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ダンジョンからの脱出
第47話 アップグレードされたダンジョンデバイス
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現在は218階層にいる。ダンジョンデバイスの探索能力も上がり、モンスターの解析能力も上がっている。
搭載されているAIの性能も向上しており、220階層に階層主、いわゆるボスが居る確率はほぼ100%に近いと算出された。
そして、これまでの探索結果とAIの予測により、220階層のボスを倒して出現するであろう扉。それは上昇階を選択できるタイプの、いわゆるエレベーターのようなものになるのではないかとのことだった。100階層ほどは登れるはずだ。
つまり、220階層のボスを倒せば、120階層くらいまで戻ることができ、そうすれば私たちは地上へと帰ることができる。
「春菜さん。マッピングアプリはVer2.0にアップグレードされました。近距離であれば、隠し扉やシューターも表示してくれます。それと、モンスターの表示も広範囲に……」
もりもりさんが見せてくれたデバイス。そこにはモンスターのドットの表示はあるものの、その殆どが紫の表示だった。紫色、すなわち討伐が困難なモンスターだ。
このデバイスはもりもりさんのものだ。この218階層におけるモンスターの平均レベルは150前後。もりもりさんのレベルを軽く超えており、簡単に倒せるようなモンスターではないということだ。
もりもりさんのレベルは下一桁が8。それしか教えてもらっていない。
1位のミランダ・モリスさんがレベル87だから、78か68だろうか? あるいは1位を超えて88か?
いずれにせよ、そのレベルであっても、この階層のモンスターの半分くらいしかない。
もちろん私のデバイスによる表示も紫色。私はまだレベル2だから当たり前だ。私のデバイスのマッピングアプリも新しいバージョンに更新されていた。
「マッピングアプリVer2.0の性能はすごいですね。今まではドット表示しかなかったのですが、詳細情報まで解析されています」
ドットを軽くタッチすると、そこにいるモンスターの詳細情報が表示される。
――――――――――――――――
名称:無敵の兎(動物系モンスター)
推定レベル151
推定能力 知能:低、噛みつき、ひっかき
ドロップアイテム 食料・角・骨・まれにポーション
討伐履歴・なし
――――――――――――――――
ただし、これは近距離にいるモンスターに限られる。
218階層は洞窟になっていた。
マッピングアプリを見ると、岩のトンネルが複雑にうねっている。
上層で見られるような、よくあるダンジョンの光景だった。
「マッピングアプリだけではなく、デバイス解析の機能も向上しています。私たちが地上に送ったヴァンパイアを使って、もっとアプリは改良されていくでしょう。でも、それを待つ時間が私たちにはありません」
「すいません。私が帰還石を無駄にしてしまったので」
責められたように感じて、俯いてしまう。
「春菜さん、何が最善だったのかは終わってみないとわからないことです。春菜さんの行動こそが正しかったのかも知れません。その時になってみないと、わからないのです。だから、私たちは今できることをやるだけです」
「わかりました」
もりもりさんは私を責めるようなことはしない。今の現状を受け止め、これからどうするかだけを考えている。
「私たちがここまで来れた理由、そしてとても倒せないはずのモンスターを倒せた理由。それはなんでしょうか?」
もりもりさんは私に問いかけてきた。
現在いるのは218階層。ここまでの戦いを振り返ってみる。
212階層から215階層は4層構造のダンジョンだった。ここでフレイムドラゴンを倒した。
216階層でセクハラ発言をしてきたリビングデッドを倒した。
217階層は泥の世界で、マッド・スライムとマッドエイプを倒した。マッド・エイプを倒したのはもりもりさんだ。私を助けるために、この階層まで来てくれた。
218階層はシャワーを覗いてきたエッチなヴァンパイアを叩き切った。
どのモンスターも私ではとても倒せるはずがない。217階層からはもりもりさんも加わったが、それでもレベル差は圧倒的だ。
「もしかして?」
私があることに気がつくと、もりもりさんは無言でうなずき、ダンジョンデバイスをこちらに向けた。
視聴者には見えないように意識している。
そこに表示されている非公開情報。
覚醒レベル2
そして、デバイスに現れた新たな情報。ダンジョンブレイクと人類領域侵攻計画。
「春菜さんはEXRレベルアップシードを使いましたよね?」
「はい」
もりもりさんは直接には言わないけれど、彼女もEXRレベルアップシードを使ったのだ。そして通常レベルが1上がり、覚醒レベルも1上がった。
もりもりさんは高ランカーだと思われた。
私が獲得したレベルアップシードはこの世界で2個めにドロップしたものだ。最初のレベルアップシードはダンジョン管理協会が保管していると聞いていた。
管理協会は保管していたレベルアップシードをもりもりさんに託したのかも知れない。
搭載されているAIの性能も向上しており、220階層に階層主、いわゆるボスが居る確率はほぼ100%に近いと算出された。
そして、これまでの探索結果とAIの予測により、220階層のボスを倒して出現するであろう扉。それは上昇階を選択できるタイプの、いわゆるエレベーターのようなものになるのではないかとのことだった。100階層ほどは登れるはずだ。
つまり、220階層のボスを倒せば、120階層くらいまで戻ることができ、そうすれば私たちは地上へと帰ることができる。
「春菜さん。マッピングアプリはVer2.0にアップグレードされました。近距離であれば、隠し扉やシューターも表示してくれます。それと、モンスターの表示も広範囲に……」
もりもりさんが見せてくれたデバイス。そこにはモンスターのドットの表示はあるものの、その殆どが紫の表示だった。紫色、すなわち討伐が困難なモンスターだ。
このデバイスはもりもりさんのものだ。この218階層におけるモンスターの平均レベルは150前後。もりもりさんのレベルを軽く超えており、簡単に倒せるようなモンスターではないということだ。
もりもりさんのレベルは下一桁が8。それしか教えてもらっていない。
1位のミランダ・モリスさんがレベル87だから、78か68だろうか? あるいは1位を超えて88か?
いずれにせよ、そのレベルであっても、この階層のモンスターの半分くらいしかない。
もちろん私のデバイスによる表示も紫色。私はまだレベル2だから当たり前だ。私のデバイスのマッピングアプリも新しいバージョンに更新されていた。
「マッピングアプリVer2.0の性能はすごいですね。今まではドット表示しかなかったのですが、詳細情報まで解析されています」
ドットを軽くタッチすると、そこにいるモンスターの詳細情報が表示される。
――――――――――――――――
名称:無敵の兎(動物系モンスター)
推定レベル151
推定能力 知能:低、噛みつき、ひっかき
ドロップアイテム 食料・角・骨・まれにポーション
討伐履歴・なし
――――――――――――――――
ただし、これは近距離にいるモンスターに限られる。
218階層は洞窟になっていた。
マッピングアプリを見ると、岩のトンネルが複雑にうねっている。
上層で見られるような、よくあるダンジョンの光景だった。
「マッピングアプリだけではなく、デバイス解析の機能も向上しています。私たちが地上に送ったヴァンパイアを使って、もっとアプリは改良されていくでしょう。でも、それを待つ時間が私たちにはありません」
「すいません。私が帰還石を無駄にしてしまったので」
責められたように感じて、俯いてしまう。
「春菜さん、何が最善だったのかは終わってみないとわからないことです。春菜さんの行動こそが正しかったのかも知れません。その時になってみないと、わからないのです。だから、私たちは今できることをやるだけです」
「わかりました」
もりもりさんは私を責めるようなことはしない。今の現状を受け止め、これからどうするかだけを考えている。
「私たちがここまで来れた理由、そしてとても倒せないはずのモンスターを倒せた理由。それはなんでしょうか?」
もりもりさんは私に問いかけてきた。
現在いるのは218階層。ここまでの戦いを振り返ってみる。
212階層から215階層は4層構造のダンジョンだった。ここでフレイムドラゴンを倒した。
216階層でセクハラ発言をしてきたリビングデッドを倒した。
217階層は泥の世界で、マッド・スライムとマッドエイプを倒した。マッド・エイプを倒したのはもりもりさんだ。私を助けるために、この階層まで来てくれた。
218階層はシャワーを覗いてきたエッチなヴァンパイアを叩き切った。
どのモンスターも私ではとても倒せるはずがない。217階層からはもりもりさんも加わったが、それでもレベル差は圧倒的だ。
「もしかして?」
私があることに気がつくと、もりもりさんは無言でうなずき、ダンジョンデバイスをこちらに向けた。
視聴者には見えないように意識している。
そこに表示されている非公開情報。
覚醒レベル2
そして、デバイスに現れた新たな情報。ダンジョンブレイクと人類領域侵攻計画。
「春菜さんはEXRレベルアップシードを使いましたよね?」
「はい」
もりもりさんは直接には言わないけれど、彼女もEXRレベルアップシードを使ったのだ。そして通常レベルが1上がり、覚醒レベルも1上がった。
もりもりさんは高ランカーだと思われた。
私が獲得したレベルアップシードはこの世界で2個めにドロップしたものだ。最初のレベルアップシードはダンジョン管理協会が保管していると聞いていた。
管理協会は保管していたレベルアップシードをもりもりさんに託したのかも知れない。
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