104 / 221
ダンジョン部の姫
第104話 白? 黒?
しおりを挟む
部長と私とのあいだで、良からぬことがあったのではないかとの疑惑が生まれてしまった。
画面には異質なコメント文が流れていく。
■違法行為を確認、通報しました……
■通報しました……
■通報しました……
■通報しました……
■通報しました……
■通報しました……
■通報しました……
弁解をする余地すら与えてくれない。通報、通報、通報。
通報の嵐。
そして、チャンネル登録者数がごそっと1万人ほど減った。
「なんでえええ!?」
私は頭を抱えながら、天井を仰ぐ。
■ダンジョンで合体してはいけません
■ダンジョンで分身を作ってはいけません
■剣の使い方が間違っています
■ちゃんと装着しましたか? 近藤さん……
■それは男の責任
視聴者は勝手に想像を膨らませ、疑惑が事実であったかのように語られてしまう。
「誤解ですってーー」
私は画面に向かって、懸命に叫ぶ。
■否認するハルナっち
■ひにん……
■別の意味に聞こえる……
横ではユカリスさんがその場でくるくると回っている。目は焦点が合わず、よたよたとしていた。
「コメントの意味がわからないのじゃあ……。ダンジョンで合体? どういうことなのじゃあ? わけがわからないのじゃあ?」
回りながら、ダンジョン部の部員たちのあいだを漂っている。
■小学4年生にはまだ早い
■天橋立ユカリスは自称99歳、実は大人だという説も
■知っていてとぼけているという噂もある
■ほんとは知っているのか?
■試してみるか?
■クイズです。「エッチになればなるほど、硬くなるものは?」
突然の視聴者からのクイズだった。
視聴者は試してみると言った。これは視聴者からの挑戦状なのか?
私はそれを読み上げる。
「Hになると硬くなるもの? そんなの決まっていますよね? 簡単です」
くるくる回っていたユカリスさんもピタッと止まる。
「簡単じゃなあ」
そして二人で同時に答えを告げる。
「鉛筆」
「鉛筆だあ」
私は答えの解説をする。
「だって、H1からH9にかけて芯が硬くなります」
■即答だな
■迷いがない
■すまん、チャンネル登録しなおした
■俺の心が黒かった
■天使は健在だった
■疑惑は晴れました、白です
■無罪!
「あ、なんか、一気にチャンネル登録者数が戻りました~」
私は喜びのあまり、軽くステップを踏みながら、ユカリスさんと手を繋いで回った。
「なんだかわかりませんが、疑惑が晴れたようです~~」
「やった~。やったのじゃあ~」
ところがダンジョン部の部員たちのほうを見ると、みんなが下を向いて俯いていた。
こちらと目を合わせようとしてこない。
もしかして、さっきのクイズの答えがわからなかったのだろうか?
そうだよね、女子中学生の私に答えられてしまったのだ。
男のプライドを傷つけてしまったかもしれない。
それに難高校の偏差値は79。彼らがわからないはずがないのだ。
答えが鉛筆だって、すぐにわかったと思う。
「簡単なクイズじゃな」
ユカリスさんはやたら得意げだった。
「お主らはわからんかったのかな? まだまだ子供じゃのお?」
ユカリスさんはダンジョン部の部員に絡み始め、1人1人顔を覗き込んでいく。
それから私の持つダンジョンデバイスに顔をぐっと寄せた。
視聴者に向かって、独白を始める。
「ユカちんは硬いのより柔らかいのが好きなのじゃあ。お気に入りはBなのだあ。まずはBで柔らかいのを堪能するのじゃあ。それから硬いのが欲しくなったらHなのじゃあ」
そして、にへらと画面いっぱいに笑顔を作った。
■…………
■え? 鉛筆の話?
■…………
■わざと?
■無自覚?
■どっち?
■狙って言っている?
■こいつの疑惑は消えていない
■怪しすぎる
■絶対、狙ってるよ、こいつ
■こっちは黒、しかもかなりどす黒いと見た
■エロすぎる
画面には異質なコメント文が流れていく。
■違法行為を確認、通報しました……
■通報しました……
■通報しました……
■通報しました……
■通報しました……
■通報しました……
■通報しました……
弁解をする余地すら与えてくれない。通報、通報、通報。
通報の嵐。
そして、チャンネル登録者数がごそっと1万人ほど減った。
「なんでえええ!?」
私は頭を抱えながら、天井を仰ぐ。
■ダンジョンで合体してはいけません
■ダンジョンで分身を作ってはいけません
■剣の使い方が間違っています
■ちゃんと装着しましたか? 近藤さん……
■それは男の責任
視聴者は勝手に想像を膨らませ、疑惑が事実であったかのように語られてしまう。
「誤解ですってーー」
私は画面に向かって、懸命に叫ぶ。
■否認するハルナっち
■ひにん……
■別の意味に聞こえる……
横ではユカリスさんがその場でくるくると回っている。目は焦点が合わず、よたよたとしていた。
「コメントの意味がわからないのじゃあ……。ダンジョンで合体? どういうことなのじゃあ? わけがわからないのじゃあ?」
回りながら、ダンジョン部の部員たちのあいだを漂っている。
■小学4年生にはまだ早い
■天橋立ユカリスは自称99歳、実は大人だという説も
■知っていてとぼけているという噂もある
■ほんとは知っているのか?
■試してみるか?
■クイズです。「エッチになればなるほど、硬くなるものは?」
突然の視聴者からのクイズだった。
視聴者は試してみると言った。これは視聴者からの挑戦状なのか?
私はそれを読み上げる。
「Hになると硬くなるもの? そんなの決まっていますよね? 簡単です」
くるくる回っていたユカリスさんもピタッと止まる。
「簡単じゃなあ」
そして二人で同時に答えを告げる。
「鉛筆」
「鉛筆だあ」
私は答えの解説をする。
「だって、H1からH9にかけて芯が硬くなります」
■即答だな
■迷いがない
■すまん、チャンネル登録しなおした
■俺の心が黒かった
■天使は健在だった
■疑惑は晴れました、白です
■無罪!
「あ、なんか、一気にチャンネル登録者数が戻りました~」
私は喜びのあまり、軽くステップを踏みながら、ユカリスさんと手を繋いで回った。
「なんだかわかりませんが、疑惑が晴れたようです~~」
「やった~。やったのじゃあ~」
ところがダンジョン部の部員たちのほうを見ると、みんなが下を向いて俯いていた。
こちらと目を合わせようとしてこない。
もしかして、さっきのクイズの答えがわからなかったのだろうか?
そうだよね、女子中学生の私に答えられてしまったのだ。
男のプライドを傷つけてしまったかもしれない。
それに難高校の偏差値は79。彼らがわからないはずがないのだ。
答えが鉛筆だって、すぐにわかったと思う。
「簡単なクイズじゃな」
ユカリスさんはやたら得意げだった。
「お主らはわからんかったのかな? まだまだ子供じゃのお?」
ユカリスさんはダンジョン部の部員に絡み始め、1人1人顔を覗き込んでいく。
それから私の持つダンジョンデバイスに顔をぐっと寄せた。
視聴者に向かって、独白を始める。
「ユカちんは硬いのより柔らかいのが好きなのじゃあ。お気に入りはBなのだあ。まずはBで柔らかいのを堪能するのじゃあ。それから硬いのが欲しくなったらHなのじゃあ」
そして、にへらと画面いっぱいに笑顔を作った。
■…………
■え? 鉛筆の話?
■…………
■わざと?
■無自覚?
■どっち?
■狙って言っている?
■こいつの疑惑は消えていない
■怪しすぎる
■絶対、狙ってるよ、こいつ
■こっちは黒、しかもかなりどす黒いと見た
■エロすぎる
33
お気に入りに追加
285
あなたにおすすめの小説
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
婚約破棄を目撃したら国家運営が破綻しました
ダイスケ
ファンタジー
「もう遅い」テンプレが流行っているので書いてみました。
王子の婚約破棄と醜聞を目撃した魔術師ビギナは王国から追放されてしまいます。
しかし王国首脳陣も本人も自覚はなかったのですが、彼女は王国の国家運営を左右する存在であったのです。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
【完結】私の見る目がない?えーっと…神眼持ってるんですけど、彼の良さがわからないんですか?じゃあ、家を出ていきます。
西東友一
ファンタジー
えっ、彼との結婚がダメ?
なぜです、お父様?
彼はイケメンで、知性があって、性格もいい?のに。
「じゃあ、家を出ていきます」
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
学園長からのお話です
ラララキヲ
ファンタジー
学園長の声が学園に響く。
『昨日、平民の女生徒の食べていたお菓子を高位貴族の令息5人が取り囲んで奪うという事がありました』
昨日ピンク髪の女生徒からクッキーを貰った自覚のある王太子とその側近4人は項垂れながらその声を聴いていた。
学園長の話はまだまだ続く……
◇テンプレ乙女ゲームになりそうな登場人物(しかし出てこない)
◇ふんわり世界観。ゆるふわ設定。
◇なろうにも上げています。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
【短編】追放した仲間が行方不明!?
mimiaizu
ファンタジー
Aランク冒険者パーティー『強欲の翼』。そこで支援術師として仲間たちを支援し続けていたアリクは、リーダーのウーバの悪意で追補された。だが、その追放は間違っていた。これをきっかけとしてウーバと『強欲の翼』は失敗が続き、落ちぶれていくのであった。
※「行方不明」の「追放系」を思いついて投稿しました。短編で終わらせるつもりなのでよろしくお願いします。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
無能なので辞めさせていただきます!
サカキ カリイ
ファンタジー
ブラック商業ギルドにて、休みなく働き詰めだった自分。
マウントとる新人が入って来て、馬鹿にされだした。
えっ上司まで新人に同調してこちらに辞めろだって?
残業は無能の証拠、職務に時間が長くかかる分、
無駄に残業代払わせてるからお前を辞めさせたいって?
はいはいわかりました。
辞めますよ。
退職後、困ったんですかね?さあ、知りませんねえ。
自分無能なんで、なんにもわかりませんから。
カクヨム、なろうにも同内容のものを時差投稿しております。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
異世界転移「スキル無!」~授かったユニークスキルは「なし」ではなく触れたモノを「無」に帰す最強スキルだったようです~
夢・風魔
ファンタジー
林間学校の最中に召喚(誘拐?)された鈴村翔は「スキルが無い役立たずはいらない」と金髪縦ロール女に言われ、その場に取り残された。
しかしそのスキル鑑定は間違っていた。スキルが無いのではなく、転移特典で授かったのは『無』というスキルだったのだ。
とにかく生き残るために行動を起こした翔は、モンスターに襲われていた双子のエルフ姉妹を助ける。
エルフの里へと案内された翔は、林間学校で用意したキャンプ用品一式を使って彼らの食生活を改革することに。
スキル『無』で時々無双。双子の美少女エルフや木に宿る幼女精霊に囲まれ、翔の異世界生活冒険譚は始まった。
*小説家になろう・カクヨムでも投稿しております(完結済み
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる