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「次は私ですね。
商業ギルドで聞いて来たところ、グラバラス帝国北部のほぼ中央にあるノースローグという街で一旦依頼をするのが良いようです」
「ノースローグ?」
「はい。
帝国の北部にはノースローグより大きな街は幾つかあるのですが、辺境領域への輸送や人の往来はノースローグを中継地としてアララト連峰を踏破するのが主要ルートなのだそうです。
帝国の北東部にも山脈越えのルートがあるそうなのですが、こちらは難所続きの険しさで輸送経路としてはそれほど活用されてないとのこと」
アララト連峰とは帝国北方にあるこの大陸で1番高い山脈群だ。辺境領域と帝国を分断する形で東西に鎮座している。
「他には北西小国家群の中の幾つかの国が、アララト連峰の西端の比較的低い山々を越えて辺境領域と交易をしているという情報もありますが、ご承知の通り詳細は不明です」
北西小国家群というのはこの大陸北西部の紛争地域のことだ。多数の少数民族による国家が乱立していて昔から戦争を続けている。
「それで費用なのですが、まずは輸送費。ベルガーナ王国に最も近い帝国の国境近くの街までが7000ルク、そこからノースローグまでが1万8000クルツとなります。片道分で通常配達の料金ですのでご注意ください」
通常配達は受付した手紙や荷物を一週間分まとめて商隊の荷馬車に積んで運ばれる。スピードは遅く徒歩と同じかそれより速いぐらい。最も安価な輸送方法だ。
他には乗合馬車で運ぶ速達がある。料金は倍かかるが所要日数は最短だ。
急いでいるわけではないので通常配達のままで送る。予想以上の高い輸送費にちょっとビビったというのもあるが……
「次に依頼料ですね。
ノースローグにおいて調査依頼をします。
遠隔地での依頼ですし、4等級以上を対象とした依頼でどうでしょうか? その分依頼料は割高となってしまいますが」
多少出費が増えてもここは石橋を叩いておくべきだろうな。
不十分な調査で再度やり直しのほうが料金も時間もかかるだろうし。
「それでお願いします」
「かしこまりました。依頼内容は……
1、ヘクツゥーム族並びにカルネロ族の居住地の場所とその行き方の調査」
※カルネロ族というのはヘクツゥーム族が買い出しに行く大きな集落を治める部族で、周辺の少数部族を代表して行商人と取引している。
「2、1が不明な場合は、ヘクツゥーム族並びにカルネロ族に詳しい街か村。
3、2も不明な場合は、辺境部族に関して詳しい街か村。
といった感じになりますでしょうか。
1には成功報酬を付加されることをお薦めします」
「そうですね、成功報酬を付けてください」
ノースローグで調査が完了するならそれが一番簡単なのだから、成功報酬を付けるぐらい構わないだろう。
「かしこまりました。
それでは依頼料ですが、1日の報酬が3万クルツで調査期間を最大で3日間とし、別途調査費用として1万クルツ、1が達成された場合の成功報酬として2万クルツ、相場としてはこの辺りが妥当かと思いますがいかがでしょう?」
相場のわからない俺としてはミリスさんに任せるしかないが……
「4等級パーティーへの報酬が1日3万クルツというのは少なくありませんか?」
パーティーの人数がフルの5人だったら1人につき1日6000クルツになってしまう。
4等級が依頼を受けるような報酬額では……
「大丈夫です。
この調査依頼は街中で完結する類のモノですし、必ずしもパーティー全員で取り掛かるわけでもありませんので」
「こちらとしては少人数で動かれて調査を失敗されると困るのですが…………あぁ、4等級への依頼としたのはそのような……」
「ええ。調査関連の依頼はそれを専門とするパーティーがどのギルドにもおりますし、4等級以上と指定しておけばまず外れを引くことはありません。
ギルド側も心得ていますので専門外の……例えば戦闘が得意なパーティーが畑違いなこの依頼を受けるというようなことも起こりません」
前回調査を依頼した時もミリスさんの推薦する冒険者を指名したので、場所が違えど同じ流れになるってことか。
「それでお支払いして頂く金額ですが……
輸送費が1万8000クルツと7000ルクで復路の輸送費も同額となります。
報酬と成功報酬で11万クルツ、これに手数料が15%ですので1万6500クルツ、調査費用1万クルツに報告書の作成費用で2000クルツ、指名料が3000クルツ、最後に手数料と同額を当ギルドへとお支払い頂きますので総額は…………」
他所のギルドへの依頼は別々に手数料を取られるのだっけ。
「……19万4000クルツと1万4000ルクとなります」
最初輸送にかかる費用に驚いたものの、総額では思ったより高額にならなかった感じだ。
支払いを済ます。
「確かに。
調査期間が短縮された場合は報酬は返還されますが、手数料は戻りませんのでご注意ください。成功報酬も同じです」
「わかりました」
「続きましてノースローグでの調査が依頼内容の2ないし3の結果であった場合、さらに他のギルドへと依頼をすることになりますが……」
そうだった、調査結果によっては別の街のギルドへ新たに依頼をすることになる。
「依頼料や輸送費その他諸々含めまして10万クルツほどを同梱しておけば事足りると思います。もしご不安でしたら予備費としていくらか加えておけばよろしいかと」
「また随分とザックリな計算なんですね」
「こればかりは調査結果の内容を考慮しないといけませんし、現地でないとわからないことも多々あります。
予めこちらでアレコレ指定してしまうと向こうのギルドの足を引っ張ることにもなりかねませんので、現地ギルドの裁量に任せるのが一番かと」
『事件は現場で起こっているんだ!』的なことなんだろうな。
「わかりました。ノースローグの冒険者ギルドに任せましょう」
結局予備費を5万クルツ加えた15万クルツを同梱することにした。
所持金 →647万1000ルク
帝国通貨→318万6500クルツ
依頼が完了したのでこの日は魔法の練習をしてから帰宅した。
商業ギルドで聞いて来たところ、グラバラス帝国北部のほぼ中央にあるノースローグという街で一旦依頼をするのが良いようです」
「ノースローグ?」
「はい。
帝国の北部にはノースローグより大きな街は幾つかあるのですが、辺境領域への輸送や人の往来はノースローグを中継地としてアララト連峰を踏破するのが主要ルートなのだそうです。
帝国の北東部にも山脈越えのルートがあるそうなのですが、こちらは難所続きの険しさで輸送経路としてはそれほど活用されてないとのこと」
アララト連峰とは帝国北方にあるこの大陸で1番高い山脈群だ。辺境領域と帝国を分断する形で東西に鎮座している。
「他には北西小国家群の中の幾つかの国が、アララト連峰の西端の比較的低い山々を越えて辺境領域と交易をしているという情報もありますが、ご承知の通り詳細は不明です」
北西小国家群というのはこの大陸北西部の紛争地域のことだ。多数の少数民族による国家が乱立していて昔から戦争を続けている。
「それで費用なのですが、まずは輸送費。ベルガーナ王国に最も近い帝国の国境近くの街までが7000ルク、そこからノースローグまでが1万8000クルツとなります。片道分で通常配達の料金ですのでご注意ください」
通常配達は受付した手紙や荷物を一週間分まとめて商隊の荷馬車に積んで運ばれる。スピードは遅く徒歩と同じかそれより速いぐらい。最も安価な輸送方法だ。
他には乗合馬車で運ぶ速達がある。料金は倍かかるが所要日数は最短だ。
急いでいるわけではないので通常配達のままで送る。予想以上の高い輸送費にちょっとビビったというのもあるが……
「次に依頼料ですね。
ノースローグにおいて調査依頼をします。
遠隔地での依頼ですし、4等級以上を対象とした依頼でどうでしょうか? その分依頼料は割高となってしまいますが」
多少出費が増えてもここは石橋を叩いておくべきだろうな。
不十分な調査で再度やり直しのほうが料金も時間もかかるだろうし。
