出てこなかったからである。
いやだ。そんなのはイヤだ。イヤだけど──。だけど自分には彼らを護る術もない。水緒の瞳から一筋涙がこぼれ落ちた。
「あのとき」
ふいに大龍がつぶやく。
「捨て置かなんだことは、正しかったようだな」
そして微笑した。
あのとき──とは、つまり彼らがまだ幼き頃。ダキニによって寄合でつるし上げを食らったときのことであろう。
他族ながら、と大龍がつづける。
「わが子のためとこれほど龍族に尽くすとは健気な子らよ。ならばわしも、龍王として慈悲を向けんわけにもゆかぬな」
といって大龍は、おのが両手を天に向ける。
飛騨の上空に雲が立ち込めた。
やがて、パラパラと涙のようにわずかな水滴が地にふりそそぐ。鎌鼬衆は不思議そうに大龍を見つめた。が、まもなく空気の匂いがわずかに変わったことに気が付く。
大龍は、ゆっくりと木々を見回した。
「この恵みを受けた木々たちが、この世にひと柱でも残るうちは──ここ飛騨の山神の加護を受けるだろう」
「だ、大龍さま……!」
「よもやそのいのち、龍王大龍があずかった。無謀に捨てるはゆるさんぞ」
「────」
蒼玉は、胸が詰まってもはやなにも言えなかった。代わりにずいと前に出てきたのが、ふたりの弟たち。
ふたりは膝をつき、
「かたじけのうございます」
と、めずらしくも紅玉が深くふかく頭を垂れ、翠玉は大龍にむけて恭しくなにかを差し出した。
「……この翠玉が調合した薬にて、かならずや龍族の争いのなか、お役にたちましょう」
釉薬の色がきらきらと美しい壺である。
翠玉がこれまでいじっていた薬壺よりもすこし小さく、かつずっしりとした重みがある。
「────水緒」
大龍がいった。
うん、とその壺を受けとる。すると翠玉はうれしそうににっこりとわらった。
「お嬢と若さまが、どうぞ安穏な日々にもどられることを、願っておりまさァ」
「…………」
水緒はぐっとくちびるを噛む。そしてたまらず翠玉を抱きしめた。寂しさからか涙があふれて、あふれて、止まらなかった。
翠玉もその腕のぬくもりを感じ入るように瞳を閉じて、ゆっくりと身を離す。
続いて紅玉。
「修行は怠らんようにの」
と、意地わるくわらって水緒の頭を二度、撫でてやった。
最後は蒼玉へ。
「…………ありがとう」
「こちらこそ、また会える日を楽しみに」
「……また会える?」
「会えるとも。われら鎌鼬三兄弟、どれほど身は遠くとも心は常に龍とともにある。忘れるな」
「…………」
うん、という一言が、喉が詰まって出なかった。けれど蒼玉はしっかりと受け取ったようだ。
ようやく互いに身を離して水緒の背をポンと押した。
「さ、はように帰らんと。神社が玉嵐に荒らされてしまうかもしれんぞ」
「うん──あっ、そうだ日向の鎌鼬。瑠璃たちはどうするの?」
すっかり忘れていた。
しかし翠玉は首を横に振って、懐から薬草を取り出す。
「妹の具合を見る限り──もう少し薬を飲ませてやる必要がありそうで。面倒ですが、こちらで引き受けまさァ。お陰さまで越後の水と草がとれたんで良い薬が作れそうです」
「そっか……」
ちらと瑠璃を見る。
彼女はひどく憔悴した顔をしていた。もはやなにを言う気力もなさそうだ。水緒は懐から『大龍神社の御守り』を取り出して玻璃の手に握らせた。
「これ、うちの神社の御守り! 病気平癒ってわけじゃないけど、運気上昇に勝運招来ってことだから、きっと治るよ。なんたってお父さんにお祈りした御守りだからねっ」
「…………」
瑠璃は、なにを言うこともなかった。
けれどその双眸からは涙があふれ、彼女の気持ちを一挙に物語っていた。
水緒、と大龍が呼ぶ。
いつの間にか、白銀のたてがみをなびかせる龍のすがたになっている。水緒はその背に乗って、鎌鼬を見下ろした。
「また会おうねーッ。きっとだよ!」
さけんだ。
鎌鼬衆は大きく手を振り、水緒や銀月丸、そして大龍の姿が見えなくなるまで、ずっと、ずっと空を見上げていた。
こうして四つめの欠片は浄化され、鎌鼬とは別れを告げた。残す欠片はあとひとつ。
──張られていた緊張がとけたのだろう。
翠玉にもらった薬壺をしっかりと胸に抱いたまま、水緒は飛び立ってまもなく、大龍のたてがみにくるまれて眠りについた。
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