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ダンジョン部の姫
第102話 驚く部員たち
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男性がポーション代を払うと言ってくるが、
「大丈夫ですよ。私は一応ジャパンランカーですので、下の階層へ潜ればまたドロップするでしょう。お気になさらず」
私は軽く手を振ってお断りをする。
ところが、会話を聞いていた部長が驚きの声を上げた。
「ちょ、ちょっと待って! 春菜さん、ジャパンランカーなの!?」
「はい。レベルは71ですし、ジャパンランキングは52位に登録してもらいました」
「ひ、姫……。ジャパンランカーだったのであるか……」
「石田さんまで……。だって、私、レベル71だって言ったじゃないですか」
他の部員たちも、一斉に声を出した。
「そんなの、信じるわけないじゃん!」
「姫は、女子中学生であるからして!」
「装備だって、初級用革鎧だし! 武器はコボルドから奪った棍棒だし!」
そこへ、くるくると踊るように回転をしながらユカリスさんがやってきた。
「筑紫春菜は強いんだぞおー。神王装備を身に着けたら、私よりも強いのだあー。動画で見たことないかえ? 黄金の鎧に身を包んだ少女が、地下220階層へ到達。それが筑紫春菜じゃあー」
私よりもずっと小柄なユカリスさん。まるで楽しく遊んでいるかのように回っていた。
「えええええ!?」
「えええええ!?」
「えええええ!?」
「えええええ!?」
「えええええ!?」
驚く部員たち。
「君たち、言っとくけど、ユカちんのほうが強いからなあー。筑紫春菜よりユカちんのほうがいい女だぞお。ユカちんとデートするかえ?」
「え……、いや……」
部員たちは戸惑いを見せる。
見た目は小学4年生。9歳程度に見える。
自称は99歳。だから年齢は不詳。
5機のドローンが頭上を旋回する。
ユカリスさんはダンジョンデバイスを8個も体に装着している。目立つのは頭の上にある2体のデバイスだ。
って……
あれ……? 1個増えていない?
ヘルメットのような兜の頭頂部にはちょんまげを連想させる飾りが2本伸びていて、その先端にデバイスがあった。
「ユカちんは恋人募集中なのじゃ。ユカちんの好みは、お姫様扱いしてくれる男子なのじゃ。だから、ユカちんの彼氏候補は、この子と、この子と、この子と、この子となのじゃ」
ユカリスさんは、石田さん、九条さん、葛城さん、椎名さんを順番に指していく。部長は除外されてしまっていた。
「筑紫春菜より、ユカちんのほうが強いんじゃぞ。ユカちんを姫と呼んでくれていいのじゃぞ」
「いや、どちらも強そうには見えないのでござる……」
「強いから姫というわけでもないし……」
困惑する部員たちに、ユカリスさんは憤慨する。
ぷくりと頬を膨らませて怒っていたが、子供が拗ねているようにしか見えない。
「君らは女というものがわかっていないのだあ。一番、いい女がユカちん。二番が筑紫春菜だあ。ユカちんとデートしたい者は挙手をするのだあ」
その言葉に、部員たちは反応しない。
ユカリスさんはぽろぽろと涙をこぼし始めた。
私の胸にがばっと顔を埋めてきた。
「筑紫春菜ぁ。ユカちんは振られたのじゃあ。誰も手を挙げないのじゃあ。筑紫春菜は5人も男がいるのじゃから、1人くらいくれてもいいのじゃあ。あああ。ユカちんも、男がほしいのじゃああああ。筑紫春菜が羨ましいのだああ」
胸の中で、ユカリスさんは泣きじゃくる。
よしよし、と私はその頭をなでた。ちょんまげみたいな頭の飾りが邪魔だったけれど。
「じゃあ、ユカちんもいっしょに行きますか? 確かレベル79でしたよね? 私は装備がこんなですから弱いですけれど、ユカちんは万全の装備です。ダンジョン部のみんなは安全に行けるはずです」
ところが、私の胸の中でユカリスさんは首を振る。
「嫌なのじゃ。ユカちんは行かないのじゃ。逆ハーレムで5人の男をはべらせた筑紫春菜のことを、指をくわえながら羨ましそうに見ることになるのじゃ。ユカちんがどれだけ強くても、筑紫春菜の可愛さには勝てないのじゃ。でも、ユカちんからあえてアドバイスをさせてもらうと、女は見た目も大事なのじゃ。この装備では、デートに誘ってもらえないのじゃ。これじゃ駄目なのじゃ」
「今はこんな装備ですからねえ。お兄ちゃんから1ヶ月で5万DPしか使えないようにされてしまって……って……別にデートに誘ってもらうとか関係ないですよね? でも、装備はなんとかしたいかな……」
「大丈夫、自力でゲットすればいいのじゃあ。ところで、筑紫春菜はこの中でどの男が気になるのじゃ? どの男を狙っておるのじゃ?」
突然にユカリスさんに聞かれ、私は目をパチクリとさせてしまう。そんな目でダンジョン部の部員を見たことはなかった。
私は部長、石田さん、九条さん、葛城さん、椎名さん、と順番に顔を見ていく。
別に好みの顔というわけでもないし、ときめきも感じない。
