転生したってわたしはわたし

なの

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ファンタジーっていいですよね

5.わたしと護衛騎士

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 今日は護衛の人が新しくくるそうです。
 なんでも……代々我が家に仕えてくれている、バトラーさんという護衛騎士さんの息子さんが冒険者修行とやらから帰ってきたそうなのです。
 バトラーさんのお家は何代も前からリシュール領主に仕えてくれている護衛騎士という特別な爵位の家系で、一人前と言われる冒険者ランクCにしてから正式な護衛騎士として我が家にくるそうです。
 あ、ちなみに冒険者のランクはFからSSランクまであるらしいです。
 バトラーさんは反発しまくってAランクまであげたそうですが息子のときは強制送還で無理やり連れ帰ったとかなんとか。

 そうです、冒険者!  いるのですよ!
 いいですよね冒険者……憧れちゃいます……わくわく。
 できることならやりたいのですが……貴族的に無理ですかね……いやいや、諦めたらいけないですよね、何事もチャレンジですよね!
『やってみたいことはやらないと後悔する!』それがわたしが前世で得た大事なことですから!


「ユイお嬢様、バトラーさんの息子の護衛騎士の方が来たので居間に来るようにと旦那様から。」

「はいアンジー、今行きます。」

 アンジーはわたしの大好きな綺麗なお姉さんタイプのメイドさんです。
 隙をみてはその豊満なおっぱいを触っていたら最近隙がなくなっちゃいました。
 動きがキビキビしてきてユイ悲しい。



「きゃっ!?」


 でもたまに何もないところで転んだりするのでとても可愛いです。
 転んでスカートがめくれてパンツが見えるとかどんなベタな展開だよ、とか思います。
 アンジーは縞パンを大量に持っているんですよねぇ。今日はイエロー縞パンでした。

 涙目ドジっ子縞パンメイド萌えー。






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「ユイ来たか。
 では紹介しよう、彼がバトラーの息子のストラ・ハイエルだ。
 年齢はラルフの二つ上で18歳だ。
 新しい護衛騎士として専属でユイについてもらおうと思っている。」

 ストラと紹介された護衛騎士さんはぱっと見頼りなさそうだけどよく見ると服の中に筋肉ありそう。
 バトラーさんみたいに逆三角形な体型だったらだいぶ嫌でしたが、これならありですね……あっ、バトラーさんは好きですよ、とても気のいい親戚のおじさん!  って感じですし。
 でも逆三角形やもりもりついた筋肉は嫌いです。
 ストラの線の細さはとてもいい感じ。

「初めまして、今日からユイリエールお嬢様の護衛を務めさせていただきます。
 バトラーの息子でストラと申します。
 冒険者ランクがCになりましたので本日より改めてリシュール家に、そしてユイリエールお嬢様に仕えさせていただきます。
 至らぬところもあると思いますが日々精進していきたいと思いますのでよろしくお願いいたします。」

 堅っ!  めちゃくちゃ堅いですね!?
 これと四六時中いるのは辛いです……。
肩こりそうなのでお父様に言って変更していただきま……

「ちょおおおおーっと待ったああああ!  僕の可愛いユイちゃんにこんな頼りなさそうな護衛騎士なんてつけられないよ!
 ストラ!  僕に勝ってからにしてもらおうか!?」


 は?  いきなり来てどうしたんですかラルフお兄様。
 あなた樹木魔法(しかも攻撃に向いてないようなこと)しか出来ないじゃないですか、ボコられて終わりですよ!
 あ、そうそう、ラルフお兄様樹木魔法も才能が開花して使えるようになりましたよ。
 とっても平和にお花の成長促進とかそういう使い方しかできないけど。

「まぁいいですけど……」

 本当はめんどくせぇけどなぁ……。


 うん?  今ボソッと面倒くさい発言しました?  これは猫をかぶって丁寧にしている予感?
 むふふ、それは猫剥がしたくなるじゃないですか!
 少し楽しくなってきましたね、様子見しましょうか!
 お兄様残念ですが、ボコられてくださいね。
 ユイはストラの本性を知りたくなってしまいました。

「勝負するんですか?  お兄様頑張ってくださいね。」

「ユイちゃんっ……応援してくれるんだね!  ユイちゃんの応援があるなら僕勝てるよ!」

 存分にボコられてきてくださいねー。










「ラルフシェイド様、まだ勝負なさいますか?」

 そういってラルフお兄様の横でたっているストラは汗ひとつかくことなく鞘に入れたままの剣を一本右手にぶら下げています。
 双剣使いらしく右側の腰には同じような剣が鞘に入ったままぶら下がっている。

 対してお兄様は地面に仰向けになり肩で息をし、荒い呼吸音が離れているわたしにまで聞こえそうなほどです。

 お兄様が樹木魔法の蔦でストラの動きをどれだけ妨害しようとしても到達前にストラの使った風魔法に切断され、地魔法で土をまきあげて目くらましをしてもやはり風で飛ばされてしまい、剣で牽制をしても攻撃をしてもストラは全て軽々と去なしたり躱したりしてはお兄様に鞘のままの剣で攻撃をしていく。
 その様はまるで大人と子供みたいで。

 お兄様も少しずつお父様の手伝いをして大人に近づいてはいるのですが……
 学校でも武芸の成績はとても悪かった代わりに政治や色々な知識はとてもすごく、学園始まって以来の天才なのではとそこらの大人よりも上だと称されていたほどなのに……やはり不得意な武芸では子供のように翻弄されています。
 まぁ1:1ですし、頭脳そんなに関係ないですからね、地力が違いすぎて。

 ていうか前から思ってたけど転生者って家族もチート率高いですよね?
 チートって感染するんですかね?

 うーん、それにしてもストラ強いですねぇ。
 お兄様はわたしの護衛が若い男なのが気に入らないだけですし、強さの方は申し分なさそうです。


「くっ……僕は認めないぞっ……うぅっ……」

 最近気付いたんですけど、ラルフお兄様はわたしに関することだけはとてもよく泣くのですよね。
 泣きながら走っていっちゃいました。
 普段はそんなことないんですけどねぇ?

「ラルフは戦いに向いていないのだから負けるの分かっていただろうに……。まぁ良い、では本日からストラはユイに着くようにな。
 ユイ、これからはストラが一緒にいるなら街に出かけてもいいが、ちゃんとどこに行くかは屋敷のものに伝えてから行くようにな。」

「本当ですか、お父様!  やった、大好きです!」


 やりました!  これで冒険者登録やりにいけるしホビットの森にもいつでもいけますよ!
 嬉しさのあまり思わずお父様に抱きついてしまい、皆ほわっとした顔でわたしのことを見ていますが、ちらりと見たストラはこちらを一瞥もせずに鳥を目で追っていました。
 やっぱりただの真面目で堅い男ってわけではなさそうですね、真面目な護衛さんだったら目をそらさないはずですからね。
 むふふ、楽しみです。

「ではストラ、早速ですけど一緒に出かけてもらえますか?
 わたし行きたいところがあるのです!」

「構いませんよ、ユイお嬢様。
 どこでもついていきます。」

「では行きましょう!  付いてきてください!」

「あー、ストラ。
 ユイは人よりちょっと……いや……だいぶ方向感覚が残念な感じでね、気付くとすぐにいなくなったり、教えた方向と違うところに行ったりするから十分気をつけてくれ。
 ユイ、どこに行きたいのかは知らないが一応言っておくと街に行くならあっちの方だからな。」

 そういってお父様はわたしの進もうとした方向とは反対を指差す。
 もちろんわたしが進みたかったのは街の方向なので……。

「あ、ありがとうございますお父様……。
 ごめんなさいストラ、街の方に行きましょう……。」

 わたしは初日からとっても恥ずかしい思いをしてしまいました。
 ストラが面倒くさそうな顔をしたのはきっと気のせいではないと思います。




「ユイお嬢様、何か見たいものでもあるのですか?」

 むふふ、わたしはただ街に来たかったわけではないのです。

「ストラはこの街の近くの森に入ったことはありますか?」

「はぁ、森ですか……一応ありますがあそこは魔物もおらずただの小さくて何もない森なので入ったというよりは通っただけですが。」

「じゃあそこに連れて行ってください。」

 怪訝そうな顔をして歩き出したけれど重要なのです、わたしたちが目指してるのはそこなのですよ!
 でも本当に他の人には小さい森なんですねぇ。
 わたしには相当大きな森に感じましたから、あの結界すごいんですね!
 ってあれ?  一緒に行ったらどうなるんでしょう?
 まぁ行ってみたら分かるからいっかー。





「ていうか……あれ?  この森ってこんなに広かったですか……?」

 一緒にいるとそのまま通過できるらしいことが分かりました。
 はぐれないように手を繋いでいたのが良かったのですかね?
 何回かはぐれかけたら『はぐれたら面倒くさい』と書いてある顔で手を差し出してくれました。
 顔が正直すぎますよ、ストラ……。

「そうですよー。  この森には結界が張ってあるので普通の人は弾かれてしまって小さい森に感じるらしいです。」

「じゃあ何故今は平気なんですか?」

「えっと……結界が通じなかったんです。わたしが普通の人じゃないので!  てへっ」

 すごく胡散臭そうな顔されてます。ナニコイツ頭おかしいの?  みたいな顔されても。
 実際森の深くまで来てるのに……。

「まぁまぁ、とりあえずそこは後回しにして……ここらへんでいいですかね、とりあえず座れそうな石もありますし座りましょう。
 まず最初はこれを話題にするべきですかね?  うん、ストラ、無理やり敬語つかって話さないで普通に普段どおりにしてもらって構わないです。
 名前もユイリエールお嬢様ではなく『ユイ』って呼んでください。
 そんなに頑張って猫さん被っても素顔がちょいちょい猫さんから出てきてますよ?」

「……。  はぁ……親父に一週間みっちり仕込まれたのに数時間でバレるとか、俺の涙ぐましい努力の結晶が……。
 えーっと、ユイ様?  俺そんなに分かりやすかったですかね?」

「敬語も様呼びもやめてくださいってー。
 こう、モヤっとするのです、なんだったらユイちゃん(ハート)って呼んでくれてもいいのですよ?」

 すごーく嫌そうな顔で「わかった、ユイ。」と淡々と言われてしまいました、しょんもり……。

「で、何故ここに連れてきたんだ?
 しかも結界の話までして。
 誰が結界を張ったのか知らないが張るくらいならあまり口外しない方がいいのではないか?」

「結界を張ったのはお父様で維持させているのはお父様とホビットさんです。
 わたしは魔力とかが普通じゃないから結界を感知できずにたまたま入っちゃったんですけど、代々領主は当然知ってます。
 あと誰が知ってるかは分からないですけど多分、お母様も知ってると思います。
 連れてきた理由はストラが冒険者であり、わたしの護衛であり、バトラーさんの息子だから大丈夫だとわたしの第六感シックスセンスが言ってるのです!(キリッ」

 さっきから何度こいつバカだという顔をされたかもうわかりません……。
 ユイの心が挫けちゃいますよ?  しかし、前世では常にそんな目線を家族や友達から受けていたのでこれくらいなんのそのなんですけどね!

「ホビットか~。俺見たことないから見てみたい気もするがな。
 しかし迫害対象だもんな、そりゃあこんな辺鄙なところにでも隠れ住むか。
 てことは代々リシュール領主がこの森に匿っているという感じか。
 捕まれば殺されるか奴隷、匿うことのできる人間がいるのはホビットにとって良いことだな、まぁ迫害がない方がいいのは間違いないが。
 それに……奴隷とか買うやつの気が知れないが、まぁどうせ買うならエルフみたいなすらっとしててそんでボインなオネーちゃんがいいよな。
 ホビットも可愛いって言うけど幼女に興味はないからなぁ。」

 なんと、ストラも綺麗なお姉さん好き同盟のようです。
 それにしてもストラそこそこ頭回りますね。ボインなオネーちゃんとか頭悪そうな発言もしてますけど。

 まぁでもホビットさんの紹介はまた今度です。
 今日の目的は……

「ホビットさんはまた今度紹介します、今日はストラにお願いがあって二人きりになりたくてここまで来たのですよ。」

 怪訝そうな顔をまたされました。
 そりゃあ会ったばかりの仕える屋敷の小娘からいきなりお願いとかそんな顔にもなりますよね、でもきっとお願い内容聞いたらもっとそんな顔になりますよね。

「わたし冒険者になりたいのです。」

「はぁ?  お前貴族令嬢だろう。」

 ついにお前呼びになりました。そんなアホなのこいつみたいな顔しなくても……。

「そうですが、やっちゃいけないなんて言われてません。」

 やっていいとも言われてないですが。


 ていうか敬語なくしてとは言いましたけど、結構口悪そうですね、本来のわたしと仲間じゃないですか。
 わたしこのエセ敬語外すと結構口悪いので昔から気をつけてるのです。
 それでも口からポロっと毒吐いたりしますけどね?

「貴族令嬢がやりたいなんて普通言わないだろうしな……。
 それに侯爵様の許可が下りるとは思えないし、まだ7歳だろ?
 何も出来ないだろ、魔法の制御もまだ学校行ってないから微妙だろ「飛行とべるもん」……うし……」

 ドヤ顔をしながら背中に羽根を生やして飛んでみます。
 これ長い時間使えないんですよねー。
 羽根自体がわたしにはないものなので違和感があって制御が大変なので難しいのですよ……。

「おまっ!  なんだそれ!?  そんな魔法見たことないぞ!?」

 もう限界なので降りますが驚かせることは成功したので良しです、ニヤニヤ

「オリジナル魔法で創造魔法っていうんですよ!  これでどうですか、わたし冒険者やりたいのです!
 そこらへんの冒険者よりもできる女ですよ!?  ……多分!
 でも登録したことないし、詳しいこと分からないから一人ではなくストラに連れて行ってもらいたいのですよ。
 きっと普通の貴族令嬢の護衛より楽しいですよ?  どうですか!」

「オリジナル魔法って……。いやうん、普通の令嬢では……たしかにないな……。」

「ストラは冒険者面白くなかったですか?  もうやりたくないですか?」

 悩んでいるなら揺さぶりをかけましょう。
 冒険者やりたくないって言われたらアウトですが、きっと護衛なんかより面白いはずですし!
 護衛なんてどうせ依頼であるでしょうからぶっちゃけやる価値ないでしょうしっ

「そりゃあ、冒険者のほうが自由だし楽しいけど……。」

「じゃあいいじゃないですか、護衛しつつ冒険者できますよ!
 給料もらいつつ冒険者として収入もあり!
 わぁー最高じゃないですか、いいですね、これ!
 チラッチラッ」


「……なんか乗せられてる感がすごいあるけど……。

『私は35代ハイエル家次期当主ストラ・ハイエル。
 リシュール家護衛騎士として、Cランク冒険者としてリシュール家ご息女であるユイリエール・リシュール様、貴女に一生の忠誠を誓う。』
 俺はまだ上に行ける。
 Cランクなんて、こんな所で止まる男じゃないとは思っていたからな。
 ユイ、お前は面白い。
  護衛騎士としても俺個人としても支えつつ、共に上を目指して歩むと剣に、そして名に、今ここで誓おう。」

 わあああああ!?
 これは騎士の誓い的なやつですか!?
 ごふっ、これは破壊力やばすぎて顔がにやけますよ!
 
 座っていたところから立ち上がりわたしの目の前に跪いて手を取ったと思ったら軽く甲に触れる程度のキスをして誓われた。
 ああ、ニヤニヤを抑えようとしてたらすごい嫌そうな顔されちゃいました!

「改めてよろしく、ユイお嬢様?
 俺は魔力がそんなに高くない。
 豪雷と火に適性が一応あるが、基本的にはただの双剣使いだと思ってくれ。」


「改めてよろしくです、ストラ。
 リシュール領主第四子ユイリエール・リシュールです。
 わたしの適性は……いや、一人くらいバラしてもいいですよね。
 護衛だもん、ずっと一緒にいるんですから誤魔化せない時が絶対ありますよね。

 うんうん、ストラだけ特別ですよ。
 わたしは魔法適性は特にないです。
 使えるのは創造魔法で、わたしが創造……いえ、はっきりイメージ出来たものなら基本的になんでも出来ちゃう便利な魔法で、わたしだけの特別な魔法です。

 秘密聞いちゃったからもう逃げられないのでよろしくねっ?」

「はっ?  ……はぁ?」

 うまく理解出来てないストラにニヤニヤしながら説明していたら頭パコーンって叩かれました。
 護衛のくせに護衛対象のお嬢様の頭叩いていいんですか……。

 まぁね、ネタバレ的な暴露ってわたし好きなのですよね。
    

 理解してくれるまで説明しますし、これからいっぱい振り回しますよ、大変ですねストラっ!
 ふぁいと!





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