転生したってわたしはわたし

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学園編に入ってもいいですよね?

21.友情深まる身体測定

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「いいか?
 絶対にハグアス伯爵令嬢やリュカだったよな?  その子と一緒にいるんだぞ。」

「決して一人になるなよ。」

「なんかあったらいつでも俺を呼ん……」

「もおおお! 分かりましたよ!
 昨日から何回も聞きました! 遅刻しちゃうからもう行ってきます!」


 昨日はあのあと何かを考え込んでいたストラに、元気を出してもらおうと学校での様子を話していたのですが

 闇適性のある猫の獣人がいたのだという話をした途端根掘り葉掘りといってもいいほどしつこく詳細をきかれてしまいました。

 リュカくんは黒猫のように真っ黒な、毛並みの美しい美形さんだと話していたら、瞳の色は金色かと詰め寄られてしまったのでグーパンで黙ってもらいました。

 レディに詰め寄るとは言語道断ですよ。

 昨日はそれで終わったからもう言われないと思ったのに登校してる最中またクドクドと言われてしまいました。

「しつこい男は嫌いです!」

 これくらい言ってもいいですよね、と思いつつ振り返らずにスタスタ歩いていく後ろから呻き声が聞こえるのは、まぁ気のせいとしておきましょう。





「おはようユイー!
 おや?  今日は可愛いお顔がほんのりと不機嫌そうだけれど、どうしたの?
 不機嫌そうな顔でも可愛らしいけれど、女の子は笑ってる顔が一番だよ?」

 たった一日でセイルのイケメン度があがってる!?

「いやぁ、ちょっと護衛がしつこくて……」

「しつこい?」

「実はーー」





「ふむ、なるほど。
 ぼくは護衛の言いたいことがよーく分かったよ。それは君が悪いよ。」

 えっ、まさかのセイルの裏切りですかっ!?

「それはどういう……」

「おはよーう。
 おーみんな座れー。」

 ちょうどいいところ?  で先生が来てしまったので話が途切れてしまいました……

 席に座って後ろを向いていたセイルも前を向いてしまい話は終了です。

 何故ストラが正しくてわたしが悪いのですかっ……

「よーし皆いるな。
 早速授業、と言いたいところだが……まず身体測定だ。魔力検査もやるぞー。
 午前中は測定で昼食後に学校の施設説明をして、終わりだ。

 今日から授業とは言っておいたが実際には今日は授業ではないな。

 では、まずは身体測定からだな。
 Aクラスから順番に行っていくからな、うちのクラスが一番最初だ。

 では早速移動するぞー、しっかりついてこいよ。」

 教室を出て行くダン先生のあとをわらわらとついていくAクラスの生徒を後ろからついていき眺めているけれど

 正直誰も名前が分からないのですよね。
 全くといっていいほど興味なくて聞いてなかったのですよね……。

 緑色の髪の毛を赤いリボンでツインテールにした女の子に、スミレ色の髪の毛を腰あたりまで伸ばしてる女の子、ピンク色の髪の毛を短くさっぱりとしている男の子……
 領でもそうでしたが地球ではありえない髪の色がいっぱいですねぇ。
 誰も名前が分からないですが。

 うーん、そういえば縦ロールいないですね。
 悪役令嬢定番の縦ロールだけど、やっぱり乙女ゲームの世界じゃないといないんですかね?

 と思ったらBクラスにいましたね!
 教室覗いてよかった、金髪縦ロール……むふふ
 うーん、縦ロールにするための条件は美人さんなのかな……超美人さん……もしかして本当に悪役令嬢……とか?  いやいやまさかですよねぇ……

「ユイ?  さっきからキョロキョロしてるけどどうしたんだい?」

「あぁ、いや、色んな人がいるなぁと思ってキョロキョロしちゃいました。
 自分の赤毛もお父様と同じだから好きなんですけど、スミレ……えと薄紫色とかセイルのような水色の髪の毛ってとっても綺麗だなぁと思って。」

「何を言ってるんだいそのガーネットの髪の毛もとてもツヤツヤしていて綺麗だよ?
 歩くたびにサラサラと揺れる度にユイから甘い花の香りがしてくるし……。
 過保護だという護衛が何歳かは知らないけれど……こんなに可愛い女の子が良い匂いを纏ってすぐ近くにいたらそれはそれは、とても忍耐を強いられているだろうねぇ。
 一緒にいない時間が心配なのもよくわかるよ。
 ユイはイマイチ警戒心が足りないみたいだし、ね……こんな風に。」

 あっま甘のセリフをはきながら髪の毛を一房掬ってキスを落として流し目をするセイルは18禁の存在に昇華しそうです。
 ノータッチでお願いします。

「お前らこないなところで何してんのや!?」

 聞き覚えのある声で、聞き覚えのない、前世では憧れていたイントネーションの声が後ろから聞こえて振り向けば、顔を真っ赤にしたリュカくんがこちらを指差して口をパクパクさせていました。
 あれ、今のは幻聴ですかね?  
 ていうかそこに見えるリュカくんは幻覚かな?  とキョロキョロしてしまっていると