だが部長と部員は私と目が合わないように視線を外し、顔を赤くして下を向いていた。
うーん。変に意識するのはやめて欲しい。気まずい。
「大丈夫ですよ。私は一応ジャパンランカーですので、下の階層へ潜ればまたドロップするでしょう。お気になさらず」
私は軽く手を振ってお断りをする。
ところが、会話を聞いていた部長が驚きの声を上げた。
「ちょ、ちょっと待って! 春菜さん、ジャパンランカーなの!?」
「はい。レベルは71ですし、ジャパンランキングは52位に登録してもらいました」
「ひ、姫……。ジャパンランカーだったのであるか……」
「石田さんまで……。だって、私、レベル71だって言ったじゃないですか」
他の部員たちも、一斉に声を出した。
「そんなの、信じるわけないじゃん!」
「姫は、女子中学生であるからして!」
「装備だって、初級用革鎧だし! 武器はコボルドから奪った棍棒だし!」
そこへ、くるくると踊るように回転をしながらユカリスさんがやってきた。
「筑紫春菜は強いんだぞおー。神王装備を身に着けたら、私よりも強いのだあー。動画で見たことないかえ? 黄金の鎧に身を包んだ少女が、地下220階層へ到達。それが筑紫春菜じゃあー」
私よりもずっと小柄なユカリスさん。まるで楽しく遊んでいるかのように回っていた。
「えええええ!?」
「えええええ!?」
「えええええ!?」
「えええええ!?」
「えええええ!?」
驚く部員たち。
「君たち、言っとくけど、ユカちんのほうが強いからなあー。筑紫春菜よりユカちんのほうがいい女だぞお。ユカちんとデートするかえ?」
「え……、いや……」
部員たちは戸惑いを見せる。
見た目は小学4年生。9歳程度に見える。
自称は99歳。だから年齢は不詳。
5機のドローンが頭上を旋回する。
ユカリスさんはダンジョンデバイスを8個も体に装着している。目立つのは頭の上にある2体のデバイスだ。
って……
あれ……? 1個増えていない?
ヘルメットのような兜の頭頂部にはちょんまげを連想させる飾りが2本伸びていて、その先端にデバイスがあった。
「ユカちんは恋人募集中なのじゃ。ユカちんの好みは、お姫様扱いしてくれる男子なのじゃ。だから、ユカちんの彼氏候補は、この子と、この子と、この子と、この子となのじゃ」
ユカリスさんは、石田さん、九条さん、葛城さん、椎名さんを順番に指していく。部長は除外されてしまっていた。
「筑紫春菜より、ユカちんのほうが強いんじゃぞ。ユカちんを姫と呼んでくれていいのじゃぞ」
「いや、どちらも強そうには見えないのでござる……」
「強いから姫というわけでもないし……」
困惑する部員たちに、ユカリスさんは憤慨する。
ぷくりと頬を膨らませて怒っていたが、子供が拗ねているようにしか見えない。
「君らは女というものがわかっていないのだあ。一番、いい女がユカちん。二番が筑紫春菜だあ。ユカちんとデートしたい者は挙手をするのだあ」
その言葉に、部員たちは反応しない。
ユカリスさんはぽろぽろと涙をこぼし始めた。
私の胸にがばっと顔を埋めてきた。
「筑紫春菜ぁ。ユカちんは振られたのじゃあ。誰も手を挙げないのじゃあ。筑紫春菜は5人も男がいるのじゃから、1人くらいくれてもいいのじゃあ。あああ。ユカちんも、男がほしいのじゃああああ。筑紫春菜が羨ましいのだああ」
胸の中で、ユカリスさんは泣きじゃくる。
よしよし、と私はその頭をなでた。ちょんまげみたいな頭の飾りが邪魔だったけれど。
「じゃあ、ユカちんもいっしょに行きますか? 確かレベル79でしたよね? 私は装備がこんなですから弱いですけれど、ユカちんは万全の装備です。ダンジョン部のみんなは安全に行けるはずです」
ところが、私の胸の中でユカリスさんは首を振る。
「嫌なのじゃ。ユカちんは行かないのじゃ。逆ハーレムで5人の男をはべらせた筑紫春菜のことを、指をくわえながら羨ましそうに見ることになるのじゃ。ユカちんがどれだけ強くても、筑紫春菜の可愛さには勝てないのじゃ。でも、ユカちんからあえてアドバイスをさせてもらうと、女は見た目も大事なのじゃ。この装備では、デートに誘ってもらえないのじゃ。これじゃ駄目なのじゃ」
「今はこんな装備ですからねえ。お兄ちゃんから1ヶ月で5万DPしか使えないようにされてしまって……って……別にデートに誘ってもらうとか関係ないですよね? でも、装備はなんとかしたいかな……」
「大丈夫、自力でゲットすればいいのじゃあ。ところで、筑紫春菜はこの中でどの男が気になるのじゃ? どの男を狙っておるのじゃ?」
突然にユカリスさんに聞かれ、私は目をパチクリとさせてしまう。そんな目でダンジョン部の部員を見たことはなかった。
私は部長、石田さん、九条さん、葛城さん、椎名さん、と順番に顔を見ていく。
別に好みの顔というわけでもないし、ときめきも感じない。
だが部長と部員は私と目が合わないように視線を外し、顔を赤くして下を向いていた。
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