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7日目 長編小説を書きたいのに手が止まる。最後まで書けないのはなぜ?

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長編小説を書きたいのに手が止まったり、最後まで書けない人はいませんか?

え? そんなことはない? ちゃんと仕上げることができる?
うらやましい。ぜひ秘訣を教えてもらいたい。

ここでの長編小説とは10万字前後で完結するもの(完結でなくとも区切りがついているもの)、もしくは単行本やライトノベルの1巻を想定しています。
数巻にわたる超大作は想定していません。

長編小説を書くということはマラソンで例えることができます。
なぜ手が止まったり、最後まで書けないのでしょうか?

マラソンで考えてみます。
マラソンはつらく苦しいものです。ゴールするだけでもすごく大変です。
初心者なら、6時間や8時間はざらにかかり、そもそも途中でリタイアしなかっただけもすごいわけです。

マラソンを走り始めると、いきなりゴールを見ることはしません。
たとえば、次の電柱までを目標に定め、そこまで走ったら次の電柱、と小さく目標を達成していきます。
そして、その区間の走り方が悪かったら、戻って走り直すでしょうか? 当然ながらそんなことはしませんよね。

これだ!
これなんですよ。

小説を書くときには、つい、これをやってしまいます。戻って直してしまいます。これをやると進みません。

少しくらい誤字脱字があろうが、展開にちょっとした矛盾があろうが、描写が変だなとか思っても、戻っちゃ駄目なんですよね。

いつのまにか登場人物の名前が別の似た名前に変わっているかもしれません。
ヒロインをノルンと書いていたのに、ノエルになっていたり。
どうでもいいんだ、そんなこと。

まだこの段階では誰にも見せないわけですから、重要な問題ではないのです。それに、ヒロインの名前をまったく別に名前に変えたいとか思うかもしれません。そうしたら直した行動は無駄になるだけです。

直すのは最後です。整えるのは最後です。
作業にはフェーズというものがあります。

書いては戻って直し、書いては戻って、を繰り返すととんでもない時間がかかります。
マラソンでそんなことをやったら、いつまでたってもゴールができません。

例えば2章を書きあげ、2章の推敲をしたとします。ところが2章の本文を修正して別のものに差し替えたら、その部分の推敲はしなくてよかったことになります。
削除するものをわざわざ時間をかけて推敲してしまったわけです。

修正フェーズは修正フェーズとして、まとまった時間を取ります。

戻ってやり直さないというのは、執筆におけるフェーズを守るということでもあります。マラソンで、走り方が悪かったからといって戻らないのと同じで、執筆においても戻るべきではありませんね。

まずは最後まで書き切ります。
とにかくまずは書き切ること。

直したい、早く直したい、今すぐ直したい、というモヤモヤする気持ちが走る原動力にもなります。

足を止めたら、負けなのです。
そこで終わってしまいます。

マラソンは事前にトレーニングをしておかなればとんでもない時間がかかりますし、とてつもなくボロボロになります。

小説も同じです。
ボロボロになりながら、本当にこれは面白いのか? という疑問と、無駄なことをしているのではないか? という不安が出てきます。

それでも、ゴールまで走る。止まっちゃいけないし、戻ってもいけない。
思いつくことをどんどん書いてしまいます。展開がおかしいかも、とか思っても進みます。

考えずに、先を書いていきます。自分の書く文章を批評もしないほうがいい。

それをやるのはゴールしてからです。
すべてはゴールをしてから。
とにかく初稿を上げます。
駄作だろうがなんだろうが、まずは形にするのです。

ゴール後に修正があるんですよね。最初から完璧で曇りのない美しいものを作ろうとしないほうがいいですね。
ゴールしたランナーは、ぼろぼろになっているから美しい。汗もかかず、疲労せず、呼吸も乱れていないランナーなんていません。
そういうことなんですね。

そして注意点として、早くゴールしたいと思っても、急いで書こうとはしないほうがいい。
マラソンもいきなり2時間台で走ろうと思っても、そんなことは無理な話です。
そして、ダッシュをしたら1分ももちません。
歩いてもダメだし、どんなに遅くとも、惨めな走りでも、外から見たら歩いているように見えても、自分では走っていると思えばそれでいいと思います。

速くもなく、遅くもなく、前だけを見て、自分のペースで書きます。
自分にとって調子がでる速度というのがあるはずですから、その速度を維持しようと思います。

できあがった小説は、本当に酷いものになると思います。
けれど、それでいい。
実はそこからが勝負であり、本番だと思います。
次の作業フェーズが待っています。

実際にやってみると非常に難しいですし、マラソンでリタイアするように、小説の途中リタイアも十分に有り得ることです。
それでも、次のレースにエントリーする。また、最初から走らなければなりません。

苦しいですけれど、レースに参加し続けることです。
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