異世界ライフは山あり谷あり

常盤今

文字の大きさ
上 下
3 / 380

プロローグその3

しおりを挟む
「う~~ん??」

 水はH2O
 つまり水素と酸素。
 両方とも大気中にある訳だから、
 大気の成分を集める感じで…

「ウォーター」

 !?

 明らかに今までと違う感じ!
 カチっと歯車が合わさったようなそんな感覚が確かにあった!

「おお!」

 手のひらから水が!
 慌てて飲む。
 ただの水だがすごく美味しかった。


川端努 男性
人種 15歳
LV3

HP 20/20
MP 45/78

力  11
早さ 12
器用 12
魔力 22

LP 0P

スキル
異世界言語・魔法の才能・収納魔法Lv1・浄化魔法Lv1・水魔法Lv1 


 水魔法も習得できたし、いよいよ北西の方角へレッツラゴー!!




……

…………


 2時間ほど(時計がないので体感時間である)歩いて線のようなもののところに辿り着いた。
 丘から見えた線のようなものは馬車の轍(わだち)であり、道路とはとても呼べない薄っすらとした獣道より少しましな程度の道が南北に走っている。
 ここに来るまでに犬と兎を2匹ずつ倒しレベルアップした。


川端努 男性
人種 15歳
LV4

HP 25/25
MP 86/109

力  14
早さ 15
器用 16
魔力 31

LP 1P

スキル
異世界言語・魔法の才能・収納魔法Lv1・浄化魔法Lv1・水魔法Lv1


 収納魔法の中には犬と兎4匹ずつ入っている。

 さて、南か北かどちらに進むか選ばなくてはならない。
 南にはずっと道が続いているが見える範囲で人工物はなく、北は左のほうにカーブしていき道の西側にある森のせいでその先が見えなくなっている。
 とりあえず保留にして休憩がてら魔法の練習をしてみることにする。
 某錬金漫画のように地面に両手をかざし土を動かそうとしてみる。

 意外になんとかなりそうな……

 土を丸く固めるイメージで発射!
 水魔法を習得した時と同じ感覚があり拳大の土が飛んで行った!
 ステータスを見ると土魔法Lv1を習得できたようだ。

 案外すんなりと習得できたので戦闘で使えるように進化させたい。
 さきほどの丸く固めた土では犬すら倒せないしょぼい威力だったし。
 イメージとしては槍っぽい感じで刺さるように……発射!
 今度は良い感じだと思うが如何せんただ飛んでいくだけなので威力の検証ができない。
 もうちょっとこう回転する感じで弾丸ぽく発射してみる。
 やはり的に当てないと手ごたえが掴めない。

 ここは目先を変えて複数の土槍を同時発射できるか試してみよう!
 まずは2本……
 次に3本……
 扇状に広範囲に4本……
 さらに5本と発射したところで、

「うぅ!?」

 もの凄い気持ち悪さが襲ってきた!


川端努 男性
人種 15歳
LV4

HP 25/25
MP 8/109

力  14
早さ 15
器用 16
魔力 31

LP 1P

スキル
異世界言語・魔法の才能・収納魔法Lv1・浄化魔法Lv1・水魔法Lv1・土魔法Lv4


 土魔法がLv4に上がっているがそれよりもMP残り8がこの強烈な気持ち悪さの原因だろう。
 とてもじゃないが座っていられないので草むらに横になる。
 これだけ気持ち悪くなるのではMP切れになったらどうなるのだろう?
 気絶程度で済めばいいが、最悪そのまま死ぬとか……
 とにかく残りMPには注意しないと、戦闘中にこの状態になったらと思うと恐怖しかない。


 20分ほどであろうか。
 横になって休んでいたら気持ち悪さがなくなった。
 MPが少し回復したこともあるのだろう。
 上体を起こしてみると、南のほうに違和感が……
 よく見ると馬車が数台北へ向かって移動している。

 初めての異世界人!

 街か村の情報を聞こうと立ち上がる寸前で待ったをかける。

 当然知ってて然るべき街や村を聞きに来るのは不審人物と思われないだろうか?
 斬り捨て御免なんてこともあり得るかもしれない。
 これが街中とかならともかく、魔物が跋扈する外で安易に話しかけるのはリスクが高いかもしれない。

 ここはこのまま草むらに潜んで観察することにする。
 段々近付いてくる馬車は荷馬車で計3台。
 速度は徒歩程度で、護衛が3人荷馬車の周囲を歩いている。
 護衛はいずれも男で獲物は槍持ちと剣とあと1人はよくわからない。
 槍と剣が和気あいあいとおしゃべりしていて警戒している様子もない。
 積み荷は布が被せてあるのでわからないが大量であることは間違いない。

 なんかこうして観察しているほうが襲撃計画を立ててるみたいでよほど不審人物な気がしないでもないが、気にするのは止めよう。
 あの無警戒さなら近付いて更なる情報収集も可能だが……
 ここは深追いすべきではないだろう。
 馬車をある程度先行させて北へ向かい道の西側にある森を超えた先を見通せる地点まで行く。
 そこでも何も発見できなかったら先行している馬車を追いかけて情報を聞けばいい。

 方針が決まったので馬車が先行するまでじっと待つ。
 馬車との距離が開いたらゆっくりと北に向かう。
 念の為に道ではなく東側の草原を歩いて行く。

 50分ほど歩く間に兎を1匹倒し目標地点に到達。
 北へ続く道の先には立派な城壁が見えた。

 とうとう! とうとう!
 人里を発見したのだ!!

 異世界に来て5時間ほど、手探りで人里を求めただけに感無量である。

 このまま城壁に向かって歩いて行く。
 近付いてくとその大きさが実感できてくる。
 東西の辺で2キロ近くあるのではないだろうか。
 その中央にある城門には門番の兵士が3人ほどいる。
 ドキドキしながら近付くと……

「通行料は300ルクだ」

 金取るのかー

「金持ってないです」

 正直に門番のおじさんに言ってみる。

「それじゃあ街の中には入れられないな」

 どうする?
 犬か兎の死体の売却を持ち掛けるか?

「坊主はこのバルーカに何の目的があって来たんだ?」

「!?」←坊主と呼ばれて自分が若返っていたのを思い出したらしい。

「し、仕事を探しに」

「それなら北門に行くといい。北門の外には街から溢れるように集落が広がっているからそこで職探しするといいだろう」

 外にも街が広がっているのに壁内との往来を制限してるのはなぜなのだろうか?

「わかりました!」

 疑問に思いながらも西に向けて移動しようとすると、

「坊主待て!」

「!?」

「北門には東門回りで行くのが安全だぞ、西回りは森が近いので危険だ」

「色々ありがとうございます!」

 慌てて東門に向けて移動する。

 しばらく歩き、「ふぅ~」とため息を吐いた。

 初めての異世界人との接触ミッションを何とかクリアしたぞ。
 親切な人で助かった。
 緊張して意識してなかったが異世界言語スキルがきちんと機能していたらしく普通に会話できたな。
 それに貴重な情報も入手できた。

 貨幣の単位は『ルク』
 この城壁都市?街?は『バルーカ』

 初会話で上々の成果であろう。

 城壁の南東の角で左に曲がり北上していく。

 人里に辿り着いた安心感からか、先ほどから空腹を覚えて仕方ない。
 太陽の位置から現在の時刻は午後1時ぐらいだろうか?
 朝から歩き詰めだし何も食べてないから仕方ない。
 まさか太陽の位置で時刻を推測する事態になるとはな。

 東門は南門とは違い人の往来が多かった。
 門番のおじさんが親切にしてくれたのは南門が暇だったからではなかろうか?

 東門から東に伸びる道は今まで歩いてきた道と違い、幅広く歩きやすい感じに整備されてる。

「!?」

 門を出て東に向かっていく乗合馬車の中に獣人らしき人が!
 あの頭に生えてる犬耳らしきものは間違いない!!

 興奮を抑えながら東門を通過して城壁の北東の角で再び左に曲がる。

「おおおお!!」

 北門から広がる街並みは想像以上に北の方角に広がっていた。
 1階建ての建物と2階建ての建物半々ぐらいの割合だろうか?
 木造建築が多い。
 この門の外の街だけで人口1~2万ぐらいありそうだ。
しおりを挟む
感想 50

あなたにおすすめの小説

転生貴族の移動領地~家族から見捨てられた三子の俺、万能な【スライド】スキルで最強領地とともに旅をする~

名無し
ファンタジー
とある男爵の三子として転生した主人公スラン。美しい海辺の辺境で暮らしていたが、海賊やモンスターを寄せ付けなかった頼りの父が倒れ、意識不明に陥ってしまう。兄姉もまた、スランの得たスキル【スライド】が外れと見るや、彼を見捨ててライバル貴族に寝返る。だが、そこから【スライド】スキルの真価を知ったスランの逆襲が始まるのであった。

スキルが【アイテムボックス】だけってどうなのよ?

山ノ内虎之助
ファンタジー
高校生宮原幸也は転生者である。 2度目の人生を目立たぬよう生きてきた幸也だが、ある日クラスメイト15人と一緒に異世界に転移されてしまう。 異世界で与えられたスキルは【アイテムボックス】のみ。 唯一のスキルを創意工夫しながら異世界を生き抜いていく。

【完結】初級魔法しか使えない低ランク冒険者の少年は、今日も依頼を達成して家に帰る。

アノマロカリス
ファンタジー
少年テッドには、両親がいない。 両親は低ランク冒険者で、依頼の途中で魔物に殺されたのだ。 両親の少ない保険でやり繰りしていたが、もう金が尽きかけようとしていた。 テッドには、妹が3人いる。 両親から「妹達を頼む!」…と出掛ける前からいつも約束していた。 このままでは家族が離れ離れになると思ったテッドは、冒険者になって金を稼ぐ道を選んだ。 そんな少年テッドだが、パーティーには加入せずにソロ活動していた。 その理由は、パーティーに参加するとその日に家に帰れなくなるからだ。 両親は、小さいながらも持ち家を持っていてそこに住んでいる。 両親が生きている頃は、父親の部屋と母親の部屋、子供部屋には兄妹4人で暮らしていたが…   両親が死んでからは、父親の部屋はテッドが… 母親の部屋は、長女のリットが、子供部屋には、次女のルットと三女のロットになっている。 今日も依頼をこなして、家に帰るんだ! この少年テッドは…いや、この先は本編で語ろう。 お楽しみくださいね! HOTランキング20位になりました。 皆さん、有り難う御座います。

国外追放だ!と言われたので従ってみた

れぷ
ファンタジー
 良いの?君達死ぬよ?

辺境地で冷笑され蔑まれ続けた少女は、実は土地の守護者たる聖女でした。~彼女に冷遇を向けた街人たちは、彼女が追放された後破滅を辿る~

銀灰
ファンタジー
陸の孤島、辺境の地にて、人々から魔女と噂される、薄汚れた少女があった。 少女レイラに対する冷遇の様は酷く、街中などを歩けば陰口ばかりではなく、石を投げられることさえあった。理由無き冷遇である。 ボロ小屋に住み、いつも変らぬ質素な生活を営み続けるレイラだったが、ある日彼女は、住処であるそのボロ小屋までも、開発という名目の理不尽で奪われることになる。 陸の孤島――レイラがどこにも行けぬことを知っていた街人たちは彼女にただ冷笑を向けたが、レイラはその後、誰にも知られずその地を去ることになる。 その結果――?

どうしてこうなった道中記-サブスキルで面倒ごとだらけ-

すずめさん
ファンタジー
ある日、友達に誘われ始めたMMORPG…[アルバスクロニクルオンライン] 何の変哲も無くゲームを始めたつもりがしかし!?… たった一つのスキルのせい?…で起きる波乱万丈な冒険物語。 ※本作品はPCで編集・改行がされて居る為、スマホ・タブレットにおける 縦読みでの読書は読み難い点が出て来ると思います…それでも良いと言う方は…… ゆっくりしていってね!!! ※ 現在書き直し慣行中!!!

凡人がおまけ召喚されてしまった件

根鳥 泰造
ファンタジー
 勇者召喚に巻き込まれて、異世界にきてしまった祐介。最初は勇者の様に大切に扱われていたが、ごく普通の才能しかないので、冷遇されるようになり、ついには王宮から追い出される。  仕方なく冒険者登録することにしたが、この世界では希少なヒーラー適正を持っていた。一年掛けて治癒魔法を習得し、治癒剣士となると、引く手あまたに。しかも、彼は『強欲』という大罪スキルを持っていて、倒した敵のスキルを自分のものにできるのだ。  それらのお蔭で、才能は凡人でも、数多のスキルで能力を補い、熟練度は飛びぬけ、高難度クエストも熟せる有名冒険者となる。そして、裏では気配消去や不可視化スキルを活かして、暗殺という裏の仕事も始めた。  異世界に来て八年後、その暗殺依頼で、召喚勇者の暗殺を受けたのだが、それは祐介を捕まえるための罠だった。祐介が暗殺者になっていると知った勇者が、改心させよう企てたもので、その後は勇者一行に加わり、魔王討伐の旅に同行することに。  最初は脅され渋々同行していた祐介も、勇者や仲間の思いをしり、どんどん勇者が好きになり、勇者から告白までされる。  だが、魔王を討伐を成し遂げるも、魔王戦で勇者は祐介を庇い、障害者になる。  祐介は、勇者の嘘で、病院を作り、医師の道を歩みだすのだった。

【本編完結】転生したら第6皇子冷遇されながらも力をつける

そう
ファンタジー
転生したら帝国の第6皇子だったけど周りの人たちに冷遇されながらも生きて行く話です

処理中です...