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声のしたリビングに行ってみると、ロザリナがうつむき加減で消沈しているようだ。
「どうしたんだ?」
「ロザリナがゴルグを飲んでいても妊娠することを知っていながら黙っていたと」
「……申し訳ございません」
やはり知っていたのか。
とりあえずルルカをロザリナの隣に座らせて対面に座った。
「どうして黙っていたんだ?」
「……ツ、ツトム様のお子を授かりたかったのです!」
そりゃあ目的なんてそれしかないけどさ。
つか、そうハッキリと言われるとインパクトでかいな。
続きを促してみると、
「元々この歳まで結婚できなかったのですから子を成すことも諦め気味だったのです。
その上奴隷落ちしましたのでそのような願望は一度は捨て去ったのですが、ツトム様に買われて幾度となく抱かれる内に妊娠したいという想いが抑えられなくなって……」
「とりあえず確認しておきたいが、今現在妊娠しているのか?」
「していません」
「ゴルグ自体はきちんと飲んでいたのか?」
「はい。飲んでいました」
う~~ん、どうするかコレは……
まずは年長者に聞くべきか。
「ルルカ、どう見る?」
「私も失念しておりましたので偉そうなことは言えないのですが、奴隷が主の許可なく子を宿そうとするなど許されざることです。
ただ……」
「ただ?」
「同じ女性としてロザリナの気持ちも理解できます。
もし私に子供がいなかったらツトムさんの子を望んでいたかもしれません」
「ルルカさん…………」
これゴルグがどうとかではなく、ロザリナに俺の子供を産ませるかどうかってことだよな。
正直帰りの休憩時にルルカから聞かされるまで、子供のことなんて全く意識していなかったからなぁ。
仮に俺が拒絶するとロザリナは生涯子供が産めない訳だ。これはさすがに重過ぎて俺が背負うのは無理だ。
かといって他の男と子作りさせる……なんて論外だ。絶対にあり得ない。
あとはロザリナを売るまたは解放するという手段もあるが……まぁこんな美女、しかも俺に従順な女性を手放すなんてこちらも論外だ。
結局は覚悟を決めるしかない感じか?
いや……、まだ年齢の問題がある。
この世界で高齢出産は命に関わるので避ける傾向にある。
「一般的には30過ぎた出産はリスクがあると言われているが、その辺りはどうなんだ?」
地球だったら医学が進んでいるから30代での出産なんて当たり前なんだけどな。
いや、安全なのは先進諸国だけだっけ? どうだったか……
それと35歳以上での出産だと母体と胎児共にリスクが高まるのは知っている。
「普通の女性と比べたらロザリナはずっと体力がありますし、ツトムさんの回復魔法もあります。
確実さを保証できる訳ではありませんが、まず大丈夫です」
「私は例え命を失うことになったとしても悔いはありません!」
それは俺が困るよ!
ったく…………
しかし、これで年齢を理由にという逃げ道は失われたってことか。
「ロザリナ……」
「はい」
この期に及んで俺との子でいいのか? と聞くのは野暮なんだろうな。
「俺自身いつ誰と結婚するのかまったくわからない状態なんだ。
場合によっては生まれてくる子供を認知できなかったり、子供を他所へ預ける、あるいはロザリナも一緒に他所へ預けるなんてこともあり得る。
あくまでも可能性の話ではあるが、それでもいいのか?」
実際にレイシス姫からアルタナ王家に連なる貴族への婿入りを打診されている以上、決して荒唐無稽な話ではないからなぁ。
むしろ他所へ預けるなんて全然優しいほうで、抹殺するのが普通だったりするし。
「構いません。ツトム様にどのような扱いを受けたとしても決してお恨み致しません」
さすがにロザリナは明快に覚悟を決めているな。
奴隷落ちするまで最前線で剣を振るってきたのだから至極当然で、そこがロザリナの魅力でもある。
もういっそこの2人と結婚してしまうか?
ロザリナは、子を望んでいるのだから結婚を拒否するなんてあり得ないだろう。
ルルカはどうだろう? 亡き夫に再婚しないとでも誓ってない限りはオッケーしてくれそうだけど……
しかしこの世界に来て3ヶ月も経たずに結婚とか、いくらなんでも早過ぎるよなぁ。
でも先に結婚してしまえば、以降縁談を持ち込まれることはないというメリットは大きいか。
あ!?
ダメだ! ダメだ!
結婚してしまうとハーレム計画はそこで頓挫してしまうではないか! せっかく明後日には3人目を買いに帝都まで行くというのに。
それに俺が目指しているのはあくまでもイチャラブハーレムであって、正室vs側室、妻vs奴隷・愛人みたいなギスギスハーレムではない。
最優先すべきなのはハーレム計画の完遂であり、完遂後に外部から嫁入りさせる場合でもルルカ達と仲良くできることが大前提だ。
結論とすれば、ロザリナと子を成す覚悟はしつつも、できる限り先送りとする方針が得策か。
引っ掛かっているのは、出会ってまだ2ヶ月やそこらの女性と……って部分だしな。
っとその前にルルカの意見も聞いておこう。
「ルルカの考えも聞かせてくれ」
「そもそもこのような事態となっているのは、私達のような年代の女性を好むツトムさんの特殊な性癖が原因であり、自業自得と言わざるを得ません」
「ちょっ!?」
はっきり言うなぁぁぁぁ!!
「しかしながら、ツトムさんの特殊な性癖のおかげで私達はここにいる訳ですから、その特殊な性癖には感謝するべきなのかもしれません」
フォローしてるのだろうか?
それと『特殊な性癖』を連呼し過ぎだからな!!
「今後も誰かさんの特殊な性癖のせいで様々な困難が生じるのでしょうけど、私達は毅然とした態度で立ち向かっていくつもりです」
そこで名前を隠す意味あるのかなぁ?!
それとそんな決意表明みたいのをされても…………
「で、結局ロザリナが身籠ることについてはどうなんだ?」
「もちろん支持致します」
「だ、そうだ。ロザリナ、良かったな」
「はい。ルルカさんありがとうございます」
「いいのよ、ロザリナ」
おぉ! 今度は2人で抱き合っている!!
美女同士の2人の姿は眼福だ。
「俺からは、引き続きゴルグを飲み続けること。これを条件としたい。構わないな?」
「はい。承知いたしました」
ゴルグを飲んでいても妊娠するかもしれない危険な時期がある。
まず間違いなく排卵日前後のことだと思うが、その可能性はそれほど高くはないとのこと。
こうやって先送りしつつもできちゃったら腹を括る。
逆にできなかったら…………ロザリナ的にはタイムリミットが近付いている訳だから、来年からはゴルグの服用も止める。
よし! これでいこう。
もう外に食べに行く雰囲気ではなくなってしまったな。話題が重過ぎるのが原因なんだけど……
「ルルカ、帰ってすぐなのに悪いのだが、軽く肉を焼いてくれるか?」
「お任せください」
収納から食材を出す為に台所へと移動した。
「どうしたんだ?」
「ロザリナがゴルグを飲んでいても妊娠することを知っていながら黙っていたと」
「……申し訳ございません」
やはり知っていたのか。
とりあえずルルカをロザリナの隣に座らせて対面に座った。
「どうして黙っていたんだ?」
「……ツ、ツトム様のお子を授かりたかったのです!」
そりゃあ目的なんてそれしかないけどさ。
つか、そうハッキリと言われるとインパクトでかいな。
続きを促してみると、
「元々この歳まで結婚できなかったのですから子を成すことも諦め気味だったのです。
その上奴隷落ちしましたのでそのような願望は一度は捨て去ったのですが、ツトム様に買われて幾度となく抱かれる内に妊娠したいという想いが抑えられなくなって……」
「とりあえず確認しておきたいが、今現在妊娠しているのか?」
「していません」
「ゴルグ自体はきちんと飲んでいたのか?」
「はい。飲んでいました」
う~~ん、どうするかコレは……
まずは年長者に聞くべきか。
「ルルカ、どう見る?」
「私も失念しておりましたので偉そうなことは言えないのですが、奴隷が主の許可なく子を宿そうとするなど許されざることです。
ただ……」
「ただ?」
「同じ女性としてロザリナの気持ちも理解できます。
もし私に子供がいなかったらツトムさんの子を望んでいたかもしれません」
「ルルカさん…………」
これゴルグがどうとかではなく、ロザリナに俺の子供を産ませるかどうかってことだよな。
正直帰りの休憩時にルルカから聞かされるまで、子供のことなんて全く意識していなかったからなぁ。
仮に俺が拒絶するとロザリナは生涯子供が産めない訳だ。これはさすがに重過ぎて俺が背負うのは無理だ。
かといって他の男と子作りさせる……なんて論外だ。絶対にあり得ない。
あとはロザリナを売るまたは解放するという手段もあるが……まぁこんな美女、しかも俺に従順な女性を手放すなんてこちらも論外だ。
結局は覚悟を決めるしかない感じか?
いや……、まだ年齢の問題がある。
この世界で高齢出産は命に関わるので避ける傾向にある。
「一般的には30過ぎた出産はリスクがあると言われているが、その辺りはどうなんだ?」
地球だったら医学が進んでいるから30代での出産なんて当たり前なんだけどな。
いや、安全なのは先進諸国だけだっけ? どうだったか……
それと35歳以上での出産だと母体と胎児共にリスクが高まるのは知っている。
「普通の女性と比べたらロザリナはずっと体力がありますし、ツトムさんの回復魔法もあります。
確実さを保証できる訳ではありませんが、まず大丈夫です」
「私は例え命を失うことになったとしても悔いはありません!」
それは俺が困るよ!
ったく…………
しかし、これで年齢を理由にという逃げ道は失われたってことか。
「ロザリナ……」
「はい」
この期に及んで俺との子でいいのか? と聞くのは野暮なんだろうな。
「俺自身いつ誰と結婚するのかまったくわからない状態なんだ。
場合によっては生まれてくる子供を認知できなかったり、子供を他所へ預ける、あるいはロザリナも一緒に他所へ預けるなんてこともあり得る。
あくまでも可能性の話ではあるが、それでもいいのか?」
実際にレイシス姫からアルタナ王家に連なる貴族への婿入りを打診されている以上、決して荒唐無稽な話ではないからなぁ。
むしろ他所へ預けるなんて全然優しいほうで、抹殺するのが普通だったりするし。
「構いません。ツトム様にどのような扱いを受けたとしても決してお恨み致しません」
さすがにロザリナは明快に覚悟を決めているな。
奴隷落ちするまで最前線で剣を振るってきたのだから至極当然で、そこがロザリナの魅力でもある。
もういっそこの2人と結婚してしまうか?
ロザリナは、子を望んでいるのだから結婚を拒否するなんてあり得ないだろう。
ルルカはどうだろう? 亡き夫に再婚しないとでも誓ってない限りはオッケーしてくれそうだけど……
しかしこの世界に来て3ヶ月も経たずに結婚とか、いくらなんでも早過ぎるよなぁ。
でも先に結婚してしまえば、以降縁談を持ち込まれることはないというメリットは大きいか。
あ!?
ダメだ! ダメだ!
結婚してしまうとハーレム計画はそこで頓挫してしまうではないか! せっかく明後日には3人目を買いに帝都まで行くというのに。
それに俺が目指しているのはあくまでもイチャラブハーレムであって、正室vs側室、妻vs奴隷・愛人みたいなギスギスハーレムではない。
最優先すべきなのはハーレム計画の完遂であり、完遂後に外部から嫁入りさせる場合でもルルカ達と仲良くできることが大前提だ。
結論とすれば、ロザリナと子を成す覚悟はしつつも、できる限り先送りとする方針が得策か。
引っ掛かっているのは、出会ってまだ2ヶ月やそこらの女性と……って部分だしな。
っとその前にルルカの意見も聞いておこう。
「ルルカの考えも聞かせてくれ」
「そもそもこのような事態となっているのは、私達のような年代の女性を好むツトムさんの特殊な性癖が原因であり、自業自得と言わざるを得ません」
「ちょっ!?」
はっきり言うなぁぁぁぁ!!
「しかしながら、ツトムさんの特殊な性癖のおかげで私達はここにいる訳ですから、その特殊な性癖には感謝するべきなのかもしれません」
フォローしてるのだろうか?
それと『特殊な性癖』を連呼し過ぎだからな!!
「今後も誰かさんの特殊な性癖のせいで様々な困難が生じるのでしょうけど、私達は毅然とした態度で立ち向かっていくつもりです」
そこで名前を隠す意味あるのかなぁ?!
それとそんな決意表明みたいのをされても…………
「で、結局ロザリナが身籠ることについてはどうなんだ?」
「もちろん支持致します」
「だ、そうだ。ロザリナ、良かったな」
「はい。ルルカさんありがとうございます」
「いいのよ、ロザリナ」
おぉ! 今度は2人で抱き合っている!!
美女同士の2人の姿は眼福だ。
「俺からは、引き続きゴルグを飲み続けること。これを条件としたい。構わないな?」
「はい。承知いたしました」
ゴルグを飲んでいても妊娠するかもしれない危険な時期がある。
まず間違いなく排卵日前後のことだと思うが、その可能性はそれほど高くはないとのこと。
こうやって先送りしつつもできちゃったら腹を括る。
逆にできなかったら…………ロザリナ的にはタイムリミットが近付いている訳だから、来年からはゴルグの服用も止める。
よし! これでいこう。
もう外に食べに行く雰囲気ではなくなってしまったな。話題が重過ぎるのが原因なんだけど……
「ルルカ、帰ってすぐなのに悪いのだが、軽く肉を焼いてくれるか?」
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