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268-第11章 4等級昇格試験編
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バルーカに戻った俺は2人と別れて城に行き、姫様とロイター子爵に面会を申し込んだ。
謁見の間にて1週間ぶりにお会いしたイリス様は、露出こそやや少ないものの神々しいまでの美しさは相変わらずで、見る者の視線を捉えて離さない。
本日は久々に姫様と1対1の謁見である。もっとも側付きの護衛や侍女は控えているので2人きりで会っているわけではない。
「…………残念ながら本選では1回戦で敗退してしまいました。
こちらが本選を扱った冊子となります」
購入した3冊の内の1冊を補佐官であるマイナさんに渡した。
「武闘大会では予選を突破することすら大変難儀なことです。
ツトム、よく頑張りましたね」
「ありがたきお言葉にございます」
姫様に素直に褒められると癒されるわぁ。
どこぞの姫君にも見習って欲しいものだ。
「それと一昨日にアルタナの王都において…………」
魔族が『擬態』という能力で人に化けて潜入していたこと。
レイシス姫に助力を仰いだものの逃げられてしまったことなどを報告した。
「その件に関しましては、昨日王都からの伝令にて聞いております。
そなたやレイシスが関わっていたことは初耳でしたが」
南部3国での情報共有はきっちり成されているということか。
「そのレイシス様から姫様宛にお手紙を預かっております」
再びマイナさんを経由して姫様へ。
「…………レイシスは今後もそなたの力を借りたいそうよ。どうかしら?」
「もちろんイリス様をお慕いする者同士、これからも可能な限りお力添えしたく存じます」
「お願いね。
レイシスも私の状況関係なく慕ってくれるいい子だから」
とても柔らかい表情をされるイリス姫。
レイシス姫を妹のように想っているのが真実だとわかる。
「それにしても……
レイシスはそなたのことを随分と気に入ってるようね」
「アルタナ王国が魔術士を欲しているようでして……」
「クスクスクス、本当にそれだけかしら?」
それ以外の理由はなさそうな……
「それと前回は急用が入ってしまい申し訳ないことをしました」
前回とはアルタナ王国に行く前に姫様が褒美として俺と2人きりで会った日のことだ。
結局姫様側の都合で20分ほどで強制終了となってしまったのだ。
「いえ、例え短時間であってもイリス様と過ごした時間は何事にも代えがたく」
「ふふふ、近い内に時間を作ってまた2人で過ごしましょう」
「楽しみにお待ちしております!」
やった!
実質的にはまたご褒美を頂いたようなものだ!!
次はロイター子爵との面会だ。
「やあツトム君、武闘大会の結果はどうだったかな?」
「予選は突破できました。残念ながら本選では1回戦で敗退してしまいましたが……」
本選の冊子を子爵にも渡す。
「本選に進出したなんて凄いじゃないか!
魔術士が予選を勝ち抜くなんてちょっと記憶にないからねぇ」
子爵はパラパラと冊子をめくっている。
今日はナナイさんが不在なのが残念だ。
しばらくあの魅惑のおみ足を拝見していない。
「ほぉ~、君ノーシードだったんだね。
てっきりシードされてるとばかり思っていたけど」
「予備予選は結構素人さんが参加してましたよ」
「まぁ何はともあれ条件クリアおめでとう!
これが約束の伯爵閣下の紹介状だ」
「ありがたく頂戴致します」
この紹介状を手に入れるのに結構苦労したなぁ。
「もっとも閣下の紹介状でも許可が下りるのにはかなり待つことになるだろう」
「軍務部で1ヵ月は待つことになると言われています」
「怪しい人物でないかちゃんと調査しないといけないから、それぐらいの期間待つのは仕方ないね」
調査か……大丈夫かなぁ……
調べられてマズいのは冒険者になる以前のことだ。
何せ自分が存在したということを何も証明できないからな。
皆にしている『超常現象によってどこかからか飛ばされてきた』という説明をどこまで信じてくれるか……
落ち着け……この手の調査で人を派遣して調べるなんてことはまずない。
大抵が書簡のやり取りで終わらせるはずだ。
俺の場合は冒険者ギルドに活動記録の提出を求めるはず。
なので冒険者になる以前のことを調べられることはまずない……と思う。
「既に報告を受けられている件ですが、一昨日にアルタナの王都において…………」
先ほどの姫様と同じように魔族が潜入していたことを話した。
「君が発見者だったか……」
ロイター子爵は机の上に積み上げられている資料の中から1枚を取り出し、
「第1報なので検討は後に回していたのだけど、どんな方法で見つけたんだい?」
ランテスやレイシス姫にした説明と同じく、『魔物の気配を感じた』と主張した。
加えて、
「街中で矢を受けて以来、常に警戒しながら過ごしてましたし、警戒しながら強敵と戦ったのも影響したのかもしれません」
「ツトム君には斥候職の適性もあったということかな。
早急に対応しないといけないのは、君が魔族を発見した際の対処方法だ。
確認するが、君1人では捕縛は無理なんだね?」
「はい。倒せるかどうかも不明なので、捕縛なんてとても……」
そもそも魔物すら捕えるなんてやったことないしな。
「ふむ……、捕縛能力に特化したチームを作るか……その場合の連絡手段は? 指揮官は誰にする? …………」
考え込むロイター子爵を見ると、早急に対応するというのは難しそうだ。
「…………ツトム君、緊急時に備えて待機している各小隊に君の指示も聞くように通達を出しておくよ。
あくまでも暫定的な措置だけどね」
いっ!?
「自分には指揮なんてできませんけど」
「部隊の指揮自体は小隊長が行うから心配はいらない。
君には魔族の居場所だけ教えてくれればそれでいい」
「それでしたら」
「ただし!
待機している小隊の強さはそれほどでもない。
冒険者で例えるとしたら4等級クラスだろう」
4等級クラスって結構強いと思うけどな。
なんせついこの間までバルーカのトップは4等級だったのだし。
「なので君にはなるべく犠牲が出ないような配慮を期待したい」
「それって実質的には自分に前面に出て戦えって言ってるようなものですよね?」
「私はあくまでも期待してるだけだよ」
だったら目を逸らさずにちゃんと話して欲しい。
謁見の間にて1週間ぶりにお会いしたイリス様は、露出こそやや少ないものの神々しいまでの美しさは相変わらずで、見る者の視線を捉えて離さない。
本日は久々に姫様と1対1の謁見である。もっとも側付きの護衛や侍女は控えているので2人きりで会っているわけではない。
「…………残念ながら本選では1回戦で敗退してしまいました。
こちらが本選を扱った冊子となります」
購入した3冊の内の1冊を補佐官であるマイナさんに渡した。
「武闘大会では予選を突破することすら大変難儀なことです。
ツトム、よく頑張りましたね」
「ありがたきお言葉にございます」
姫様に素直に褒められると癒されるわぁ。
どこぞの姫君にも見習って欲しいものだ。
「それと一昨日にアルタナの王都において…………」
魔族が『擬態』という能力で人に化けて潜入していたこと。
レイシス姫に助力を仰いだものの逃げられてしまったことなどを報告した。
「その件に関しましては、昨日王都からの伝令にて聞いております。
そなたやレイシスが関わっていたことは初耳でしたが」
南部3国での情報共有はきっちり成されているということか。
「そのレイシス様から姫様宛にお手紙を預かっております」
再びマイナさんを経由して姫様へ。
「…………レイシスは今後もそなたの力を借りたいそうよ。どうかしら?」
「もちろんイリス様をお慕いする者同士、これからも可能な限りお力添えしたく存じます」
「お願いね。
レイシスも私の状況関係なく慕ってくれるいい子だから」
とても柔らかい表情をされるイリス姫。
レイシス姫を妹のように想っているのが真実だとわかる。
「それにしても……
レイシスはそなたのことを随分と気に入ってるようね」
「アルタナ王国が魔術士を欲しているようでして……」
「クスクスクス、本当にそれだけかしら?」
それ以外の理由はなさそうな……
「それと前回は急用が入ってしまい申し訳ないことをしました」
前回とはアルタナ王国に行く前に姫様が褒美として俺と2人きりで会った日のことだ。
結局姫様側の都合で20分ほどで強制終了となってしまったのだ。
「いえ、例え短時間であってもイリス様と過ごした時間は何事にも代えがたく」
「ふふふ、近い内に時間を作ってまた2人で過ごしましょう」
「楽しみにお待ちしております!」
やった!
実質的にはまたご褒美を頂いたようなものだ!!
次はロイター子爵との面会だ。
「やあツトム君、武闘大会の結果はどうだったかな?」
「予選は突破できました。残念ながら本選では1回戦で敗退してしまいましたが……」
本選の冊子を子爵にも渡す。
「本選に進出したなんて凄いじゃないか!
魔術士が予選を勝ち抜くなんてちょっと記憶にないからねぇ」
子爵はパラパラと冊子をめくっている。
今日はナナイさんが不在なのが残念だ。
しばらくあの魅惑のおみ足を拝見していない。
「ほぉ~、君ノーシードだったんだね。
てっきりシードされてるとばかり思っていたけど」
「予備予選は結構素人さんが参加してましたよ」
「まぁ何はともあれ条件クリアおめでとう!
これが約束の伯爵閣下の紹介状だ」
「ありがたく頂戴致します」
この紹介状を手に入れるのに結構苦労したなぁ。
「もっとも閣下の紹介状でも許可が下りるのにはかなり待つことになるだろう」
「軍務部で1ヵ月は待つことになると言われています」
「怪しい人物でないかちゃんと調査しないといけないから、それぐらいの期間待つのは仕方ないね」
調査か……大丈夫かなぁ……
調べられてマズいのは冒険者になる以前のことだ。
何せ自分が存在したということを何も証明できないからな。
皆にしている『超常現象によってどこかからか飛ばされてきた』という説明をどこまで信じてくれるか……
落ち着け……この手の調査で人を派遣して調べるなんてことはまずない。
大抵が書簡のやり取りで終わらせるはずだ。
俺の場合は冒険者ギルドに活動記録の提出を求めるはず。
なので冒険者になる以前のことを調べられることはまずない……と思う。
「既に報告を受けられている件ですが、一昨日にアルタナの王都において…………」
先ほどの姫様と同じように魔族が潜入していたことを話した。
「君が発見者だったか……」
ロイター子爵は机の上に積み上げられている資料の中から1枚を取り出し、
「第1報なので検討は後に回していたのだけど、どんな方法で見つけたんだい?」
ランテスやレイシス姫にした説明と同じく、『魔物の気配を感じた』と主張した。
加えて、
「街中で矢を受けて以来、常に警戒しながら過ごしてましたし、警戒しながら強敵と戦ったのも影響したのかもしれません」
「ツトム君には斥候職の適性もあったということかな。
早急に対応しないといけないのは、君が魔族を発見した際の対処方法だ。
確認するが、君1人では捕縛は無理なんだね?」
「はい。倒せるかどうかも不明なので、捕縛なんてとても……」
そもそも魔物すら捕えるなんてやったことないしな。
「ふむ……、捕縛能力に特化したチームを作るか……その場合の連絡手段は? 指揮官は誰にする? …………」
考え込むロイター子爵を見ると、早急に対応するというのは難しそうだ。
「…………ツトム君、緊急時に備えて待機している各小隊に君の指示も聞くように通達を出しておくよ。
あくまでも暫定的な措置だけどね」
いっ!?
「自分には指揮なんてできませんけど」
「部隊の指揮自体は小隊長が行うから心配はいらない。
君には魔族の居場所だけ教えてくれればそれでいい」
「それでしたら」
「ただし!
待機している小隊の強さはそれほどでもない。
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なんせついこの間までバルーカのトップは4等級だったのだし。
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