131 / 364
128
しおりを挟む
こうなったら明日は海(漁村)を目指すか?
…………落ち着け、一旦冷静になろう。
今いる大陸がどのような形をしているかすらわからないんだ。
ロイター子爵のとこで見た地図は海岸線はもちろん帝国すら記していない南部3国の主要都市が記してあるだけの地図だった。しかも距離や位置などは間違った精度の低いモノだ。
安易に目的を増やすべきではない。
海にはルルカを実家に送る時にでも改めて行けばいい。
そうだ! 漁村で買った魚をお土産にすればさらに喜ばれるだろう。
ルルカの家族への手土産には既に王都で購入した装飾品や酒類を用意しているが、こういった物は品目が増えて嫌がられるということはないからな。
もちろんルルカの家族から、『よくも娘(母)を奴隷にぃぃぃぃ(怨)』みたいな恨みから修羅場に発展するのを回避する為というこちら側の事情もある。
俺が"ちょっと"だけエロいことは家族に宛てた手紙に書いてあるだろうし……
まぁそういう訳で明日は当初の予定通り早めに起きて家を出てコートダールに行くことを第一段階とする。
次にコートダールにおいて情報収集や地図の購入、奴隷商の下見などを済ませるのを第二段階。
最後にお昼ぐらいまでにコートダールを出発できそうであれば帝都ラスティヒルを目指す。これが第三段階。
うむ。完璧な計画だ。
「よし、三段構えだ。太陽が真上まで登る前にけりをつけるぞ!」
「「??????」」
「すまんが、2人は家で待っていてくれ」
「はぁ……」
「????」
キョトンとしている2人にそこは敬礼で返すべきだろうと心の中で突っ込んだ。
明朝、2人とのイチャイチャもそこそこに家を出た。
ちなみに朝食はいつも夕食の残り物で済ませている。
もっとも残り物と言ってもあらかじめ朝食を想定して多めに作ったのを分けて収納に入れているので出来立て状態で食べられる。
パンも焼きたてである。
ルルカと2人の頃は壁外区のパン屋で買っていたのだがロザリナに城内の美味しいパン屋を教えてもらってからはそこの焼きたてパンを大量に買うようにしている。
以前ルルカに1週間分ぐらいまとめて作ったらどうだろう?と提案してみたが断固拒否されてしまった。毎日料理することは譲れないらしい。
あと朝のイチャイチャの都合上食べる場所はベッドの上に台を置いて食べることが多い。
起きてすぐにイチャイチャするか食べた後に(も)イチャイチャするかは気分次第なのでH気分がリセットされてしまう食卓での朝食を避けるようになってしまった。
ただ、今日に限れば食卓で食べるようにした。無論朝早く家を出る為だ。
まずはメルクに向かう。ちょうど地平線から顔を覗かせている朝日に向かって飛ぶ形だ。
飛行速度を上げているので3日前に来た時よりも短時間で到着する。
メルクからは北東に針路を変える。
メルクより東は山岳地帯が広がっており1000メートルは超えているであろう山も見受けられる。
ふと、『飛行魔法はどのぐらいの高度まで上昇できるだろうか?』との疑問に駆られた。
試しに少し速度を落として徐々に高度を上げていく。
普段は地上から50メートル~100メートルぐらいを飛んでいるが……
……300メートル……400メートル……500メートル……600メートル……700メートル……(もちろん目測によるおおよその感じ)と高度を上げていくにつれ空気が少し冷たくなっていくのを感じる。
当たり前か。
いくら異世界とはいえ自然現象や物理法則は地球と変わらないのだから高度が上がれば気温と気圧は下がることになる。
一旦上昇を止めて水平飛行に切り替える。現在の高度は800メートル前後といったところか。
高山病を発症する可能性があるので一気に高度を上げるのは危険だ。
確か高度2000メートルだか2500メートルだったはず。
危険ラインを2000メートルに設定したとしてもまだかなり余裕があるから大丈夫だと思うけど……
あ゛!?
"標高"2000メートルだよ!
この辺りの標高がどのぐらいかわからないから既に危険域に到達してるかもしれない。ここベルガーナ王国は大陸中央に位置していて山も多く当然高地にある国家と考えるべきだろうし。
とりあえず高度を下げていく。
後日ルルカを抱えて飛ぶことも考慮すれば低空でのルートを模索すべきだろう。
しかし……、魔法的な不思議効果で高山病にならないとかないだろうか?
こればっかりは実際に試してみないと何とも言えないけど飛行中に発症でもしたら墜落する危険性があるからなぁ。
ネル先生に飛行魔法を教わった時に聞いておけば良かった。
高度を200メートルまで下げてそれより高い山は避けて飛ぶことにする。
現在は完全に山岳地帯に突入したようで、それまで山のふもと辺りにポツンポツンと見かけていた小さな村も見当たらなくなってきた。
出発から1時間半を超えて飛び続けているが山岳地帯は終わりそうにない。
途中高度を上げた際に減速したがそれ以外はフルスピードで飛んでいるのに……
高い山を避ける際に迂回するのでその分時間をロストしているとはいえ、そろそろ山岳地帯を抜けてコートダールの街や村が見えてもいいはずである。
これって現状迷子になってやしないかと少し不安になって来た。
敢えて遭難ではなく迷子と言っているのは必要以上に気持ちが落ち込むのを防ぐ為だ。現実逃避とも言うが……
最悪ではあるがコートダールに行くのを諦めて西に向かう選択をすれば家には帰れるのだから遭難ではないことに間違いはない。
やはり少々面倒でも王都→ロクダーリア→コートダールと道に沿って飛ぶべきだったか?
選択ミスだったかもしれないという不安を抱えながらもう幾つ目かわからない高い山を北側に迂回するようにして避ける。
飛行時間が2時間を優に超えそろそろ魔力残量が気になり始めた頃、前方の視界を塞いでいた1000メートル超級の一際高い山々に辿り着いた。
北西から南西方向に斜めに壁のように連なる山々は荘厳という表現がピッタリな感じでそびえ立っている。
山と山の間の抜けれそうなルートを探して飛んで行くと視界が一気に開けて肥沃な大地が眼下に飛び込んで来た!!
まだかなりの距離があるものの遠くに見える村落や農地はかなり低い位置にある。
このまま高度を落とさずに平地まで飛んで行きベルガーナ王国とどの程度の標高差があるのか調べてみよう。
…………落ち着け、一旦冷静になろう。
今いる大陸がどのような形をしているかすらわからないんだ。
ロイター子爵のとこで見た地図は海岸線はもちろん帝国すら記していない南部3国の主要都市が記してあるだけの地図だった。しかも距離や位置などは間違った精度の低いモノだ。
安易に目的を増やすべきではない。
海にはルルカを実家に送る時にでも改めて行けばいい。
そうだ! 漁村で買った魚をお土産にすればさらに喜ばれるだろう。
ルルカの家族への手土産には既に王都で購入した装飾品や酒類を用意しているが、こういった物は品目が増えて嫌がられるということはないからな。
もちろんルルカの家族から、『よくも娘(母)を奴隷にぃぃぃぃ(怨)』みたいな恨みから修羅場に発展するのを回避する為というこちら側の事情もある。
俺が"ちょっと"だけエロいことは家族に宛てた手紙に書いてあるだろうし……
まぁそういう訳で明日は当初の予定通り早めに起きて家を出てコートダールに行くことを第一段階とする。
次にコートダールにおいて情報収集や地図の購入、奴隷商の下見などを済ませるのを第二段階。
最後にお昼ぐらいまでにコートダールを出発できそうであれば帝都ラスティヒルを目指す。これが第三段階。
うむ。完璧な計画だ。
「よし、三段構えだ。太陽が真上まで登る前にけりをつけるぞ!」
「「??????」」
「すまんが、2人は家で待っていてくれ」
「はぁ……」
「????」
キョトンとしている2人にそこは敬礼で返すべきだろうと心の中で突っ込んだ。
明朝、2人とのイチャイチャもそこそこに家を出た。
ちなみに朝食はいつも夕食の残り物で済ませている。
もっとも残り物と言ってもあらかじめ朝食を想定して多めに作ったのを分けて収納に入れているので出来立て状態で食べられる。
パンも焼きたてである。
ルルカと2人の頃は壁外区のパン屋で買っていたのだがロザリナに城内の美味しいパン屋を教えてもらってからはそこの焼きたてパンを大量に買うようにしている。
以前ルルカに1週間分ぐらいまとめて作ったらどうだろう?と提案してみたが断固拒否されてしまった。毎日料理することは譲れないらしい。
あと朝のイチャイチャの都合上食べる場所はベッドの上に台を置いて食べることが多い。
起きてすぐにイチャイチャするか食べた後に(も)イチャイチャするかは気分次第なのでH気分がリセットされてしまう食卓での朝食を避けるようになってしまった。
ただ、今日に限れば食卓で食べるようにした。無論朝早く家を出る為だ。
まずはメルクに向かう。ちょうど地平線から顔を覗かせている朝日に向かって飛ぶ形だ。
飛行速度を上げているので3日前に来た時よりも短時間で到着する。
メルクからは北東に針路を変える。
メルクより東は山岳地帯が広がっており1000メートルは超えているであろう山も見受けられる。
ふと、『飛行魔法はどのぐらいの高度まで上昇できるだろうか?』との疑問に駆られた。
試しに少し速度を落として徐々に高度を上げていく。
普段は地上から50メートル~100メートルぐらいを飛んでいるが……
……300メートル……400メートル……500メートル……600メートル……700メートル……(もちろん目測によるおおよその感じ)と高度を上げていくにつれ空気が少し冷たくなっていくのを感じる。
当たり前か。
いくら異世界とはいえ自然現象や物理法則は地球と変わらないのだから高度が上がれば気温と気圧は下がることになる。
一旦上昇を止めて水平飛行に切り替える。現在の高度は800メートル前後といったところか。
高山病を発症する可能性があるので一気に高度を上げるのは危険だ。
確か高度2000メートルだか2500メートルだったはず。
危険ラインを2000メートルに設定したとしてもまだかなり余裕があるから大丈夫だと思うけど……
あ゛!?
"標高"2000メートルだよ!
この辺りの標高がどのぐらいかわからないから既に危険域に到達してるかもしれない。ここベルガーナ王国は大陸中央に位置していて山も多く当然高地にある国家と考えるべきだろうし。
とりあえず高度を下げていく。
後日ルルカを抱えて飛ぶことも考慮すれば低空でのルートを模索すべきだろう。
しかし……、魔法的な不思議効果で高山病にならないとかないだろうか?
こればっかりは実際に試してみないと何とも言えないけど飛行中に発症でもしたら墜落する危険性があるからなぁ。
ネル先生に飛行魔法を教わった時に聞いておけば良かった。
高度を200メートルまで下げてそれより高い山は避けて飛ぶことにする。
現在は完全に山岳地帯に突入したようで、それまで山のふもと辺りにポツンポツンと見かけていた小さな村も見当たらなくなってきた。
出発から1時間半を超えて飛び続けているが山岳地帯は終わりそうにない。
途中高度を上げた際に減速したがそれ以外はフルスピードで飛んでいるのに……
高い山を避ける際に迂回するのでその分時間をロストしているとはいえ、そろそろ山岳地帯を抜けてコートダールの街や村が見えてもいいはずである。
これって現状迷子になってやしないかと少し不安になって来た。
敢えて遭難ではなく迷子と言っているのは必要以上に気持ちが落ち込むのを防ぐ為だ。現実逃避とも言うが……
最悪ではあるがコートダールに行くのを諦めて西に向かう選択をすれば家には帰れるのだから遭難ではないことに間違いはない。
やはり少々面倒でも王都→ロクダーリア→コートダールと道に沿って飛ぶべきだったか?
選択ミスだったかもしれないという不安を抱えながらもう幾つ目かわからない高い山を北側に迂回するようにして避ける。
飛行時間が2時間を優に超えそろそろ魔力残量が気になり始めた頃、前方の視界を塞いでいた1000メートル超級の一際高い山々に辿り着いた。
北西から南西方向に斜めに壁のように連なる山々は荘厳という表現がピッタリな感じでそびえ立っている。
山と山の間の抜けれそうなルートを探して飛んで行くと視界が一気に開けて肥沃な大地が眼下に飛び込んで来た!!
まだかなりの距離があるものの遠くに見える村落や農地はかなり低い位置にある。
このまま高度を落とさずに平地まで飛んで行きベルガーナ王国とどの程度の標高差があるのか調べてみよう。
22
お気に入りに追加
1,586
あなたにおすすめの小説
転生貴族のハーレムチート生活 【400万ポイント突破】
ゼクト
ファンタジー
ファンタジー大賞に応募中です。 ぜひ投票お願いします
ある日、神崎優斗は川でおぼれているおばあちゃんを助けようとして川の中にある岩にあたりおばあちゃんは助けられたが死んでしまったそれをたまたま地球を見ていた創造神が転生をさせてくれることになりいろいろな神の加護をもらい今貴族の子として転生するのであった
【不定期になると思います まだはじめたばかりなのでアドバイスなどどんどんコメントしてください。ノベルバ、小説家になろう、カクヨムにも同じ作品を投稿しているので、気が向いたら、そちらもお願いします。
累計400万ポイント突破しました。
応援ありがとうございます。】
ツイッター始めました→ゼクト @VEUu26CiB0OpjtL
ボッチの少女は、精霊の加護をもらいました
星名 七緒
ファンタジー
身寄りのない少女が、異世界に飛ばされてしまいます。異世界でいろいろな人と出会い、料理を通して交流していくお話です。異世界で幸せを探して、がんばって生きていきます。
幼い公女様は愛されたいと願うのやめました。~態度を変えた途端、家族が溺愛してくるのはなぜですか?~
朱色の谷
ファンタジー
公爵家の末娘として生まれた6歳のティアナ
お屋敷で働いている使用人に虐げられ『公爵家の汚点』と呼ばれる始末。
お父様やお兄様は私に関心がないみたい。愛されたいと願い、愛想よく振る舞っていたが一向に興味を示してくれない…
そんな中、夢の中の本を読むと、、、
『収納』は異世界最強です 正直すまんかったと思ってる
農民ヤズ―
ファンタジー
「ようこそおいでくださいました。勇者さま」
そんな言葉から始まった異世界召喚。
呼び出された他の勇者は複数の<スキル>を持っているはずなのに俺は収納スキル一つだけ!?
そんなふざけた事になったうえ俺たちを呼び出した国はなんだか色々とヤバそう!
このままじゃ俺は殺されてしまう。そうなる前にこの国から逃げ出さないといけない。
勇者なら全員が使える収納スキルのみしか使うことのできない勇者の出来損ないと呼ばれた男が収納スキルで無双して世界を旅する物語(予定
私のメンタルは金魚掬いのポイと同じ脆さなので感想を送っていただける際は語調が強くないと嬉しく思います。
ただそれでも初心者故、度々間違えることがあるとは思いますので感想にて教えていただけるとありがたいです。
他にも今後の進展や投稿済みの箇所でこうしたほうがいいと思われた方がいらっしゃったら感想にて待ってます。
なお、書籍化に伴い内容の齟齬がありますがご了承ください。
魅了が解けた貴男から私へ
砂礫レキ
ファンタジー
貴族学園に通う一人の男爵令嬢が第一王子ダレルに魅了の術をかけた。
彼女に操られたダレルは婚約者のコルネリアを憎み罵り続ける。
そして卒業パーティーでとうとう婚約破棄を宣言した。
しかし魅了の術はその場に運良く居た宮廷魔術師に見破られる。
男爵令嬢は処刑されダレルは正気に戻った。
元凶は裁かれコルネリアへの愛を取り戻したダレル。
しかしそんな彼に半年後、今度はコルネリアが婚約破棄を告げた。
三話完結です。
転生したらドラゴンに拾われた
hiro
ファンタジー
トラックに轢かれ、気がついたら白い空間にいた優斗。そこで美しい声を聞いたと思ったら再び意識を失う。次に目が覚めると、目の前に恐ろしいほどに顔の整った男がいた。そして自分は赤ん坊になっているようだ!
これは前世の記憶を持ったまま異世界に転生した男の子が、前世では得られなかった愛情を浴びるほど注がれながら成長していく物語。
(完結)醜くなった花嫁の末路「どうぞ、お笑いください。元旦那様」
音爽(ネソウ)
ファンタジー
容姿が気に入らないと白い結婚を強いられた妻。
本邸から追い出されはしなかったが、夫は離れに愛人を囲い顔さえ見せない。
しかし、3年と待たず離縁が決定する事態に。そして元夫の家は……。
*6月18日HOTランキング入りしました、ありがとうございます。
今さら言われても・・・私は趣味に生きてますので
sherry
ファンタジー
ある日森に置き去りにされた少女はひょんな事から自分が前世の記憶を持ち、この世界に生まれ変わったことを思い出す。
早々に今世の家族に見切りをつけた少女は色んな出会いもあり、周りに呆れられながらも成長していく。
なのに・・・今更そんなこと言われても・・・出来ればそのまま放置しといてくれません?私は私で気楽にやってますので。
※魔法と剣の世界です。
※所々ご都合設定かもしれません。初ジャンルなので、暖かく見守っていただけたら幸いです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる