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「魔術士は晩成型だからね~
『40歳超えてからが全盛期』なんて言葉を残したのは100年ぐらい前の帝室魔術士だったかな?」
「40歳超えっ!?」
魔術士は身体能力が衰えても致命的な能力低下とはならないし、経験や修練を積めば積むほどより強力で高度な魔法を操れるので、年齢を重ねてから全盛期を迎えたと感じても不思議ではないのかもしれない。
しかし……
「それにしては冒険者でそんな年齢の魔術士は見たことがありませんよ?」
見かけるのはせいぜい30歳過ぎぐらいで、グリードさんとこのモイヤーさんや南砦で一悶着あったオグトパーティーの魔術士以上の年齢の人を見たことはない。
軍のほうには高齢の魔術士は結構いるけど。
「2等級以下で40歳過ぎて冒険者を続ける人なんてほとんどいないよ。
大抵30歳半ば過ぎれば引退して他の仕事に就くね」
「これから全盛期を迎える魔術士がどうして?」
「そりゃあ体力や精神は年相応なんだし、家族でもいれば安定を求めるのは当然だよ。
いつまでも前線を駆け回ったり、護衛依頼で長期間家を空けるなんてできなくなるのさ」
「それでも魔術士は軍に貴族に商会にと引く手あまたなので羨ましいですわ。
弓術士なんて猟師ぐらいしか技能を生かす職がありませんので」
「専門職があるだけマシだよ。
近接職なんて教える側になれなきゃ働き口はないからね!」
引退後の再就職の話か。
冒険者稼業もなんて世知辛い……
「ツトム様、話しが逸れてますよ」
「そ、そうだな。
魔術士の件は考えてはみるけど、あまり期待はしないでくれ」
俺だって地道な魔法練習をほぼ毎日続けているんだ。
短時間で上達する夢のようなやり方なんてあるわけがない。不可能だ!
結論としてはロザリナの指導力に懸かっていると言っていいだろう。
出発して割とすぐにオークとゴブリンの混成集団と遭遇した。
「ゴブリンは無視して!」
オークは2体、ゴブリンは8体、前に出てゴブリンの首を落としていくが、1体がオークの影に隠れてしまい攻撃ができない。
オークごと撃ち抜いてしまうと討伐カウントが稼げなくなるので回り込んで仕留める。
地図(強化型)スキルには表示限界ギリギリの地点に新たに3つの赤点が映っているが、まだこちらに向かって来てるわけではないので様子を見守ることにする。
こちらの戦闘音を察知すればすぐに駆け付けて来るだろう。それまでにオークを仕留められるかどうか、特に問題なのはリュードパーティーだけど……
2体のオークは当初説明したフォーメーション通りムドゥークとリュード両パーティーがそれぞれ戦っている。ウェルツパーティーは周辺警戒をしている。
ムドゥークパーティーは先ほどの戦いより安定感が増していてすぐにも倒せそうだ。
慣れかゼアータさんがもう何かアドバイスをしたのか……
いずれにせよこちらのパーティーは任せても大丈夫そうだ。
そして問題のリュードパーティーは……特に戦い方に変化はなかった。
傷を負っても回復魔法で治すのだから、もっと踏み込んで攻撃して欲しい。
いや、待てよ。
前回はウェルツパーティーの剣士が盾役を担っていたのだから、実質的にはリュードパーティー単独での戦いはこれが初めてだ。
その点を考慮すればよくやってるのかもしれない。じれったくはあるが……
既に探知済みの新たな3つの赤点が戦闘音に気付いたのかこちらへと向かって来ている。
斥候職が手を挙げて…………オークが3体だ。
ウェルツパーティーと既に戦闘を終わらせているムドゥークパーティーが迎撃に向かう。
結局リュードパーティーがオークを倒したのは新手の3体を倒した後だった。
…
……
…………
少し早いが適当に開けた場所に移動して昼休憩にした。
俺が朝食抜きなので腹減ったからという理由もちょっとだけある。
昨日ルルカとディアに大量に作ってもらったスープを皆に振る舞う。シチューは夜だ。
「私もいいのか?」
「もちろんどうぞ」
「感謝する」
ギルド職員だからって仲間外れはよくない。
つい感謝ついでに甘めの評価をお願いしたくなるけど…………まぁ無駄だろう。
「討伐数の途中経過は聞けるのか?」
「構わないぞ。現時点での討伐数は……」
ウェルツパーティー …3体
ムドゥークパーティー…3体
リュードパーティー …2体
初戦の戦闘がリュードパーティーにカウントされていることに安堵する。
同じ6等級パーティー同士でなら助っ人は有りってことかな?
でも戦闘経験を積ませるというこの依頼の目的から少しズレてしまうのだよなぁ。
午後と明日の様子を見てどうするか判断することにしよう。
ロザリナ達3人はそれぞれの担当パーティーの輪の中に入って親睦を深めている。
早速身振り手振りでアドバイスをしているのはロザリナか。
これで早めに倒せるようになるといいけど……
食後ボーっとしてるのもバツが悪いので偵察に行くことにする。表向きは今後のルートを探るためということにした。
上空から見渡せば一目瞭然で、徒歩移動なので距離が全然稼げてなく、まだまだバルーカからあまり離れられていない。
高速で飛ぶと敵の反応を見落とすので、速度を落として東のメルク方向へと飛んで行く。
東へ行くにつれて魔物の数も増加していくが、劇的な増加を示す傾向ではない。もっともそんなに増えても6等級では対応できないので却って良いのかもしれない。
それにしても午後にこれだけ東へ移動するということは、当然帰りも同じ時間を費やしてバルーカに帰らないといけないわけで……
3日目は帰る為の移動メインでほとんど狩りをする時間がないことになる。
マズイな……
なんとか帰りの移動時間を減らして狩りする時間を確保しないと。
パッと思い付くのが、北にあるバルーカとメルクを結ぶ街道に出て走って帰る方法だ。
多少時間を稼げると思うが、そんな程度では焼け石に水だろうな……
『40歳超えてからが全盛期』なんて言葉を残したのは100年ぐらい前の帝室魔術士だったかな?」
「40歳超えっ!?」
魔術士は身体能力が衰えても致命的な能力低下とはならないし、経験や修練を積めば積むほどより強力で高度な魔法を操れるので、年齢を重ねてから全盛期を迎えたと感じても不思議ではないのかもしれない。
しかし……
「それにしては冒険者でそんな年齢の魔術士は見たことがありませんよ?」
見かけるのはせいぜい30歳過ぎぐらいで、グリードさんとこのモイヤーさんや南砦で一悶着あったオグトパーティーの魔術士以上の年齢の人を見たことはない。
軍のほうには高齢の魔術士は結構いるけど。
「2等級以下で40歳過ぎて冒険者を続ける人なんてほとんどいないよ。
大抵30歳半ば過ぎれば引退して他の仕事に就くね」
「これから全盛期を迎える魔術士がどうして?」
「そりゃあ体力や精神は年相応なんだし、家族でもいれば安定を求めるのは当然だよ。
いつまでも前線を駆け回ったり、護衛依頼で長期間家を空けるなんてできなくなるのさ」
「それでも魔術士は軍に貴族に商会にと引く手あまたなので羨ましいですわ。
弓術士なんて猟師ぐらいしか技能を生かす職がありませんので」
「専門職があるだけマシだよ。
近接職なんて教える側になれなきゃ働き口はないからね!」
引退後の再就職の話か。
冒険者稼業もなんて世知辛い……
「ツトム様、話しが逸れてますよ」
「そ、そうだな。
魔術士の件は考えてはみるけど、あまり期待はしないでくれ」
俺だって地道な魔法練習をほぼ毎日続けているんだ。
短時間で上達する夢のようなやり方なんてあるわけがない。不可能だ!
結論としてはロザリナの指導力に懸かっていると言っていいだろう。
出発して割とすぐにオークとゴブリンの混成集団と遭遇した。
「ゴブリンは無視して!」
オークは2体、ゴブリンは8体、前に出てゴブリンの首を落としていくが、1体がオークの影に隠れてしまい攻撃ができない。
オークごと撃ち抜いてしまうと討伐カウントが稼げなくなるので回り込んで仕留める。
地図(強化型)スキルには表示限界ギリギリの地点に新たに3つの赤点が映っているが、まだこちらに向かって来てるわけではないので様子を見守ることにする。
こちらの戦闘音を察知すればすぐに駆け付けて来るだろう。それまでにオークを仕留められるかどうか、特に問題なのはリュードパーティーだけど……
2体のオークは当初説明したフォーメーション通りムドゥークとリュード両パーティーがそれぞれ戦っている。ウェルツパーティーは周辺警戒をしている。
ムドゥークパーティーは先ほどの戦いより安定感が増していてすぐにも倒せそうだ。
慣れかゼアータさんがもう何かアドバイスをしたのか……
いずれにせよこちらのパーティーは任せても大丈夫そうだ。
そして問題のリュードパーティーは……特に戦い方に変化はなかった。
傷を負っても回復魔法で治すのだから、もっと踏み込んで攻撃して欲しい。
いや、待てよ。
前回はウェルツパーティーの剣士が盾役を担っていたのだから、実質的にはリュードパーティー単独での戦いはこれが初めてだ。
その点を考慮すればよくやってるのかもしれない。じれったくはあるが……
既に探知済みの新たな3つの赤点が戦闘音に気付いたのかこちらへと向かって来ている。
斥候職が手を挙げて…………オークが3体だ。
ウェルツパーティーと既に戦闘を終わらせているムドゥークパーティーが迎撃に向かう。
結局リュードパーティーがオークを倒したのは新手の3体を倒した後だった。
…
……
…………
少し早いが適当に開けた場所に移動して昼休憩にした。
俺が朝食抜きなので腹減ったからという理由もちょっとだけある。
昨日ルルカとディアに大量に作ってもらったスープを皆に振る舞う。シチューは夜だ。
「私もいいのか?」
「もちろんどうぞ」
「感謝する」
ギルド職員だからって仲間外れはよくない。
つい感謝ついでに甘めの評価をお願いしたくなるけど…………まぁ無駄だろう。
「討伐数の途中経過は聞けるのか?」
「構わないぞ。現時点での討伐数は……」
ウェルツパーティー …3体
ムドゥークパーティー…3体
リュードパーティー …2体
初戦の戦闘がリュードパーティーにカウントされていることに安堵する。
同じ6等級パーティー同士でなら助っ人は有りってことかな?
でも戦闘経験を積ませるというこの依頼の目的から少しズレてしまうのだよなぁ。
午後と明日の様子を見てどうするか判断することにしよう。
ロザリナ達3人はそれぞれの担当パーティーの輪の中に入って親睦を深めている。
早速身振り手振りでアドバイスをしているのはロザリナか。
これで早めに倒せるようになるといいけど……
食後ボーっとしてるのもバツが悪いので偵察に行くことにする。表向きは今後のルートを探るためということにした。
上空から見渡せば一目瞭然で、徒歩移動なので距離が全然稼げてなく、まだまだバルーカからあまり離れられていない。
高速で飛ぶと敵の反応を見落とすので、速度を落として東のメルク方向へと飛んで行く。
東へ行くにつれて魔物の数も増加していくが、劇的な増加を示す傾向ではない。もっともそんなに増えても6等級では対応できないので却って良いのかもしれない。
それにしても午後にこれだけ東へ移動するということは、当然帰りも同じ時間を費やしてバルーカに帰らないといけないわけで……
3日目は帰る為の移動メインでほとんど狩りをする時間がないことになる。
マズイな……
なんとか帰りの移動時間を減らして狩りする時間を確保しないと。
パッと思い付くのが、北にあるバルーカとメルクを結ぶ街道に出て走って帰る方法だ。
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