15 / 50
付き添いという名の
6
しおりを挟む
予想外過ぎる出来事が起こると人間は思考を止めてしまうのだと、このところ身をもって学んでばかりです。
つい先日、湯呑を見つめながらこれまでの人生を振り返ってしまったのも記憶に新しい。
「えーと……ユリウスの聞き間違いじゃない?」
──姉は強いと言っていた。
沙代が? 胸に手を当てて何度その言葉を反芻してみても、思い当たることがなにひとつありません。
だとすれば、ただの聞き間違いだったというのが一番妥当じゃない? けれど、私の言葉にユリウスの口はへの字に曲がる。
「なぜそう思う」
「だ、だってそんなはずないもの。沙代がそんなこと言うなんて……」
「だから、なぜ」
「それは……」
暑さのせいではなく、喉がカラカラに乾く。
瞼の裏に、私へ向かって飛び込んでくる幼い日の沙代が映る。そして脳天に強い衝撃。パーンという音と上から叩きつけられる振動。
──最近はこの光景を思い出すこともなかったのに。
「おい、どうした?」
覗き込むように顔を近づけて見上げてくるユリウスに、腕を揺すられて我に返った。
「あ、ごめ──」
「ん? ギルベルトは沙代んとこか?」
突然の声に振り向けば、すっかり野球ユニフォームに着替えた公平。バットを肩に担ぎ、右手でボールをいじくりながら校舎から出てきた彼と鉢合わせました。
「うん。止める間もなく一直線だったよ。沙代大激怒で私は逃走」
「あいつ怒るとこえーもんな。お前んち全員感情に素直すぎ。ギルベルトも素質十分そうだし浦都一族安泰じゃねーの」
「一括りにされるのは不服なんですけど」
話がそれてホッとした。
隣のユリウスからは不満そうな気配を感じるけれど、見て見ぬ振りをしてしまう。
「公平こそ部活は?」
「先にちょっと顧問のとこ寄っただけ。今から参加。お前らこそどこ行くんだ?」
きっと公平の目にも、不機嫌なユリウスと、なんでもないフリをして、明らかに変な空気を垂れ流しているだろう私が映っていることでしょう。
でもこの微妙な雰囲気を気にする素振りも見せず、公平はにこにこと普段と変わらぬ調子で寄ってくる。
──うん。公平にすら気を遣われている。
いけない。頬が引きつるのを隠しきれません。
普段はマイペースで人の言うことなんか聞きやしない公平が、この場の違和感に「どうした?」もなく、ユリウスに明るく話しかけている。私たちはそれほどヘンテコな空気を醸し出していたのでしょう。気を遣われたと自覚すると一気に恥ずかしいなぁ。
「せっかくだから、ユリウスに学校を案内しようと思って」
「ああ、いんじゃね? 日本の田舎高校だけど存分に見てってくれよ」
「……なら、しっかり俺を楽しま──」
変わらずへの字のまま口を開いたユリウスだったけれど、突然訝しそうに言葉を切った。
「あの、ユリウス?」
「黙れ」
私の声は、険しい声でぶった切られてしまいました。ユリウスはどこか切羽詰まったように周囲を見渡す。見えないけれど、きっと今彼の瞳は驚愕に見開かれているだろうことが容易く想像できる。
尋常じゃない様子に、私と公平は顔を見合わせた。けれど、結局お互いどうしたものかと首を傾げるに終わってしまう。
「ねえ、どうしたの?」
「これは……っ、なぜ──」
「ユリウス!」
すっかり私と公平の存在が頭から抜けている少年の肩に手を置いて、一声。ようやく顔が私に向いた。
ユリウスの目と視線がぶつかったような気がした、その瞬間。
耳を突き破るような、キーンという甲高い耳鳴りが脳天を突き抜けた。
「い──っ!?」
「なんだこれ──!?」
私と公平がたまらず手で耳を塞いだ瞬間、まさに空気が震える。
「──っ!」
ヒヤリと何かが背筋を走る感覚に顔を上げたと同じく、パーンと弾けるような大きな音とともに──横の校舎の窓が、次々と砕け散っていった。
パパパパンと立て続けに甲高い無機質な音を奏でて、ガラスの破片が空を舞う。
「……え」
今まさに頭上へ降り注ごうとする破片はキラキラと光を反射して、それがやけに綺麗で。間抜けにも馬鹿みたいに固まったら、ぐいっと腕を引かれた。
「綾乃っ!」
「あだっ!」
お尻への強い衝撃で我に返る。
尻もちをついたのだと理解したときには、我が校野球部のユニフォームが視界いっぱいを占めていた。公平が覆いかぶさってくれていることに気が付くと同時に、その肩越しに見えるキラキラとした輝きに血の気が引く。
「公平危ない、どいて!」
「どくかアホ!」
このままでは公平の背中にガラスが落ちる。いやそれ絶対ヤバイ! ただで済む気がしない! なんとか下から這い出そうと無様にもがく私へ落ちてきたのは、ガラスではなく少年の声でした。
「早くここから離れろ!」
どこか切羽詰まったユリウスの声。直後、ゴウッと強い風が吹いた。そして一向に降ってこない破片。
訳も分からず顔を上げた私と公平の前には、こちらに背を向けて立つ少年の姿があった。その向こうには──なんとも、現実離れしたものが佇んでいたのです。
「え?」
「は?」
はい。もう一度言います。
ええ、まさにそれは、佇んでいたのです。
「え……えええええ!?」
「はああああ!?」
視界に飛び込んだものを見て、私と公平はこれでもかと間抜け面を晒し、あんぐりと開いた口からは素っ頓狂な雄叫びが飛び出す。いや、だってもう、信じられないものが目の前にいるんですもの。そりゃこうなりますよ。
ユリウスを挟んだ向こう側には、砕け散った窓ガラスの破片だけでなく、砂埃を巻き上げて周囲の土や石や草花を吸い寄せて形を成していく……ええと、なにあれ人? 人なの!? とにかく人のような形をしたなにかが佇んでいる。あまりの吸引力に、すっかり枠だけとなってしまった校舎の窓がガタガタと激しく音を立てて、このままでは外れてしまうんじゃないかとハラハラします。怖い。
怯んでいる間にも、それは周囲のものを吸い込むたびにどんどんと大きさを増して、あっという間に見上げるほどになってしまいました。
ロボットのプラモデルのように腕や脚のパーツが胴体にくっついていて、上に乗っかる頭部の目と思われる部分には丸い穴が二つ空いている。なんとも大雑把な作りだけれど、見ようと思えばそれが可愛らしいつぶらな瞳に見えなくも……ないな! ないわこれ!
「すっげーな、ゴーレムみてぇ」
「え!? ご、ご、ゴーレム? なに!? なにそれっ」
「ほら、よくゲームに出てくるじゃん。土のモンスター」
「モンスタぁー!?」
感心したように驚く公平とは対照的に、私はもはや大パニックです。だってモンスター? なにそれ正気で言ってるの!? と反論しかけるものの、現に今私の目の前にはそのゴーレムのような土人間……土人形? がいるわけで。
ああ、そういえば確かに昔兄がやっていたゲームにこんなのが出ていた気がするなぁって、もはや呼び名なんてどうでもいいよ!
──これ一体どういう状況!?
目の前で起きた信じられない展開に腰が抜けかけるし、足がガクガク震える。いっそのこと思いっきり叫んで泣き喚いて理性をぶっ飛ばしてしまいたい。
「馬鹿が、早く動け!」
ぐちゃぐちゃに絡まる私の思考をぶん殴るような声が、ピシャリと投げつけられた。弾かれたように顔を向ければ、私と公平を振り向く返るユリウスと向き合う。
そしてその瞬間、公平の言うゴーレムがユリウスに向かって腕を振り上げた。ぐおぉっと逆巻く空気の音と風圧に身体が押される。
「うおおおおお! マジかよ! あれ動くのか!?」
ひいい! だよね、これ動くの!? 動いちゃうの!?
しかも鈍臭そうな外見を裏切るほどの俊敏さで、太い土の腕が空を薙ぐ。その腕は私と公平には見向きもせず明らかにユリウスだけを捉えている。
「くそ──っ!」
本人も狙われているのが自分だと気が付いたのでしょう。
私たちから離れるように、振り下ろされる拳を避けていく。土の拳が地面を叩くたびに地響きのような振動で身体が浮いた。
「なにこれ、なんなの……!?」
ゴーレムこそ、ユリウスだけをどこかへ追い立てるように攻撃しています。少年が壁際に向かって下がっていく──と、もう一度、キンッと鋭く強い耳鳴りが耳をつんざく。
私と公平が顔をしかめた直後、
──ボコボコォッ!
ユリウスの逃げ道を塞ぐように、左右に剣山のようないくつもの鋭い岩が地面から突き出した。その目の前では立ちふさがる大きなゴーレムが、再びユリウスに向けて拳を振り上げている。
それを見てしまえば足は勝手に動きました。
「ユリウスっ!」
「おい綾乃!」
公平の制止を振り切って、無我夢中でゴーレムの脇を駆け抜ける。
「ば──っ」
腕を伸ばして、私の身体はユリウスに向かって飛び出していました。きっと「馬鹿」と罵倒したかったんだろう少年に身体ごと突っ込んだ。
─────────
見直しが一通り終わりましたので、次回から更新を6:00、14:00、22:00の三回に変更します。
なので次話は14:00になります。
つい先日、湯呑を見つめながらこれまでの人生を振り返ってしまったのも記憶に新しい。
「えーと……ユリウスの聞き間違いじゃない?」
──姉は強いと言っていた。
沙代が? 胸に手を当てて何度その言葉を反芻してみても、思い当たることがなにひとつありません。
だとすれば、ただの聞き間違いだったというのが一番妥当じゃない? けれど、私の言葉にユリウスの口はへの字に曲がる。
「なぜそう思う」
「だ、だってそんなはずないもの。沙代がそんなこと言うなんて……」
「だから、なぜ」
「それは……」
暑さのせいではなく、喉がカラカラに乾く。
瞼の裏に、私へ向かって飛び込んでくる幼い日の沙代が映る。そして脳天に強い衝撃。パーンという音と上から叩きつけられる振動。
──最近はこの光景を思い出すこともなかったのに。
「おい、どうした?」
覗き込むように顔を近づけて見上げてくるユリウスに、腕を揺すられて我に返った。
「あ、ごめ──」
「ん? ギルベルトは沙代んとこか?」
突然の声に振り向けば、すっかり野球ユニフォームに着替えた公平。バットを肩に担ぎ、右手でボールをいじくりながら校舎から出てきた彼と鉢合わせました。
「うん。止める間もなく一直線だったよ。沙代大激怒で私は逃走」
「あいつ怒るとこえーもんな。お前んち全員感情に素直すぎ。ギルベルトも素質十分そうだし浦都一族安泰じゃねーの」
「一括りにされるのは不服なんですけど」
話がそれてホッとした。
隣のユリウスからは不満そうな気配を感じるけれど、見て見ぬ振りをしてしまう。
「公平こそ部活は?」
「先にちょっと顧問のとこ寄っただけ。今から参加。お前らこそどこ行くんだ?」
きっと公平の目にも、不機嫌なユリウスと、なんでもないフリをして、明らかに変な空気を垂れ流しているだろう私が映っていることでしょう。
でもこの微妙な雰囲気を気にする素振りも見せず、公平はにこにこと普段と変わらぬ調子で寄ってくる。
──うん。公平にすら気を遣われている。
いけない。頬が引きつるのを隠しきれません。
普段はマイペースで人の言うことなんか聞きやしない公平が、この場の違和感に「どうした?」もなく、ユリウスに明るく話しかけている。私たちはそれほどヘンテコな空気を醸し出していたのでしょう。気を遣われたと自覚すると一気に恥ずかしいなぁ。
「せっかくだから、ユリウスに学校を案内しようと思って」
「ああ、いんじゃね? 日本の田舎高校だけど存分に見てってくれよ」
「……なら、しっかり俺を楽しま──」
変わらずへの字のまま口を開いたユリウスだったけれど、突然訝しそうに言葉を切った。
「あの、ユリウス?」
「黙れ」
私の声は、険しい声でぶった切られてしまいました。ユリウスはどこか切羽詰まったように周囲を見渡す。見えないけれど、きっと今彼の瞳は驚愕に見開かれているだろうことが容易く想像できる。
尋常じゃない様子に、私と公平は顔を見合わせた。けれど、結局お互いどうしたものかと首を傾げるに終わってしまう。
「ねえ、どうしたの?」
「これは……っ、なぜ──」
「ユリウス!」
すっかり私と公平の存在が頭から抜けている少年の肩に手を置いて、一声。ようやく顔が私に向いた。
ユリウスの目と視線がぶつかったような気がした、その瞬間。
耳を突き破るような、キーンという甲高い耳鳴りが脳天を突き抜けた。
「い──っ!?」
「なんだこれ──!?」
私と公平がたまらず手で耳を塞いだ瞬間、まさに空気が震える。
「──っ!」
ヒヤリと何かが背筋を走る感覚に顔を上げたと同じく、パーンと弾けるような大きな音とともに──横の校舎の窓が、次々と砕け散っていった。
パパパパンと立て続けに甲高い無機質な音を奏でて、ガラスの破片が空を舞う。
「……え」
今まさに頭上へ降り注ごうとする破片はキラキラと光を反射して、それがやけに綺麗で。間抜けにも馬鹿みたいに固まったら、ぐいっと腕を引かれた。
「綾乃っ!」
「あだっ!」
お尻への強い衝撃で我に返る。
尻もちをついたのだと理解したときには、我が校野球部のユニフォームが視界いっぱいを占めていた。公平が覆いかぶさってくれていることに気が付くと同時に、その肩越しに見えるキラキラとした輝きに血の気が引く。
「公平危ない、どいて!」
「どくかアホ!」
このままでは公平の背中にガラスが落ちる。いやそれ絶対ヤバイ! ただで済む気がしない! なんとか下から這い出そうと無様にもがく私へ落ちてきたのは、ガラスではなく少年の声でした。
「早くここから離れろ!」
どこか切羽詰まったユリウスの声。直後、ゴウッと強い風が吹いた。そして一向に降ってこない破片。
訳も分からず顔を上げた私と公平の前には、こちらに背を向けて立つ少年の姿があった。その向こうには──なんとも、現実離れしたものが佇んでいたのです。
「え?」
「は?」
はい。もう一度言います。
ええ、まさにそれは、佇んでいたのです。
「え……えええええ!?」
「はああああ!?」
視界に飛び込んだものを見て、私と公平はこれでもかと間抜け面を晒し、あんぐりと開いた口からは素っ頓狂な雄叫びが飛び出す。いや、だってもう、信じられないものが目の前にいるんですもの。そりゃこうなりますよ。
ユリウスを挟んだ向こう側には、砕け散った窓ガラスの破片だけでなく、砂埃を巻き上げて周囲の土や石や草花を吸い寄せて形を成していく……ええと、なにあれ人? 人なの!? とにかく人のような形をしたなにかが佇んでいる。あまりの吸引力に、すっかり枠だけとなってしまった校舎の窓がガタガタと激しく音を立てて、このままでは外れてしまうんじゃないかとハラハラします。怖い。
怯んでいる間にも、それは周囲のものを吸い込むたびにどんどんと大きさを増して、あっという間に見上げるほどになってしまいました。
ロボットのプラモデルのように腕や脚のパーツが胴体にくっついていて、上に乗っかる頭部の目と思われる部分には丸い穴が二つ空いている。なんとも大雑把な作りだけれど、見ようと思えばそれが可愛らしいつぶらな瞳に見えなくも……ないな! ないわこれ!
「すっげーな、ゴーレムみてぇ」
「え!? ご、ご、ゴーレム? なに!? なにそれっ」
「ほら、よくゲームに出てくるじゃん。土のモンスター」
「モンスタぁー!?」
感心したように驚く公平とは対照的に、私はもはや大パニックです。だってモンスター? なにそれ正気で言ってるの!? と反論しかけるものの、現に今私の目の前にはそのゴーレムのような土人間……土人形? がいるわけで。
ああ、そういえば確かに昔兄がやっていたゲームにこんなのが出ていた気がするなぁって、もはや呼び名なんてどうでもいいよ!
──これ一体どういう状況!?
目の前で起きた信じられない展開に腰が抜けかけるし、足がガクガク震える。いっそのこと思いっきり叫んで泣き喚いて理性をぶっ飛ばしてしまいたい。
「馬鹿が、早く動け!」
ぐちゃぐちゃに絡まる私の思考をぶん殴るような声が、ピシャリと投げつけられた。弾かれたように顔を向ければ、私と公平を振り向く返るユリウスと向き合う。
そしてその瞬間、公平の言うゴーレムがユリウスに向かって腕を振り上げた。ぐおぉっと逆巻く空気の音と風圧に身体が押される。
「うおおおおお! マジかよ! あれ動くのか!?」
ひいい! だよね、これ動くの!? 動いちゃうの!?
しかも鈍臭そうな外見を裏切るほどの俊敏さで、太い土の腕が空を薙ぐ。その腕は私と公平には見向きもせず明らかにユリウスだけを捉えている。
「くそ──っ!」
本人も狙われているのが自分だと気が付いたのでしょう。
私たちから離れるように、振り下ろされる拳を避けていく。土の拳が地面を叩くたびに地響きのような振動で身体が浮いた。
「なにこれ、なんなの……!?」
ゴーレムこそ、ユリウスだけをどこかへ追い立てるように攻撃しています。少年が壁際に向かって下がっていく──と、もう一度、キンッと鋭く強い耳鳴りが耳をつんざく。
私と公平が顔をしかめた直後、
──ボコボコォッ!
ユリウスの逃げ道を塞ぐように、左右に剣山のようないくつもの鋭い岩が地面から突き出した。その目の前では立ちふさがる大きなゴーレムが、再びユリウスに向けて拳を振り上げている。
それを見てしまえば足は勝手に動きました。
「ユリウスっ!」
「おい綾乃!」
公平の制止を振り切って、無我夢中でゴーレムの脇を駆け抜ける。
「ば──っ」
腕を伸ばして、私の身体はユリウスに向かって飛び出していました。きっと「馬鹿」と罵倒したかったんだろう少年に身体ごと突っ込んだ。
─────────
見直しが一通り終わりましたので、次回から更新を6:00、14:00、22:00の三回に変更します。
なので次話は14:00になります。
0
お気に入りに追加
61
あなたにおすすめの小説
【完結】記憶を失くした貴方には、わたし達家族は要らないようです
たろ
恋愛
騎士であった夫が突然川に落ちて死んだと聞かされたラフェ。
お腹には赤ちゃんがいることが分かったばかりなのに。
これからどうやって暮らしていけばいいのか……
子供と二人で何とか頑張って暮らし始めたのに……
そして………
断る――――前にもそう言ったはずだ
鈴宮(すずみや)
恋愛
「寝室を分けませんか?」
結婚して三年。王太子エルネストと妃モニカの間にはまだ子供が居ない。
周囲からは『そろそろ側妃を』という声が上がっているものの、彼はモニカと寝室を分けることを拒んでいる。
けれど、エルネストはいつだって、モニカにだけ冷たかった。
他の人々に向けられる優しい言葉、笑顔が彼女に向けられることない。
(わたくし以外の女性が妃ならば、エルネスト様はもっと幸せだろうに……)
そんな時、侍女のコゼットが『エルネストから想いを寄せられている』ことをモニカに打ち明ける。
ようやく側妃を娶る気になったのか――――エルネストがコゼットと過ごせるよう、私室で休むことにしたモニカ。
そんな彼女の元に、護衛騎士であるヴィクトルがやってきて――――?
旦那様に愛されなかった滑稽な妻です。
アズやっこ
恋愛
私は旦那様を愛していました。
今日は三年目の結婚記念日。帰らない旦那様をそれでも待ち続けました。
私は旦那様を愛していました。それでも旦那様は私を愛してくれないのですね。
これはお別れではありません。役目が終わったので交代するだけです。役立たずの妻で申し訳ありませんでした。
多産を見込まれて嫁いだ辺境伯家でしたが旦那様が閨に来ません。どうしたらいいのでしょう?
あとさん♪
恋愛
「俺の愛は、期待しないでくれ」
結婚式当日の晩、つまり初夜に、旦那様は私にそう言いました。
それはそれは苦渋に満ち満ちたお顔で。そして呆然とする私を残して、部屋を出て行った旦那様は、私が寝た後に私の上に伸し掛かって来まして。
不器用な年上旦那さまと割と飄々とした年下妻のじれじれラブ(を、目指しました)
※序盤、主人公が大切にされていない表現が続きます。ご気分を害された場合、速やかにブラウザバックして下さい。ご自分のメンタルはご自分で守って下さい。
※小説家になろうにも掲載しております
【完】あの、……どなたでしょうか?
桐生桜月姫
恋愛
「キャサリン・ルーラー
爵位を傘に取る卑しい女め、今この時を以て貴様との婚約を破棄する。」
見た目だけは、麗しの王太子殿下から出た言葉に、婚約破棄を突きつけられた美しい女性は………
「あの、……どなたのことでしょうか?」
まさかの意味不明発言!!
今ここに幕開ける、波瀾万丈の間違い婚約破棄ラブコメ!!
結末やいかに!!
*******************
執筆終了済みです。
【完結】私だけが知らない
綾雅(りょうが)祝!コミカライズ
ファンタジー
目が覚めたら何も覚えていなかった。父と兄を名乗る二人は泣きながら謝る。痩せ細った体、痣が残る肌、誰もが過保護に私を気遣う。けれど、誰もが何が起きたのかを語らなかった。
優しい家族、ぬるま湯のような生活、穏やかに過ぎていく日常……その陰で、人々は己の犯した罪を隠しつつ微笑む。私を守るため、そう言いながら真実から遠ざけた。
やがて、すべてを知った私は――ひとつの決断をする。
記憶喪失から始まる物語。冤罪で殺されかけた私は蘇り、陥れようとした者は断罪される。優しい嘘に隠された真実が徐々に明らかになっていく。
【同時掲載】 小説家になろう、アルファポリス、カクヨム、エブリスタ
2023/12/20……小説家になろう 日間、ファンタジー 27位
2023/12/19……番外編完結
2023/12/11……本編完結(番外編、12/12)
2023/08/27……エブリスタ ファンタジートレンド 1位
2023/08/26……カテゴリー変更「恋愛」⇒「ファンタジー」
2023/08/25……アルファポリス HOT女性向け 13位
2023/08/22……小説家になろう 異世界恋愛、日間 22位
2023/08/21……カクヨム 恋愛週間 17位
2023/08/16……カクヨム 恋愛日間 12位
2023/08/14……連載開始
【完結】物置小屋の魔法使いの娘~父の再婚相手と義妹に家を追い出され、婚約者には捨てられた。でも、私は……
buchi
恋愛
大公爵家の父が再婚して新しくやって来たのは、義母と義妹。当たり前のようにダーナの部屋を取り上げ、義妹のマチルダのものに。そして社交界への出入りを禁止し、館の隣の物置小屋に移動するよう命じた。ダーナは亡くなった母の血を受け継いで魔法が使えた。これまでは使う必要がなかった。だけど、汚い小屋に閉じ込められた時は、使用人がいるので自粛していた魔法力を存分に使った。魔法力のことは、母と母と同じ国から嫁いできた王妃様だけが知る秘密だった。
みすぼらしい物置小屋はパラダイスに。だけど、ある晩、王太子殿下のフィルがダーナを心配になってやって来て……
(完結)醜くなった花嫁の末路「どうぞ、お笑いください。元旦那様」
音爽(ネソウ)
ファンタジー
容姿が気に入らないと白い結婚を強いられた妻。
本邸から追い出されはしなかったが、夫は離れに愛人を囲い顔さえ見せない。
しかし、3年と待たず離縁が決定する事態に。そして元夫の家は……。
*6月18日HOTランキング入りしました、ありがとうございます。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる