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46日目 なぜ読まれるジャンルが偏っているのか?
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なぜ読まれるジャンルが偏っているのか?
ここではWeb小説に限定して考えてみます。
市販書籍ではミステリーやSFには根強いファンがいます。傑作と言われるものであればちゃんと読まれますし売れていきます。
小説投稿サイトで読まれるのは人気ジャンルに偏っています。ミステリーやSFがまったく読まれないわけではありませんが、極めて例外なケースです。
読まれるジャンルとしては、異世界ファンタジー、異世界ベースの現代ファンタジー、異世界恋愛、悪役令嬢もの、ラブコメといったところでしょうか。
お仕事ものや一般文芸、そしてライトノベルっぽいものも読まれそうですが、それほど読まれていません。
とくにライトノベルは市販書籍で一定の読者層がいるはずなのですが、Webでは苦戦しています。
それはなぜか?
そしてなぜ、人気ジャンルばかりが読まれるのか?
読まれる理由を考えるとシンプルで、単純です。
面白いからです。
つまり、人気ジャンルであっても、つまらないものを書いたら当たり前ですが読まれません。つまらないものが読まれるということは、ジャンルに限らず、あり得ないということです。当たり前ですが。
じゃあ、人気ジャンル以外の、ミステリーやSFで面白いものがアップされたら読まれるかといったら、おそらく苦戦します。
苦戦と書いたのは、なにごとも絶対はないからです。読まれるかもしれません。
実際問題として、人気ジャンル以外のWeb小説で面白いものを探しても、おそらくはみつかりません。もしかしたらあるのかもしれませんが、砂漠の砂の中から一粒の砂金をみつけるようなものです。
一方で、人気ジャンルは違います。
それなりに面白いものが、コロコロと転がっています。
この差が大きい。
まず、素人の書いた小説、その中で面白い小説というのはそんなにあるものではありません。たとえば公募の最終選考や高次落選をした小説がネットに上がっていることがあります。読んでみるとわかりますが、やはり落ちるだけの理由があって時間をかけて読むだけの価値があるかと言ったら、残念ながら……。お金を出したいかと言ったらもちろんそんなことも……。
しかし、内容はよく書けています。高い水準で書かれていることは間違いありません。プロを目指している人が書かれていて高い水準にあって、それでもなお、面白い小説を書くことは難しいということです。
じゃあ、なぜWeb小説の人気ジャンルは面白いのか。書いている人も、高校生だったり、小説の素人のような人が書いていることもあります。そして、書籍化も多くされています。
どうして面白い小説を書くことができているのか?
この理由としては、内容がテンプレ化していることです。つまり、テンプレートに従って書かれているためです。逆に言えば、自分の頭で考えて、自分の力で書こうとしている人は面白い小説を書くことに苦労しており、たいていのケースは失敗しています。
『なろうテンプレ』なんて呼ばれることもありますが、小説家になろうを発祥とした異世界小説や悪役令嬢は、その根幹にあるフォーマットがコピーして使われており、素人であっても面白い小説が書けます。面白い小説を書くという敷居を下げました。
誰でも面白い小説を書ける可能性のあるジャンル。それが現在の人気ジャンルでもあります。
誰でも、と書きましたが、実際は誰でも書けるわけではありません。
自分の力で自分の頭で面白い小説が書けると思っている人は、まず書けません。
プロを目指していて、オリジナリティのあるものにこだわっている人も書けません。
なぜなら、これらは面白さのコピーであり、これを猿真似だったり、パクリだったりと否定してしまう人には書けません。
コピーすることを面白がって楽しんで、そしてパクリにならないように自分のものとして消化できた人が、人気ジャンルで面白いものを書けるようになっていきます。
わかりやすく書くと、これらは簡単制作キットです。
異世界小説にはこうした簡単制作キットが用意されていると考えると理解が早いです。キットを利用して書く人は面白いものが簡単に生み出せますし、自分のやり方で一生懸命にがんばる人はいつまで経っても書けません。
漫画で言ったら上手な人の絵から学ぶようなものです。自己流の絵の書き方にこだわっていると、パーツのバランスも悪いし、化け物のようなクリーチャーしか生まれてきません。
異世界小説が流行しているのは、同じゲームの2次創作をみんなで作って、それをみんなでプレイしているようなものです。
つまり、小説が読まれているというより異世界小説という名のノベルゲームがプレイされているようなものです。
みんな、名作の小説を読みたいわけじゃないんだよね。
著作権が切れた名作は青空文庫で誰でも読めるんですよ。
でも、誰も読んじゃいねえ……。
Web小説の読者は、簡単制作キットで作られたゲームで遊んでいます。
もしも、異世界小説や悪役令嬢なんかがなかったとしたら。
誰もWebで小説なんて読まないし書かないんじゃないかなあ? 残るのは一部のマニアックな人間だけになってしまって。
これからもおそらく人気ジャンル以外は読まれないでしょうし、Webで書くなら人気ジャンルで簡単制作キットに従ったほうがいいでしょうし、人気ジャンルを書きたくない人は公募に専念するといいと思います。
SFなんかは下火だと言われていますが、中国の小説の『三体』なんかはすごいなと思いました。書籍ではSFも根強く残ります。いつまでもなくならないでしょう。
ミステリーも、江戸川乱歩賞の賞金が1千万から5百万に減ってしまって苦戦しているようですが、面白いものを書けば絶対に評価されますし、私も読んでみたい。
私の中では『十三階段』と『天使のナイフ』。この2作が評価が高くて、これを超えるものを読んでみたいんだよなあ。
だから、まあ、Webと書籍は別物です、という話でした。
なぜ読まれるジャンルが偏っているのかというと、ちゃんと面白いからであり、そこには面白い小説が素人でも簡単に書ける仕組みが裏側にあるということです。
なので数年後、誰でも簡単にAIで異世界漫画が作れるようになると……。
ようするに簡単制作キットの漫画版が用意されてしまうと……。
異世界ファンタジーや悪役令嬢の作者が流出してしまうと、小説投稿サイトは成り立ちません。
これは結構、Web小説の危機になるのではないかと思っています。
※『簡単制作キット』はあくまでも例えです。『なろうテンプレ』と同様、実在するものではありません。
ここではWeb小説に限定して考えてみます。
市販書籍ではミステリーやSFには根強いファンがいます。傑作と言われるものであればちゃんと読まれますし売れていきます。
小説投稿サイトで読まれるのは人気ジャンルに偏っています。ミステリーやSFがまったく読まれないわけではありませんが、極めて例外なケースです。
読まれるジャンルとしては、異世界ファンタジー、異世界ベースの現代ファンタジー、異世界恋愛、悪役令嬢もの、ラブコメといったところでしょうか。
お仕事ものや一般文芸、そしてライトノベルっぽいものも読まれそうですが、それほど読まれていません。
とくにライトノベルは市販書籍で一定の読者層がいるはずなのですが、Webでは苦戦しています。
それはなぜか?
そしてなぜ、人気ジャンルばかりが読まれるのか?
読まれる理由を考えるとシンプルで、単純です。
面白いからです。
つまり、人気ジャンルであっても、つまらないものを書いたら当たり前ですが読まれません。つまらないものが読まれるということは、ジャンルに限らず、あり得ないということです。当たり前ですが。
じゃあ、人気ジャンル以外の、ミステリーやSFで面白いものがアップされたら読まれるかといったら、おそらく苦戦します。
苦戦と書いたのは、なにごとも絶対はないからです。読まれるかもしれません。
実際問題として、人気ジャンル以外のWeb小説で面白いものを探しても、おそらくはみつかりません。もしかしたらあるのかもしれませんが、砂漠の砂の中から一粒の砂金をみつけるようなものです。
一方で、人気ジャンルは違います。
それなりに面白いものが、コロコロと転がっています。
この差が大きい。
まず、素人の書いた小説、その中で面白い小説というのはそんなにあるものではありません。たとえば公募の最終選考や高次落選をした小説がネットに上がっていることがあります。読んでみるとわかりますが、やはり落ちるだけの理由があって時間をかけて読むだけの価値があるかと言ったら、残念ながら……。お金を出したいかと言ったらもちろんそんなことも……。
しかし、内容はよく書けています。高い水準で書かれていることは間違いありません。プロを目指している人が書かれていて高い水準にあって、それでもなお、面白い小説を書くことは難しいということです。
じゃあ、なぜWeb小説の人気ジャンルは面白いのか。書いている人も、高校生だったり、小説の素人のような人が書いていることもあります。そして、書籍化も多くされています。
どうして面白い小説を書くことができているのか?
この理由としては、内容がテンプレ化していることです。つまり、テンプレートに従って書かれているためです。逆に言えば、自分の頭で考えて、自分の力で書こうとしている人は面白い小説を書くことに苦労しており、たいていのケースは失敗しています。
『なろうテンプレ』なんて呼ばれることもありますが、小説家になろうを発祥とした異世界小説や悪役令嬢は、その根幹にあるフォーマットがコピーして使われており、素人であっても面白い小説が書けます。面白い小説を書くという敷居を下げました。
誰でも面白い小説を書ける可能性のあるジャンル。それが現在の人気ジャンルでもあります。
誰でも、と書きましたが、実際は誰でも書けるわけではありません。
自分の力で自分の頭で面白い小説が書けると思っている人は、まず書けません。
プロを目指していて、オリジナリティのあるものにこだわっている人も書けません。
なぜなら、これらは面白さのコピーであり、これを猿真似だったり、パクリだったりと否定してしまう人には書けません。
コピーすることを面白がって楽しんで、そしてパクリにならないように自分のものとして消化できた人が、人気ジャンルで面白いものを書けるようになっていきます。
わかりやすく書くと、これらは簡単制作キットです。
異世界小説にはこうした簡単制作キットが用意されていると考えると理解が早いです。キットを利用して書く人は面白いものが簡単に生み出せますし、自分のやり方で一生懸命にがんばる人はいつまで経っても書けません。
漫画で言ったら上手な人の絵から学ぶようなものです。自己流の絵の書き方にこだわっていると、パーツのバランスも悪いし、化け物のようなクリーチャーしか生まれてきません。
異世界小説が流行しているのは、同じゲームの2次創作をみんなで作って、それをみんなでプレイしているようなものです。
つまり、小説が読まれているというより異世界小説という名のノベルゲームがプレイされているようなものです。
みんな、名作の小説を読みたいわけじゃないんだよね。
著作権が切れた名作は青空文庫で誰でも読めるんですよ。
でも、誰も読んじゃいねえ……。
Web小説の読者は、簡単制作キットで作られたゲームで遊んでいます。
もしも、異世界小説や悪役令嬢なんかがなかったとしたら。
誰もWebで小説なんて読まないし書かないんじゃないかなあ? 残るのは一部のマニアックな人間だけになってしまって。
これからもおそらく人気ジャンル以外は読まれないでしょうし、Webで書くなら人気ジャンルで簡単制作キットに従ったほうがいいでしょうし、人気ジャンルを書きたくない人は公募に専念するといいと思います。
SFなんかは下火だと言われていますが、中国の小説の『三体』なんかはすごいなと思いました。書籍ではSFも根強く残ります。いつまでもなくならないでしょう。
ミステリーも、江戸川乱歩賞の賞金が1千万から5百万に減ってしまって苦戦しているようですが、面白いものを書けば絶対に評価されますし、私も読んでみたい。
私の中では『十三階段』と『天使のナイフ』。この2作が評価が高くて、これを超えるものを読んでみたいんだよなあ。
だから、まあ、Webと書籍は別物です、という話でした。
なぜ読まれるジャンルが偏っているのかというと、ちゃんと面白いからであり、そこには面白い小説が素人でも簡単に書ける仕組みが裏側にあるということです。
なので数年後、誰でも簡単にAIで異世界漫画が作れるようになると……。
ようするに簡単制作キットの漫画版が用意されてしまうと……。
異世界ファンタジーや悪役令嬢の作者が流出してしまうと、小説投稿サイトは成り立ちません。
これは結構、Web小説の危機になるのではないかと思っています。
※『簡単制作キット』はあくまでも例えです。『なろうテンプレ』と同様、実在するものではありません。
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