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63日目 何が苦悩を生むのか? その3

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ちなみにですけれど。

自由意志に関するベンジャミン・リベットの実験があります。

簡単に説明しますと、被験者に好きなタイミングで腕を上げてもらい、そのときの脳の働きを電極で調べます。

すると、腕を上げることを認識するよりも前に、脳は信号を腕へと送っていました。

腕を上げることを先に脳が決めて、そのあとで状況に合わせるように意思が発生したように見えます。

脳の信号が先で、意志が生まれるのがあと
まるで自由意志は存在せず、状況に合わせて意思が作られたかのようです。

都市伝説的でオカルトじみていますが、たとえば量子力学の世界では私たちの常識とは反するような現象が起きています。粒子の状態が観測されるまで確定しない、などです。

常識なんて簡単にひっくり返ってしまって、あてにならないものなのですけれど、私たちの思考は常識に縛られており、それが時にブレーキを掛けてきます。

私は思考の奥に本当の自分がいると考えています。

思考はその外側にある殻のようなもので、不完全で移ろいやすいものであり、自分自身であるかのように装った偽物の自分であると思っています。

本当の自分は瞑想をした時に出会うような、静かで落ち着いた状態の中にいるという考えです。

常識から抜け出すのは非常に難しいものです。
ところが常識に縛らえているのは思考です。

逆に言えば、思考以外は常識なんて関係がないのです。

私たちは常識が正しいと信じていますが、本当は常識ではなく、宇宙に普遍的に存在する真理だけが正しいです。そして、常識と真理が近いものだと思いこんでいます。

実際は常識と真理は違っています。

私たちの肉体は常識に縛られていません。
宇宙の真理に従い、呼吸をし、心臓を動かしています。簡単に言えば、そこにある物理法則にただ従っているだけです。

思考だけが常識の影響を受けています。
単純に考えると、思い込みこそが苦悩を生み出す要因であり、心の思い方一つで苦悩も消せるはずなのですが、実際はそう簡単ではありません。

私は心や考え方を変えることで、なんとか苦悩から逃れようとしてきました。おそらくこれが一般常識的なやり方でしょう。

でも、思考を外してしまえば、つまりは自分から切り離してしまえば、苦悩を生み出す要因とのつながりがなくなります。

結局、これは瞑想をして無になることと同じです。
しかし。

瞑想をしたことのある人はよく分かると思いますが、無になることは非常に難しいです。
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