「ふむ……

 ……ねぇユイ?  その綺麗なグリーンジェイド翡翠色の瞳にぼくを映して、その可愛らしいピンク色の唇で名前を呼んで?」

「えっ?  えっ……!?」

 顎に指を添えられて、いきなりの口説き文句を言いながら近づいて来るセイルのセリフに動転してしまう精神年齢三十路超え。
 そもそも日本人精神たっぷりのわたしにそれが耐えられるだろうか、いや耐えられまい。
 顔が熱を持っていくのがわかります。

「まさか……二人はそういう仲やったのか……」

 あれ、やっぱりこの憧れのイントネーションはリュカくんの声でしたか。
 唖然とした真っ赤に染まった顔でプルプルとこちらを指差しているリュカくんからその声が聞こえてきます。

「リュカくん、君本当はそういう喋り方なんだねぇ。ぼくは昨日のよりそっちの方が好きだなぁ。」

「あっ、違う、これは……」

 なんで慌ててるんでしょう?
 わたしは好きだけどなぁ……なんていっても昔憧れてましたし。
 厨二病を患った関東人は誰しも憧れたことがあるのではないでしょうか。

 けどなんで隠すんだろう?

「わたしもそっちのがいいと思いますよ? そっちの方がカッコいいです。」

「カッ!  コ、イイ……」

 語尾を小さく濁しながら益々顔が赤くなっちゃいました。
 カッコいいとか言われ慣れてないのでしょうか。

 まぁたしかに少し目つき悪いですけど、でも全然イケメン許容範囲ですよねぇ。
 ていうかそもそもわたし目つき悪いのも好きですからねぇ……

「……でもただでさえ種族も魔法も異端なのに喋り方まで普通やなかったら気持ち悪いやろう……。」

 はうっ
 尻尾と耳がてろんってしょげてます……!

「気持ち悪いなんてことないですよ!?
 猫の獣人なんて可愛いですし、魔法だって他の人が出来ない魔法が出来るのは凄いことです!
 それにその喋り方、むしろ憧れますよ!

 それに自分のことを気持ち悪いなんて言っちゃダメですよ!
 種族なんて飾りですよ! 先生だって差別は良くないって言ってたじゃないですか!

 それにリュカくん普通にかっこいいですし、わたしなんて自分のこと超可愛いと思ってますもん!」

「……。」
「……。」
「……。待ってください、最後のは無しです。」

 やばい、今のは居た堪れない! 思わず言っちゃったけどこれじゃあただのナルシスト発言じゃないですか!

 ち、違うんですよ!
 わたしの身体だけどわたしじゃないような……なんていうか杉崎葵の意識がユイリエールの身体を動かしてるって感じでっ……自分のことだけど他人みたいな感じでっ……!

「ぷっ……あははははっ!
 そうかそうか、いや、そうだよな。
 卑下しててもどうにもならへんんやからポジティブに考えた方がええよな。

 うん、俺もお前のこと超可愛いと思うわ。

 よし、……よければ俺のことはリュカって呼んでくれへんか?
 出来ればこれから仲良くしてほしいんやけど。」

「ぅー……やらかしました……。
 ていうか超可愛いとか……照れるので社交辞令でもやめてください……。

 よろしくです、リュカ
 わたしのことはユイって呼んでくださいね!」

「くすっ……うん、ぼくもユイのことは可愛いと思うから自信持って大丈夫だと思うよ。

 改めてよろしくねリュカ、ぼくのことはセイルって呼んでくれ。

 昨日も自己紹介のときに言ったけどぼくは女の子だから。
 ユイと変な関係じゃないから安心してね? あれは単純なスキンシップだから……お望みとあれば君にもやろうか?」

「いりまへんからぜひともご遠慮願いたい。

 それよりも、俺のせいかお前らのせいか分からんけども……先生や他の生徒たちがおらへんのやけどどないするの」


「うぇ!? わたしはもちろん道分からないですよ!?」

「流石にぼくも行ったことないところは覚えてないかなぁ。」

「あっ、猫の獣人って匂いでどうにか分からないですか?」

「あー……香水とかで匂いがキツイやつがいたら分かったと思うんやけど特徴のある匂いのやつは一人もいなかったから流石にわからんなぁ。」

「仕方ないね、探しながら進もうか。
 階段が出てくるまではとりあえず真っ直ぐ進めばいいしね。」








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「遅い! お前ら何故ちゃんとついてこなかった!」

 やっとの思いで辿り着いた身体測定会場では先ほどまでは問題もなく順調に進んでいたらしいのですが、わたしたちがいないことに気付いて探しに行こうとしていたところで丁度到着したようです。

