3 / 11
早乙女 麗華の動画撮影 ②
しおりを挟む
おっさんのストップが入り、一時的に撮影が中断された。
あたしと杏子は宮本さんに渡されたスポーツドリンクで喉を潤わせながら、汗を拭きおっさんの言っていることに耳を傾ける。
「正直、100点満点中100点の出来や。素人判断になるけど、これなら充分やと思うわ」
「まじで! じゃあ、花音を場所を……」
「けど! これで満足したらあかん!! 妹さんの情報が欲しかったらこれを超えることをせえへんとあかんなぁ」
「それって……」
頭の中で一つのワードが思い浮かぶ。
SEX。オナニーの次というのなら、この言葉が思い浮かぶ。
だけど、それは……
「無理無理無理無理!! そんなのやらないからな!」
「わ、わたしもそれはちょっと……」
顔にタオルを投げつけて、杏子の手を引いておっさんから距離を取った。
もしも無理やりに迫ってきたらぶん殴ってやる。
火照る身体を庇いながら、おっさんの様子を見る。
すると……おっさんは投げつけられたタオルを外すと笑顔のまま否定し始めた。
「大丈夫や。君ら2人にそんなことはさせへんって」
「そ、そう……か」
「警戒しとるなぁ。まあまあ、これでも見て落ち着きや」
「「あっ……」」
あたしたちは言われたとおりに、動画を見た。
ぐるぐると頭の中にさっきまでの言葉が回り、次第に立っていられなくなる。
気がつけば、おっさんはあたしたちの目と鼻の先まで近づいてきている。
「さあて、質問や。催眠レベルはいくつや?」
催眠レベル? ああ、催眠レベルのことか。
気持ちよくなることで上がるレベルの説明を思い出し、その答えを探すために頭を動かす。
0→1
カチッと機械的な音が鳴ったような気がした。
呼応するようにスイッチを入れるようにあたしの中のレベルが上がり、言わなきゃいけないことがわかった。
「催眠レベル、1…………です」
「わたしも、1」
「そうか」
にやりと目の前でおっさんの顔が笑った。
その瞬間、さっきとは別の感情があたしの中で生まれた。
(は、恥ずかしい……!)
さっきまであたしはなんてことをしていたのだろうか。
どうして、こんな動画を撮ってしまったのか。穴があったら入りたい!
あたしは衝動的に身体を動かそうと手を動かした。
「ん。なんやこの手は?」
「おっさん……次は何をすればいい」
は?
まさかの言葉があたしの口から吐き出された。
自分の考えている事とは真逆の言葉があふれ出る。
「花音のため、動画の一つや二つ……いくらでも撮ればいい」
「ほお、君はそういうレベルの上がり方か」
感心したようなことをいい、おっさんはあたしの手を払いのける。
「魅力的な提案やけど、そこまではいいかな。君、そう言いながらもゆでだこのように真っ赤やで」
あたしだってもごめんだ。だけど、身体はいう事を聞かない。
顔が真っ赤になっているにもかかわらず、身体と口は全く別のことを言っている。
「じゃあ、次はどうするんだよ」
「そうやな。次は個別で撮ろうか」
「なんだよ。結局、撮影かよ」
「期待通りでいいちゃうんか?」
「まあな」
はあぁぁぁぁぁぁぁぁ!??
個別個人……つまりはさっきのを一人でやらなければならない。
嫌だ。やりたくない。
でも……おっさんの指示には従わなければならない。
「これはオナニー動画がやから君が主役や」
「あたしが……主役」
念を押すように言われる。
これは覚悟を決めるしかなさそうだ。
妹を助けるため……自分のため、この恥ずかしい撮影を乗り越えなければならない。
だって、主役だから。主役が出てこない動画なんてないから。
「わかりました……やります!」
「その意気や!!」
バンバンと痛いほど肩を叩かれる。
男に触られるのなんて鳥肌が立つほど嫌だったけど、こういうのは嫌いじゃない。
そんなことを思っていると、おっさんは思いついたかのように自分のカバンをあさり始めた。
「そうや。で、さっきの動画で足りひんのがある。それがこれや」
ビジネスバックにしては少し大きめのカバンから出てきたのはピンク色の棒状のモノとうずらの卵サイズの球体に紐がつながったモノ。
どちらも見たことがなく、どういうものか見当がつかない。
「おもちゃ?」
「いやいやい、これはエッチなおもちゃや。見たことないんか?」
「う、うん。初めて見た……杏子は知ってる?」
あたしだけが特殊なのかと仲間を求めて杏子に振ってみる。
「知ってるわよ。AVでよく見るやつじゃない」
「へ、へぇ~。そうなんだ~」
当たり前のように言われて、反応に困った。
さりげなく、杏子がAVをよく見ていることをカミングアウトされてしまいちょっと顔が熱くなった。
というか、もしかして見てないのってあたしだけなのかも……。
「嬢ちゃんは知らんのか……じゃあ、先に黒髪のネーチャンから」
「ま、待って!」
本能的に叫んだ。
なんで叫んだのかもわからないけど、杏子が先にやるのはおかしいと思いどうにかあたしが最初にやらなければと言葉を探す。
「あたしが主役でしょ。あたしにやらせてよ」
「ほお?」
「その……使い方はわからないけど、教えてくれればやってあげるわよ!」
どうしてこんな啖呵(たんか)を切ってしまったのか……場の雰囲気に流されたというか後には引けなかったというか……。
ただ、あたしは自分で後には引けない状況を作り上げてしまった。
自分で自分の首を絞めてしまったのだ。
あたしと杏子は宮本さんに渡されたスポーツドリンクで喉を潤わせながら、汗を拭きおっさんの言っていることに耳を傾ける。
「正直、100点満点中100点の出来や。素人判断になるけど、これなら充分やと思うわ」
「まじで! じゃあ、花音を場所を……」
「けど! これで満足したらあかん!! 妹さんの情報が欲しかったらこれを超えることをせえへんとあかんなぁ」
「それって……」
頭の中で一つのワードが思い浮かぶ。
SEX。オナニーの次というのなら、この言葉が思い浮かぶ。
だけど、それは……
「無理無理無理無理!! そんなのやらないからな!」
「わ、わたしもそれはちょっと……」
顔にタオルを投げつけて、杏子の手を引いておっさんから距離を取った。
もしも無理やりに迫ってきたらぶん殴ってやる。
火照る身体を庇いながら、おっさんの様子を見る。
すると……おっさんは投げつけられたタオルを外すと笑顔のまま否定し始めた。
「大丈夫や。君ら2人にそんなことはさせへんって」
「そ、そう……か」
「警戒しとるなぁ。まあまあ、これでも見て落ち着きや」
「「あっ……」」
あたしたちは言われたとおりに、動画を見た。
ぐるぐると頭の中にさっきまでの言葉が回り、次第に立っていられなくなる。
気がつけば、おっさんはあたしたちの目と鼻の先まで近づいてきている。
「さあて、質問や。催眠レベルはいくつや?」
催眠レベル? ああ、催眠レベルのことか。
気持ちよくなることで上がるレベルの説明を思い出し、その答えを探すために頭を動かす。
0→1
カチッと機械的な音が鳴ったような気がした。
呼応するようにスイッチを入れるようにあたしの中のレベルが上がり、言わなきゃいけないことがわかった。
「催眠レベル、1…………です」
「わたしも、1」
「そうか」
にやりと目の前でおっさんの顔が笑った。
その瞬間、さっきとは別の感情があたしの中で生まれた。
(は、恥ずかしい……!)
さっきまであたしはなんてことをしていたのだろうか。
どうして、こんな動画を撮ってしまったのか。穴があったら入りたい!
あたしは衝動的に身体を動かそうと手を動かした。
「ん。なんやこの手は?」
「おっさん……次は何をすればいい」
は?
まさかの言葉があたしの口から吐き出された。
自分の考えている事とは真逆の言葉があふれ出る。
「花音のため、動画の一つや二つ……いくらでも撮ればいい」
「ほお、君はそういうレベルの上がり方か」
感心したようなことをいい、おっさんはあたしの手を払いのける。
「魅力的な提案やけど、そこまではいいかな。君、そう言いながらもゆでだこのように真っ赤やで」
あたしだってもごめんだ。だけど、身体はいう事を聞かない。
顔が真っ赤になっているにもかかわらず、身体と口は全く別のことを言っている。
「じゃあ、次はどうするんだよ」
「そうやな。次は個別で撮ろうか」
「なんだよ。結局、撮影かよ」
「期待通りでいいちゃうんか?」
「まあな」
はあぁぁぁぁぁぁぁぁ!??
個別個人……つまりはさっきのを一人でやらなければならない。
嫌だ。やりたくない。
でも……おっさんの指示には従わなければならない。
「これはオナニー動画がやから君が主役や」
「あたしが……主役」
念を押すように言われる。
これは覚悟を決めるしかなさそうだ。
妹を助けるため……自分のため、この恥ずかしい撮影を乗り越えなければならない。
だって、主役だから。主役が出てこない動画なんてないから。
「わかりました……やります!」
「その意気や!!」
バンバンと痛いほど肩を叩かれる。
男に触られるのなんて鳥肌が立つほど嫌だったけど、こういうのは嫌いじゃない。
そんなことを思っていると、おっさんは思いついたかのように自分のカバンをあさり始めた。
「そうや。で、さっきの動画で足りひんのがある。それがこれや」
ビジネスバックにしては少し大きめのカバンから出てきたのはピンク色の棒状のモノとうずらの卵サイズの球体に紐がつながったモノ。
どちらも見たことがなく、どういうものか見当がつかない。
「おもちゃ?」
「いやいやい、これはエッチなおもちゃや。見たことないんか?」
「う、うん。初めて見た……杏子は知ってる?」
あたしだけが特殊なのかと仲間を求めて杏子に振ってみる。
「知ってるわよ。AVでよく見るやつじゃない」
「へ、へぇ~。そうなんだ~」
当たり前のように言われて、反応に困った。
さりげなく、杏子がAVをよく見ていることをカミングアウトされてしまいちょっと顔が熱くなった。
というか、もしかして見てないのってあたしだけなのかも……。
「嬢ちゃんは知らんのか……じゃあ、先に黒髪のネーチャンから」
「ま、待って!」
本能的に叫んだ。
なんで叫んだのかもわからないけど、杏子が先にやるのはおかしいと思いどうにかあたしが最初にやらなければと言葉を探す。
「あたしが主役でしょ。あたしにやらせてよ」
「ほお?」
「その……使い方はわからないけど、教えてくれればやってあげるわよ!」
どうしてこんな啖呵(たんか)を切ってしまったのか……場の雰囲気に流されたというか後には引けなかったというか……。
ただ、あたしは自分で後には引けない状況を作り上げてしまった。
自分で自分の首を絞めてしまったのだ。
0
お気に入りに追加
33
あなたにおすすめの小説


どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。


ママと中学生の僕
キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。

ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる