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「今日もツヤツヤしてるルルカも一緒なのね」
「当たり前じゃない!」
俺はドアの内側でディアと同じくらいのティリアさんのお山に包まれたままだ。
「こんなところをご近所に見られたらどうするのよ!?」
「大丈夫よ。まさか中で子供とこんなことしてるなんて誰も思わないわ」
「い、いや、自分はもう大人なんで……」
「ツトムさんはちょっと黙ってらしてね~」
さらに強く抱き締められてお山にうずもれる。
「大体旦那が帰って来たのでしょ? こんなことしてていいの?」
「それがちょっと聞いてよっ!!」
むっ!? マズイな……
そのセリフの後の話が簡単に終わったケースを俺は知らないぞ。
「帰って来てから旦那とまだたった2回しかしてないのよ?!」
「それは少ないわねぇ」
そういう夫婦の生々しい話はヤメテ!!
「いっつも『今日は疲れてるんだ』『明日は早いから』ばっかりなのよっ!!」
うわぁ…………レスや浮気をしている現代の旦那さんが言うセリフと一緒やん。
「それなのに自分が王都にいる間は家にいて欲しいなんて……」
「じゃあ旦那が他へ出掛けた時は……」
「ええ、その時は家を空けて良いとの許可はもらったわ」
「ならその時にでもウチに来ればいいじゃないの。
それと…………そろそろツトムさんから離れないといい加減私も怒るわよ?」
「あ、あら、ごめんなさい」
ようやくティリアさんの抱擁から解放された。
ルルカ達以外のお胸に触れる機会なんてまずないので大変名残惜しい……
「ツトムさん?」
「こ、こほん!!
ティリアさん、前回と同じ物で恐縮なのですがこちらをお受け取り下さい」
収納からさっき買ったばかりの高級酒を2本渡した。
「まぁ、いつもご丁寧にありがとうございます!!
ツトムさんの持ってこられたお酒は大変美味しくて大歓迎ですわ!!
さぁ、早くお上がりになって」
「失礼します。
本日はご主人は?」
「もちろんお城よ。
帰って来てから朝早くから夜遅くまでずーっとお城なの!! おかしいと思いません?
もういっそお城に住めばって毎日あの人には言ってるのよ!」
毎日って…………ご主人も大変だな。
…
……
…………
俺の隣にティリアさんが座ろうとしたのをルルカが阻止してキャアキャアやり合う場面もあったが、とりあえず俺とルルカの対面にティリアさんという形に落ち着いた。
「これはツトムさんのことでよろしいの?」
ティリアさんは冊子をテーブルに置いて聞いてきた。
アルタナ王国で開催された武闘大会の冊子だった。
「はい。自分のことです。
ティリアさんが武闘大会に興味をお持ちとは知りませんでした」
「私も興味なんてなかったのよ?
旦那も歳取ってからは剣術なんてからっきしだし……身体だけは動かすようにはしてるみたいだけど」
「ご主人はお若い頃は強かったので?」
ティリアさんのご主人っていくつぐらいなんだろう?
話しぶりからしてティリアさんより年上らしいけど。
「若い時でも騎士学校時代にそこそこ上のほうって言ってたから大したことないのよ。
ロクダーリアで補佐官に出世してから現場を離れて剣の鍛錬もしなくなったわ」
騎士学校は1学年100名だ。そこそこ上というと30位前後といったところか。
それでも国中から集められた精鋭達の中での上位と言うのは凄いことだ。
「それで先日ご近所の集まりで今回の武闘大会のことを熱心に語る奥さんがいらしてね。
ほら、ウチの国って自国開催の時は軍人が出て本選にも進出するけど、他国開催の時は全然でしょ?
なのに今回はこの国の少年魔術士が大活躍とかで、私もそれを聞いてもしかしてと思ってこの冊子を買ったのよ。そうしたらツトムさんの名前がってわけ」
「大活躍というほどでは……本選も初戦で敗退してしまいましたし」
「いいえ、大活躍よ! 私もツトムさんのこと自慢しなくちゃ!!
そのためにも詳しい話を聞かせて」
「いいわよ。ツトムさんの飛行魔法で皆でアルタナ王国に行って……」
なぜかルルカがメインで語り始め、所どころ俺が説明を加える形でティリアさんに話した…………
「アルタナに行く時私も誘ってくださればよかったのに!!」
「それは仕方ないわよ。旦那が帰って来たという手紙を受け取ってたのだから」
ティリアさんを誘うという選択は最初からなかったな。
仮にご主人が帰ってなかったとしても誘うことはなかったと思う。
「ルルカばっかりズルいわよ!
……ところで、話しの中に知らない女性の名前が出てくるのだけど、どなたなのかしら?」
あっ!?
ティリアさんはディアのこと知らないのだっけ。
「アルタナに行く数日前にツトムさんが3人目を買ったのよ。
わざわざ帝国の奴隷商に2回も行ったのよ」
「まぁ!? この前2人目の……ロザリナさんだったかしら? を買ったばかりでしょ」
「そうなのよ。長身の凄くツトムさん好みの身体をしているわ」
「1人で護衛するのは大変なので交代できるように3人目を……」
「夜はどうしてるの?」
「もちろん3人でご奉仕してるわ」
俺の言うことはスルーされてるし!
「羨ましい! 私もお仲間に加えなさいよっ!!」
「それはダメ!」
「酷いわぁ、そんなツヤツヤした顔をしてるのに……」
「それは関係ないでしょ!」
「…………ところで、3人とも『ツトムさん』って呼んでるの?」
「いいえ、ロザリナは『ツトム様』でディアは『ツトム』と呼び捨てね」
「むむむむ……私だけルルカと同じ呼び方なのね……」
他にも冒険者ギルドのミリスさんや補佐官のナナイさんも『ツトムさん』呼びだけどな。
面倒なことになりそうだからこの場では言わないけど。
「私も特別な呼び方をしたいわね…………そうだわ! 『ツトム君』はどうかしら?
トッドと同い年だし息子の友達という感じもアリだわ!」
アリなんだ……
ちなみにティリアさんの息子トッド君は従騎士として騎士団の宿舎に住み込んでいて家には帰って来ないらしい。
「自分はトッド君とはお会いしたこともないのですが……」
トッド君にしても自分の母親が関係を持ちたいと思ってる同い年の男とは友達にはなりたくないだろう。
「別に『あ・な・た』でもいいのだけど」
「それはダメ!!」
「まぁそうでしょうね。そこはルルカに譲るから『ツトム君』でいいでしょ?」
「仕方ないわねぇ」
その後ティリアさんから『ツトム君』『ツトム君』とやたらと連呼された……
「当たり前じゃない!」
俺はドアの内側でディアと同じくらいのティリアさんのお山に包まれたままだ。
「こんなところをご近所に見られたらどうするのよ!?」
「大丈夫よ。まさか中で子供とこんなことしてるなんて誰も思わないわ」
「い、いや、自分はもう大人なんで……」
「ツトムさんはちょっと黙ってらしてね~」
さらに強く抱き締められてお山にうずもれる。
「大体旦那が帰って来たのでしょ? こんなことしてていいの?」
「それがちょっと聞いてよっ!!」
むっ!? マズイな……
そのセリフの後の話が簡単に終わったケースを俺は知らないぞ。
「帰って来てから旦那とまだたった2回しかしてないのよ?!」
「それは少ないわねぇ」
そういう夫婦の生々しい話はヤメテ!!
「いっつも『今日は疲れてるんだ』『明日は早いから』ばっかりなのよっ!!」
うわぁ…………レスや浮気をしている現代の旦那さんが言うセリフと一緒やん。
「それなのに自分が王都にいる間は家にいて欲しいなんて……」
「じゃあ旦那が他へ出掛けた時は……」
「ええ、その時は家を空けて良いとの許可はもらったわ」
「ならその時にでもウチに来ればいいじゃないの。
それと…………そろそろツトムさんから離れないといい加減私も怒るわよ?」
「あ、あら、ごめんなさい」
ようやくティリアさんの抱擁から解放された。
ルルカ達以外のお胸に触れる機会なんてまずないので大変名残惜しい……
「ツトムさん?」
「こ、こほん!!
ティリアさん、前回と同じ物で恐縮なのですがこちらをお受け取り下さい」
収納からさっき買ったばかりの高級酒を2本渡した。
「まぁ、いつもご丁寧にありがとうございます!!
ツトムさんの持ってこられたお酒は大変美味しくて大歓迎ですわ!!
さぁ、早くお上がりになって」
「失礼します。
本日はご主人は?」
「もちろんお城よ。
帰って来てから朝早くから夜遅くまでずーっとお城なの!! おかしいと思いません?
もういっそお城に住めばって毎日あの人には言ってるのよ!」
毎日って…………ご主人も大変だな。
…
……
…………
俺の隣にティリアさんが座ろうとしたのをルルカが阻止してキャアキャアやり合う場面もあったが、とりあえず俺とルルカの対面にティリアさんという形に落ち着いた。
「これはツトムさんのことでよろしいの?」
ティリアさんは冊子をテーブルに置いて聞いてきた。
アルタナ王国で開催された武闘大会の冊子だった。
「はい。自分のことです。
ティリアさんが武闘大会に興味をお持ちとは知りませんでした」
「私も興味なんてなかったのよ?
旦那も歳取ってからは剣術なんてからっきしだし……身体だけは動かすようにはしてるみたいだけど」
「ご主人はお若い頃は強かったので?」
ティリアさんのご主人っていくつぐらいなんだろう?
話しぶりからしてティリアさんより年上らしいけど。
「若い時でも騎士学校時代にそこそこ上のほうって言ってたから大したことないのよ。
ロクダーリアで補佐官に出世してから現場を離れて剣の鍛錬もしなくなったわ」
騎士学校は1学年100名だ。そこそこ上というと30位前後といったところか。
それでも国中から集められた精鋭達の中での上位と言うのは凄いことだ。
「それで先日ご近所の集まりで今回の武闘大会のことを熱心に語る奥さんがいらしてね。
ほら、ウチの国って自国開催の時は軍人が出て本選にも進出するけど、他国開催の時は全然でしょ?
なのに今回はこの国の少年魔術士が大活躍とかで、私もそれを聞いてもしかしてと思ってこの冊子を買ったのよ。そうしたらツトムさんの名前がってわけ」
「大活躍というほどでは……本選も初戦で敗退してしまいましたし」
「いいえ、大活躍よ! 私もツトムさんのこと自慢しなくちゃ!!
そのためにも詳しい話を聞かせて」
「いいわよ。ツトムさんの飛行魔法で皆でアルタナ王国に行って……」
なぜかルルカがメインで語り始め、所どころ俺が説明を加える形でティリアさんに話した…………
「アルタナに行く時私も誘ってくださればよかったのに!!」
「それは仕方ないわよ。旦那が帰って来たという手紙を受け取ってたのだから」
ティリアさんを誘うという選択は最初からなかったな。
仮にご主人が帰ってなかったとしても誘うことはなかったと思う。
「ルルカばっかりズルいわよ!
……ところで、話しの中に知らない女性の名前が出てくるのだけど、どなたなのかしら?」
あっ!?
ティリアさんはディアのこと知らないのだっけ。
「アルタナに行く数日前にツトムさんが3人目を買ったのよ。
わざわざ帝国の奴隷商に2回も行ったのよ」
「まぁ!? この前2人目の……ロザリナさんだったかしら? を買ったばかりでしょ」
「そうなのよ。長身の凄くツトムさん好みの身体をしているわ」
「1人で護衛するのは大変なので交代できるように3人目を……」
「夜はどうしてるの?」
「もちろん3人でご奉仕してるわ」
俺の言うことはスルーされてるし!
「羨ましい! 私もお仲間に加えなさいよっ!!」
「それはダメ!」
「酷いわぁ、そんなツヤツヤした顔をしてるのに……」
「それは関係ないでしょ!」
「…………ところで、3人とも『ツトムさん』って呼んでるの?」
「いいえ、ロザリナは『ツトム様』でディアは『ツトム』と呼び捨てね」
「むむむむ……私だけルルカと同じ呼び方なのね……」
他にも冒険者ギルドのミリスさんや補佐官のナナイさんも『ツトムさん』呼びだけどな。
面倒なことになりそうだからこの場では言わないけど。
「私も特別な呼び方をしたいわね…………そうだわ! 『ツトム君』はどうかしら?
トッドと同い年だし息子の友達という感じもアリだわ!」
アリなんだ……
ちなみにティリアさんの息子トッド君は従騎士として騎士団の宿舎に住み込んでいて家には帰って来ないらしい。
「自分はトッド君とはお会いしたこともないのですが……」
トッド君にしても自分の母親が関係を持ちたいと思ってる同い年の男とは友達にはなりたくないだろう。
「別に『あ・な・た』でもいいのだけど」
「それはダメ!!」
「まぁそうでしょうね。そこはルルカに譲るから『ツトム君』でいいでしょ?」
「仕方ないわねぇ」
その後ティリアさんから『ツトム君』『ツトム君』とやたらと連呼された……
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