10 / 60
新人だろうが冒険者っていいですよね
10.虹色の誘惑
しおりを挟む
受付に帰ってくると、賑わっていた広い室内には冒険者数人とギルド関係者数人のみで先ほどよりも広く感じた。
確かにいっぱいついてきてたと思ってましたが、さっきあんだけゴチャゴチャとしてたのにこんなに少なくなっているとは……。
もう出て行った人もいるんだろうなぁ。
さっきの興味なさそうにしてた人は……うん、やっぱりいないですね。
「よっ、と……うわ、かるっ。子供ってこんな軽いのか?
お前飯ちゃんと食ってる?」
「わっ!? いきなりはびっくりしますよ!
抱っこするならするって言ってくださいよぉ!」
いきなり後ろから抱きかかえられて高くなった視界に驚く。
前世で生きてきた記憶があるっていうのに、家族ではない男性に抱き上げられるのは少し照れくさくて悪態をついてしまいました。
いくら計算した数値的には標準であっても、実際に身長体重を聞いてみると「重い」と分類される人間だったので、抱き上げられるなど付き合った人たちですらなかったのに……。
姫抱っこされたことが一度だけあったけど『腰がっ……』とか言ってたもん。すいませんね、重くて。
まぁ今は脇の下に手を入れて持ち上げる子供抱きなんですけどね。
「文句多いなぁ……ほら、その羊皮紙に必要事項記入して、手のひらを水晶のところに置いて魔力を流せって。
冒険者登録するんだろ。」
キョロキョロしてたらストラに持ち上げられることになってしまいましたが、そうでした。
少し待つって言ってたしさっさとやってさっさと依頼受けましょう。
まずは記入ですね……名前は、ユイ……年齢は7歳っと……
今度はこの魔導具に手を乗せて魔力を少し流して……ってあれ?
魔力情報ってことは属性とかもでる感じ……? 属性なしがばれちゃうんじゃ……と思ったときにはすでに魔力を流したあとで。
「はい、これで大丈夫でっ……えっ!?」
あちゃー、出ちゃったみたいですね……魔法属性なしが……。
そりゃあ驚きますよね、さっきどう見ても魔法使いましたし。
氷の鎌を作ったうえに栗ード(の火の魔法)ごときじゃ溶けもしなかったですし。
「えーっと……それの項目を少しいじってカモフラージュする……とかは出来ます?」
「え、えと……読み取った情報をカードに入れるのは私なのでできます、が……ギルド職員以外にはお名前とランクしか見えないように表示されますのでカードの隠蔽は、必要ないかと思われます。
皆ギルドの仕事を誇りに思っていますので職員から漏れることはありません。
そして万が一冒険者の情報やギルドの情報が職員から漏れた場合にはそれなりの罰が与えられることになっております。
なのでそのままでも構わないのではないかと思うのですが……。
というよりも正直に申しますと、出来るけれど隠蔽行為自体がほぼ黒に近いグレーゾーンとなっていますので、私としては出来ればやりたくない、というのが本音です。
新しい受付に当たる度に驚かれて面倒かもしれませんが……この街にいる限りは私が優先的に担当致しますので……。
ダメでしょうか……。」
はうぁ!
アディさんの申し訳なさそうな俯いた顔!
チラッとされる上目遣いはわざと狙ってるのではと思えるほど破壊力抜群です……。
これを断れる人がいるだろうか!?
否!
「だっ、ダメじゃないです!
むしろすいません、そんなことやれるか聞いてしまって……」
「いえ、そんな私こそ……事情は分からないですが、絶対秘密にしますからね!」
そう言って意気込んでる姿はセクシーな見た目とは正反対でとても可愛い。
なんですか、そのグッと意気込んだポーズ。
乙女ゲーのヒロインか何かですか。
セクシー担当はどうしたんですか。
「では軽く冒険者について説明させていただきますね。
冒険者は大陸各地の国にいっぱいいます。
それぞれ強さによってランクが分けられていて、ユイちゃんのようななりたて冒険者はFランク。
ランクはFからSSまであります。
FからEに上がるには依頼を3つ、尚且つ2つは討伐依頼を受ける必要があります。
Dになる為には討伐5が必須の計依頼数は10。
Cは一人前と言われていて、ストラさんが先日このランクになりましたね。
Dまでは比較的楽になれるのですが、Cになるためには依頼クリアが50の討伐は半分ほどは必要になりますので手間取る方も多いようですね。
みなさん時間をかけて確実にやっていらっしゃいます。
そして今までのランクと違うのは、ここから上のランクに上がるには昇格試験があるというところでしょうか。
依頼を全て終わらせた後に上のランクの冒険者との試験をやって勝敗は問わず資格ありと認められれば昇格となり、晴れてCランクなど次のランクに昇格となります。
不正防止のために試験官の冒険者は冒険者ギルドが選んだ試験官に適性ありと思う方への指名依頼で決まります。
あとは昇格するためには倍々に必要依頼数が増えていく、という感じです。」
つまりがF→3達成でE→10達成でD→50達成+試験でC→100+試験でB→200+試験でAという風になってるのか……。
「そして指名依頼とは、呼び名の通り個人やパーティなど特定の人を依頼主が指名してくる依頼のことですね。
基本的には高ランクにならない限りは関係ないと思っていいと思います。
Cランク以上の冒険者じゃないと全然名前も売れないですしね。
最後に、SSランクだけはどれだけ依頼をこなしてもなれません。
こちらは国のトップ1人の推薦ののち、他国のトップ1人に認められて初めて昇格となります。
過去に何人か戦争の功績とかでいますが、基本的にはないランクと思っていいと思います。
簡単な説明でしたが、何か質問はありますか?」
でた、質問タイム。
うーん、うーん、漫画や小説ではどんなことあったかな……
「くすっ、そんなに悩まなくてもいつでも質問が出来たら来ていただけたら大丈夫ですよ。
ストラさんも一般的なことなら知ってると思いますしね。
では登録をしてまいりますのであちらの飲食スペースで、新規登録冒険者のみ一杯飲み物無料で提供していますのでよければどうぞ。
この札を担当の者に渡してくださいね。
私のオススメはレモンのジュースですのでよければ飲んでみてくださいね。」
ジュース!
少し動いたので喉は乾いてたのですよね!
「ストラいきましょう! わたしレモンジュース好きです!」
「えー……レモン酸っぱいだけで何が美味いんだ……」
---------------------------------------
お嬢さん可愛いね! って飲み物担当のお姉さんが特別サービスで大きいグラスに入れてくれて飲んだレモンジュースは酸っぱかったけどしっかり冷やされていてとっても美味しかったです。
この世界炭酸水ってないんですよね。
レモンスカッシュみたいなの飲みたいです。
炭酸水って作れるのかな?
今度検索してみましょう。
ていうかレモンスカッシュってどうやって作るのか知らないからそっから検索しましょう。
ちなみにストラもアディお姉さんのオススメだからっ……! って凄く微妙な顔して飲んでました。
顔が酸っぱいって言ってた。
ていうかずっと酸っぱいって口でも言ってました。
オススメの飲み物飲んだって距離は縮まないと思うので無駄な努力だと思うのですよね。
しかもわたしと一緒だから飲み物担当のお姉さんの親切心でグラスサイズでかいですし。
渡された時絶望的な顔してました。
頼まなきゃいいのに。
わたしが飲み終わったのを見計らっていたのか、ちょうどアディお姉さんが冒険者カードを持ってきてくれました。
「わぁー冒険者カード白だー! ……汚しそう!」
最初に浮かんだ感想がそれってどうなのよと自分でも思いますが昔から白い物って汚すから苦手なんですよ……。
オタクは基本黒……
あと茶色も個人的には好きでした。
う◯こついてもバレない!
や、流石にバレると思いますけどね。
「くすっ、ランクごとに色が違うのでそれも昇級の楽しみにしてくれてる方もいるんですよ。」
「へー! ちなみにストラは何色なんですか? あ、お兄ちゃんは。」
「俺は黄色」
もう誤魔化せてないだろうとか思うほど呼び捨てしまくりのストラはCランクだよね。
何色なんだろうと疑問に思って聞いてみたら腰につけた小さなアイテム袋から出したのは、わたしの手の中にあるのと同じようで色だけが違う小さな黄色いカード。
「わたしも白より黄色の方がいい!
早くCランクにしたいです!」
「あら、ユイちゃんならとっても強かったからすぐになれるかもしれないですね。
でもその前にDとEランクのブルーとグリーンも楽しみにしてあげてくださいね。」
ニッコリと笑ってくれるアディさんのセクシーなこと!
さっきから前屈みで話してくれるから、胸の強調っぷりがやばい!
わたしの視点もオッさんすぎてヤバい!
そしてストラもチラチラ見ててそれもヤバい!
「早速何か依頼受けてみますか?
あそこに依頼の掲示板があるので見てきてみたらどうでしょう?
わたしはそろそろ受付に戻りますね。」
そう言って起き上がり指差してから去っていくアディさんの胸から残念そうに視線を逸らす二人。
逸らした視線の先には依頼掲示板であろう板が二枚、壁に寄りかかるような距離で設置されていた。
近寄って見てみると右側の階段寄りにある掲示板はFランクからCランクまでの依頼
左側の受付側にある掲示板はBとAランクの依頼の紙が貼ってあった。
あれ? SランクとSSランクの依頼はないんですかね?
「上の二つのランクを受ける時は受付か指名依頼だ。
自身のランクより一つ上のランクの依頼まで受けれるから、危険度が他のものに比べても高くなるAやSは受けれるかどうかの判断をギルド側で徹底しているからな。」
なるほど。
小首を傾げていたからか、顔に出ていたのか、聞く前に教えてもらえましたね。
まぁFランクのわたしには関係ないのですけどね。
とりあえず掲示板の依頼をもう少し見てみましょう。
まずは右側の低ランクのを
・C『夜光花を30本集めてもらえませんか?』
・C+『チームウルフの討伐。』
・F『解毒草の収穫。いくらでも』
・F『女性限定 ◯日に子供の相手をしてくれる方』
・E+『ガーネット採掘。※いくつでも可』
・D『街周辺のゴブリン討伐』
……
左側は……
・A『ランドハイル王国までの護衛』
・B『グロウ村付近でのサルファーフロッグの討伐』
・B+『ケルベロス討伐』
・A+『ザイアン山ワイバーン複数討伐』
・B『地質調査所隊の護衛。複数人募集』
……
基本的に高ランクは採取はあまりないのですねぇ。
低ランク、というかFランクは本当に簡単なものばかり。
Fランクには討伐系はないみたいですね。
Cランクにはゴブリン討伐ありますけど、ちょっと可愛らしい系のまだ見れるゴブリンなのか、それともウワァと言いたくなるような醜悪系ゴブリンなのか気になるところですね。
あとはこれが気になります。
「ストラ、ランクのあとについてる+ってなんですか?」
いくつかの依頼の必要ランクのところに+がついてるのですよね。
C以上B未満的な?
……なにを持ってどう判断するんでしょう?
「あぁ、それは、例えばC+だと『Cランク以上の冒険者1人以上のパーティ推奨』って意味だな。
あくまで推奨だからCランク冒険者やD、Bの冒険者が1人で受けても問題はない。
逆にCの依頼を複数人で受けてもいい。
まぁ報酬が増えるわけではないから報酬が高めの+依頼以外はわざわざ即席パーティ組んで、とかになるとそのパターンはないと思うが。
もちろん固定パーティー等は別だけどな。」
なるほどなるほど……ってあれ?
「わたしやストラみたいにランクに差のあるパーティとかも全く問題はないですか?
ストラと一緒にいないといけませんし、一緒に依頼受けたいのですが……」
「それは問題ないかな。
Dランクまでは簡単に上がるけど一人前とは言えないし、Cになるにはある程度の強さが必要だからただの腰巾着は上がれない。
だから実家がそこそこ金を持っている商家の次男坊とかは、金で雇った冒険者と一緒に依頼を受けて実戦で鍛えて成り上がっていく、とかもあるくらいだしな。
だいたいうまくいってないけどな。
偉そうにするから上手くいかないんだが、金持つと傲慢になりやつが多すぎる。
ちなみに下のランクの依頼は1人で受けるならば一つ下までしか受けられない。
今言ったようにパーティ組んでなら問題はないがな。」
ははぁ……なるほど。
商家も貴族も上の方に行けば行くほど偉そうな傲慢な態度の人は増えていくんですねぇ。
っと? 話しながらも掲示板を眺めていたら上に貼るには身長が足りなかったのかこっそりと下の方に貼られた依頼が目につきました。
・F『虹色スライムの探索依頼』
『虹色スライムを探しています。
目撃情報があったので探していたのですが見当たらないので依頼をださせていただきます。
虹色スライムの核となる虹色魔石の回収をお願いします。
目撃された場所はリシュール西門から出て少し進んだところにある森の中です。』
虹色スライムってのはどんなスライムなんでしょう、稀少っぽいし見てみたい!
レアドロップして、売ろうと思ったら通常ありえないものが出てきて、ギルドマスターがでてきて! とか!
うほーウキウキしてきました。
「ストラ、これにします!」
確かにいっぱいついてきてたと思ってましたが、さっきあんだけゴチャゴチャとしてたのにこんなに少なくなっているとは……。
もう出て行った人もいるんだろうなぁ。
さっきの興味なさそうにしてた人は……うん、やっぱりいないですね。
「よっ、と……うわ、かるっ。子供ってこんな軽いのか?
お前飯ちゃんと食ってる?」
「わっ!? いきなりはびっくりしますよ!
抱っこするならするって言ってくださいよぉ!」
いきなり後ろから抱きかかえられて高くなった視界に驚く。
前世で生きてきた記憶があるっていうのに、家族ではない男性に抱き上げられるのは少し照れくさくて悪態をついてしまいました。
いくら計算した数値的には標準であっても、実際に身長体重を聞いてみると「重い」と分類される人間だったので、抱き上げられるなど付き合った人たちですらなかったのに……。
姫抱っこされたことが一度だけあったけど『腰がっ……』とか言ってたもん。すいませんね、重くて。
まぁ今は脇の下に手を入れて持ち上げる子供抱きなんですけどね。
「文句多いなぁ……ほら、その羊皮紙に必要事項記入して、手のひらを水晶のところに置いて魔力を流せって。
冒険者登録するんだろ。」
キョロキョロしてたらストラに持ち上げられることになってしまいましたが、そうでした。
少し待つって言ってたしさっさとやってさっさと依頼受けましょう。
まずは記入ですね……名前は、ユイ……年齢は7歳っと……
今度はこの魔導具に手を乗せて魔力を少し流して……ってあれ?
魔力情報ってことは属性とかもでる感じ……? 属性なしがばれちゃうんじゃ……と思ったときにはすでに魔力を流したあとで。
「はい、これで大丈夫でっ……えっ!?」
あちゃー、出ちゃったみたいですね……魔法属性なしが……。
そりゃあ驚きますよね、さっきどう見ても魔法使いましたし。
氷の鎌を作ったうえに栗ード(の火の魔法)ごときじゃ溶けもしなかったですし。
「えーっと……それの項目を少しいじってカモフラージュする……とかは出来ます?」
「え、えと……読み取った情報をカードに入れるのは私なのでできます、が……ギルド職員以外にはお名前とランクしか見えないように表示されますのでカードの隠蔽は、必要ないかと思われます。
皆ギルドの仕事を誇りに思っていますので職員から漏れることはありません。
そして万が一冒険者の情報やギルドの情報が職員から漏れた場合にはそれなりの罰が与えられることになっております。
なのでそのままでも構わないのではないかと思うのですが……。
というよりも正直に申しますと、出来るけれど隠蔽行為自体がほぼ黒に近いグレーゾーンとなっていますので、私としては出来ればやりたくない、というのが本音です。
新しい受付に当たる度に驚かれて面倒かもしれませんが……この街にいる限りは私が優先的に担当致しますので……。
ダメでしょうか……。」
はうぁ!
アディさんの申し訳なさそうな俯いた顔!
チラッとされる上目遣いはわざと狙ってるのではと思えるほど破壊力抜群です……。
これを断れる人がいるだろうか!?
否!
「だっ、ダメじゃないです!
むしろすいません、そんなことやれるか聞いてしまって……」
「いえ、そんな私こそ……事情は分からないですが、絶対秘密にしますからね!」
そう言って意気込んでる姿はセクシーな見た目とは正反対でとても可愛い。
なんですか、そのグッと意気込んだポーズ。
乙女ゲーのヒロインか何かですか。
セクシー担当はどうしたんですか。
「では軽く冒険者について説明させていただきますね。
冒険者は大陸各地の国にいっぱいいます。
それぞれ強さによってランクが分けられていて、ユイちゃんのようななりたて冒険者はFランク。
ランクはFからSSまであります。
FからEに上がるには依頼を3つ、尚且つ2つは討伐依頼を受ける必要があります。
Dになる為には討伐5が必須の計依頼数は10。
Cは一人前と言われていて、ストラさんが先日このランクになりましたね。
Dまでは比較的楽になれるのですが、Cになるためには依頼クリアが50の討伐は半分ほどは必要になりますので手間取る方も多いようですね。
みなさん時間をかけて確実にやっていらっしゃいます。
そして今までのランクと違うのは、ここから上のランクに上がるには昇格試験があるというところでしょうか。
依頼を全て終わらせた後に上のランクの冒険者との試験をやって勝敗は問わず資格ありと認められれば昇格となり、晴れてCランクなど次のランクに昇格となります。
不正防止のために試験官の冒険者は冒険者ギルドが選んだ試験官に適性ありと思う方への指名依頼で決まります。
あとは昇格するためには倍々に必要依頼数が増えていく、という感じです。」
つまりがF→3達成でE→10達成でD→50達成+試験でC→100+試験でB→200+試験でAという風になってるのか……。
「そして指名依頼とは、呼び名の通り個人やパーティなど特定の人を依頼主が指名してくる依頼のことですね。
基本的には高ランクにならない限りは関係ないと思っていいと思います。
Cランク以上の冒険者じゃないと全然名前も売れないですしね。
最後に、SSランクだけはどれだけ依頼をこなしてもなれません。
こちらは国のトップ1人の推薦ののち、他国のトップ1人に認められて初めて昇格となります。
過去に何人か戦争の功績とかでいますが、基本的にはないランクと思っていいと思います。
簡単な説明でしたが、何か質問はありますか?」
でた、質問タイム。
うーん、うーん、漫画や小説ではどんなことあったかな……
「くすっ、そんなに悩まなくてもいつでも質問が出来たら来ていただけたら大丈夫ですよ。
ストラさんも一般的なことなら知ってると思いますしね。
では登録をしてまいりますのであちらの飲食スペースで、新規登録冒険者のみ一杯飲み物無料で提供していますのでよければどうぞ。
この札を担当の者に渡してくださいね。
私のオススメはレモンのジュースですのでよければ飲んでみてくださいね。」
ジュース!
少し動いたので喉は乾いてたのですよね!
「ストラいきましょう! わたしレモンジュース好きです!」
「えー……レモン酸っぱいだけで何が美味いんだ……」
---------------------------------------
お嬢さん可愛いね! って飲み物担当のお姉さんが特別サービスで大きいグラスに入れてくれて飲んだレモンジュースは酸っぱかったけどしっかり冷やされていてとっても美味しかったです。
この世界炭酸水ってないんですよね。
レモンスカッシュみたいなの飲みたいです。
炭酸水って作れるのかな?
今度検索してみましょう。
ていうかレモンスカッシュってどうやって作るのか知らないからそっから検索しましょう。
ちなみにストラもアディお姉さんのオススメだからっ……! って凄く微妙な顔して飲んでました。
顔が酸っぱいって言ってた。
ていうかずっと酸っぱいって口でも言ってました。
オススメの飲み物飲んだって距離は縮まないと思うので無駄な努力だと思うのですよね。
しかもわたしと一緒だから飲み物担当のお姉さんの親切心でグラスサイズでかいですし。
渡された時絶望的な顔してました。
頼まなきゃいいのに。
わたしが飲み終わったのを見計らっていたのか、ちょうどアディお姉さんが冒険者カードを持ってきてくれました。
「わぁー冒険者カード白だー! ……汚しそう!」
最初に浮かんだ感想がそれってどうなのよと自分でも思いますが昔から白い物って汚すから苦手なんですよ……。
オタクは基本黒……
あと茶色も個人的には好きでした。
う◯こついてもバレない!
や、流石にバレると思いますけどね。
「くすっ、ランクごとに色が違うのでそれも昇級の楽しみにしてくれてる方もいるんですよ。」
「へー! ちなみにストラは何色なんですか? あ、お兄ちゃんは。」
「俺は黄色」
もう誤魔化せてないだろうとか思うほど呼び捨てしまくりのストラはCランクだよね。
何色なんだろうと疑問に思って聞いてみたら腰につけた小さなアイテム袋から出したのは、わたしの手の中にあるのと同じようで色だけが違う小さな黄色いカード。
「わたしも白より黄色の方がいい!
早くCランクにしたいです!」
「あら、ユイちゃんならとっても強かったからすぐになれるかもしれないですね。
でもその前にDとEランクのブルーとグリーンも楽しみにしてあげてくださいね。」
ニッコリと笑ってくれるアディさんのセクシーなこと!
さっきから前屈みで話してくれるから、胸の強調っぷりがやばい!
わたしの視点もオッさんすぎてヤバい!
そしてストラもチラチラ見ててそれもヤバい!
「早速何か依頼受けてみますか?
あそこに依頼の掲示板があるので見てきてみたらどうでしょう?
わたしはそろそろ受付に戻りますね。」
そう言って起き上がり指差してから去っていくアディさんの胸から残念そうに視線を逸らす二人。
逸らした視線の先には依頼掲示板であろう板が二枚、壁に寄りかかるような距離で設置されていた。
近寄って見てみると右側の階段寄りにある掲示板はFランクからCランクまでの依頼
左側の受付側にある掲示板はBとAランクの依頼の紙が貼ってあった。
あれ? SランクとSSランクの依頼はないんですかね?
「上の二つのランクを受ける時は受付か指名依頼だ。
自身のランクより一つ上のランクの依頼まで受けれるから、危険度が他のものに比べても高くなるAやSは受けれるかどうかの判断をギルド側で徹底しているからな。」
なるほど。
小首を傾げていたからか、顔に出ていたのか、聞く前に教えてもらえましたね。
まぁFランクのわたしには関係ないのですけどね。
とりあえず掲示板の依頼をもう少し見てみましょう。
まずは右側の低ランクのを
・C『夜光花を30本集めてもらえませんか?』
・C+『チームウルフの討伐。』
・F『解毒草の収穫。いくらでも』
・F『女性限定 ◯日に子供の相手をしてくれる方』
・E+『ガーネット採掘。※いくつでも可』
・D『街周辺のゴブリン討伐』
……
左側は……
・A『ランドハイル王国までの護衛』
・B『グロウ村付近でのサルファーフロッグの討伐』
・B+『ケルベロス討伐』
・A+『ザイアン山ワイバーン複数討伐』
・B『地質調査所隊の護衛。複数人募集』
……
基本的に高ランクは採取はあまりないのですねぇ。
低ランク、というかFランクは本当に簡単なものばかり。
Fランクには討伐系はないみたいですね。
Cランクにはゴブリン討伐ありますけど、ちょっと可愛らしい系のまだ見れるゴブリンなのか、それともウワァと言いたくなるような醜悪系ゴブリンなのか気になるところですね。
あとはこれが気になります。
「ストラ、ランクのあとについてる+ってなんですか?」
いくつかの依頼の必要ランクのところに+がついてるのですよね。
C以上B未満的な?
……なにを持ってどう判断するんでしょう?
「あぁ、それは、例えばC+だと『Cランク以上の冒険者1人以上のパーティ推奨』って意味だな。
あくまで推奨だからCランク冒険者やD、Bの冒険者が1人で受けても問題はない。
逆にCの依頼を複数人で受けてもいい。
まぁ報酬が増えるわけではないから報酬が高めの+依頼以外はわざわざ即席パーティ組んで、とかになるとそのパターンはないと思うが。
もちろん固定パーティー等は別だけどな。」
なるほどなるほど……ってあれ?
「わたしやストラみたいにランクに差のあるパーティとかも全く問題はないですか?
ストラと一緒にいないといけませんし、一緒に依頼受けたいのですが……」
「それは問題ないかな。
Dランクまでは簡単に上がるけど一人前とは言えないし、Cになるにはある程度の強さが必要だからただの腰巾着は上がれない。
だから実家がそこそこ金を持っている商家の次男坊とかは、金で雇った冒険者と一緒に依頼を受けて実戦で鍛えて成り上がっていく、とかもあるくらいだしな。
だいたいうまくいってないけどな。
偉そうにするから上手くいかないんだが、金持つと傲慢になりやつが多すぎる。
ちなみに下のランクの依頼は1人で受けるならば一つ下までしか受けられない。
今言ったようにパーティ組んでなら問題はないがな。」
ははぁ……なるほど。
商家も貴族も上の方に行けば行くほど偉そうな傲慢な態度の人は増えていくんですねぇ。
っと? 話しながらも掲示板を眺めていたら上に貼るには身長が足りなかったのかこっそりと下の方に貼られた依頼が目につきました。
・F『虹色スライムの探索依頼』
『虹色スライムを探しています。
目撃情報があったので探していたのですが見当たらないので依頼をださせていただきます。
虹色スライムの核となる虹色魔石の回収をお願いします。
目撃された場所はリシュール西門から出て少し進んだところにある森の中です。』
虹色スライムってのはどんなスライムなんでしょう、稀少っぽいし見てみたい!
レアドロップして、売ろうと思ったら通常ありえないものが出てきて、ギルドマスターがでてきて! とか!
うほーウキウキしてきました。
「ストラ、これにします!」
0
お気に入りに追加
856
あなたにおすすめの小説
旦那様、前世の記憶を取り戻したので離縁させて頂きます
結城芙由奈@12/27電子書籍配信
恋愛
【前世の記憶が戻ったので、貴方はもう用済みです】
ある日突然私は前世の記憶を取り戻し、今自分が置かれている結婚生活がとても理不尽な事に気が付いた。こんな夫ならもういらない。前世の知識を活用すれば、この世界でもきっと女1人で生きていけるはず。そして私はクズ夫に離婚届を突きつけた―。
もう死んでしまった私へ
ツカノ
恋愛
私には前世の記憶がある。
幼い頃に母と死別すれば最愛の妻が短命になった原因だとして父から厭われ、婚約者には初対面から冷遇された挙げ句に彼の最愛の聖女を虐げたと断罪されて塵のように捨てられてしまった彼女の悲しい記憶。それなのに、今世の世界で聖女も元婚約者も存在が煙のように消えているのは、何故なのでしょうか?
今世で幸せに暮らしているのに、聖女のそっくりさんや謎の婚約者候補が現れて大変です!!
ゆるゆる設定です。
元侯爵令嬢は冷遇を満喫する
cyaru
恋愛
第三王子の不貞による婚約解消で王様に拝み倒され、渋々嫁いだ侯爵令嬢のエレイン。
しかし教会で結婚式を挙げた後、夫の口から開口一番に出た言葉は
「王命だから君を娶っただけだ。愛してもらえるとは思わないでくれ」
夫となったパトリックの側には長年の恋人であるリリシア。
自分もだけど、向こうだってわたくしの事は見たくも無いはず!っと早々の別居宣言。
お互いで交わす契約書にほっとするパトリックとエレイン。ほくそ笑む愛人リリシア。
本宅からは屋根すら見えない別邸に引きこもりお1人様生活を満喫する予定が・・。
※専門用語は出来るだけ注釈をつけますが、作者が専門用語だと思ってない専門用語がある場合があります
※作者都合のご都合主義です。
※リアルで似たようなものが出てくると思いますが気のせいです。
※架空のお話です。現実世界の話ではありません。
※爵位や言葉使いなど現実世界、他の作者さんの作品とは異なります(似てるモノ、同じものもあります)
※誤字脱字結構多い作者です(ごめんなさい)コメント欄より教えて頂けると非常に助かります。
【完結】ドアマットに気付かない系夫の謝罪は死んだ妻には届かない
堀 和三盆
恋愛
一年にわたる長期出張から戻ると、愛する妻のシェルタが帰らぬ人になっていた。流行病に罹ったらしく、感染を避けるためにと火葬をされて骨になった妻は墓の下。
信じられなかった。
母を責め使用人を責めて暴れ回って、僕は自らの身に降りかかった突然の不幸を嘆いた。まだ、結婚して3年もたっていないというのに……。
そんな中。僕は遺品の整理中に隠すようにして仕舞われていた妻の日記帳を見つけてしまう。愛する妻が最後に何を考えていたのかを知る手段になるかもしれない。そんな軽い気持ちで日記を開いて戦慄した。
日記には妻がこの家に嫁いでから病に倒れるまでの――母や使用人からの壮絶な嫌がらせの数々が綴られていたのだ。
深窓の悪役令嬢~死にたくないので仮病を使って逃げ切ります~
白金ひよこ
恋愛
熱で魘された私が夢で見たのは前世の記憶。そこで思い出した。私がトワール侯爵家の令嬢として生まれる前は平凡なOLだったことを。そして気づいた。この世界が乙女ゲームの世界で、私がそのゲームの悪役令嬢であることを!
しかもシンディ・トワールはどのルートであっても死ぬ運命! そんなのあんまりだ! もうこうなったらこのまま病弱になって学校も行けないような深窓の令嬢になるしかない!
物語の全てを放棄し逃げ切ることだけに全力を注いだ、悪役令嬢の全力逃走ストーリー! え? シナリオ? そんなの知ったこっちゃありませんけど?
悪役令嬢になりたくないので、攻略対象をヒロインに捧げます
久乃り
恋愛
乙女ゲームの世界に転生していた。
その記憶は突然降りてきて、記憶と現実のすり合わせに毎日苦労する羽目になる元日本の女子高校生佐藤美和。
1周回ったばかりで、2週目のターゲットを考えていたところだったため、乙女ゲームの世界に入り込んで嬉しい!とは思ったものの、自分はヒロインではなく、ライバルキャラ。ルート次第では悪役令嬢にもなってしまう公爵令嬢アンネローゼだった。
しかも、もう学校に通っているので、ゲームは進行中!ヒロインがどのルートに進んでいるのか確認しなくては、自分の立ち位置が分からない。いわゆる破滅エンドを回避するべきか?それとも、、勝手に動いて自分がヒロインになってしまうか?
自分の死に方からいって、他にも転生者がいる気がする。そのひとを探し出さないと!
自分の運命は、悪役令嬢か?破滅エンドか?ヒロインか?それともモブ?
ゲーム修正が入らないことを祈りつつ、転生仲間を探し出し、この乙女ゲームの世界を生き抜くのだ!
他サイトにて別名義で掲載していた作品です。
【完結】私は死んだ。だからわたしは笑うことにした。
彩華(あやはな)
恋愛
最後に見たのは恋人の手をとる婚約者の姿。私はそれを見ながら階段から落ちた。
目を覚ましたわたしは変わった。見舞いにも来ない両親にー。婚約者にもー。わたしは私の為に彼らをやり込める。わたしは・・・私の為に、笑う。
完結 「愛が重い」と言われたので尽くすのを全部止めたところ
音爽(ネソウ)
恋愛
アルミロ・ルファーノ伯爵令息は身体が弱くいつも臥せっていた。財があっても自由がないと嘆く。
だが、そんな彼を幼少期から知る婚約者ニーナ・ガーナインは献身的につくした。
相思相愛で結ばれたはずが健気に尽くす彼女を疎ましく感じる相手。
どんな無茶な要望にも応えていたはずが裏切られることになる。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる