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約1ヵ月ぶりに帝都ラスティヒルに訪れた。
帝都の奴隷商は複数の商人が集まって奴隷市を形成している。
コの字型に並んでいる建物の中央スペースで奴隷が売られているが、前回来た時よりも展示されている奴隷の数が多いように思える。
そこを突っ切って正面奥にある大きな建物に入った。
「店内で扱ってる奴隷を見たいのだが」
前回来店時の預かり証書を受付に渡す。
「しばらくお待ちください」
奥へと引っ込んだ受付が見知らぬ若い男性と共に戻ってきた。
「お待たせしました。
只今担当者が仕入れに出ておりまして、代わりに私が案内させて頂きます」
あの中年の奴隷商人はいないのか。
仕入れってつまりは人買いってことだろ?
生々しい場面を想像してしまうがそれは今は関係ないとして、仕入れ前に来てしまったということは店内は品薄なのだろう。こればかりは事前に知りようがないので仕方ないのだけど……
「本日はどのような奴隷をお求めでしょう?」
「30代前半の女性の戦闘奴隷が見たい」
「かしこまりました。こちらへどうぞ」
階段を上がり3階へ。
「こちらの部屋は魔術士、32歳でございます」
おぉ!
茶髪ロングの美人でスタイルもいい。
お山は…………普通ぐらい?
「価格は320万クルツとなっております」
さすがに魔術士は高いな。
しかし! 今の俺はクルツだけでも 900万弱所持しているから買えるのだ!
だけど……
一応護衛役として新たな奴隷を購入することになっている以上、魔術士だと厳しいか? せめて、
「マジックシールドは使えるか? 探しているのは護衛役なのでな」
「し、しばらくお待ちください」
案内人は部屋に入り茶髪ロングと話している。
つかこの茶髪ロングは個室を与えられている。それだけ腕が良いってことか?
隣の部屋にいるのも魔術士だと思うが、10代~20代の3人の女性がいる。
「お待たせしました。
マジックシールドは使えず、人を護衛した経験もないとのこと」
「そうか……仕方ない。次案内してくれ」
「かしこまりました」
せっかくの美人だったけど護衛する手段がなければどうしようもない。
まさか街中で魔法をぶっ放す訳にもいかないし。
「先ほどの魔術士は腕が良いのか?」
「魔法の腕前まではわかり兼ねますが、飛行魔法と収納魔法が使えますのでその分お高くなっております」
「ほぉ……」
飛行と収納の2つの魔法が使えるなら稼ぎ放題だろう。
300万クルツ以上で購入しても2年以内には買い値以上の額を稼ぎ出すはずだ。
もっとも飛行魔法と収納魔法に通常以上の性能があれば、の話だけど。
「こちらの区画は近接戦闘職となっております」
案内人が両開きの大きな扉を開けると、大部屋の中央に通路があり、両側に奴隷達が待機している。
奴隷は30人以上いるようで、各々座っていたり筋トレしたりで自由にしてる感じだ。
俺以外にも客がいて案内人の説明を受けながら奴隷を触ったりしている。
「気になる奴隷がおりましたらお声掛けください」
じっくりと見ていくが、やはり近接戦闘職だけあってパワータイプが多い。筋骨隆々のマッスルボディはその手のフェチには垂涎の的なのだろうが、俺はちょっと遠慮したい。
スピードタイプや剣術を極めるタイプはいないだろうか?
俺が視線を向けるときちんとお辞儀する者、我関せずで無視を決め込む者、筋肉をアピールしてくる者、ボディビルダーみたいに決めポーズをする者など様々だ。
なぜか俺の姿を見ながら舌舐めずりしている巨漢戦士には悪寒が走ったけど。
普通の体型をしている奴隷も2人いたが、1人は部屋の隅で丸くなっていてスタイルがわからず、もう1人はひんぬーさんだった。
「他も見たい」
「かしこまりました」
「坊主、買っておくれよ~」「サービスするよっ!」「気持ち良くしてあげるからさぁ」
部屋を出る際に声が掛かるが……
行儀正しい人もいたので買ってあげたいと思わないでもないけど、いきなり2人追加とかはマズイよなぁ。
でもいい女性が2人見つかれば……
2人同時購入もアリか!
彼女らの主人は俺なのだ。何名増やすかの決定権は俺にある!!
「ところで、先ほどの奴隷達は特に拘束されたりもせずに部屋の中で自由にしていたが、いくら武器がなくとも逃亡や反乱といった恐れはないのか?」
「それは大丈夫です。
彼女達は私共に買われる際に保証人を用意しております」
「保証人?」
「はい。
お客様に買われるまでの間、奴隷商に不利益な行動をした際にはその保証人が責任を負うことになるのです。
保証人は奴隷の家族か一定の地位にいる者に限られます」
ふむ……
ロザリナの時の保証人はおそらく妹であるサリアさんだろう。
ではルルカの時は?
ルルカが奴隷落ちした際は家族はワナークに移動済みだったはずだ。
債権奴隷だったからか? 債権者は一定の地位にいる者ばかりだろうし。
「保証人を用意できない者は買い取りしないのか?」
「いえ、その場合ですと価格を下げて買い取り致します。
さらにその場での支払いはせずに奴隷が売れた際に支払う形となります」
支払う際にさらに手数料でも徴収しているのだろう。
奴隷を売る際は保証人を用意したほうがお得ってことか。
「こちらが弓職と斥候職の展示場となっております」
どちらの職も護衛には向いてそうにない。
斥候職ならその特性を生かして危険を事前に回避できたり……そんな都合よくはいかないか。
中をザッと見たもののほとんどが20代で論外だった。
「これで全てなのか?」
せっかく帝都まで来たのに収穫なしはキツイな。
「他に高額な奴隷も扱っておりますが……」
お!?
とっておきがまだあるのか!
「見せてくれ」
「その、大変申し上げにくいのですが、冷やかし防止の為にご購入される用意があることを提示して頂きませんと……」
「所持金を見せればいいのか?」
収納から帝国白金貨を出して見せた。
「こちらへどうぞ」
文字通りの現金なことだ。
案内された場所は今までの雑居タイプではなく、1人1部屋の個室タイプだ。
もちろん通路側から中は丸見えで、最初の部屋には貴婦人が椅子に座って本を読んでいる。
「元伯爵家側室で36歳。家が取り潰された際に奴隷落ちしました」
俺達の声は聞こえているはずだがガン無視して読書している。
顔が見える位置に移動してみると、全体像からも察せられたが美人さんだ。
上流階級系統の顔立ちで姫様やレイシス姫の雰囲気に通ずるものがある。
お山も大きそうで大変よろしい。
36歳というルルカよりも年上なのが引っ掛かるけど……
「(キィッ!!)」
に、睨まれた?!
まさか年齢に引っ掛かっていたのがバレたか?
それにしても……
「彼女は戦えるのか?」
「いえ、元貴族ということでお高くなっております」
護衛役を探しているって言ったよね?!
帝都の奴隷商は複数の商人が集まって奴隷市を形成している。
コの字型に並んでいる建物の中央スペースで奴隷が売られているが、前回来た時よりも展示されている奴隷の数が多いように思える。
そこを突っ切って正面奥にある大きな建物に入った。
「店内で扱ってる奴隷を見たいのだが」
前回来店時の預かり証書を受付に渡す。
「しばらくお待ちください」
奥へと引っ込んだ受付が見知らぬ若い男性と共に戻ってきた。
「お待たせしました。
只今担当者が仕入れに出ておりまして、代わりに私が案内させて頂きます」
あの中年の奴隷商人はいないのか。
仕入れってつまりは人買いってことだろ?
生々しい場面を想像してしまうがそれは今は関係ないとして、仕入れ前に来てしまったということは店内は品薄なのだろう。こればかりは事前に知りようがないので仕方ないのだけど……
「本日はどのような奴隷をお求めでしょう?」
「30代前半の女性の戦闘奴隷が見たい」
「かしこまりました。こちらへどうぞ」
階段を上がり3階へ。
「こちらの部屋は魔術士、32歳でございます」
おぉ!
茶髪ロングの美人でスタイルもいい。
お山は…………普通ぐらい?
「価格は320万クルツとなっております」
さすがに魔術士は高いな。
しかし! 今の俺はクルツだけでも 900万弱所持しているから買えるのだ!
だけど……
一応護衛役として新たな奴隷を購入することになっている以上、魔術士だと厳しいか? せめて、
「マジックシールドは使えるか? 探しているのは護衛役なのでな」
「し、しばらくお待ちください」
案内人は部屋に入り茶髪ロングと話している。
つかこの茶髪ロングは個室を与えられている。それだけ腕が良いってことか?
隣の部屋にいるのも魔術士だと思うが、10代~20代の3人の女性がいる。
「お待たせしました。
マジックシールドは使えず、人を護衛した経験もないとのこと」
「そうか……仕方ない。次案内してくれ」
「かしこまりました」
せっかくの美人だったけど護衛する手段がなければどうしようもない。
まさか街中で魔法をぶっ放す訳にもいかないし。
「先ほどの魔術士は腕が良いのか?」
「魔法の腕前まではわかり兼ねますが、飛行魔法と収納魔法が使えますのでその分お高くなっております」
「ほぉ……」
飛行と収納の2つの魔法が使えるなら稼ぎ放題だろう。
300万クルツ以上で購入しても2年以内には買い値以上の額を稼ぎ出すはずだ。
もっとも飛行魔法と収納魔法に通常以上の性能があれば、の話だけど。
「こちらの区画は近接戦闘職となっております」
案内人が両開きの大きな扉を開けると、大部屋の中央に通路があり、両側に奴隷達が待機している。
奴隷は30人以上いるようで、各々座っていたり筋トレしたりで自由にしてる感じだ。
俺以外にも客がいて案内人の説明を受けながら奴隷を触ったりしている。
「気になる奴隷がおりましたらお声掛けください」
じっくりと見ていくが、やはり近接戦闘職だけあってパワータイプが多い。筋骨隆々のマッスルボディはその手のフェチには垂涎の的なのだろうが、俺はちょっと遠慮したい。
スピードタイプや剣術を極めるタイプはいないだろうか?
俺が視線を向けるときちんとお辞儀する者、我関せずで無視を決め込む者、筋肉をアピールしてくる者、ボディビルダーみたいに決めポーズをする者など様々だ。
なぜか俺の姿を見ながら舌舐めずりしている巨漢戦士には悪寒が走ったけど。
普通の体型をしている奴隷も2人いたが、1人は部屋の隅で丸くなっていてスタイルがわからず、もう1人はひんぬーさんだった。
「他も見たい」
「かしこまりました」
「坊主、買っておくれよ~」「サービスするよっ!」「気持ち良くしてあげるからさぁ」
部屋を出る際に声が掛かるが……
行儀正しい人もいたので買ってあげたいと思わないでもないけど、いきなり2人追加とかはマズイよなぁ。
でもいい女性が2人見つかれば……
2人同時購入もアリか!
彼女らの主人は俺なのだ。何名増やすかの決定権は俺にある!!
「ところで、先ほどの奴隷達は特に拘束されたりもせずに部屋の中で自由にしていたが、いくら武器がなくとも逃亡や反乱といった恐れはないのか?」
「それは大丈夫です。
彼女達は私共に買われる際に保証人を用意しております」
「保証人?」
「はい。
お客様に買われるまでの間、奴隷商に不利益な行動をした際にはその保証人が責任を負うことになるのです。
保証人は奴隷の家族か一定の地位にいる者に限られます」
ふむ……
ロザリナの時の保証人はおそらく妹であるサリアさんだろう。
ではルルカの時は?
ルルカが奴隷落ちした際は家族はワナークに移動済みだったはずだ。
債権奴隷だったからか? 債権者は一定の地位にいる者ばかりだろうし。
「保証人を用意できない者は買い取りしないのか?」
「いえ、その場合ですと価格を下げて買い取り致します。
さらにその場での支払いはせずに奴隷が売れた際に支払う形となります」
支払う際にさらに手数料でも徴収しているのだろう。
奴隷を売る際は保証人を用意したほうがお得ってことか。
「こちらが弓職と斥候職の展示場となっております」
どちらの職も護衛には向いてそうにない。
斥候職ならその特性を生かして危険を事前に回避できたり……そんな都合よくはいかないか。
中をザッと見たもののほとんどが20代で論外だった。
「これで全てなのか?」
せっかく帝都まで来たのに収穫なしはキツイな。
「他に高額な奴隷も扱っておりますが……」
お!?
とっておきがまだあるのか!
「見せてくれ」
「その、大変申し上げにくいのですが、冷やかし防止の為にご購入される用意があることを提示して頂きませんと……」
「所持金を見せればいいのか?」
収納から帝国白金貨を出して見せた。
「こちらへどうぞ」
文字通りの現金なことだ。
案内された場所は今までの雑居タイプではなく、1人1部屋の個室タイプだ。
もちろん通路側から中は丸見えで、最初の部屋には貴婦人が椅子に座って本を読んでいる。
「元伯爵家側室で36歳。家が取り潰された際に奴隷落ちしました」
俺達の声は聞こえているはずだがガン無視して読書している。
顔が見える位置に移動してみると、全体像からも察せられたが美人さんだ。
上流階級系統の顔立ちで姫様やレイシス姫の雰囲気に通ずるものがある。
お山も大きそうで大変よろしい。
36歳というルルカよりも年上なのが引っ掛かるけど……
「(キィッ!!)」
に、睨まれた?!
まさか年齢に引っ掛かっていたのがバレたか?
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