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祖母の住む町 [本編]
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祖母の暮らす町には、古くから伝えられている
一種の”教え”が存在する。
”盆の夜は、山へ入るな”
タケルは、祖母の家に顔出しついでに
2泊ほど遊びに行っていた。
久しぶりの祖母の家には、親戚の子のユータが遊びに来ていた。
タケル
「あれ、ユータ1人で来たのか?」
ユータ
「ちがうよー。パパとママは今日の夜までお仕事だから、今日は、おばあちゃんの家で僕はお泊まり。
明日には、パパもママも来ると思うよ!」
少し見ない間に、大きくなっているユータに関心しながらも
寂しくないだろうかとタケルは、心配していた。
タケル
「じゃあ、今日は兄ちゃんと遊ぼうか!」
ユータ
「やった!キャッチボールしたい!川も行きたい!」
ユータのパワフルさに、タケルは圧倒されながらも
ユータの手を引き、祖母の家を出た。
祖母
「夜には帰ってくるんだよ。あと、夕方以降は山に近づかないようにしなさい。」
タケル
「はーい、行ってくる」
タケルは、幼い頃に聞かされた。
祖母からの怖い話を思い出した。
「お盆の夜には、山に行ってはいけないよ。仔神様が出るからね。」
「シジン様?」
「お盆の夜に現れてね、山に来た人たちをさらって、その人達はもう、元いたところへは戻れないようになるのよ。」
幼い頃のタケルは、その話が怖くてたまらなかった記憶があった。
しかし、大学生にもなり余裕ができたのか、あんな子供騙しの作り話よくできてるなんて
感心していた。
要するに、盆の夜には親戚とか集まって飲み会やらするから
山に入って、迷子になっても助けに行けないぞ!
って話でしょ。と勝手に納得していた。
そんなこんなで、キャッチボールや川遊びをした
ユータとタケルは、田舎の田んぼ道を歩いていた。
ユータ
「ねぇ、タケルにいちゃん。カブトムシ探しに行こうよ」
ユータは目を輝かせて、タケルを見つめながら言った。
時刻はすでに夜7時近くになっていた。
夜とはいえ、まだ7時なら大丈夫かと思いタケルは、
ユータを連れて、山にカブトムシ探しに出向いた。
タケル
「ユータ、あんまり遅くなったらばぁちゃんたちに怒られっから
探すのは少しだけだぞ。」
そう言って、山の中へと足を進める二人だったが
なかなかカブトムシは見つからない。
タケルも少し意地になって
少しずつ山の奥に進んでいく。
時間も忘れ、山道をかき分けて進んでいると
ユータが声をかけてきた。
「タケルにいちゃん!あれ何?」
ユータが指差す方向には、
小さな祠のようなものがあった。
背筋に悪寒が走った。
別に霊的な感覚があるわけではなかったが、
とっさに「やばい!」とタケルは思った。
タケル
「あれなんだろうな?にいちゃんわかんねーわ。
とりあえず、今日は帰ろうか?また明日の朝早くから探そう。」
ユータは、少しグズったが
それ以上にタケルが感じた恐怖心が後押しして、少し強引ではあったが
山を降り始めた。
降り始めてからしばらくして
ユータが、話始めた。
ユータ
「他にもいろんな子達がいたねー。みんなも探してたのかなー?」
いや待て、誰もいなったよな。そう思ったタケルが
通ってきた一本道を振り返った。
小さな男の子だ。
月の光も僅かにしか入ってこない山道の遠くから
こちらに向かって、小さな男の子が走ってくる。
月明かりが一瞬照らした男の子の顔は
笑っていた。
「やばい」
わけがわからない。でもただひたすらに
家に戻らなければ。という思いでユータを抱きかかえ山を駆け下りた。
「ドン!」
誰かに背中を押された!?
転けた拍子に振り返った。
そこには、10人ほどの小さな子供達が悲しそうにこちらを見ていたのだった。
タケルは気づいた時には、山を降り終えていた。
山の入り口には、小さな地蔵があった。
ユータは気づいた時には、抱き上げた腕の中で寝ていた。
恐怖もあったタケルは夢中で祖母の家へと戻り、祖母に今日あった出来事を話した。
~ 祖母の住む町 本編終了 ~
一種の”教え”が存在する。
”盆の夜は、山へ入るな”
タケルは、祖母の家に顔出しついでに
2泊ほど遊びに行っていた。
久しぶりの祖母の家には、親戚の子のユータが遊びに来ていた。
タケル
「あれ、ユータ1人で来たのか?」
ユータ
「ちがうよー。パパとママは今日の夜までお仕事だから、今日は、おばあちゃんの家で僕はお泊まり。
明日には、パパもママも来ると思うよ!」
少し見ない間に、大きくなっているユータに関心しながらも
寂しくないだろうかとタケルは、心配していた。
タケル
「じゃあ、今日は兄ちゃんと遊ぼうか!」
ユータ
「やった!キャッチボールしたい!川も行きたい!」
ユータのパワフルさに、タケルは圧倒されながらも
ユータの手を引き、祖母の家を出た。
祖母
「夜には帰ってくるんだよ。あと、夕方以降は山に近づかないようにしなさい。」
タケル
「はーい、行ってくる」
タケルは、幼い頃に聞かされた。
祖母からの怖い話を思い出した。
「お盆の夜には、山に行ってはいけないよ。仔神様が出るからね。」
「シジン様?」
「お盆の夜に現れてね、山に来た人たちをさらって、その人達はもう、元いたところへは戻れないようになるのよ。」
幼い頃のタケルは、その話が怖くてたまらなかった記憶があった。
しかし、大学生にもなり余裕ができたのか、あんな子供騙しの作り話よくできてるなんて
感心していた。
要するに、盆の夜には親戚とか集まって飲み会やらするから
山に入って、迷子になっても助けに行けないぞ!
って話でしょ。と勝手に納得していた。
そんなこんなで、キャッチボールや川遊びをした
ユータとタケルは、田舎の田んぼ道を歩いていた。
ユータ
「ねぇ、タケルにいちゃん。カブトムシ探しに行こうよ」
ユータは目を輝かせて、タケルを見つめながら言った。
時刻はすでに夜7時近くになっていた。
夜とはいえ、まだ7時なら大丈夫かと思いタケルは、
ユータを連れて、山にカブトムシ探しに出向いた。
タケル
「ユータ、あんまり遅くなったらばぁちゃんたちに怒られっから
探すのは少しだけだぞ。」
そう言って、山の中へと足を進める二人だったが
なかなかカブトムシは見つからない。
タケルも少し意地になって
少しずつ山の奥に進んでいく。
時間も忘れ、山道をかき分けて進んでいると
ユータが声をかけてきた。
「タケルにいちゃん!あれ何?」
ユータが指差す方向には、
小さな祠のようなものがあった。
背筋に悪寒が走った。
別に霊的な感覚があるわけではなかったが、
とっさに「やばい!」とタケルは思った。
タケル
「あれなんだろうな?にいちゃんわかんねーわ。
とりあえず、今日は帰ろうか?また明日の朝早くから探そう。」
ユータは、少しグズったが
それ以上にタケルが感じた恐怖心が後押しして、少し強引ではあったが
山を降り始めた。
降り始めてからしばらくして
ユータが、話始めた。
ユータ
「他にもいろんな子達がいたねー。みんなも探してたのかなー?」
いや待て、誰もいなったよな。そう思ったタケルが
通ってきた一本道を振り返った。
小さな男の子だ。
月の光も僅かにしか入ってこない山道の遠くから
こちらに向かって、小さな男の子が走ってくる。
月明かりが一瞬照らした男の子の顔は
笑っていた。
「やばい」
わけがわからない。でもただひたすらに
家に戻らなければ。という思いでユータを抱きかかえ山を駆け下りた。
「ドン!」
誰かに背中を押された!?
転けた拍子に振り返った。
そこには、10人ほどの小さな子供達が悲しそうにこちらを見ていたのだった。
タケルは気づいた時には、山を降り終えていた。
山の入り口には、小さな地蔵があった。
ユータは気づいた時には、抱き上げた腕の中で寝ていた。
恐怖もあったタケルは夢中で祖母の家へと戻り、祖母に今日あった出来事を話した。
~ 祖母の住む町 本編終了 ~
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