「それでお願いします」
「かしこまりました。依頼内容は……
1、ヘクツゥーム族並びにカルネロ族の居住地の場所とその行き方の調査」
※カルネロ族というのはヘクツゥーム族が買い出しに行く大きな集落を治める部族で、周辺の少数部族を代表して行商人と取引している。
「2、1が不明な場合は、ヘクツゥーム族並びにカルネロ族に詳しい街か村。
3、2も不明な場合は、辺境部族に関して詳しい街か村。
といった感じになりますでしょうか。
1には成功報酬を付加されることをお薦めします」
「そうですね、成功報酬を付けてください」
ノースローグで調査が完了するならそれが一番簡単なのだから、成功報酬を付けるぐらい構わないだろう。
「かしこまりました。
それでは依頼料ですが、1日の報酬が3万クルツで調査期間を最大で3日間とし、別途調査費用として1万クルツ、1が達成された場合の成功報酬として2万クルツ、相場としてはこの辺りが妥当かと思いますがいかがでしょう?」
相場のわからない俺としてはミリスさんに任せるしかないが……
「4等級パーティーへの報酬が1日3万クルツというのは少なくありませんか?」
パーティーの人数がフルの5人だったら1人につき1日6000クルツになってしまう。
4等級が依頼を受けるような報酬額では……
「大丈夫です。
この調査依頼は街中で完結する類のモノですし、必ずしもパーティー全員で取り掛かるわけでもありませんので」
「こちらとしては少人数で動かれて調査を失敗されると困るのですが…………あぁ、4等級への依頼としたのはそのような……」
「ええ。調査関連の依頼はそれを専門とするパーティーがどのギルドにもおりますし、4等級以上と指定しておけばまず外れを引くことはありません。
ギルド側も心得ていますので専門外の……例えば戦闘が得意なパーティーが畑違いなこの依頼を受けるというようなことも起こりません」
前回調査を依頼した時もミリスさんの推薦する冒険者を指名したので、場所が違えど同じ流れになるってことか。
「それでお支払いして頂く金額ですが……
輸送費が1万8000クルツと7000ルクで復路の輸送費も同額となります。
報酬と成功報酬で11万クルツ、これに手数料が15%ですので1万6500クルツ、調査費用1万クルツに報告書の作成費用で2000クルツ、指名料が3000クルツ、最後に手数料と同額を当ギルドへとお支払い頂きますので総額は…………」
他所のギルドへの依頼は別々に手数料を取られるのだっけ。
「……19万4000クルツと1万4000ルクとなります」
最初輸送にかかる費用に驚いたものの、総額では思ったより高額にならなかった感じだ。
支払いを済ます。
「確かに。
調査期間が短縮された場合は報酬は返還されますが、手数料は戻りませんのでご注意ください。成功報酬も同じです」
「わかりました」
「続きましてノースローグでの調査が依頼内容の2ないし3の結果であった場合、さらに他のギルドへと依頼をすることになりますが……」
そうだった、調査結果によっては別の街のギルドへ新たに依頼をすることになる。
「依頼料や輸送費その他諸々含めまして10万クルツほどを同梱しておけば事足りると思います。もしご不安でしたら予備費としていくらか加えておけばよろしいかと」
「また随分とザックリな計算なんですね」
「こればかりは調査結果の内容を考慮しないといけませんし、現地でないとわからないことも多々あります。
予めこちらでアレコレ指定してしまうと向こうのギルドの足を引っ張ることにもなりかねませんので、現地ギルドの裁量に任せるのが一番かと」
『事件は現場で起こっているんだ!』的なことなんだろうな。
「わかりました。ノースローグの冒険者ギルドに任せましょう」
結局予備費を5万クルツ加えた15万クルツを同梱することにした。
所持金 →647万1000ルク
帝国通貨→318万6500クルツ
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