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セクハラ鎧(アーマー)に鉄槌を
第27話 ぼこぼこにやられる
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ガシャガシャ、と金属がこすれる音がした。
壁を通り抜けるようにして突然現れた何体ものリビングデッド。
四方の壁から、本棚や扉付きの棚をすり抜けて入ってきた。部屋の周囲をぐるりと取り囲んでいる。
全身が西洋の鎧姿をした30体を超えるリビングデッド。壁際に並んで立っている。この部屋はリビングデッドによって囲まれてしまった。
そのうちの一体が、私の前に進み出た。手には私のダンジョンデバイスが握られている。
ダンジョンデバイスを見せつけるように、私に突きつけてきた。
「なるほどなるほど。小娘め」
発せられた声はとても滑らかな発音だった。
「可愛らしい外見で、ワレを欺こうとしたのだな?」
リビングデッドはすらすらと淀みなく話しだした。
私は驚愕が顔に出てしまっていた。
「リビングデッドが、流暢に喋ってる!?」
あらかじめ視聴者から聞かされてはいたのだが、いや、驚きだ。
こんな短時間で、ここまで言語を習得し、違和感なく話すことができるようになるというのか。
「ちょっと……!? 言葉を教えすぎじゃないですか!?」
――いや、ごめん
――俺たちも、ここまで言葉を覚えるのが早いとは思わなかった
思わず視聴者に向けて言ってしまったが、イヤホン越しに声が聞こえていることを知られてはならない。
幸い、リビングデッドは自分に向けて放った言葉だと思ってくれたようだった。
「ふははははは! 驚いたであろう! お主を倒さんがために、人間どもを脅し、喋らせ、言語を習得したのだよ。ワレにとっては人間を手玉に取るなど造作もない」
「そんな……!」
これは演技でもなんでもなく、本当に驚きだった。
最初に遭遇したときはたどたどしい言葉遣いだった。今のリビングデッドはまったく違和感なく会話ができていた。
「ふははははははは!!」
ダンジョンデバイスを手に、リビングデッドは高らかに笑う。
「お主は、このデバイスと呼ばれる小さな牢獄に、多くの人間を捕らえたのであろう。恐ろしいやつよ」
前に突き出されたダンジョンデバイスの画面が目に入った。画面の中でコメントは勢いよく流れていた。
視聴者が教えた偽りの情報なのだろうが、このコメントの一人ひとりが捕えられていると思っているようだ。
私が人間をデバイスの中に閉じ込めていると思っており、それだけの能力が私にあると信じている。
人間を小さな箱に閉じ込めることのできる存在。
つまり、リビングデッドはそう解釈しているようだ。
確かに人間の科学技術を知らない者から見たら、そう見えてしまうのも当然かもしれない。
テレビが存在しない時代の人間にテレビを見せたら、箱の中に人間が入っていると信じてしまうようなものなのだろう。
視聴者の洗脳はうまくいっているようだった。
私も作戦通りに動かなくてはいけない。
「私のデバイスを返してもらえるかな?」
神王の兜の額からは私の前髪が出ている。人差し指で軽く払い、余裕そうな顔をリビングデットに向けて作る。
強者としての演技。それが私に求められていた。
「恐ろしい小娘だ。見かけで騙されるところだったぞ。この中には80万人だぞ。80万人だ。これほどに多くの人間を殺さず、牢獄に閉じ込める。主はなんと、恐ろしい存在であることよ」
確かに恐ろしい。
そんな小さな機械に80万を閉じ込められる能力があったら、そんなの魔王クラスだわ。
怖いわ。
私はそんな恐ろしい存在じゃない。
魔王じゃないんだから、私にそんな恐ろしいことができるわけがない。
けれど、そのつもりで振る舞わなければならない。
「あなたもそのデバイスに閉じ込められることになるのよ。いいからデバイスを返しなさい」
リビングデッドは、びくり、と体を震わす。
わなわなと震えながら、声を絞り出す。
「確かに。確かにな。本来ならワレに勝ち目はなかったであろう」
リビングデッドは声高らかに、ダンジョンデバイスを頭上に突き上げた。
「だが。だがな。ワレはお主の情報をこのデバイスに囚われた人間どもから聞き出したのだよ。そして、お主の弱点もな!!」
私はわざと驚くような顔をする。
秘密を知られてしまったかのような驚愕の表情をつくる。
「まさか……。私の正体を知ってしまったの!?」
口元に手を当て、上半身を反らせる。
右足を一歩、後ろへと引く。
もちろん、演技だ。
正体も何も、私は隠しているものなんてありはしない。
「ふはははは。レベル2を装い、ワレを騙し討ちするそうだったじゃないか。危うく騙されるところだった! 弱者のふりをしおって! 正体を現すその前にならワレにも勝機があるというものよ!!」
吐き捨てるように言って、リビングデッドは突然襲ってきた。剣を振り上げて、私に斬りつけてくる。
神王ネックレスのスキル、知覚上昇を発動した。ガシャガシャ鎧の音を立てながら、振り下ろされて迫ってくる剣がスローモーションで見える。
それを冷静に見極め、右へと避けた。
リビングデッドの剣は私の脇すれすれを通って、ガキンと音を立てて床に打ち付けられた。床の大理石は割れ、破片が飛び散る。
すぐさまリビングデッドは剣を翻し、逆袈裟に斬り上げてきた。
かろうじて避けたが、奴は左足をまっすぐに伸ばして蹴りを繰り出してくる。動きが素早い。反応が追いつかない。
予測していなかった攻撃に、私は避けることができず、蹴りをまともに喰らってしまった。
「がはっ」
ちょうど胃のあたりに喰らってしまい、胃液が逆流した。何も食べていなかったので、吐くようなものはなかった。
けれど、とんでもない痛みが下腹部を襲う。神王の鎧ごしとはいえ、耐えられない苦しさだ。
襲ってくる吐き気に、足が折れ、右膝を床についてしまう。
私の全身を覆っている黄金の鎧。神王装備がダメージを軽減してくれてはいるが、これほどの攻撃を喰らい続けたら1分と持たない。
お腹を抑えながら、うずくまるようにしてリビングデッドを睨みつける。
私は完全に意識が前方にのみ、集中していた。
――後ろだ!
という視聴者からの声に、反応が遅れた。
後頭部を拳で殴られたようで、強い衝撃が走った。そのまま前のめりに倒れそうになる。
死角から別のリビングデッドが攻撃してきたのだ。
そう、リビングデッドは1体ではない。複数いる。周囲に並んでいた鎧たちも襲ってきていた。
最初のリビングデッドの剣先が私のすぐ目の前にあった。まずい、顔は保護されていない。
剣に貫かれそうになるその直前、空間収縮を発動。
まるで瞬間移動したかのように、リビングデッドの剣をすり抜け、奴の背後に回る。
一方的にやられているばかりではいられない。
背中に担いでいた神王の長剣の柄に手をやり、鞘から引き抜く。そのまま振りおろしながらリビングデッドの頭頂部へと斬りつける。
だが、今度は別の方向から剣が飛んでくる。私の長剣は薙ぎ払われてしまった。3体目のリビングデッドによる反撃だった。
私は背中に盾を担いでいた。
急いでその盾を下ろして前に掲げながら、部屋の隅へと逃げる。そこにいたリビングデッドを無理やり押しのけ、角へと入り込む。
その場所で、盾の後ろに隠れて亀のようになって身を守ろうとした。
私の前にはぞくぞくとリビングデッドが集結する。4体、5体、6体……。その後ろにも無数のリビングデッドがいた。
敵の剣が伸びてくる。
私が構える盾は簡単に跳ね上げられてしまった。
次々と剣が突き出されてきた。何本もの剣はまっすぐと私に向かう。かろうじて盾をおろして必死に防ぐ。リビングデッドはどんどん増殖しており、すでに部屋のほとんどは奴らの姿で埋め尽くされようとしていた。
部屋の隅に逃げたのが幸いしていた。おかげで同時に攻撃されるのは5,6体が限度だ。
しかし、その攻撃をすべて避けることなんてできない。盾で防いだ以外はことごとく被弾してしまう。
ガキン、ガキン、と音が鳴り、神王の鎧は火花を散らす。
なんとか顔だけは守ろうとするが、そんなことは問題ではなかった。装備に亀裂が入り始める。
盾と鎧が損傷するのは時間の問題だった。
攻撃は次々と繰り出され、休む暇もない。私はすべてに対応しきれない。
あまりの手数の多さに、思考すらもまとまらない。
ちょ、ちょっと待って。強い、強すぎるよ……。
しかし、この思いを声には出さない。
必死に呑み込む。
作戦のためには、けっして弱音を吐くわけにはいかなかった。
イヤホンを通して、視聴者たちの声が聞こえている。
――ぼこぼこだ
――見ていられない
――一方的過ぎる
――レベル2だし
――ハルナっち、ほんとにやばい
――神王装備がなかったらとっくに死んでる
――これ、無理かも……
――この強さは想定していない……
次第に弱気になっていく視聴者たち。
しかし、それでも私は諦めるわけにはいかなかった。
顔を盾で隠しながら、その隙間から右目だけを出してリビングデッドを睨みつける。
強者であるという演技を絶対にやめない。
そして、ついにリビングデッドによって、私の盾が跳ね飛ばされてしまった。手から離れ、盾は宙を舞う。
天井に、右の壁に、ドカン、ガキン、と激しい音を立てながら盾が飛んでいった。
それと同時に、私は動いた。
勢いよく立ち上がり左手を開いて前に突き出す。長剣を持った右手は自分の身を守るようにして、胸元に。なるべくかっこよく見えるようにポーズを決めて。
一瞬だけ、リビングデッドは怯んだ。
その瞬間を見逃さない。
そして私は声を上げて宣言する。なるべく大きな声で張り上げる。
「ステータス・オープン!!」
リビングデッドの動きが完全に止まった。
表情のない兜の奥にある、奴の驚愕が手に取るように伝わってきた。
壁を通り抜けるようにして突然現れた何体ものリビングデッド。
四方の壁から、本棚や扉付きの棚をすり抜けて入ってきた。部屋の周囲をぐるりと取り囲んでいる。
全身が西洋の鎧姿をした30体を超えるリビングデッド。壁際に並んで立っている。この部屋はリビングデッドによって囲まれてしまった。
そのうちの一体が、私の前に進み出た。手には私のダンジョンデバイスが握られている。
ダンジョンデバイスを見せつけるように、私に突きつけてきた。
「なるほどなるほど。小娘め」
発せられた声はとても滑らかな発音だった。
「可愛らしい外見で、ワレを欺こうとしたのだな?」
リビングデッドはすらすらと淀みなく話しだした。
私は驚愕が顔に出てしまっていた。
「リビングデッドが、流暢に喋ってる!?」
あらかじめ視聴者から聞かされてはいたのだが、いや、驚きだ。
こんな短時間で、ここまで言語を習得し、違和感なく話すことができるようになるというのか。
「ちょっと……!? 言葉を教えすぎじゃないですか!?」
――いや、ごめん
――俺たちも、ここまで言葉を覚えるのが早いとは思わなかった
思わず視聴者に向けて言ってしまったが、イヤホン越しに声が聞こえていることを知られてはならない。
幸い、リビングデッドは自分に向けて放った言葉だと思ってくれたようだった。
「ふははははは! 驚いたであろう! お主を倒さんがために、人間どもを脅し、喋らせ、言語を習得したのだよ。ワレにとっては人間を手玉に取るなど造作もない」
「そんな……!」
これは演技でもなんでもなく、本当に驚きだった。
最初に遭遇したときはたどたどしい言葉遣いだった。今のリビングデッドはまったく違和感なく会話ができていた。
「ふははははははは!!」
ダンジョンデバイスを手に、リビングデッドは高らかに笑う。
「お主は、このデバイスと呼ばれる小さな牢獄に、多くの人間を捕らえたのであろう。恐ろしいやつよ」
前に突き出されたダンジョンデバイスの画面が目に入った。画面の中でコメントは勢いよく流れていた。
視聴者が教えた偽りの情報なのだろうが、このコメントの一人ひとりが捕えられていると思っているようだ。
私が人間をデバイスの中に閉じ込めていると思っており、それだけの能力が私にあると信じている。
人間を小さな箱に閉じ込めることのできる存在。
つまり、リビングデッドはそう解釈しているようだ。
確かに人間の科学技術を知らない者から見たら、そう見えてしまうのも当然かもしれない。
テレビが存在しない時代の人間にテレビを見せたら、箱の中に人間が入っていると信じてしまうようなものなのだろう。
視聴者の洗脳はうまくいっているようだった。
私も作戦通りに動かなくてはいけない。
「私のデバイスを返してもらえるかな?」
神王の兜の額からは私の前髪が出ている。人差し指で軽く払い、余裕そうな顔をリビングデットに向けて作る。
強者としての演技。それが私に求められていた。
「恐ろしい小娘だ。見かけで騙されるところだったぞ。この中には80万人だぞ。80万人だ。これほどに多くの人間を殺さず、牢獄に閉じ込める。主はなんと、恐ろしい存在であることよ」
確かに恐ろしい。
そんな小さな機械に80万を閉じ込められる能力があったら、そんなの魔王クラスだわ。
怖いわ。
私はそんな恐ろしい存在じゃない。
魔王じゃないんだから、私にそんな恐ろしいことができるわけがない。
けれど、そのつもりで振る舞わなければならない。
「あなたもそのデバイスに閉じ込められることになるのよ。いいからデバイスを返しなさい」
リビングデッドは、びくり、と体を震わす。
わなわなと震えながら、声を絞り出す。
「確かに。確かにな。本来ならワレに勝ち目はなかったであろう」
リビングデッドは声高らかに、ダンジョンデバイスを頭上に突き上げた。
「だが。だがな。ワレはお主の情報をこのデバイスに囚われた人間どもから聞き出したのだよ。そして、お主の弱点もな!!」
私はわざと驚くような顔をする。
秘密を知られてしまったかのような驚愕の表情をつくる。
「まさか……。私の正体を知ってしまったの!?」
口元に手を当て、上半身を反らせる。
右足を一歩、後ろへと引く。
もちろん、演技だ。
正体も何も、私は隠しているものなんてありはしない。
「ふはははは。レベル2を装い、ワレを騙し討ちするそうだったじゃないか。危うく騙されるところだった! 弱者のふりをしおって! 正体を現すその前にならワレにも勝機があるというものよ!!」
吐き捨てるように言って、リビングデッドは突然襲ってきた。剣を振り上げて、私に斬りつけてくる。
神王ネックレスのスキル、知覚上昇を発動した。ガシャガシャ鎧の音を立てながら、振り下ろされて迫ってくる剣がスローモーションで見える。
それを冷静に見極め、右へと避けた。
リビングデッドの剣は私の脇すれすれを通って、ガキンと音を立てて床に打ち付けられた。床の大理石は割れ、破片が飛び散る。
すぐさまリビングデッドは剣を翻し、逆袈裟に斬り上げてきた。
かろうじて避けたが、奴は左足をまっすぐに伸ばして蹴りを繰り出してくる。動きが素早い。反応が追いつかない。
予測していなかった攻撃に、私は避けることができず、蹴りをまともに喰らってしまった。
「がはっ」
ちょうど胃のあたりに喰らってしまい、胃液が逆流した。何も食べていなかったので、吐くようなものはなかった。
けれど、とんでもない痛みが下腹部を襲う。神王の鎧ごしとはいえ、耐えられない苦しさだ。
襲ってくる吐き気に、足が折れ、右膝を床についてしまう。
私の全身を覆っている黄金の鎧。神王装備がダメージを軽減してくれてはいるが、これほどの攻撃を喰らい続けたら1分と持たない。
お腹を抑えながら、うずくまるようにしてリビングデッドを睨みつける。
私は完全に意識が前方にのみ、集中していた。
――後ろだ!
という視聴者からの声に、反応が遅れた。
後頭部を拳で殴られたようで、強い衝撃が走った。そのまま前のめりに倒れそうになる。
死角から別のリビングデッドが攻撃してきたのだ。
そう、リビングデッドは1体ではない。複数いる。周囲に並んでいた鎧たちも襲ってきていた。
最初のリビングデッドの剣先が私のすぐ目の前にあった。まずい、顔は保護されていない。
剣に貫かれそうになるその直前、空間収縮を発動。
まるで瞬間移動したかのように、リビングデッドの剣をすり抜け、奴の背後に回る。
一方的にやられているばかりではいられない。
背中に担いでいた神王の長剣の柄に手をやり、鞘から引き抜く。そのまま振りおろしながらリビングデッドの頭頂部へと斬りつける。
だが、今度は別の方向から剣が飛んでくる。私の長剣は薙ぎ払われてしまった。3体目のリビングデッドによる反撃だった。
私は背中に盾を担いでいた。
急いでその盾を下ろして前に掲げながら、部屋の隅へと逃げる。そこにいたリビングデッドを無理やり押しのけ、角へと入り込む。
その場所で、盾の後ろに隠れて亀のようになって身を守ろうとした。
私の前にはぞくぞくとリビングデッドが集結する。4体、5体、6体……。その後ろにも無数のリビングデッドがいた。
敵の剣が伸びてくる。
私が構える盾は簡単に跳ね上げられてしまった。
次々と剣が突き出されてきた。何本もの剣はまっすぐと私に向かう。かろうじて盾をおろして必死に防ぐ。リビングデッドはどんどん増殖しており、すでに部屋のほとんどは奴らの姿で埋め尽くされようとしていた。
部屋の隅に逃げたのが幸いしていた。おかげで同時に攻撃されるのは5,6体が限度だ。
しかし、その攻撃をすべて避けることなんてできない。盾で防いだ以外はことごとく被弾してしまう。
ガキン、ガキン、と音が鳴り、神王の鎧は火花を散らす。
なんとか顔だけは守ろうとするが、そんなことは問題ではなかった。装備に亀裂が入り始める。
盾と鎧が損傷するのは時間の問題だった。
攻撃は次々と繰り出され、休む暇もない。私はすべてに対応しきれない。
あまりの手数の多さに、思考すらもまとまらない。
ちょ、ちょっと待って。強い、強すぎるよ……。
しかし、この思いを声には出さない。
必死に呑み込む。
作戦のためには、けっして弱音を吐くわけにはいかなかった。
イヤホンを通して、視聴者たちの声が聞こえている。
――ぼこぼこだ
――見ていられない
――一方的過ぎる
――レベル2だし
――ハルナっち、ほんとにやばい
――神王装備がなかったらとっくに死んでる
――これ、無理かも……
――この強さは想定していない……
次第に弱気になっていく視聴者たち。
しかし、それでも私は諦めるわけにはいかなかった。
顔を盾で隠しながら、その隙間から右目だけを出してリビングデッドを睨みつける。
強者であるという演技を絶対にやめない。
そして、ついにリビングデッドによって、私の盾が跳ね飛ばされてしまった。手から離れ、盾は宙を舞う。
天井に、右の壁に、ドカン、ガキン、と激しい音を立てながら盾が飛んでいった。
それと同時に、私は動いた。
勢いよく立ち上がり左手を開いて前に突き出す。長剣を持った右手は自分の身を守るようにして、胸元に。なるべくかっこよく見えるようにポーズを決めて。
一瞬だけ、リビングデッドは怯んだ。
その瞬間を見逃さない。
そして私は声を上げて宣言する。なるべく大きな声で張り上げる。
「ステータス・オープン!!」
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表情のない兜の奥にある、奴の驚愕が手に取るように伝わってきた。
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