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「冒険者ギルドに身分照会させてもらうが、構わないかね?」
「もちろんだ」
これでギルドが俺の身分を証明してくれれば容疑は晴れるわけだ。
わざわざバルーカに戻らなくてもよさそうだな。
上司の人が職員に指示を出してギルドへと走らせる。
「正直に言いなさい!
今ならお尻ペンペンで許してあげるから!!」
「本当のことだって!
それと、俺は子供ではないからな?」
お尻ペンペンって……
この女(=軍務ねーちゃん)、本気で俺のことを子供と思ってるぽいぞ。
俺の身分が証明されればそれも………………ん?
いや、待てよ。
確か王都のギルドでは登録してないような……
間違いない。ギルドカードを提示したことはあるけど登録自体はしていない。
つまり身分を証明することができない?
「素直にならないとお尻ペンペンよりもっと痛いお仕置きをするわよ!」
このねーちゃんのことはとりあえず無視するとして。
遣いに行った職員が戻って来て報告している。
「残念だけど君の記録は冒険者ギルドにはないとのことだ」
「やっぱり!」
想定内ではあるが……
「ただ、君のことを覚えている職員がいてね、会えば確認できるとのことだった」
お、誰だろう? 受付嬢かな?
「ではこれからギルドに?」
「それには及ばない。
元々貴族の紹介状があっても身元調査は行う決まりだ。
1ヵ月後ぐらいにまた来なさい」
「わかりました」
元々聞かされていた待つ時間と同じだ。
さすがにこの上司は紹介状を盗んだ云々は眉唾に感じていたのだろう。
もっと金銭が絡むことに使わないと盗んだ意味がないしな。
その上司の後ろでペンペーンと尻を叩く仕草をしている軍務ねーちゃんはもうどうしようもない。
しかし……ああもムキになる姿を見ると、逆に子供が大好きなのではないだろうか?
(ゾクゾク!?)
同じ王都という場所だからだろうか?
同系統の性癖を持ってそうな商業ギルドのエメリナさんが思い出される。
王都にいる女性は結構危ない嗜好の持ち主が多いのだろうか?
そう言えばティリアさんも…………
なんかこれ以上踏み込むのは危険な匂いがするので止めておこう……
…
……
…………
ベルガーナ王都からアルタナ王都へは初めての道のりだ。
大体の目安を設けて南西へ向けて飛んでいるものの、間違いなくぴったりとはアルタナ王都に到着しないだろう。
もしアルタナ王都を飛び過ごしてしまうと、この大陸西部で盛大に迷子になってしまうのだが、その心配はないと自信を持って言える。
なぜなら、南の防壁であるルミナス大要塞から俺がレイシス姫を救ったレグの街を経由して、アルタナ王都から北のグラバラス帝国領までを結ぶ街道は中々に立派で、このアルタナ王国を南北に走る大動脈を見逃すはずがないからだ。
ベルガーナ王国西部とアルタナ王国東部の山あいを、幾つかの小さな村を眼下に納めつつ飛んで行くと南北に走る街道へと辿り着く。
ここからアルタナ王都へは南か北のいずれかになるけど、感覚的に北はないだろうと南へ飛んで行く。
念の為に途中見つけた街道沿いにある売店というか休憩所的なとこで王都の場所を確認する。
南という方角は問題なかったが、まだ王都までそこそこ距離があったのは想定外だった。思ったよりも北寄りに飛んでいたようだ。
アルタナ王都に到着後、すぐ王城に行き面会手続きを済ませる。
しばらく待った後で案内されたのは、これまでの謁見の間ではなくレイシス姫の自室だった。
恐らくバルーカから持ってきたアイスクリームとプリンを即食べるためだろうけど。
バルーカから姫を送った際には、隣にある衣裳部屋みたいなところには荷物を置くために入ったけど、当然自室にまでは入ってないのでもう心臓バクバクである。
「レ、レイシス様お望みの品を献上しに参上致しました」
「ツムリーソ、ご苦労でしたね」
「いえ、レイシス様のためとあればお安い御用にございまする」
レイシス姫の自室はかなりの広さがあることを除けば思いの外普通だった。
もちろん家具や調度品は目が飛び出るほどの高級品なんだろうけど、豪華絢爛って感じではない。
ただ1点、天蓋付きのベッドだけはお姫様らしさを猛烈にアピールしていた。
「何をしているのです? そちらにお掛けなさい」
片膝を着いてる俺に対面に座るよう促された。
「し、失礼します」
今日のレイシス姫はドレス姿ではないものの、見るからに高級そうなお召し物だ。
相変わらず肌色部分が少ないのは残念だが、衣装そのものが胸部を強調する形状になっていてどうしても目線が……
「まずはこちらのプリンからどうぞ」
レイシス姫はなぜかスプーンですくったプリンを目の前で揺らしてから口に運んだ。
次も揺らしてプリンがぷるぷるするのを満足気に眺めてから口に入れる。
揺らす動作をするたびにお胸も連動してぷるぷる揺れてるのが素晴らしい!
どのぐらいの大きさだろうか?
ディアぐらいありそうに見えるが、衣装越しなのを考慮するとロザリナぐらいか?
おっと、もう食べ終わりそうだ。
「次はアイスクリームをお召し上がりください。
冷えてますのでご注意を」
今度は揺らさずに普通に口へと運んでいる。
くっ、残念だ?!
「この2品ともそなたが作ったというのは本当ですか?」
「はい。今お出しした品は店売りの物ですが、初め自分が作ったのは本当です」
「どうしてツムリーソが自身で作ったのを持参しなかったのですか?」
「自分は料理に関しては素人ですので、プロ……専門の職人が作ったほうが味は確かなのです」
まさか自分で作るのが面倒で店売りの商品にしたとは言えないし!?
でも間違ったことは言ってない。
プロに任せた方が安全でもある。
「それに個人では質の高い素材はどうしても手に入りにくく、大手商会のほうが材料の入手は有利なのです」
これも本当のことだ。
以前試食した時は特に卵の違いが大きいと感じた記憶がある。
ん?
レイシス姫がなんだかソワソワと……
この感じはルルカとロザリナで学習済みだった俺は、収納からさらにおかわりをお出しすることにした。
「もちろんだ」
これでギルドが俺の身分を証明してくれれば容疑は晴れるわけだ。
わざわざバルーカに戻らなくてもよさそうだな。
上司の人が職員に指示を出してギルドへと走らせる。
「正直に言いなさい!
今ならお尻ペンペンで許してあげるから!!」
「本当のことだって!
それと、俺は子供ではないからな?」
お尻ペンペンって……
この女(=軍務ねーちゃん)、本気で俺のことを子供と思ってるぽいぞ。
俺の身分が証明されればそれも………………ん?
いや、待てよ。
確か王都のギルドでは登録してないような……
間違いない。ギルドカードを提示したことはあるけど登録自体はしていない。
つまり身分を証明することができない?
「素直にならないとお尻ペンペンよりもっと痛いお仕置きをするわよ!」
このねーちゃんのことはとりあえず無視するとして。
遣いに行った職員が戻って来て報告している。
「残念だけど君の記録は冒険者ギルドにはないとのことだ」
「やっぱり!」
想定内ではあるが……
「ただ、君のことを覚えている職員がいてね、会えば確認できるとのことだった」
お、誰だろう? 受付嬢かな?
「ではこれからギルドに?」
「それには及ばない。
元々貴族の紹介状があっても身元調査は行う決まりだ。
1ヵ月後ぐらいにまた来なさい」
「わかりました」
元々聞かされていた待つ時間と同じだ。
さすがにこの上司は紹介状を盗んだ云々は眉唾に感じていたのだろう。
もっと金銭が絡むことに使わないと盗んだ意味がないしな。
その上司の後ろでペンペーンと尻を叩く仕草をしている軍務ねーちゃんはもうどうしようもない。
しかし……ああもムキになる姿を見ると、逆に子供が大好きなのではないだろうか?
(ゾクゾク!?)
同じ王都という場所だからだろうか?
同系統の性癖を持ってそうな商業ギルドのエメリナさんが思い出される。
王都にいる女性は結構危ない嗜好の持ち主が多いのだろうか?
そう言えばティリアさんも…………
なんかこれ以上踏み込むのは危険な匂いがするので止めておこう……
…
……
…………
ベルガーナ王都からアルタナ王都へは初めての道のりだ。
大体の目安を設けて南西へ向けて飛んでいるものの、間違いなくぴったりとはアルタナ王都に到着しないだろう。
もしアルタナ王都を飛び過ごしてしまうと、この大陸西部で盛大に迷子になってしまうのだが、その心配はないと自信を持って言える。
なぜなら、南の防壁であるルミナス大要塞から俺がレイシス姫を救ったレグの街を経由して、アルタナ王都から北のグラバラス帝国領までを結ぶ街道は中々に立派で、このアルタナ王国を南北に走る大動脈を見逃すはずがないからだ。
ベルガーナ王国西部とアルタナ王国東部の山あいを、幾つかの小さな村を眼下に納めつつ飛んで行くと南北に走る街道へと辿り着く。
ここからアルタナ王都へは南か北のいずれかになるけど、感覚的に北はないだろうと南へ飛んで行く。
念の為に途中見つけた街道沿いにある売店というか休憩所的なとこで王都の場所を確認する。
南という方角は問題なかったが、まだ王都までそこそこ距離があったのは想定外だった。思ったよりも北寄りに飛んでいたようだ。
アルタナ王都に到着後、すぐ王城に行き面会手続きを済ませる。
しばらく待った後で案内されたのは、これまでの謁見の間ではなくレイシス姫の自室だった。
恐らくバルーカから持ってきたアイスクリームとプリンを即食べるためだろうけど。
バルーカから姫を送った際には、隣にある衣裳部屋みたいなところには荷物を置くために入ったけど、当然自室にまでは入ってないのでもう心臓バクバクである。
「レ、レイシス様お望みの品を献上しに参上致しました」
「ツムリーソ、ご苦労でしたね」
「いえ、レイシス様のためとあればお安い御用にございまする」
レイシス姫の自室はかなりの広さがあることを除けば思いの外普通だった。
もちろん家具や調度品は目が飛び出るほどの高級品なんだろうけど、豪華絢爛って感じではない。
ただ1点、天蓋付きのベッドだけはお姫様らしさを猛烈にアピールしていた。
「何をしているのです? そちらにお掛けなさい」
片膝を着いてる俺に対面に座るよう促された。
「し、失礼します」
今日のレイシス姫はドレス姿ではないものの、見るからに高級そうなお召し物だ。
相変わらず肌色部分が少ないのは残念だが、衣装そのものが胸部を強調する形状になっていてどうしても目線が……
「まずはこちらのプリンからどうぞ」
レイシス姫はなぜかスプーンですくったプリンを目の前で揺らしてから口に運んだ。
次も揺らしてプリンがぷるぷるするのを満足気に眺めてから口に入れる。
揺らす動作をするたびにお胸も連動してぷるぷる揺れてるのが素晴らしい!
どのぐらいの大きさだろうか?
ディアぐらいありそうに見えるが、衣装越しなのを考慮するとロザリナぐらいか?
おっと、もう食べ終わりそうだ。
「次はアイスクリームをお召し上がりください。
冷えてますのでご注意を」
今度は揺らさずに普通に口へと運んでいる。
くっ、残念だ?!
「この2品ともそなたが作ったというのは本当ですか?」
「はい。今お出しした品は店売りの物ですが、初め自分が作ったのは本当です」
「どうしてツムリーソが自身で作ったのを持参しなかったのですか?」
「自分は料理に関しては素人ですので、プロ……専門の職人が作ったほうが味は確かなのです」
まさか自分で作るのが面倒で店売りの商品にしたとは言えないし!?
でも間違ったことは言ってない。
プロに任せた方が安全でもある。
「それに個人では質の高い素材はどうしても手に入りにくく、大手商会のほうが材料の入手は有利なのです」
これも本当のことだ。
以前試食した時は特に卵の違いが大きいと感じた記憶がある。
ん?
レイシス姫がなんだかソワソワと……
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