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ダンジョンからの脱出
第50話 218階層の探索
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もりもりさんは土属性の魔法が得意だ。洞窟の壁と見紛うほどの地形を作り出し、モンスターとの遭遇を避けながら歩いていく。
アップグレードされたダンジョンデバイスで218階層をマッピングしていく。新しいダンジョンデバイスはより詳細にモンスターの情報を与えてくれる。いちばん重要なのはモンスターが知的かどうかだ。
知能が低いモンスターはやみくもにこちらを襲ってくる。一方で知性のあるモンスターは私たちを警戒する。
私たちの側でも、なるべく知性の高いモンスターとは距離を取る。場合によってはもりもりさんが地形を変えていることすら理解する可能性があるからだ。
ダンジョンデバイスのお陰でかなり戦略が立てやすい。
マッピングアプリ上ではモンスターの位置が丸わかりになっている。接近を避けながら、もりもりさんの魔法で壁を作りながら進んでいく。
今やっているのは、218階層のダンジョン自体を私たちの都合がいいように作り変えている作業だ。
1日や2日で攻略しようとは思っていない。
視聴者も巻き込んで、戦略を立てていく。みんな協力的だけれど、あいかわらず、ぽんたさんとアクゾーさんはマイペースだ。
■ぽんた:こんなん見たことねーぞ。218階層が最初とまったく違うじゃねえか。
■アクゾー:都合のいいように、ダンジョンを変えていくのね。
■ぽんた:ダンジョンデバイスがアップグレードされたおかげで、下級ハンターも攻略しやすくなったようやね。
■アクゾー:わいも、初めて165階層に行った。
■ぽんた:おいらも行ってみた。
■アクゾー:でも、170階層のボスが厄介らしいな。
■ぽんた:筑紫冬夜を筆頭に戦ってるらしいぞ
■アクゾー:ハルナっちのお兄ちゃんね
この2人は役に立たないようでいて、有用な情報をもたらしてくれるから侮れない。
どうやらお兄ちゃんは170階層の階層主と戦闘中らしい。レイドと呼ばれる集団で挑んでいるはずだ。お兄ちゃんだけが抜け出すわけには行かないだろうから、とりあえずしばらくは大丈夫だ。
「だいぶ地形を変えましたね」
私はもりもりさんに話しかける。
「ええ、この階層はちょっと気をつけないといけないですね。小動物系のモンスターが多いです」
ダンジョンデバイスではモンスターの詳細情報がわかるようになっていた。
この階層にいるモンスターは兎、鼠、モグラ、蟻、コウモリなどが中心だ。
洞窟は小さい穴が張り巡らされており、その穴をモンスターたちが移動用の通路としている。
私たちはその通路をうまく避け、道を作ったり、遭遇を避けるための壁を作っていった。
「知能が高いモンスターが一体いますね。私のデバイスで表示が青なんですが」
デバイスをもりもりさんに向ける
「私もです」
もりもりさんとお互いにデバイスを見せ合った。
ほとんどすべてのモンスターの表示が紫色の中、そのモンスターだけが青色をしていた。
「距離があるので、詳細情報が出てきません」
「あきらかに、私たちから逃げています」
「知能が高いのは間違いないですね」
マッド・スライムのようにレベルを偽装しているのではないらしい。
けっして弱いわけではなく、レベルは高いのだけれど、私たちがこのモンスターにとっては天敵ということのようだ。
「こいつをまず真っ先に倒したいですね」
「そうですね。勝てる敵から倒すというのはセオリーですから」
「私たちに気がついているのでしょうか?」
「正確な位置まではわからないはずです。おそらくは気配かなにかで感知しているだけでしょう」
最初の目標が決まった。
この青い点のモンスターだ。
だが、なんとなく引っかかる。
本当に倒していいものだろうか。
知性が高いようなので、とりあえず接触を試みるのはどうだろうか?
私はこの提案をもりもりさんにしてみた。
「そうですね。春菜さんの考えは悪くないと思います。まずはこのモンスターとの接触を図ってみましょう」
アップグレードされたダンジョンデバイスで218階層をマッピングしていく。新しいダンジョンデバイスはより詳細にモンスターの情報を与えてくれる。いちばん重要なのはモンスターが知的かどうかだ。
知能が低いモンスターはやみくもにこちらを襲ってくる。一方で知性のあるモンスターは私たちを警戒する。
私たちの側でも、なるべく知性の高いモンスターとは距離を取る。場合によってはもりもりさんが地形を変えていることすら理解する可能性があるからだ。
ダンジョンデバイスのお陰でかなり戦略が立てやすい。
マッピングアプリ上ではモンスターの位置が丸わかりになっている。接近を避けながら、もりもりさんの魔法で壁を作りながら進んでいく。
今やっているのは、218階層のダンジョン自体を私たちの都合がいいように作り変えている作業だ。
1日や2日で攻略しようとは思っていない。
視聴者も巻き込んで、戦略を立てていく。みんな協力的だけれど、あいかわらず、ぽんたさんとアクゾーさんはマイペースだ。
■ぽんた:こんなん見たことねーぞ。218階層が最初とまったく違うじゃねえか。
■アクゾー:都合のいいように、ダンジョンを変えていくのね。
■ぽんた:ダンジョンデバイスがアップグレードされたおかげで、下級ハンターも攻略しやすくなったようやね。
■アクゾー:わいも、初めて165階層に行った。
■ぽんた:おいらも行ってみた。
■アクゾー:でも、170階層のボスが厄介らしいな。
■ぽんた:筑紫冬夜を筆頭に戦ってるらしいぞ
■アクゾー:ハルナっちのお兄ちゃんね
この2人は役に立たないようでいて、有用な情報をもたらしてくれるから侮れない。
どうやらお兄ちゃんは170階層の階層主と戦闘中らしい。レイドと呼ばれる集団で挑んでいるはずだ。お兄ちゃんだけが抜け出すわけには行かないだろうから、とりあえずしばらくは大丈夫だ。
「だいぶ地形を変えましたね」
私はもりもりさんに話しかける。
「ええ、この階層はちょっと気をつけないといけないですね。小動物系のモンスターが多いです」
ダンジョンデバイスではモンスターの詳細情報がわかるようになっていた。
この階層にいるモンスターは兎、鼠、モグラ、蟻、コウモリなどが中心だ。
洞窟は小さい穴が張り巡らされており、その穴をモンスターたちが移動用の通路としている。
私たちはその通路をうまく避け、道を作ったり、遭遇を避けるための壁を作っていった。
「知能が高いモンスターが一体いますね。私のデバイスで表示が青なんですが」
デバイスをもりもりさんに向ける
「私もです」
もりもりさんとお互いにデバイスを見せ合った。
ほとんどすべてのモンスターの表示が紫色の中、そのモンスターだけが青色をしていた。
「距離があるので、詳細情報が出てきません」
「あきらかに、私たちから逃げています」
「知能が高いのは間違いないですね」
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「こいつをまず真っ先に倒したいですね」
「そうですね。勝てる敵から倒すというのはセオリーですから」
「私たちに気がついているのでしょうか?」
「正確な位置まではわからないはずです。おそらくは気配かなにかで感知しているだけでしょう」
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だが、なんとなく引っかかる。
本当に倒していいものだろうか。
知性が高いようなので、とりあえず接触を試みるのはどうだろうか?
私はこの提案をもりもりさんにしてみた。
「そうですね。春菜さんの考えは悪くないと思います。まずはこのモンスターとの接触を図ってみましょう」
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