34 / 165
泥にまみれた戦い
第34話 返せええええ
しおりを挟む
ずぶずぶ、ずぶずぶ、泥の中を歩いて階段まで戻る。
その距離およそ200mほど。
果てしなく遠く感じていたその距離も、マッド・スライムがいなくなってしまえばなんということもない。
「とりあえず、階段まで戻ってきました」
適当にアイテムを実体化して、鎧についた泥を洗い流す。
じょぼじょぼとポーションが鎧の上を流れ、きれいな黄金色が姿を表す。
■そ、それ……。1本で1万はするやつ……
■うわあ、8本は使ったぞ
■8万円分使ったのか
■回復ポーションの無駄遣い……
■こんなポーションの使い方するやつ、初めて見たよ
「だって、これしかなかったんですもの……」
仕方ないじゃないか。ここには水道もシャワーもないのだ。
女子中学生なんだよ。泥だらけのままでダンジョン配信をするわけにはいかない。
見た目を気にするのは当たり前だ。
「よし、ぴっかぴかになりました。さて、上に戻りますか」
■え? 神王の長剣は?
■剣を取り戻さないの?
私はダンジョンデバイスに217階層の景色を映し出す。
どこまでも泥の海が広がっていた。
「みなさん、この光景を見てください。ここで戦ったらどうみても泥だらけになります。鎧の中に泥が入ります。武器もなければ作戦もない。私にいったい何ができましょうか」
■だって、ほら。お兄ちゃんに怒られちゃうよ
■剣を取り返そうよ
「よく考えてください。もう怒られることは確定事項です。私が無理に剣を取り返そうとして死んでしまったら、神王装備がまるごと失われるわけです。あと、死んじゃったらお兄ちゃんが悲しむし、結婚しようとしているお兄ちゃんも、結婚が延期になるでしょう。何もいいことはないのです」
■まあ、もっともではある
■死んだら終わりだしな
「何事も、安全第一です。それに私の剣を奪っていったあのモンスター。どう見たって一般モンスターですよ。階層主じゃありません」
■奪われたんじゃなくて、ハルナっちの失敗な
■あれはハルナっちの失態
■どう考えてもハルナっちが悪い
「と、とにかく……、そもそもが階層主に遭遇しても、私なんかじゃ絶対に倒せません。次はたぶん220階層とかですよね。そしてきっと、ドラゴンくらいに大きいはずです。だから、いったん上へ戻って……」
ダンジョンデバイスには私の顔がアップで映っている。
黄金の兜を被った状態。その横には謎の物体が2つ。上からぶら下がるように……。
顔の両脇には毛むくじゃらの2本の腕が伸びてきていた。
「なんでしょう、これ……」
■ハルナっち、上!
■マッド・エイプがいるぞ!
私が視線を上げると同時だった。
すぽっと私の兜が引き抜かれる。
肩まで伸びたセミロングがふわっと持ち上がり、重力に従って垂れる。
口を開けて唖然としてしまった。
今いる場所は島のようになっており、階段を囲むように石が積まれている。
階段の周りは石壁になっており、そこに器用に足の指を引っ掛けて逆さにぶら下がっているマッド・エイプがいた。
私の頭上、およそ30cmくらい上。
黄金に輝く神王の兜を手にし、口を横いっぱいに伸ばしながら、そこには2本の牙が覗いている。
やつの目はまるで私をあざ笑うかのよう。
■兜が取られた!
■神王の長剣に続いて、兜まで!!
