どうして小説が書けないのか? どうすれば小説を書けるのか?

高瀬ユキカズ

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31日目 小説を数万字ほど書けた人へ

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すべての人が初心者から始まります。
あなたも私も、例外はありません。

長編向けの小説を書いていて、最初の数話が書けたら投稿を始める人もいるかと思います。

初めての投稿は本当に怖いものです。
だけど、投稿してしまうと、なんであんなに恐れていたのだろうかというくらいに感覚が麻痺してきます。

そうなると、のりのりで投稿を続けていく人もいるかも知れませんし、私みたいに臆病な人間は、それでもびくびくしながら投稿します。
私はいまだに投稿が怖いので、相当なヘタレですね。それでも最初の怖さを100としたら、20や30くらいには減っています。

そして、何話かが貯まると、数万字くらいの分量になるかと思います。

そうすると、読んでもらって感想や意見をもらいたいと思うようになるかもしれません。
実はここに危ないポイントがあって、

(1) すごくよく書けている(と自分では思っている)。それを誰かに認めてもらって、自分の感覚が正しいと確認したい。できれば、褒めてもらいたい。

(2) 小説っぽいものになっているような気がするけれど、なんか不安。少しは面白いと思うけれど、すごく面白いわけではない。文章もちゃんと日本語として間違っていないと思うけれど、誰も読んでくれないし、感想もないから、ちゃんと書けているのかがわからない。

このどちらか、もしくは両方なのではないかと想像できます。

初心者って本当に、褒めてもらいたいものだと思います。
変な自信があるんですよね。自分はすごいんじゃないか、天才なんじゃないかって。同時に不安も抱えていて。

はい、その通り、天才なんです。本当にそうなんですよ。

間違いなく、人間は誰でも天才なのです。
あなたも私も、天才です。

でも、天才性が発揮されているかどうかは、別の話なんです。
あなたの天才性はまだ発露されていないかもしれません。

この状態で意見をもらってしまうとですね、つぶれてしまうことがあります。

読む側は基本的には市販の書籍、つまりはプロの小説を読むのが中心となっています。もしくはランキング上位だとか、人気作だとか、プロレベルの作品です。

ようするに、比較対象がプロ作家になっているわけです。

そうすると、あなたの作品はプロレベルとの比較となってしまい、正直な意見は「まだ初心者ですね」となってしまう。これは当然のことです。

初心者のうちは、大丈夫だよって言ってもらうことで安心したいんだと思います。
でも、どれだけ大丈夫と言ってもらっても、どれだけ褒めてもらっても、満たされることはないし、安心できることもありません。好意的な意見をもらっても、それに対する信頼を生み出すことができないからでもあります。

本当に大丈夫な場合は、自分で大丈夫だと気がつけるものです。
自分で大丈夫だと気がつける能力がないうちは、残念ながら問題点は多いでしょうし、それでも書き続けるしかありません。

基本的な日本語力や文章力に問題がなく、文章も読みやすい構造で書けているのならば、なにも気にする必要はありません。

致命的な問題点さえなければいいと思います。
あとは書いているうちに上手くなっていくはずです。

じゃあ、致命的な問題とはなにか?

そこだけはつぶしておく必要があるわけです。


(1) 自分で読んでつっかえるところは全部を直す

自分の文章を何度も読んでいると麻痺をしてきます。
どんな悪文であっても、自分では読めてしまうものです。もちろん読者は読めたもんじゃありません。

文章は単純な構造で読みやすく書くことです。
最初から複雑に書くことをしなければ、麻痺した状態でも問題点に気がつきやすいです。

そして、自分が読んでほんの少しでもつっかえるところがあるのならば、それはもう、読むに値しない文章になっているはずです。
自分がつっかえる箇所は、読者からみたらとんでもなく読めないレベルの悪文になっている可能性があります。

逆に考えると、つっかえるところを全部つぶせばいいわけです。
ひとつも残さないことです。全部をつぶすことです。

文章が悪くて読まれないタイプの方もいるかもしれません。
複雑な文章で書くのをやめ、最初から単純明快でシンプルな文章にしておきましょう。


(2) 冒頭は本当に慎重に書いて

書き慣れていると思われる人の小説でも、冒頭だけ読みにくいことが多々あります。
もちろんプロ作家ではなく、アマチュア作家の話です。

読者は、情報がゼロの白紙の状態で読み始めます。
当たり前ですけれど、初見で読みます。初めてその文章を見るのです。
じっくりと読むなんてことはせず、さらっと読みます。

初めてその文章を見て、右も左もわからない状態の読者に対して、作者はすらすらと読ませる内容を書かなければなりません。

冒頭は難しいですね。

中盤まで進んで、読む側のエンジンがかかってきて作品世界に慣れてくると、少しくらい変なところがあっても流してくれたりします。

冒頭だけは慎重に、手探りをしながら書きましょう。
特に、情報は絶対に後出ししないこと。
主人公が視覚的に把握していること、つまり見えるものは先に書く。
いつ、どこで、誰が、という当たり前の情報(5W1H)にも配慮して書きましょう。

(3) 情報を後出ししない

情報の後出しをテクニックとして使う場合は問題ありません。
そこまではスラスラと読ませておき、わざとそこでつっかえさせて読むスピードをコントロールすることができます。
ここぞという場面で使うものであり、高等テクニックですので、使うときはそのつもりで使いましょう。


上記(2)(3)の冒頭と後出しの問題、私も例外ではなく、妹に指摘をされて直しました。


カクヨムに投稿している小説
『お兄ちゃんの装備で無双しながらダンジョン配信』
https://kakuyomu.jp/works/16818093074036034763

宣伝じゃないですからね。
あくまで、例として。

冒頭で女子中学生がダンジョン配信を始めるのですが、なぜダンジョンの深層に落ちたのか、なぜ兄の装備を持ち出したのか、そもそもどうしてダンジョン配信しているの? と聞かれました。
こういった情報を後出ししたのです。そこを突っ込まれて、修正をしました。

それでこのように修正をしました。
結婚が決まったお兄ちゃんをちょっと困らせようとして装備を持ち出した。
そうしたら、実はそれがとんでもない最強装備で、そのせいでダンジョンの未踏破層まで落ちてしまった。誰も到達したことのない危険な場所だった。そこから脱出するためにダンジョン配信をして視聴者に助けてもらおうとした、ということを先に提示しました。

(4) 格好つけたり、気取ったりしない。

格好つけたり、気取った文章で書いてしまうのは非常に危険です。
読者はなにも言わずに去っていってしまいます。

特に、冒頭ポエムには注意が必要です。
作者の独りよがりで詩的に書いたり、情緒的に書いていたりしていて、内容は不明瞭、意味は不明。
その部分を削除しても、小説としては通用します。さっさと、削除してしまいましょう。

大丈夫、けっこうやってしまっている人はいます。
消せばいいんです。消せば。
なかったとしても成立するのであれば、しれっと消してしまいましょう。

プロローグ=冒頭ポエムの人が一定数います。
なので、一部の読者はプロローグ拒否反応が出てもいます。

話は少しズレるのですが、Web小説の場合、1話毎にタイトルをつけることができます。
このタイトルに「プロローグ」とあると、それだけで読者が逃げるという話も聞きました。
なので、ちょっとずるいのですが、「プロローグ」と書かないことも戦略の一つです。

話のタイトルではなく、本文の方の冒頭に「プロローグ」と書いてから本文を書いてもいいし、そもそも「プロローグ」という言葉自体が必要ないかもしれません。

プロローグとエピローグは対になっていないとおかしいと言う人もいますけれど、エピローグだけだって、かまいません。

「プロローグ」と明記しなければプロローグにならないなんてことはなく、実質的なプロローグであればそれはプロローグです。明記がされていないだけです。
内容が重要なのであって、表題が重要なのではありません。
これには決まりがあるわけではなくて、大事なのは読者が読んでおかしいと感じるのかどうかです。

特に、とんでもなく長いWeb小説の場合は、プロローグという言葉があったのかどうかさえ読者は覚えちゃいないでしょう。

逆に、短い小説ですと、目次にプロローグとエピローグのどちらかしかない場合は、私は気になります。

なので、ケースバイケースですね。
プロローグとエピローグが対になっていないことで、違和感があるのかどうかだと思います。

小説における決まり事は、読者が違和感を抱くから問題なのであり、ルールや決まりごとよりも読者感覚のほうが大事だと思います。

話がズレてしまってすいません。
Web小説における各話タイトルの書き方についてはまたどこかで書きたいと思います。

とりあえず、長くなりましたし、きりがないのでこのへんで終わりにします。
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