「セイルがユイを口説いてたせいで遅れたんです。」

「そうです、セイルのせいです。」

「あれっ!? 二人ともまさかのぼくを売るの!?」

「……仲良くなったようで結構だが、集団行動は乱すんじゃない。
 次何かしたら罰当番だからな。」

「「「はーい……」」」



「じゃあハグアス、リシュール、リュカ、3人も回ってこい。
 続きの教室に測定してくれる医師がいるから。

 他の奴らも全員終わったら移動するからなー。
 次は身体能力測定だー。
 全部終わったやつからこの教室で待機だ。
 そろそろ次のクラスがくるからな、終わったやつからすぐ測定の教室は出てこいよー。」

 半分くらいの生徒が終わったらしくざわざわしている教室を抜けて続きの教室で身長、体重、視力、魔法による体内の病気等の検査をやり元の教室に戻る。

「よーし皆終わったなー。
 では移動するが今度は全員しっかり・・・・・・とついてくるように。」

 こちらを見ながら釘を刺されてしまい3人で顔を見合わせて苦笑するしかありませんでした。

 測定してくれた医師にお礼をいい、教室を出て移動をする。
 その際に移動してきていた先ほどの縦ロール美女を見かけたけれど、意地悪そうな雰囲気ではなく優しそうだったので悪役令嬢じゃなさそうです。
 うん、よかった。



 さっきまでいた教室や測定会場となっていた教室は3階だったけれど、今度は講堂とは違う体育館のような広い場所。

「次はここで身体能力測定だ。
 各々好きなところから回って全部受けてこーい。
 終わったらそこの右側にある休憩所で座って待っていろ。全員終わったら次行くぞ。」

 休憩所ってなんだよと思いそちらを見てみると体育館の端の方にカフェのようなテーブルの上にティーセットが置いてあります。

 ナンデスカアレ。

「なんだあれ。
 なんであないなものが運動場にあるんよ。」

 リュカはわたしと同じ庶民派思考ですね。
 まぁわたし貴族なんですけどね。


「聖樹学園に通う子供は貴族の子弟が多いからね、あれくらいのサービスつけとかないと稀に煩い人間がいるからね。
 幸いうちのクラスには傲慢な家系はいなかったみたいだけど、Bクラスは多分多いと思うよ。
 昨日案内名簿見てわかっただけでも結構いたから。

 まぁ親がそうだから子供がそうとは限らないけどね。」

 セイルの説明をきいてリュカがウンザリしたような顔をしてます。
 うん、分かるよリュカ、わたしも同じ顔になってる自信ありますからね。

「さて、それじゃあさっさと終わらせて折角だからお茶にしようか。
 ぼくは騎士の訓練してるからそこそこ体力に自信あるんだ。
 リュカは獣人だし大丈夫だよね。
 ユイは大丈夫?  ゆっくりやろうか。」

「大丈夫です!  多分!
 とりあえずやってみましょう!」

 今まで冒険者やってきた感じ結構チート運動能力の恩恵感じてるんですよね!
 前世では反復横跳びが変だと友達に爆笑されて『もうやらねぇ』と思っていたのですが……今回は自信がありますよ!




「なんかあの動き左右にカクカク動いててどエライ面白かったな。
 ほか同様機敏な動きやったけどなんかちゃうちうか。

 あれ以外はちゃんと、いや……それ以上に出来てたから尚更動きが……

 ……ぶっは! やばい、じわじわ笑いがこみ上げてきてめっちゃオモロイ、あははははっ!」

「ちょ、リュカ笑いすぎだよ!

 ああぁ、ユイほら、拗ねないで……拗ねてる顔も可愛いけれど……ほら、笑って、ね? 紅茶も果実水もあるよ、飲もう?」

 ぶすーっと拗ねてしまうのも仕方ないと思うんです。
 なんでですかクロサワ氏。
 運動神経良いはずなのになんで反復横跳びだけ出来ないままなんですか……。
 リュカも笑い過ぎだけどセイルも顔が笑ってますけど……。

「あははっ……。
 笑ってごめん、わざとやないから許してな?」

 むくれつつも仕方ないから頷くと優しい笑顔で微笑まれて頭を撫でられてしまい頬が赤くなるのが分かります。

 くぅっ……2歳しか変わらないはずなのになにこの包容力のありそうな笑顔っ!
 昨日は笑顔なんて見せずに基本無表情だったのになんて今日はこんなに優しい笑顔見せてくるんですかっ!?

 ふと視界に入ったセイルの顔はとっても微笑ましいものを見るようにニヤニヤしてました。

 やめて、同い年じゃないですか!?
 ていうかむしろわたしのが精神年齢年上なはずなのにどうしてこうなった!?



**後書き****

作者関東人なので関西弁喋れません。
ネットの翻訳機頼りなので、こんな言い方しねーよ!?なところあれば指摘していただけると嬉しいです。
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