何が起こったのか、一瞬で判断ができなかった。
遅れて、兜を盗まれたのだと気がつく。
目を大きく見開いて、猿のようなモンスターに手を伸ばした。
マッド・エイプは私から離れるように壁を登る。
「キキキキイイイイィィィッ!」
獣のような叫び声を出しながら、マッド・エイプは石壁を天井付近まで登った。
「か、返せえええぇぇぇっ! 私の、私の兜おおおおぉぉぉぉ!!」
正確にはお兄ちゃんの兜だ。神王の兜の市場価格は12億円。
剣に続いて、兜まで奪われたら、本当に洒落にならない。
マッド・エイプの背中にはまだ剣が刺さったままだった。
その状態で、私を挑発するように、神王の兜を頭からすっぽりと被った。
「キキ? キキキ?」
まるで『これ、似合う?』とでも言いたげな口調。
兜をかぶった状態で、首をくねくねと傾げている。
「あなたなんかには、似合いません!」
私は叫びながら、マッド・エイプを追いかけるが、器用に石壁を伝ってあっちこっちと飛び跳ねるように逃げていく。
とても捕まえられそうにない。
ところが、マッド・エイプは私との距離を一定に保っていた。
私が捕まえられそうに思うくらいに微妙な距離で、こちらが手を伸ばした所、逆に私に向かって飛んできた。
私の背中をぽんっと踏み台にして、反対側の地面に降り立つ。ちょうど階段がある前あたり。
「くそっ。返すんですよ!」
私は勢いをつけて、両腕を広げながらマッド・エイプに飛びかかった。右手には自撮り棒と一緒にデバイスを装着していたから、視聴者が見ている映像はぶれぶれだっただろう。
「よし!」
マッド・エイプを捕まえたと思ったが、真上にすり抜けるように逃げられてしまった。勢い余った私はそのまま泥の海の直前まで体を乗り出してしまう。
「あわわ」
危うく泥の中に落ちそうになって堪えていたところに、後ろから強い力で押されてしまった。
どっぶーんと泥の中にダイブ。
泥が勢いよく噴き上げる。
「キキキキキィィィ!!」
嬉しそうな声を上げるマッド・エイプ。
私は泥の中に突き落とされてしまった。
身体の前半分が泥だらけ。髪もどろどろ。
かろうじてかばったデバイスにも泥が跳ね、カメラのレンズは完全に塞がってしまったようだ。画面は半分くらいしか見えない。その画面に視聴者のコメントが流れる。
■ハルナっち、泥に落ちた?
■画面に何も映ってないぞ
■レンズに泥がついた? 何も見えない
私は泥の中で、体を起こしながらマッド・エイプを睨みつける。
「やってくれましたね……」
「キキ、キキ、キキキィィ!」
マッド・エイプは両手両足を嬉しそうに踊らせている。
悔しいけれど、勝ち目がない。
おそらくは私よりもずっと強くて、機動力も高い。
カメラのレンズも汚れてしまい、視聴者も状況がわからなくなってしまっている。
ここはいったん引くしかないと判断した。
「とりあえず、階段をあがって、そこで体勢を立て直そうと思います。兜を取られたのは悔しいですけれど、作戦を立てなければ……」
■逃げるの?
■まあ、勝てそうにないし仕方ないか
■立て直すのが最善策かも
■上の階層までは追ってこれないしな
■さすが、ハルナっち。ダンジョンの特性をうまく利用するのね。
■褒めてる? それしか策がないだけじゃ?
画面が汚れているので視聴者のコメントも一部しか読めない。
「悔しいですが、上へ逃げます……。あいつは上に来れないので……」
私は泥の海から島の上へ上がり、そのまま階段を登るつもりだった。
ところが……。
「ウエヘニゲル?」
「マッド・エイプが喋った!?」
マッド・エイプが人間の言葉を喋ったのだ。
■人間の言葉がわからないフリをしていた?
■まずい、知性があるタイプかも
■言葉がわからないフリをして、こっちの言葉を聞いていたんだ
■ハルナっち、早く階段を登ったほうがいい!
■急がないと手遅れに……
私は階段へ向けて走ろうとした。
だが、それより早くマッド・エイプは前に立ちふさがった。
そのまま、後ろ歩きで階段を数歩登る。
5段ほどあがり、私のことを見下ろしてきた。まるで、ここを通さないぞと言わんばかりに口を大きく横に開き、『さあ、どうするんだ』といった表情を浮かべる。
黄金の兜を被った、憎たらしい猿のモンスター。私に勝ち目はなさそうに思える。
「どうしましょう。先に、マッド・エイプに階段の入口に立たれてしまいました……」
その距離およそ200mほど。
果てしなく遠く感じていたその距離も、マッド・スライムがいなくなってしまえばなんということもない。
「とりあえず、階段まで戻ってきました」
適当にアイテムを実体化して、鎧についた泥を洗い流す。
じょぼじょぼとポーションが鎧の上を流れ、きれいな黄金色が姿を表す。
■そ、それ……。1本で1万はするやつ……
■うわあ、8本は使ったぞ
■8万円分使ったのか
■回復ポーションの無駄遣い……
■こんなポーションの使い方するやつ、初めて見たよ
「だって、これしかなかったんですもの……」
仕方ないじゃないか。ここには水道もシャワーもないのだ。
女子中学生なんだよ。泥だらけのままでダンジョン配信をするわけにはいかない。
見た目を気にするのは当たり前だ。
「よし、ぴっかぴかになりました。さて、上に戻りますか」
■え? 神王の長剣は?
■剣を取り戻さないの?
私はダンジョンデバイスに217階層の景色を映し出す。
どこまでも泥の海が広がっていた。
「みなさん、この光景を見てください。ここで戦ったらどうみても泥だらけになります。鎧の中に泥が入ります。武器もなければ作戦もない。私にいったい何ができましょうか」
■だって、ほら。お兄ちゃんに怒られちゃうよ
■剣を取り返そうよ
「よく考えてください。もう怒られることは確定事項です。私が無理に剣を取り返そうとして死んでしまったら、神王装備がまるごと失われるわけです。あと、死んじゃったらお兄ちゃんが悲しむし、結婚しようとしているお兄ちゃんも、結婚が延期になるでしょう。何もいいことはないのです」
■まあ、もっともではある
■死んだら終わりだしな
「何事も、安全第一です。それに私の剣を奪っていったあのモンスター。どう見たって一般モンスターですよ。階層主じゃありません」
■奪われたんじゃなくて、ハルナっちの失敗な
■あれはハルナっちの失態
■どう考えてもハルナっちが悪い
「と、とにかく……、そもそもが階層主に遭遇しても、私なんかじゃ絶対に倒せません。次はたぶん220階層とかですよね。そしてきっと、ドラゴンくらいに大きいはずです。だから、いったん上へ戻って……」
ダンジョンデバイスには私の顔がアップで映っている。
黄金の兜を被った状態。その横には謎の物体が2つ。上からぶら下がるように……。
顔の両脇には毛むくじゃらの2本の腕が伸びてきていた。
「なんでしょう、これ……」
■ハルナっち、上!
■マッド・エイプがいるぞ!
私が視線を上げると同時だった。
すぽっと私の兜が引き抜かれる。
肩まで伸びたセミロングがふわっと持ち上がり、重力に従って垂れる。
口を開けて唖然としてしまった。
今いる場所は島のようになっており、階段を囲むように石が積まれている。
階段の周りは石壁になっており、そこに器用に足の指を引っ掛けて逆さにぶら下がっているマッド・エイプがいた。
私の頭上、およそ30cmくらい上。
黄金に輝く神王の兜を手にし、口を横いっぱいに伸ばしながら、そこには2本の牙が覗いている。
やつの目はまるで私をあざ笑うかのよう。
■兜が取られた!
■神王の長剣に続いて、兜まで!!
何が起こったのか、一瞬で判断ができなかった。
遅れて、兜を盗まれたのだと気がつく。
目を大きく見開いて、猿のようなモンスターに手を伸ばした。
マッド・エイプは私から離れるように壁を登る。
「キキキキイイイイィィィッ!」
獣のような叫び声を出しながら、マッド・エイプは石壁を天井付近まで登った。
「か、返せえええぇぇぇっ! 私の、私の兜おおおおぉぉぉぉ!!」
正確にはお兄ちゃんの兜だ。神王の兜の市場価格は12億円。
剣に続いて、兜まで奪われたら、本当に洒落にならない。
マッド・エイプの背中にはまだ剣が刺さったままだった。
その状態で、私を挑発するように、神王の兜を頭からすっぽりと被った。
「キキ? キキキ?」
まるで『これ、似合う?』とでも言いたげな口調。
兜をかぶった状態で、首をくねくねと傾げている。
「あなたなんかには、似合いません!」
私は叫びながら、マッド・エイプを追いかけるが、器用に石壁を伝ってあっちこっちと飛び跳ねるように逃げていく。
とても捕まえられそうにない。
ところが、マッド・エイプは私との距離を一定に保っていた。
私が捕まえられそうに思うくらいに微妙な距離で、こちらが手を伸ばした所、逆に私に向かって飛んできた。
私の背中をぽんっと踏み台にして、反対側の地面に降り立つ。ちょうど階段がある前あたり。
「くそっ。返すんですよ!」
私は勢いをつけて、両腕を広げながらマッド・エイプに飛びかかった。右手には自撮り棒と一緒にデバイスを装着していたから、視聴者が見ている映像はぶれぶれだっただろう。
「よし!」
マッド・エイプを捕まえたと思ったが、真上にすり抜けるように逃げられてしまった。勢い余った私はそのまま泥の海の直前まで体を乗り出してしまう。
「あわわ」
危うく泥の中に落ちそうになって堪えていたところに、後ろから強い力で押されてしまった。
どっぶーんと泥の中にダイブ。
泥が勢いよく噴き上げる。
「キキキキキィィィ!!」
嬉しそうな声を上げるマッド・エイプ。
私は泥の中に突き落とされてしまった。
身体の前半分が泥だらけ。髪もどろどろ。
かろうじてかばったデバイスにも泥が跳ね、カメラのレンズは完全に塞がってしまったようだ。画面は半分くらいしか見えない。その画面に視聴者のコメントが流れる。
■ハルナっち、泥に落ちた?
■画面に何も映ってないぞ
■レンズに泥がついた? 何も見えない
私は泥の中で、体を起こしながらマッド・エイプを睨みつける。
「やってくれましたね……」
「キキ、キキ、キキキィィ!」
マッド・エイプは両手両足を嬉しそうに踊らせている。
悔しいけれど、勝ち目がない。
おそらくは私よりもずっと強くて、機動力も高い。
カメラのレンズも汚れてしまい、視聴者も状況がわからなくなってしまっている。
ここはいったん引くしかないと判断した。
「とりあえず、階段をあがって、そこで体勢を立て直そうと思います。兜を取られたのは悔しいですけれど、作戦を立てなければ……」
■逃げるの?
■まあ、勝てそうにないし仕方ないか
■立て直すのが最善策かも
■上の階層までは追ってこれないしな
■さすが、ハルナっち。ダンジョンの特性をうまく利用するのね。
■褒めてる? それしか策がないだけじゃ?
画面が汚れているので視聴者のコメントも一部しか読めない。
「悔しいですが、上へ逃げます……。あいつは上に来れないので……」
私は泥の海から島の上へ上がり、そのまま階段を登るつもりだった。
ところが……。
「ウエヘニゲル?」
「マッド・エイプが喋った!?」
マッド・エイプが人間の言葉を喋ったのだ。
■人間の言葉がわからないフリをしていた?
■まずい、知性があるタイプかも
■言葉がわからないフリをして、こっちの言葉を聞いていたんだ
■ハルナっち、早く階段を登ったほうがいい!
■急がないと手遅れに……
私は階段へ向けて走ろうとした。
だが、それより早くマッド・エイプは前に立ちふさがった。
そのまま、後ろ歩きで階段を数歩登る。
5段ほどあがり、私のことを見下ろしてきた。まるで、ここを通さないぞと言わんばかりに口を大きく横に開き、『さあ、どうするんだ』といった表情を浮かべる。
黄金の兜を被った、憎たらしい猿のモンスター。私に勝ち目はなさそうに思える。
「どうしましょう。先に、マッド・エイプに階段の入口に立たれてしまいました……」
61
お気に入りに追加
289
あなたにおすすめの小説
【短編】追放した仲間が行方不明!?
mimiaizu
ファンタジー
Aランク冒険者パーティー『強欲の翼』。そこで支援術師として仲間たちを支援し続けていたアリクは、リーダーのウーバの悪意で追補された。だが、その追放は間違っていた。これをきっかけとしてウーバと『強欲の翼』は失敗が続き、落ちぶれていくのであった。
※「行方不明」の「追放系」を思いついて投稿しました。短編で終わらせるつもりなのでよろしくお願いします。
勇者召喚に巻き込まれ、異世界転移・貰えたスキルも鑑定だけ・・・・だけど、何かあるはず!
よっしぃ
ファンタジー
9月11日、12日、ファンタジー部門2位達成中です!
僕はもうすぐ25歳になる常山 順平 24歳。
つねやま じゅんぺいと読む。
何処にでもいる普通のサラリーマン。
仕事帰りの電車で、吊革に捕まりうつらうつらしていると・・・・
突然気分が悪くなり、倒れそうになる。
周りを見ると、周りの人々もどんどん倒れている。明らかな異常事態。
何が起こったか分からないまま、気を失う。
気が付けば電車ではなく、どこかの建物。
周りにも人が倒れている。
僕と同じようなリーマンから、数人の女子高生や男子学生、仕事帰りの若い女性や、定年近いおっさんとか。
気が付けば誰かがしゃべってる。
どうやらよくある勇者召喚とやらが行われ、たまたま僕は異世界転移に巻き込まれたようだ。
そして・・・・帰るには、魔王を倒してもらう必要がある・・・・と。
想定外の人数がやって来たらしく、渡すギフト・・・・スキルらしいけど、それも数が限られていて、勇者として召喚した人以外、つまり巻き込まれて転移したその他大勢は、1人1つのギフト?スキルを。あとは支度金と装備一式を渡されるらしい。
どうしても無理な人は、戻ってきたら面倒を見ると。
一方的だが、日本に戻るには、勇者が魔王を倒すしかなく、それを待つのもよし、自ら勇者に協力するもよし・・・・
ですが、ここで問題が。
スキルやギフトにはそれぞれランク、格、強さがバラバラで・・・・
より良いスキルは早い者勝ち。
我も我もと群がる人々。
そんな中突き飛ばされて倒れる1人の女性が。
僕はその女性を助け・・・同じように突き飛ばされ、またもや気を失う。
気が付けば2人だけになっていて・・・・
スキルも2つしか残っていない。
一つは鑑定。
もう一つは家事全般。
両方とも微妙だ・・・・
彼女の名は才村 友郁
さいむら ゆか。 23歳。
今年社会人になりたて。
取り残された2人が、すったもんだで生き残り、最終的には成り上がるお話。
最底辺の落ちこぼれ、実は彼がハイスペックであることを知っている元幼馴染のヤンデレ義妹が入学してきたせいで真の実力が発覚してしまう!
電脳ピエロ
恋愛
時野 玲二はとある事情から真の実力を隠しており、常に退学ギリギリの成績をとっていたことから最底辺の落ちこぼれとバカにされていた。
しかし玲二が2年生になった頃、時を同じくして義理の妹になった人気モデルの神堂 朱音が入学してきたことにより、彼の実力隠しは終わりを迎えようとしていた。
「わたしは大好きなお義兄様の真の実力を、全校生徒に知らしめたいんです♡ そして、全校生徒から羨望の眼差しを向けられているお兄様をわたしだけのものにすることに興奮するんです……あぁんっ♡ お義兄様ぁ♡」
朱音は玲二が実力隠しを始めるよりも前、幼少期からの幼馴染だった。
そして義理の兄妹として再開した現在、玲二に対して変質的な愛情を抱くヤンデレなブラコン義妹に変貌していた朱音は、あの手この手を使って彼の真の実力を発覚させようとしてくる!
――俺はもう、人に期待されるのはごめんなんだ。
そんな玲二の願いは叶うことなく、ヤンデレ義妹の暴走によって彼がハイスペックであるという噂は徐々に学校中へと広まっていく。
やがて玲二の真の実力に危機感を覚えた生徒会までもが動き始めてしまい……。
義兄の実力を全校生徒に知らしめたい、ブラコンにしてヤンデレの人気モデル VS 真の実力を絶対に隠し通したい、実は最強な最底辺の陰キャぼっち。
二人の心理戦は、やがて学校全体を巻き込むほどの大きな戦いへと発展していく。
辻ダンジョン掃除が趣味の底辺社畜、迷惑配信者が汚したダンジョンを掃除していたらうっかり美少女アイドルの配信に映り込み神バズりしてしまう
なっくる
ファンタジー
ダンジョン攻略配信が定着した日本、迷惑配信者が世間を騒がせていた。主人公タクミはダンジョン配信視聴とダンジョン掃除が趣味の社畜。
だが美少女アイドルダンジョン配信者の生配信に映り込んだことで、彼の運命は大きく変わる。実はレアだったお掃除スキルと人間性をダンジョン庁に評価され、美少女アイドルと共にダンジョンのイメージキャラクターに抜擢される。自身を慕ってくれる美少女JKとの楽しい毎日。そして超進化したお掃除スキルで迷惑配信者を懲らしめたことで、彼女と共にダンジョン界屈指の人気者になっていく。
バラ色人生を送るタクミだが……迷惑配信者の背後に潜む陰謀がタクミたちに襲い掛かるのだった。
※他サイトでも掲載しています
大器晩成エンチャンター~Sランク冒険者パーティから追放されてしまったが、追放後の成長度合いが凄くて世界最強になる
遠野紫
ファンタジー
「な、なんでだよ……今まで一緒に頑張って来たろ……?」
「頑張って来たのは俺たちだよ……お前はお荷物だ。サザン、お前にはパーティから抜けてもらう」
S級冒険者パーティのエンチャンターであるサザンは或る時、パーティリーダーから追放を言い渡されてしまう。
村の仲良し四人で結成したパーティだったが、サザンだけはなぜか実力が伸びなかったのだ。他のメンバーに追いつくために日々努力を重ねたサザンだったが結局報われることは無く追放されてしまった。
しかしサザンはレアスキル『大器晩成』を持っていたため、ある時突然その強さが解放されたのだった。
とてつもない成長率を手にしたサザンの最強エンチャンターへの道が今始まる。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
母親に家を追い出されたので、勝手に生きる!!(泣きついて来ても、助けてやらない)
いくみ
ファンタジー
実母に家を追い出された。
全く親父の奴!勝手に消えやがって!
親父が帰ってこなくなったから、実母が再婚したが……。その再婚相手は働きもせずに好き勝手する男だった。
俺は消えた親父から母と頼むと、言われて。
母を守ったつもりだったが……出て行けと言われた……。
なんだこれ!俺よりもその男とできた子供の味方なんだな?
なら、出ていくよ!
俺が居なくても食って行けるなら勝手にしろよ!
これは、のんびり気ままに冒険をする男の話です。
カクヨム様にて先行掲載中です。
不定期更新です。
異世界帰りの底辺配信者のオッサンが、超人気配信者の美女達を助けたら、セレブ美女たちから大国の諜報機関まであらゆる人々から追われることになる話
kaizi
ファンタジー
※しばらくは毎日(17時)更新します。
※この小説はカクヨム様、小説家になろう様にも掲載しております。
※カクヨム週間総合ランキング2位、ジャンル別週間ランキング1位獲得
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
異世界帰りのオッサン冒険者。
二見敬三。
彼は異世界で英雄とまで言われた男であるが、数ヶ月前に現実世界に帰還した。
彼が異世界に行っている間に現実世界にも世界中にダンジョンが出現していた。
彼は、現実世界で生きていくために、ダンジョン配信をはじめるも、その配信は見た目が冴えないオッサンということもあり、全くバズらない。
そんなある日、超人気配信者のS級冒険者パーティを助けたことから、彼の生活は一変する。
S級冒険者の美女たちから迫られて、さらには大国の諜報機関まで彼の存在を危険視する始末……。
オッサンが無自覚に世界中を大騒ぎさせる!?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる