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明日、姫様が拠点に着いたら何かお出しするべきなんだろうか?
食事時ではないからデザート的なものだよな。
男の1人暮らしの料理スキルなんて米を炊く・何か焼く・麺系を茹でるの3本柱だからなぁ。
なんとなく作れそうなのはアイスクリーム・プリン・ホットケーキぐらいか。
ただ、この世界にも焼き菓子系はそこそこの種類があるのでホットケーキはなしだな。
大きい容器と小さな容器、小さいスプーンを複数買い、高級そうなミルクと卵と砂糖を買うが、白い砂糖が目玉が飛び出る程の激高だった。
その2割ほどの価格の黒い砂糖もあったのだが、甘みが足らずザラザラで菓子作りには向かないとの説明を受けた。
今回は王族の接待なので仕方なく白砂糖を購入した。
ただ生クリームがない。仕方ないのでミルクとバターで代用する。
家に帰ると案の定ルルカが色々聞いてくるので料理作業しながら答える。
「……それで、本当に何もしてないのですね?」
「もちろんだ。大体一か月後ぐらいに軍の手伝いを10日間ほど依頼されたので、その間どうするかだな。王都にでも行ってみるか?」
「10日の間一度も家には帰られないのでしょうか?」
「南の砦を奪還するみたいだから無理だな」
「そうですか……、ところで何をお作りになっているのですか?」
「城でロイター子爵のせいで姫様に面会することになってな」
「お姫様!?」
「話の流れで今日行った森の拠点にお連れすることになってしまって、そこで出すお菓子を作ってるところだ。テキトーに作ってるから上手く出来たらだけどな」
「卵を多く使ってるのはパンケーキみたいですが、全然違う感じですね」
「出来たら2人にも味見してもらうから正直に美味いかどうか答えてくれ。下手なモノ出せないから」
「わかりました」
問題なのはこの世界の冷蔵庫が氷で冷やすタイプで実質的には冷凍庫なんだよな。
アイスクリームはいいのだが、プリンには温度が低すぎるのだ。
氷水で冷やすか。
ちなみに氷結魔法の適性者が少ないので冷蔵庫は一般には普及していない。うちにあるのも業務用である。
アイスもプリンも砂糖の量を変えて2パターンずつ作った。
なんか2人からの熱視線がアイスクリームとプリンに送られている。
まだ全然出来てないのだが……
「出来るまで時間掛かるからな。その前に夕食だ」
確かアイスクリームはしばらく凍らせてから定期的にかき混ぜるのだったな。
「俺が不在の間は王都行きでいいか?」
「構いません」
「あの、許されるのであればここに残ってもよろしいでしょうか?」
「どうしてだ? ロザリナ」
「王都にはあまり良い思い出がなく……」
王都でまでルルカの警護は必要ないし構わないか。
貴族から除名された時に何かあったのかもな。
父親は既に亡くなっているとのことだが母親はまだ存命なはず。
その辺りの事情を聞いていいものかどうか……
ルルカと2人になった時に探るよう頼むか。
「わかった。俺達がいない間は家に妹さんを呼んでもいいぞ。10日間とはいえ宿代が浮くのは大きいだろう」
「よろしいのでしょうか?」
「構わないぞ。一応妹さんにはルルカと俺の部屋には入らないように徹底させてくれ」
「わかりました」
風呂で楽しんだ後にアイスクリームをかき混ぜる。
氷もさらに補充しておく。
さて、プリンの味見である。
「左のほうが薄味だからそっちから食べてみてくれ」
食べてみると、プリンとは言い難いがプリンぽい何かには仕上がっていた。
次は右の砂糖多めのを食べる。
甘さは濃くなったもののさっきのと大して変わらんな。
砂糖の量以外は全く同じものなのだから当たり前か。
単純に甘いのが好きかどうかの好みの問題でどっちが良いとかじゃない。
「美味しいです♪」
「プルプルしてて甘いです♪」
果たしてこの件に関する2人の意見を信じていいのだろうか?
素朴な味わいこそ出ているものの、日本のスーパーで売られているプリンより上とは言い難い出来だ。
王家なら専属のシェフがプリンアラモード的な凄いの作ってるかもしれん。
一応持って行って様子見るか……
翌朝、アイスクリームも試食してみた。
こちらは明確に砂糖を多く入れたほうが美味しかった。
「冷たくて甘いです♪」
「口の中で溶けて美味しいです♪」
う~ん、この2人は砂糖が入っていれば何でも美味しいと言うのではなかろうか?
確かに砂糖は激高で気軽には口に入らんものではあるが。
主流である焼き菓子系も甘さはあまりないものが多い。
「こっちのアイスクリーム(砂糖少な目)は冷蔵庫に入れておくから2人で好きに食べていいぞ」
「♪♪」
「ありがとうございます♪」
家を出て壁外区の北口にて待つ。
6時はさすがにまだ早かったか。
飛行魔法を練習しながら待った。
7時過ぎにこちらに騎馬も含めた12人の集団がやって来た。
姫様は白馬ではなく普通の馬に騎乗している。
聞けば白馬も飼ってるがイベント用で普段は普通の馬とのこと。
姫様含めて騎馬は5騎で轡をとる従卒が5名、残り2名の内の1人がマイナさんでもう1人がリアルメイドさんである。
4騎の内の1騎は金髪ねーちゃんだ。姫様と仲が良いみたいだな。
「それでは皆様、こちらへ」
森の中に入っていく。
最初は獣道だ。
しまったな、時間があったのだから道作っとけば良かった。
「森の入り口だけ道を作っておりません。少しだけ御辛抱ください」
先頭で獣道を多少整地しながら進んで行く。
道に着いて以降は移動がスムーズになった。
「あの、何か食べ物というかお菓子みたいなのお持ちになってますか?」
一緒に歩いてるマイナさんに聞いてみた。
「飲み物ぐらいですが……」
「拙い手作りなのですが姫様にお菓子を召し上がって頂こうと考えているのですが、甘いものがダメとかあります?」
「甘味はお好きですよ。ただ、申し訳ありませんが姫様にお出しする品はこちらで試食してからになります」
「わかりました」
毒見って奴だな。
向こうからしたら得体の知れない冒険者って感じだろうしなぁ。
川に架かっている橋を渡ったところで金髪ねーちゃんが聞いてきた。
「ツトム。そなたこれ1人で作ったのですか?」
「はい。5日間もかかって大変でした」
工事中は何でこんなことしてるのだろうと何度思ったことか……
途中やや左に方向変えて進むと拠点が見えて来た。
食事時ではないからデザート的なものだよな。
男の1人暮らしの料理スキルなんて米を炊く・何か焼く・麺系を茹でるの3本柱だからなぁ。
なんとなく作れそうなのはアイスクリーム・プリン・ホットケーキぐらいか。
ただ、この世界にも焼き菓子系はそこそこの種類があるのでホットケーキはなしだな。
大きい容器と小さな容器、小さいスプーンを複数買い、高級そうなミルクと卵と砂糖を買うが、白い砂糖が目玉が飛び出る程の激高だった。
その2割ほどの価格の黒い砂糖もあったのだが、甘みが足らずザラザラで菓子作りには向かないとの説明を受けた。
今回は王族の接待なので仕方なく白砂糖を購入した。
ただ生クリームがない。仕方ないのでミルクとバターで代用する。
家に帰ると案の定ルルカが色々聞いてくるので料理作業しながら答える。
「……それで、本当に何もしてないのですね?」
「もちろんだ。大体一か月後ぐらいに軍の手伝いを10日間ほど依頼されたので、その間どうするかだな。王都にでも行ってみるか?」
「10日の間一度も家には帰られないのでしょうか?」
「南の砦を奪還するみたいだから無理だな」
「そうですか……、ところで何をお作りになっているのですか?」
「城でロイター子爵のせいで姫様に面会することになってな」
「お姫様!?」
「話の流れで今日行った森の拠点にお連れすることになってしまって、そこで出すお菓子を作ってるところだ。テキトーに作ってるから上手く出来たらだけどな」
「卵を多く使ってるのはパンケーキみたいですが、全然違う感じですね」
「出来たら2人にも味見してもらうから正直に美味いかどうか答えてくれ。下手なモノ出せないから」
「わかりました」
問題なのはこの世界の冷蔵庫が氷で冷やすタイプで実質的には冷凍庫なんだよな。
アイスクリームはいいのだが、プリンには温度が低すぎるのだ。
氷水で冷やすか。
ちなみに氷結魔法の適性者が少ないので冷蔵庫は一般には普及していない。うちにあるのも業務用である。
アイスもプリンも砂糖の量を変えて2パターンずつ作った。
なんか2人からの熱視線がアイスクリームとプリンに送られている。
まだ全然出来てないのだが……
「出来るまで時間掛かるからな。その前に夕食だ」
確かアイスクリームはしばらく凍らせてから定期的にかき混ぜるのだったな。
「俺が不在の間は王都行きでいいか?」
「構いません」
「あの、許されるのであればここに残ってもよろしいでしょうか?」
「どうしてだ? ロザリナ」
「王都にはあまり良い思い出がなく……」
王都でまでルルカの警護は必要ないし構わないか。
貴族から除名された時に何かあったのかもな。
父親は既に亡くなっているとのことだが母親はまだ存命なはず。
その辺りの事情を聞いていいものかどうか……
ルルカと2人になった時に探るよう頼むか。
「わかった。俺達がいない間は家に妹さんを呼んでもいいぞ。10日間とはいえ宿代が浮くのは大きいだろう」
「よろしいのでしょうか?」
「構わないぞ。一応妹さんにはルルカと俺の部屋には入らないように徹底させてくれ」
「わかりました」
風呂で楽しんだ後にアイスクリームをかき混ぜる。
氷もさらに補充しておく。
さて、プリンの味見である。
「左のほうが薄味だからそっちから食べてみてくれ」
食べてみると、プリンとは言い難いがプリンぽい何かには仕上がっていた。
次は右の砂糖多めのを食べる。
甘さは濃くなったもののさっきのと大して変わらんな。
砂糖の量以外は全く同じものなのだから当たり前か。
単純に甘いのが好きかどうかの好みの問題でどっちが良いとかじゃない。
「美味しいです♪」
「プルプルしてて甘いです♪」
果たしてこの件に関する2人の意見を信じていいのだろうか?
素朴な味わいこそ出ているものの、日本のスーパーで売られているプリンより上とは言い難い出来だ。
王家なら専属のシェフがプリンアラモード的な凄いの作ってるかもしれん。
一応持って行って様子見るか……
翌朝、アイスクリームも試食してみた。
こちらは明確に砂糖を多く入れたほうが美味しかった。
「冷たくて甘いです♪」
「口の中で溶けて美味しいです♪」
う~ん、この2人は砂糖が入っていれば何でも美味しいと言うのではなかろうか?
確かに砂糖は激高で気軽には口に入らんものではあるが。
主流である焼き菓子系も甘さはあまりないものが多い。
「こっちのアイスクリーム(砂糖少な目)は冷蔵庫に入れておくから2人で好きに食べていいぞ」
「♪♪」
「ありがとうございます♪」
家を出て壁外区の北口にて待つ。
6時はさすがにまだ早かったか。
飛行魔法を練習しながら待った。
7時過ぎにこちらに騎馬も含めた12人の集団がやって来た。
姫様は白馬ではなく普通の馬に騎乗している。
聞けば白馬も飼ってるがイベント用で普段は普通の馬とのこと。
姫様含めて騎馬は5騎で轡をとる従卒が5名、残り2名の内の1人がマイナさんでもう1人がリアルメイドさんである。
4騎の内の1騎は金髪ねーちゃんだ。姫様と仲が良いみたいだな。
「それでは皆様、こちらへ」
森の中に入っていく。
最初は獣道だ。
しまったな、時間があったのだから道作っとけば良かった。
「森の入り口だけ道を作っておりません。少しだけ御辛抱ください」
先頭で獣道を多少整地しながら進んで行く。
道に着いて以降は移動がスムーズになった。
「あの、何か食べ物というかお菓子みたいなのお持ちになってますか?」
一緒に歩いてるマイナさんに聞いてみた。
「飲み物ぐらいですが……」
「拙い手作りなのですが姫様にお菓子を召し上がって頂こうと考えているのですが、甘いものがダメとかあります?」
「甘味はお好きですよ。ただ、申し訳ありませんが姫様にお出しする品はこちらで試食してからになります」
「わかりました」
毒見って奴だな。
向こうからしたら得体の知れない冒険者って感じだろうしなぁ。
川に架かっている橋を渡ったところで金髪ねーちゃんが聞いてきた。
「ツトム。そなたこれ1人で作ったのですか?」
「はい。5日間もかかって大変でした」
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